日本語教育において、常に多数を占めてきた中国語を母語にする学習者のために、何を知り、何を学んでいくべきか、日本語教育の日中研究者グループによる決定版の入門の本。

日本語教師読本シリーズ < 中国語話者に教える

 

書籍の紹介

目次

1章 中国の教育事情と日本語 杉村泰(すぎむら・やすし)、崔小萍(サイ・ショウヘイ)

 1節 外国語教育と日本語教育

  □ 中国における外国語教育事情 □ 中国におけるネット環境 □ 日本語教育の広がり
   □ 大学日本語専攻生四級・八級能力試験(全国高等学校日语专业四、八级考试)

 2節 中国における日本

  □ エンターテインメント □ 日本の商品

 3節 日本語好きの若者が辿る道

   □ 入学試験 □ 日本語の授業 □ 日本語の教科書 □ 日本語以外の授業や課外活動 □ 寮生活
  □ 卒業後の進路

2章 日本語と中国語 杉村泰(すぎむら・やすし)

 1節 発音の壁
   □ 母音と拗音 □ 清音と濁音 □ 特殊拍 □ アクセント

 2節 文字の壁

   □ 文字の種類 □ 漢字の違い □ フォントや書き言葉の注意点

 3節 語彙の壁

   □ 日中同形異義語 □ 品詞による違い

 4節 文法の壁

   □ 語順 □ 「は」と「が」の区別 □ 事態の把握の違い

3章 母語の影響 建石始(たていし・はじめ)、劉志偉(リュウ・シイ)

1節 母語の影響とは

2節 音声・発音における母語の影響

  □ 日本語母語話者の視点から □ 日本語学習経験者の視点から

3節 文字・語彙における母語の影響

  □ 日本語母語話者の視点から □ 日本語学習経験者の視点から

4節 文法における母語の影響
  日本語母語話者の視点から □ 日本語学習経験者の視点から □ その他

5節 まとめ

4章 中国で日本語を教える  陳建明(チン・ケンメイ)、中俣尚己(なかまた・なおき)

 1節 中国の大学で働く日本人教師の現状

  □ 中国における日本語教育 □ 中国の大学で働くには □ 大学の日本語教育現場における   日本人教師の割合 □ 大学で日本人教師が担当する授業の割合 □ 日本人教師の日本語   教育現場での仕事 □ 日本人教師が中国に来て困ったこと

 2節 日本人教師の授業について

  □ 授業で日本人教師に求められること □ 日本人教師の授業で問題となるところ
  □ 中国人学習者が望む良い教師像

 3節 中国人学習者のビリーフ

  □ 日本語学習の最も重要な部分は? □ どんな授業・学習の仕方が支持されている?
  □ 「教師の役割」と「媒介語の使用」 □ 専攻の学生と非専攻の学生の違い

5章 中国語で教えたほうが早い4つの項目 陳秀茵(チン・シュウイン)

 その1 コロケーション・慣用表現
 その2 若者がよく使う表現
 その3 婉曲表現
 その4 文化的な要素

まとめ

6章 学習者インタビュー 崔小萍(サイ・ショウヘイ)

まとめ

あとがき
著者紹介
参考文献

 

どこで買える?

□ 電子書籍版 650円

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□ 印刷版 1650円(税込み)

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*背表紙は原則としてありません。
*印刷版は日本国内のみの発売です。日本以外の地域の方は電子版をお求め下さい。

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どんな本?

日本語教育において、常に多数を占めてきた中国語を母語にする学習者のために、何を知り、何を学んでいくべきか、日本語教育の日中研究者グループによる決定版の入門の本。

主に中国の学習者を軸に、中国の教育制度、語学、日本語の学習環境から、中国語話者にとって難しいところ、言語が似ていることから来るトラップ、微妙に違う漢字、中国語で説明したほうが早いところ、などを、0から整理した本です。

  • 中国語話者がぶつかる発音、文字、語彙、文法の壁とは
  • 中国語と日本語の違い、注意点。
  • 中国における日本語教育の歴史、現状、特徴
  • 日本語教師が中国で教える時に準備すべきこと
  • 中国で求められる日本語教師象
  • 中国語で教えたほうが早い4つの項目とは

 


 

以下、本編からの一部抜粋です。

🗨 中国におけるネット環境
中国の大手通信会社には China Mobile (中国移动)、China Unicom (中国联通)、China Telecom (中国电信)などがあります。料金は基本的には定額制ですが、利用する通信会社、地域、データレート(速度)、携帯との連携の有無などによって異なります。2020年の北京において、速度300Mbpsのインターネットのみを利用する場合、China Unicom は月額約123元(約2,000円)、China Mobile は月額140元(約2,200円)で、China Telecom は月額89元(約1400円)です。
🗨 日本語好きの若者が辿る道
中国の大学では基本的にクラス単位で勉強し、高校と似た仕組みになっています。そのため、必修科目はクラス単位で一緒に学び、選択科目は個人で自由に学ぶのが一般的です。
日本語専攻の主要科目は「基礎日語」と「精読」です。中国語では日本語のことを「日語」と言います。基礎日語は五十音から始まって基礎的な文法や語彙を学ぶ科目で、一般的には一年生と二年生の授業で月曜日から金曜日まで毎日あります。精読は基礎的な文法が終わった後に、少し難しい文章を読む科目です。大学によっては一年次から始めるところもありますが、一般的には三年次から始まり、週に2~3回あるのが普通です。いずれもモデル文を通して文法と単語を習います。一般的に一年生と二年生は同一シリーズの教科書を使い、一学期に一冊のペースで使用します。

🗨 清音と濁音

日本語や英語が「カ」と「ガ」、「パ」と「バ」のような清音と濁音の対立を持つのに対し、中国語は「ka」と「kha」、「pa」と「pha」のような無気音と有気音の対立となっています。そのため、人によっては日本語の清音と濁音の区別に困難を覚える人もいます。しかし、会話では文脈やアクセントで「カラスがガラスにぶつかった」のか、「ガラスがカラスにぶつかった」のか大体区別がつくため、さほど問題にはなりません。問題になるのは表記の場合です。



🗨 漢字

日本語と中国語ではいずれも「漢字」が使用されるため、同じ漢字が使用されると考えてしまいますが、実際には全く異なるものとなっています。日本語の漢字は「新字体」と呼ばれるのに対して、中国語の漢字は簡略化された画数の少ない「簡体字」と簡略化されていない画数の多い伝統的な「繁体字」に分かれます。「簡体字」は主に中国大陸で使用されるのに対して、「繁体字」は主に香港・台湾で使われます。

(例)「新字体」「簡体字」「繁体字」の対応

新字体:対・発・楽・体・見
簡体字:对・发・乐・体・见
繁体字:對・發・樂・體・見


 

著者紹介

中国語話者のための日本語教育研究会

2006年にスタート。中国語圏からの留学生は留学生総数の7割以上を占め,今後さらに増加すると思われ、そのための効果的な日本語教育が求められています。しかし,それに対応する研究の成果は,まだ多くないのが現状です。本研究会は習得研究の流れに身を置きながらも,常に現場の声に耳を傾け,日中対照研究の成果を生かして学習者の母語によるプラスの転移とマイナスの転移を体系的にとらえ,中国語話者に対する理想的な日本語教育について考えます。

サイトは「中国語話者のための日本語教育研究会

杉村泰(代表幹事。すぎむら・やすし)

1章

杉村泰(すぎむら・やすし) 名古屋大学大学院人文学研究科教授。名古屋大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。博士(学術)。専門:日本語学、日本語教育。
https://www.hum.nagoya-u.ac.jp/about/about-sub2/japanese/sugimura/index.html

崔小萍(サイ・ショウヘイ) 名古屋大学大学院博士後期課程。中国の大学で8年半日本語教師をしていた。副教授の資格を取得。専門:日本語教育、日中通訳・翻訳。

建石始(たていし・はじめ) 神戸女学院大学文学部教授。神戸市外国語大学大学院外国語学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(文学)。専門:日本語学、日本語教育。
 
劉志偉(リュウ・シイ) 埼玉大学教養学部准教授。京都大学大学院人間・環境学研究科修了。博士(人間・環境学)。専門:日本語文法研究史、日本語教育、日中対照研究。 

陳建明(チン・ケンメイ) 西安外国語大学日本文化経済学院副教授。大阪府立大学大学院人間社会学研究科博士後期課程修了。博士(言語文化学)。専門:日中対照研究。  

中俣尚己(なかまた・なおき) 京都教育大学教育学部准教授。大阪府立大学大学院人間社会学研究科博士後期課程修了。博士(言語文化学)。専門:日本語文法、計量日本語学。
http://nakamata.info

陳秀茵(チン・シュウイン) 東洋大学国際教育センター専任講師。神戸大学大学院人文学研究科博士後期課程修了。博士(学術)。専門:日本語学、日本語教育。
https://researchmap.jp/g0000220075

 


 

このシリーズには編集部責任編集のオマケのWeb版のWikiがあります。このWikiで扱っている項目に関することを軸に今後、シリーズとして出版していく予定です。


(画像をクリックするとWikiに飛びます)

 


 

 

参考文献・資料など

1章

1 李運博・修 剛(2018)「新時代に向かう中国日本語教育の現状と課題」『早稲田日本語教育学』第24号,出版,pp.49-57
2 李東哲(2020)「改革開放以降の中国高等教育1)における日本語教育の歩みと問題点-延辺大学日本語学科を例として」『東アジア日本学研究』第3号,東アジア日本学研究学会,pp.33-45
3 早道(大連)教育科技有限会社2020年説明会資料
4 国際交流基金HP  https://www.jpf.go.jp/j/project/japanese/survey/area/country/index.html(2020年9月21日閲覧)
5 中華人民共和国教育部HP http://www.moe.gov.cn/jyb_sjzl/ (2020年9月25日閲覧)
6 独立行政法人日本学生支援機構 HP https://www.jasso.go.jp/about/statistics/index.html

2章

1 松崎寛・河野俊之(2008)『日本語の音声Ⅰ』(改訂版)アルク
2 澤田治美・仁田義雄・山梨正明(編)(2019)『場面と主体性・主観性』ひつじ書房

3章

1 千野栄一(1986)『外国語上達法』岩波書店
2 河野俊之(2014)『(日本語教師のためのTIPS77 第3巻)音声教育の実践』くろしお出版
3 日本語教育学会編(2005)『新版 日本語教育事典』大修館書店
4 劉志偉(2017)「新しい日本語教育のアクセント学習において必要なもの―中国人日本語学習者の〈学習メモ〉の分析から―」『言語の研究』3、pp.31-43
5 劉志偉(2016)「原語表記からカタカナ語への再現―中国語話者の場合―」『人文学報』512-7、pp.21-34
6 文化庁(1978)『中国語と対応する漢語』大蔵省印刷局
7 馬雲(2014)「日本語と中国語とで字順の逆転する二字漢語―日本語の漢語が中国語で逆転するものを中心に―」『日本語研究』34、pp.71-84
8 奥野由紀子(2015)『第二言語習得過程における言語転移の研究―日本語学習者による「の」の過剰使用を対象に―』風間書房
9 楊凱栄(1989)『日本語と中国語の使役表現に関する対照研究』くろしお出版
10 張威(1998)『結果可能表現の研究―日本語・中国語対照研究の立場から―』くろしお出版
11 安達太郎(2002)「意志・勧誘のモダリティ」『新日本語文法選書4 モダリティ』くろしお出版、pp.18-41
12 陳昭心(2011)「「忘れた」と「忘れていた」の使い分けに関する指導上の留意点―思い出した際の反応としての発話を中心に―」『日本語/日本語教育研究』2、pp.237-252
13 金水敏(2015)「第6章 日本語文法の諸相―時間表現―」月本雅幸編著『日本語概説』放送大学教育振興会、pp.81-95
14 庵功雄(2001)『新しい日本語入門―ことばのしくみを考える―』スリーエーネットワーク
15 森田良行(2002)『日本語文法の発想 』ひつじ書房
16 鈴木美奈・松田真希子(2016)「コーパスから見た日本語母語話者と日本語学習者における「~ておく(とく)」の使用状況」『金沢大学留学生センター紀要』19、pp.23-36
17 劉志偉(近刊)「第11章 対照研究(日中)」庵功雄編『学習者の気持ちがわかる日本語教育入門』ひつじ書房
18 宮地裕・田中望(1988)『日本語教授法』大蔵省印刷局
19 益岡隆志・田窪行則(1992)『基礎日本語文法―改訂版―』くろしお出版
20 張麟声(2001)『日本語教育のための誤用分析―中国語話者の母語干渉20例―』スリーエーネットワーク
21 張麟声(2014)『新版 中国語話者のための日本語教育研究入門』日中言語文化出版社
22 高木裕子(1996)『日本語の文字・表記入門―解説と演習―』バベルプレス
23 王永全・小玉新次郎・許昌福(2007)『日中同形異義語辞典』東方書店
24 郭明輝・谷内美江子・磯部祐子(2011)『日中同形異義語1500』国際語学社

4章

1 马文超(2007)「西安市外籍教师的文化适应探究」『陕西师范大学学报(哲学社会科学版)』(特集),pp.231-233
2 秦小聡(2019)『日本語専攻大学生が望む中日日本語教師の良い教師像に関する研究』北京外国語大学修士学位論文
3 沙曼(2016)「高校日语专业外籍教师在各课程教学中的问题」『南昌教育学院学报』(2),pp.43-45
4 吴芳・李萍(2009)「日语外教在高校工作中存在问题 及其解决对策」『玉林师范学院学报(哲学社会科学)』(1),pp.143-146
5 吴玲(2011)「外教在日语教学中的优缺点及对策分析」『浙江工商大学教学改革论文集』,261-266
6 修刚(2011)「转型期的中国高校日语专业教育的几点思考」『日语学习与研究』(4),1-6
7 徐慧平・颜新丽(2015)「高校日籍教师社会文化适应的难点及解决对策 —以湖南省长株潭地区高校为中心」『当代教育理论与实践』(11),pp.99-101
8 张小柯・江静(2011)「浅谈外教在我国的日语教学」『科教文汇』(5月上旬刊),p.137, p.153
9 朱一平(2020) 「中国人学習者のビリーフ研究―専攻と非専攻の日本語指導に向けて―」『国文論叢』55, 126-107, 神戸大学文学部国文学会
10 国際交流基金HP(2020)「中国(2019年度)」ttps://www.jpf.go.jp/j/project/japanese/survey/area/country/2019/china.html

5章

1 王天矢(2013)「中国人学習者による日本語慣用表現の理解に関する考察―身体部位と形容詞からなる慣用表現を対象に」拓殖大学大学院言語教育研究科 博士学位論文
2 加藤恵梨(2011)「『うっとうしい、わずらわしい、めんどうくさい』の意味分析」『言葉と文化』第12号, 名古屋大学大学院国際言語文化研究科日本言語文化専攻,pp.19-29
3 話題の達人倶楽部(編集)(2012)『できる大人のモノの言い方大全』青春出版社