ここでは、繰り返しネットなどで語られる「外国人」関連のことを、可能な限り中立的なスタンスで、検証した記事や国などのソースを紹介していきます。ただし、ここは、ほぼ資料の羅列ですので何かの根拠として使うのではなく、個々の確認とさらなる調査のポータルとして使って下さい。
- 情報や新しい項目は時々追加されます。
- タイトルの左に□があるのは、まだタイトルぐらいしか無いよ、という意味です。
👉 ただし、あまりに極端ものは取り上げません。ご了承ください。
「外国人」に関するアレコレの検証
目次
基本的なソース
数に関することは国の統計にハッキリと書いてあり、年や数ヶ月単位で更新されてますので、そこに行けば正確な数字がわかります。
外国人の数(在留資格、国籍、県別など)の統計は入管(法務省)のサイトにあります。統計の他に白書にもいろんな数字があります。
統計 | 出入国在留管理庁 https://www.moj.go.jp/isa/policies/statistics/index.html
入管の白書は英語版もあります。 https://www.moj.go.jp/isa/policies/policies/seisaku_index2.html
最新の統計はニュースリリースで出ます。2023年のものは以下。
令和5年6月末現在における在留外国人数について | 出入国在留管理庁 https://www.moj.go.jp/isa/publications/press/13_00036.html
在留資格の申請は以下
出入国管理統計 入国審査・在留資格審査・退去強制手続等 https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003449073
国の人口対策としての移民政策の歴史
その他、ざっくりと歴史をまとめてみます。詳しくは日本語教育の言語政策 2 来日外国人政策を参照してください。
70年代から始まった人口減少対策
- 外国人が増えたのは1970年以降。人手不足の時代が来るという国の試算が出て、対策が始まる。
- 80年代に中東系の人をブルーカラー人材として呼ぶという政策がスタート。ピーク時は20万人前後。→ 不法滞在が増え失敗。→ ほぼ帰国。
- 90年前後に国は、今度は血縁主義だと南米系の日系人をターゲットに人呼ぶという政策がスタート。ピーク時は30万人→ リーマンショック(2008)で仕事が無くなり、帰国してね、となった。 → その後、定住者、永住など15万人強が日本に留まった。
- 90年に、これまでの中東、南米の移民政策の代わりとして、技能実習制度がスタートする。
2000年代からは人手不足解消対策色が濃くなっていく
- 85年に、留学生10万人計画が始まり90年には中国からの不法滞在目的が増えて90年に引き締めとなり2000年まで続く。
- 2000年からは留学生が増大するが、2005年前後に韓国の経済発展で韓国からの留学生が激減(中国は高い水準維持)。東南アジアにシフトする。
- 2005年前後に外務省の東南アジア→西アジア→中東という外交政策が始まり、東アジアは留学も就労もターゲットではなくなった(でも中国は高い水準維持)
- 2010年代には、人手不足対策として本格的に外国人を呼べ、在留資格は就労でも留学でもいいから。となった。
その後は就労や留学など在留資格に関係なく、とにかく東南アジアから人を呼ぶみたいなことになってきています。中国の数が安定して多いのは人口が多く、地域格差も大きいから。
【例外的な難民受け入れ】
1970年代に日本は例外的にインドシナ難民を受け入れたことがあります。ベトナム戦争の結果起こったことで各国で協調して受け入れるということになったので。数は約1万人。その後、定住。
インドシナ難民の定住許可に関する閣議了解の推移 https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/nanmin/yusikishakaigi/dai4/siryou2.pdf
いろいろなソース
- 留学生の統計は文科省 → 文科省系のJASSOに統計あり。
- 日本語学校は文化庁 → ここの調査・研究にいろんな統計、調査が。
- 特定技能は法務省による調査が多い → 入管の特定技能関連のページ
と監督官庁の関連組織に調査、統計があります。調査統計は白書により詳しいものが掲載されていることも多いです。
外国人犯罪関連では警察庁に調査統計があります。警察白書には外国人犯罪の調査統計があります。
その他、日本語や生活関連の調査
日本語教育実態調査等 | 文化庁 https://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/nihongokyoiku_jittai/
外国人留学生在籍状況調査 - JASSO https://www.jasso.go.jp/about/statistics/intl_student_e/index.html
日本語に対する在住外国人の意識に関する実態調査 | 文化庁(2001) http://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/nihongokyoiku_jittai/zaiju_gaikokujin.html
その他、調査はこのページの一番下の「資料」にあります。
国内の外国人に対するアレコレ
SNS上でよく語られる外国人周辺に関するファクトとソース
そもそも移民は本当に増えるのか?
移民制度を「仕方ない」というニュアンスでも賛成という人達も含め、賛成派という人達は、移民は増えるからそのための準備が必要だと言い、反対の人達は移民が増えるから大変だ、反対だと主張しています。つまり、どちらも移民が増えるということが前提となっていて、それぞれが「すでに移民国家となっている」という主張でも一致しています。
で、その双方で大前提になっている「すでに移民国家」「移民が増える」のは本当なのかを考えてみました。
現状はどうか? 留学では
2020年前後から国は留学生は日本で、日本の企業に就職すべきということで、就職活動期間の在留資格を緩和したり、就職斡旋をサポートしたりと、様々な政策を行っています。
留学生は7割が卒業後帰国。日本に就職した人達も4割が離職
卒業して日本で企業に就職するのは、専門学校、大学など、ほぼ3割。
追跡調査は少ないですが、以下の調査によると「留学生の転職・離職率は38・7%で、日本全体の平均30%と比較するとやや高め」です。4割がやめる。帰国する可能性が高いと思います。つまり、日本に留学した人の18%しか日本に残らない。
どのくらいが「普通」なのか?
現状は少ないとされていますが、多い少ないは、わかりません。
日本から海外に留学する例では
現在、文科省は、80億の予算で、海外への留学を支援しています。ここでは基本「留学して日本に帰国して日本で活躍しろ」ということになっています。多くの関係者にとって留学は、幕末の日本の基礎を作った「海外で得た知見を日本の発展に役立てる」というものだと思われます。
文部科学省トビタテ!留学JAPAN - その経験が、未来の自信。 https://tobitate-mext.jasso.go.jp/
【参考資料】
留学生の就職事情〜学生の実状、大学の支援、今後の課題|全国大学生協連の研究会報告|全国大学生活協同組合連合会(全国大学生協連)
外国人留学生の就職促進について(外国人留学生の就職に関する取組等) https://www.jasso.go.jp/gakusei/career/event/guidance/__icsFiles/afieldfile/2022/06/14/1mnka_gakuryu.pdf
参考データ集(内閣官房) https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kyouikumirai/sozo_mirai_wg/dai6/siryou3.pdf
現状はどうか? 就労系の在留資格では
就労関係は、来日した人が永住申請まで行くのは0.5%くらい?(10万人で500人くらい?)
これは就労系以外のルートでの永住の自然増(年間数万人増)にほぼ影響を与えない程度の数です。
ちなみに、10~20万人近くが定住となった1990年代と比較すると、仮に年間50万人が就労系で来日するとして試算すると…
- 定住が本格的に始まるのは10年後の2034年から
- 年間2500人なので、10万人になるまで40年かかるので、2074年
- (前述のように1990年代の南米系移民政策では10万人超が定住なので規模としては、圧倒的に小さい)
ということになります。
政府の予測で2070年のものは少ないですが、今の人手不足は2050年あたりで解消で、例えば人口と高齢化でいうと以下があります。2060年の人口は8600万人。人口の半分が60才以上。
高齢化の現状と将来像|平成27年版高齢社会白書(全体版) – 内閣府 https://bit.ly/2Eh9JQk
これまでの技能実習生の定着の例を元に試算してみる
特定技能は、コロナで技能実習からの移行などが増え、在留資格者の数は出るものの、それ以上の数字はあまり参考になりません。過去の技能実習制度の数字を元に、試算するしかないと思います。
技能実習制度は、全部で5年。最初の1年が1号、次の2~3年が2号、最後の4~5年が3号です。
統計 | 外国人技能実習機構 https://www.otit.go.jp/research_toukei/
技能実習制度及び特定技能制度の現状について(法務省) https://www.moj.go.jp/isa/content/001385692.pdf
試算した例
このうち、来日する就労系の外国人がどの程度滞在するのかは、いろんな試算があります。複数年なので、来た人がどうだったかの数字を探すのが結構難しく、来日しなかったり、失踪したりもあります。以下にいくつか探したものを。
まず、これまでの比率では、来日した技能実習生のうち、1号(1年目)終了時までに28%が帰国。72%が2号(2,3年目)に進み、2号の20%が3号(4,5年目)に進む。従って来日した人の15.6%しか3号に進まないということになっています。つまり、ほとんどは2号の3年目で帰国する。
注意すべきは、2019年以降は、一部、特定技能に移行するケースもありますが、基本的に、そのまま2号から3号に進むためのハードルは高くなく、技能検定試験の3級(実技試験のみ)合格か、これに相当する技能実習評価試験の実技試験の合格で、日本語関連の試験などの要件はなし。つまり仕事の熟練度があれば合格するものにも関わず、進む人が少ないということです。
→ 参考
「5年以降」の試算
2024年以降の育成就労制度では、育成就労が3年、次に特定技能1号の5年、さらに特定技能2号が更新可で続く、家族帯同可、永住も申請できるとなっています。3年、プラス5年までで考えると。。。
10万人中で計算
計算しやすくするために、10万人でざっくり試算してみます。技能実習では5年後までいるのは2.5%ですから、10万人で2500人です。新制度ではまた特定技能1号で3年残ってます。特定技能2号のハードルがB1テストに加えいろんな審査などがあるので、おそらくは進むのは、来日からだと、0.5%、多くて500人くらい? この後は更新すれば滞在できますが、仮に25才独身で来日したら、この時点で33才。結婚、親の面倒どうするか、みたいなことで考えどころです。おそらく帰国を選ぶ人は半分以上とすると、永住を選ぶのは、多くて200人くらい?でしょうか。
10万人で200人だとすると、50万人で1000人。これは、これまで数十年の自然増の数字の数万人のほんの一部くらいで、まったく影響を与えてないと言えます。
24年3月に以下のような報道がありました。5年で最大82万人とのこと。これで計算すると、5年後だとまだ永住取得まで行くのは先なので10年後に5000人くらいが永住に移行する可能性があるくらい、でしょうか。
https://mainichi.jp/articles/20240304/k00/00m/010/265000c?s=09
特定技能2号は、2023年末の時点で12人しかいません。
とりあえずの結論のようなもの
留学も就労も、移民の増加には、全然貢献しない。むしろ日本に住みたいと言う人は少なすぎて、アメリカとかイギリスみたいに住み続けたい、永住権欲しいとは全然思われてない。ある意味、残念感すらある、というのが実態だと思います。
どうやら、永住認定となっても税金とか社会保険料の滞納で国外退去という法案が出るようですし(仮に否決されても、法案が提出されたという事実は重い。また提出される可能性が高いわけなので)。となると、ますます、いろんな指標をみても、残念ながら斜陽と言われても仕方がない国に永住するために、10年かけて最低賃金で働き、さらに永住したいという人が増える可能性は、少ないだろうと考えるのが自然な気がします。
それでも、特定技能2号で、家族招聘、永住へのルートができれば、増えるのでは?と考える人がいますが、取得まで10年かかりますし、その審査の前の権利を得るためだけに、何度か仕事の技能試験を受けて合格し、日本語のB1の試験をクリアしなければならないわけなので、ハードルは超高い。例えば、日本の高卒の人が同じような基準を他国でクリアするのはかなり難しいでしょうし、そういう人は明らかに超有能で他国に永住せず、日本に留まって欲しいのでは、という気がします。つまり、この高いハードルをクリアして日本に永住したいという人は、やはりそれほど多くはないわけです。日本人の就業率は7割ぐらいですが、この人達は100%なわけですから、貢献度は平均的な日本人より高いんですが。
移民が増えると主張するためには、この特定技能の超高いハードルをクリアして10年間働いて、なお永住したいという人が、爆発的に増えると信じるしかないわけですが、実際は、一時的な労働力補填はできたとしても人口補填は無理なのでは。そして、移民が増えると恐れている人達も、日本は選ばれないので安心していいのではという気がします。悲しい結論ですが。
【参考 移民の定義と各国の比率、現状】
移民の定義
国際的な移民の定義はありません。しかし、国連の関連文書に「1年以上滞在したら移民」という文言があり、時々引用されます。留学ビザの人のほとんどが含まれます。これはどちらかというと移民に対してきちんと生活の保障をしなければならないという文脈で語られたものなので「移民問題」を議論する時の前提、定義として使うには微妙です。
難民と移民の定義 | 国連広報センター
https://www.unic.or.jp/news_press/features_backgrounders/22174/
移民の議論の際に前提となる定義は、国によってもいろいろですが、基本的には永住権を持つかどうか、それを目指すかどうかということが軸になるようです。日本だと最初から永住権を目指せる在留資格は、高度専門職と特定技能がまずあります。もちろんいろんなビザから帰化したり永住権取得に向けて動くことになるケースもたくさんあります。
日本では移民に関して、高度専門職ではほとんど議論は起きないまま法案は通りましたが、特定技能では反対意見が目立ちました。焦点はブルーカラー労働者の永住権ということになってきています。
移民の比率
海外で、移民問題として語られる際に出てくる数字は人口における比率です。上に書いたように移民は定義が定まっていないので、移民を1年滞在という定義でやるなら、日本の在留資格で言うと、日本国籍でなくて日本に住んでいる人の数(だいたい300万人前後)で計算することになりますが、留学や技能実習や特定技能などは年限がある在留資格で、ほとんど自国に帰るので、これをカウントしない、つまり、実質的な数この300万人のうち、永住に近い人達だけで計算するかでかなり違ってきます。
日本の場合、いわゆる在日韓国朝鮮人など特別永住者数は、27万7,664人。これを合わせた在留外国人数は、358万8,956人で、人口1億2000万人で計算すると2.9%。特別永住者を入れないと2.7%です。 一方で、このうち永住を志向して実際に永住や定住となった人で計算すると、特定技能がスタート前の2017年の数字で、申請して永住の権利を得ている一般永住者は約75万人なので、0.6%となります。
https://finance-gfp.com/?p=5635
Compare your country by OECD 日本の基礎データ https://www1.compareyourcountry.org/indicators-of-immigrant-integration/en/0/all/default/all/JPN
Compare your country by OECD 各国比較表 https://www.compareyourcountry.org/migration
外国人人口や外国人比率は、前回ベースの約2倍に増加する見込み-新しい将来推計人口を読む(4) 外国人人口や外国人比率への影響 https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=74837?site=nli
連載 統計から読み解く移民社会① 日本は移民社会なのか?その特徴とは? 日立財団グローバル ソサエティ レビュー:日立財団 https://www.hitachi-zaidan.org/global-society-review/vol1/commentary/index.html
移民の比率は今後上昇するのか?
いずれにしても、ここ数年、年2~3万人くらい増えていますが、この増加率は特定技能前の自然増の比率とほぼ同じで、今後、5万人増えても比率はほぼかわらないと思われます。欧州は10%くらい、米国は約15%、カナダは20%超。
【参考資料】
お金に関する優遇の話
特に、2000年以降、外国人の話では、とにかく金の話が多いです。観光客はお金を落とすが、留学生や就労系の外国人は生活するので、あれこれとコストがかかる、みたいな話です。海外の報道でも「こんなに豊かなのに、外国人に対するクレームはほとんどお金に関することばかりだ」と報道されていたりします。
このへんは、日本が過剰にお金を出しているのか、海外の国々との比較も必要なので、なるべくそのへんも補足しつつ整理していきます。
外国人の滞在中のお金についての試算
留学生は、最も多いパターンである日本語学校→専門学校の4年(48ヶ月)。就労系も5年(60ヶ月)くらいの滞在で帰国するという前提で考えてみます。
留学生
留学生は来日前に1年分の学費と半年分の寮費をローンで支払うことがほとんどですが、いちおう4年で計算してみます。
- 日本語学校→専門学校の4年間で約400万
- 家賃は平均月4万くらいとして、4年で192万
- 月5万くらいは生活費にあてるでしょう。4年で240万
- 週28時間のアルバイトで時給1000円なら4年は208週なので200万8000円稼いでいます。
→ 留学生のアルバイトは、居酒屋やコンビニが目立ちますが、制度上、風俗以外すべてOKなので、実はかなりの部分は、人手不足の零細中小企業の工場や清掃などのアルバイトをしており、同時に労働力として日本の経済に貢献している側面も大きいと言わざるを得ないでしょう。
就労系の人達
技能実習制度や特定技能でも、斡旋や来日前の研修などで、30~50万ほどの借金を背負うことが多いようです。
- 家賃は平均月4万くらいとして、5年で240万
- 月5万くらいは生活費にあてるでしょう。4年で300万
- 週40時間として、60週なので2400時間。時給300円などと報じられますが、一応最低時給をクリアした額で留学生と同じ1000円で計算すると240万稼ぐ計算です。
□ 母国に送金しているからケシカランという話
ここは今のところ特に資料はみつかってませんが、そういう実態はあると思います。ただ…
よく問題になりますが、留学生で週28時間、就労系は週40時間以上(実際は残業も多いようです)、どちらかというと日本人がやりたがらない仕事をして日本の経済に貢献し、入学金(来日時の留学費用もしくは進学先の入学金。日本の大学や専門学校はこれでなんとか潰れずに済んでいます)のために稼ぐのが軸です。本人はカツカツの生活で、余ったお金を、親や家族のために母国に送金するというのが実態といえます。
為替の格差で母国で家を建てたとしても、日本の人手不足は解消し、日本の産業が生き延びることに貢献し、税金を払い、「日本で稼いだ金で立てた家」でその人達の家族が幸せになるだけで、特に困る人はいません。これが批判されるのは為替格差を利用してずるい、みたいなことなんでしょうか。しかし、日本はもう60年代から、為替格差で利益が出せる国を探し続けて海外工場を移転しつづけている国でもありますし、他の先進国も同じです。そのおかげで、服や生活用品、食品などの価格が安く抑えられているという側面もあります。
就労系の人達は、新人並みの時給ですし、稼いだお金で何をするのも自由です。それでも母国に送金する人は多いわけですが。
□ 国の一時的な給付金を受けているという話
コロナの一時金や物価高騰の非課税世帯への給付金などでは、技能実習、特定技能、留学などの長期滞在の在留資格の人は対象になりますが、その後、増えた生活費高騰による非課税地域への一時金は、技能実習(ただし1年目は非居住者扱いなのでそもそも支給対象ではない)、特定技能は非課税地帯ではないので対象外です。
年金払ってないという話
これは留学生も就労系の人達は払ってます。ほぼすべての人達は帰国するので受け取ることはありません。払ってるのに受け取ってないのは大丈夫なのか?と心配するならわかります。念のため補足すると、年金は帰国時に返金されます。障害保険的に使われるケースもある。いずれにしても、フェアに運用されています。
外国人労働者の日本での年金制度 いつから加入? 脱退一時金とは?(マネーの達人) - Yahoo!ニュース
国民健康保険料を払ってないという話
払っています。留学生は義務となってます。(義務ではなく任意という国もけっこうあります)、就労系の人達は厳密にいうと義務ではないこともありますが、ほぼ加入します。月に最低でも16000円以上払ってます。
払ってないという話とは別に、日本の保険制度がかなり割安で、良いもので、外国人がそれにのっかってるからケシカランというニュアンスがありそうです。これは全額負担すべきという主張なんでしょうか?
ちなみに全額負担だと
- 風邪、胃の調子が悪い、みたいなことで病院に行き、薬をもらうと、3割負担で1200~2000円くらい。全額負担だと、4000~6000円くらいです。
- 花粉症とか扁桃腺が腫れた、だと2000円くらいなので6000円超。
- 初期の虫歯で3000円くらい。ちょっと悪くて銀歯被せましょうね~となると15000円くらい。全額だとだいたい1万円、5万円くらい。
- 盲腸だと自己負担は3割で15万弱くらい。たいていの自治体で月8万くらい以上だと助成がありますから8万としてもいいかもですが、外国人だから適用無しなら全額で30万弱。
かなり厳しいです。風邪ひいて虫歯になると医療費だけで月1万~5万超えになる可能性があります。運悪く盲腸になったら30万弱ですからほぼ給料2ヶ月分です。
他の国では?
他の国ではどうかというと、アメリカが民間の保険に入ってないと詰む、という話はよくありますが、ドイツ、イギリスは原則無料。世界の先進的な医療を牽引してきた国のプライドでしょうか。明治前後に日本の医学者のほとんどはドイツかイギリスに留学してました。フランスは3割。国の経済力だと日本の3割は妥当なのかもしれません。
日本と諸外国の医療水準と医療費|世界に誇れる日本の医療保険制度|日本医師会 https://www.med.or.jp/people/info/kaifo/compare/
上によるとアメリカの場合、民間の保険に入っていれば、ほぼ無料に近いです。企業で働いていれば企業がほぼ払う。個人だと月600ドル、家族だと2000ドル弱と高いのは確かです。
留学生や就労系の人達は
→ 25年1月の時点で1ユーロは160円。1ドルは157円。どっちもだいたい160円で計算すればいいことになってます。
ドイツ
ドイツでは留学生は国の保険加入がマストです。月100ユーロ。旅行者は全額私費払い。
ドイツの健康保険制度 留学生編 - GoGermany https://gogermany.jp/health-insurance-in-germany/
イギリス
6ヶ月滞在以上なら保険料負担無しで全額無料。
台湾
最初の6ヶ月で3000元とのこと。6ヶ月を超えると国の全民健康保険に加入で月100元弱=3000円くらいとのこと。外国人も支払い義務あり。
外国人就業規制・在留許可、現地人の雇用 | 台湾 - アジア - 国・地域別に見る - ジェトロ https://www.jetro.go.jp/world/asia/tw/invest_05.html
Q5-3.全民健康保険制度(従業員の範囲と会社負担)について。 https://www.koryu.or.jp/Portals/0/resources/tokyo/ez3_contents_nsf/15aef977a6d6761f49256de4002084ae/7760d7e6d8fffdad49257cb3003162ef/$FILE/%E6%B3%95-5-3.pdf
いろんなブログによると、歯医者も病院もだいたい1回につき薬も含め、数百円とのこと。
最初に金額を聞いて驚いた!【台湾の医療費事情】 | Domani https://domani.shogakukan.co.jp/621739
台湾留学,大学進学,語学留学,台湾短期留学|PAPAGO遊学村 - ビザ・居留証・健康保険 https://papago-taiwan.com/information/lifeintw/certification/
韓国
韓国の健康保険制度は日本と似ているようです。留学生は保険料は半額になるとのこと。日本より親切。
だいたい世帯の平均で10万ウォンくらいで日本円で1万ちょっとなので、同じか安いくらい。自己負担率は2割なので日本より医療費は安いと言えます。
海外の医療保険事情~韓国編~|保険市場の海外旅行保険コラム https://www.hokende.com/damage-insurance/overseas_travel/columns/about/8
中国
留学生は中国の健康保険加入(中国平安保険公司の総合医療保険)ということになりつつある模様。義務ではない模様。金額は一年800元、一学期400元とのことなので、1元=21円(2024)として、年16800円。安いです。風や軽い怪我などは、これでまかなえるとのこと。ただしちょっと重いものだと一部自費になることがある。病院の等級みたいなものがあるとのこと。留学する人はこのへんのカバーのために民間の保険に加入してから留学する人がほとんど。
就労系の在留資格は、高級人材(Aランク)については、外国専業人材(Bランク)その他の外国人(Cランク)があり、保険加入は義務。そこそのの額だが企業で働く人はほぼ企業負担となる模様。
中国における外国人の社会保険加入問題について https://www.near21.jp/kan/dalian_office/journal/88.pdf
日本に来る旅行者は?
イギリスなどは無料ということは前述のとおりですが、基本、全額支払いですが、上のように日本の医療費は全額だと結構高いということは知られているので、旅行保険に加入してくる人がかなりの数います。厚労省から以下にガイドラインが出てます。
訪日外国人旅行者の診療における診療価格 https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000477607.pdf
結論 国力次第?
日本の経済力がフランスや韓国と較べて上か下かはともかく、今の日本の水準、外国人への負担を求める額、自己負担率は、これらの国と較べても、かなり高めと言えます。外国人は全額払えとなると、世界ではかなり珍しい例で、先進国では見当たりません。長期の在留資格を持つ人が全額負担となると、人権問題なので今のまま国連にいられるかどうかも怪しいです。脱退も視野?
全額負担となると、前述のように日本は基本の医療費は高いので、民間の保険料を払える人しか日本に来れない。保険料はバカ高くなりそうです。日本に留学するとか就労系の在留資格で来る人は、激減することは間違いなく、旅行者の旅行者保険が高くなるのでこちらも激減しそうです。
法的に優遇されているという話
お金の話に近いですが、法的に優遇されている、という話しも多いです。
在日韓国朝鮮人の人達は税制で優遇されている。
24年2月に国会で質問されました。
「日本維新の会の高橋英明氏が、税制面の優遇措置といった特権はあるのかと質問。国税庁は「対象者の国籍であるとか、特定の団体に所属していることをもって特別な扱いをすることはない」(田原芳幸課税部長)と否定した。」
国税庁が「在日特権」否定 税優遇あるか問われ答弁 | 共同通信 https://nordot.app/1135494349859848908?c=39550187727945729
そのうち、以下に掲載されるのではと思います。
第213回国会 質問の一覧 https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/menu_m.htm
外国人の生活保護適用が過剰に多い
- 日本では外国人の生活保護は全体の3.3%
- 総人口に占める利用率は1.6%なのに対し、外国人の利用率は2.3%
- 韓国・朝鮮の人で利用している外国人の67.1%が高齢者世帯で、フィリピン人の利用者の53%が母子世帯。前者はかつての就職差別などがあり、後者はフィリピン人嫁時代の負の遺産という分析。それにしても0.7%が多いだけ。
- フランスでは、日本でいう生活保護を利用する人の中で外国人の割合は12.4%。ドイツでは37.8%。スウェーデンは59.4%
検証記事は以下に
外国人と生活保護について | ハフポスト日本版 https://nordot.app/942891568254320640
「最高裁が『外国人への生活保護は違法』と判断」は誤情報 過去も繰り返し拡散 | InFact / インファクト https://infact.press/2020/07/post-6735/
外国人に限らずアンフェアな状況に長く置かれると、どうしても生活状況は厳しくなってしまうということもあります。中国在留孤児(が元々日本人だとういこともあまり理解されてないケースもあるようですが)も、日本語の習得などハードルが多く、結果として厳しい状況に追い込まれている。
8割以上が生活保護受給という苦難 中国残留孤児2世 日本語習得のつまづき、暮らしに影 | 総合 | 神戸新聞NEXT
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202211/0015816868.shtml
日本は外国人に対しても国民と同等の社会保障を行うという国際人権規約を批准している。
経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(A規約) https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kiyaku/2b_004.html
【関連】外国人の就業率は超高い
当然ですが、ほとんどの在留資格は仕事をしていることが前提になっているので、ほぼ100%。日本人の平均の就業率(仕事をしている比率)とは比べものにならないくらい高いです。
留学、技能実習、特定技能は、若い人中心で、医者にかかる比率も少ないのに国民健康保険料を払い、年金を受け取ることはほぼないのに年金も払う。ほぼ全員(外資系ではなく)日本の企業で仕事をしている。と、日本に対する貢献度はかなり高いと言えます。国内の高学歴の若者は外資志向ですし。なんとなくブラブラしている若者とかも、いないわけです。
就業率とは?【計算方法は?】定義、労働力率との違い - カオナビ人事用語集 https://www.kaonavi.jp/dictionary/employment-rate/
□ 中国人看護士優遇について
元記事
日本で「中国人看護師」が急増 中国の大学と日本のNPO法人・医療機関が日本への留学を手厚くサポート | RAPT理論+α http://rapt-plusalpha.com/56425/
これは、元々の記事の意図があまりわからないわけですが…
病院委託奨学生制度を使えば日本人看護学生だって補助してもらえるんだが、中国人というだけで差別感情持ってしまうのか?日本で取った看護師資格は日本でしか通用しないぞ。 https://t.co/gooAWQFOta
— 和泉徹彦 Tetsuhiko IZUMI (@izumit) April 23, 2023
□外国人は運転免許取得が簡単だから事故が増えている?
日本に来て簡単に運転免許を取得できるのケシカランという記事を、じわじわ見かけるようになってます。これは1年期限の国際免許のことではなく、自国の免許を日本の運転免許に本格的に切り替えるルートのことが問題視されているようです。
免許を取りたい 警視庁 (日本での切り替えについて説明があります)
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/menkyo/menkyo/index.html
外国で取得した運転免許証を日本の運転免許証に切替えるには https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/menkyo/menkyo/kokugai/kokugai05.html
中国人による外免切替「外国免許からの切り替え」で行うケースが増えているとのこと。これは1年期限の国際免許ではなく、日本の運転免許を取得することになる。
中国の運転免許証をお持ちの方必見! 日本で中国の運転免許証の切り替え(外免切替)をする方法 | ZIPLUSの外免切替 https://ziplus.jp/switching_license/tips/how-to-switch-a-chinese-drivers-license/
警視庁の説明にあるように、中国だけOKなのではなく、他国の運転免許からの切り替えもできます。ただし、対象国が決まっている。免許取得が簡単な国(アメリカやメキシコ)などは対象になっていないので、中国は取得のプロセスは妥当だと日本政府が認めているということになります。
「難易度高すぎ…」中国の“運転免許試験”動画に世界各国から驚愕の声「とても受かりそうにない」|Pen Online https://www.pen-online.jp/article/011991.html
日本人が中国で運転免許を取得する場合も同じ条件
住所も住民票は不要で、ホテルでも知人宅でもいいことになっている。中国で日本人が切り替えをする場合も同じようです。一時は観光ビザでも取得できたことがあるらしく、中国のほうがハードルは低そうです。
中国で運転免許を取得しました。日本人が中国で運転免許を取得する方法 | 小龍茶館 https://xiaolongchakan.com/archives/how-to-get-drivers-license-in-china.html
他の国での取得についての説明
国際免許を取ろう! - 海外旅行と国際免許ガイド (日本の免許を持っている人向けの説明)
https://abroad.driver.jp/license/
いわゆる国際運転免許証は、ジュネーブ条約に加盟した国、共通の規格で、加盟してない国とは個別に協定を結ぶことになってます。
ジュネーブ条約締約国等一覧 警視庁 https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/menkyo/menkyo/kokugai/kokugai04.html
国外運転免許証が有効な国等(ジュネーブ条約加盟国) https://www.anzen.mofa.go.jp/manual/pdf/ukraine.pdf
外国人ドライバーによる事故は増えているのか?
2018年(平成30年)の白書によると…
- 過去10年間で免許取得者は25%増えている。(約70万人が90万人に)
- ここ5年の事故件数は横ばい(免許取得者は増えているので減少している)
- ただし、国際免許又は外国免許取得者による交通事故件数は,26年の142件に対し,30年212件と,5年間で約1.5倍となった
- 外国人によるレンタカー利用はここ10年で8倍に。
- レンタカーの事故の件数は26年の68件に対し,30年158件と,5年間で2.3倍に増加した
まとめると、外国人の免許取得者の数がここ10年で25%の20万人増加で、事故件数がここ5年142件が212件に増加したことを「外国人による交通事故が増えている」と言うのは難しい。むしろ比率としてはかなり減っている。国際免許による事故は利用がここ7年で約18万人が140万人になった中で事故件数が68件が158件になったことを増えたというのも同様。「外国人ドライバーの事故は増えている」だけだとウソではないことにはないけれども、仮に、海外などで、日本人に対して、こういう切り取り方で批難されたら理不尽だということになるでしょう。
問題視する記事
【独自】中国人が午前5時の免許試験場に大行列…試験簡単で“外免切替”殺到し住所“ホテル”の中国人も合格 国際免許取得に利用か(FNNプライムオンライン(フジテレビ系)) - Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/21e7dff29e641f09aea47f273d46f57219cb74ad
交通事故激増中なのに…!中国人が「日本の運転免許」を取得する「ありえないほど簡単な方法」(現代ビジネス) - Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/ab5b6897366ce045e9fb0327d19a16039fb51427?page=1
→ 「ありえないほど簡単」となっているが、上で書いたとおり、国際免許取得はほぼ書類のみなので、国際免許取得のほうが簡単で、日本人が中国で運転免許を取得する難易度とほぼ同じ。外国人の交通事故については上で述べたとおり。
難民に関するあれこれ
基本的なこと
ザックリ言うと…
- 日本は難民受け入れには消極的であることは確か。
- ただし難民申請の数は韓国や台湾と比較して多くも少なくもない。認定率もそれほど変わらない。アジアにおける難民認定の難しさがあると言えそう。
- 難民申請は2010年に申請後半年後から就労可となって飛躍的に伸びており、抜け道として利用されるようになったのも事実
- 特に東アジアは、特に近年、ロシア、中国、北朝鮮、台湾と人口が多い政情不安の国に囲まれており、難民を受け入れルール設定は慎重にならざるを得ない事情もある。
- ロシア、北朝鮮は戦争中。台湾と中国も危うい。人口でいうと、北朝鮮は2500万、ロシアのアジア寄りの人口は約5千万。
経緯
難民申請を「抜け道」として利用するケースが増えたことで入管方は3回以上繰り返しての申請はできないなど、厳しくする流れとなり、それに反対する人達がいる、という状況。
「難民認定制度に関する検討結果(最終報告)」 | 出入国在留管理庁 https://www.moj.go.jp/isa/policies/conference/nyukan_nyukan13-16.html
データ・資料
難民認定制度 | 出入国在留管理庁 https://www.moj.go.jp/isa/refugee/procedures/nanmin_00001.html
難民の数に関する資料 各種公表資料 | 出入国在留管理庁 https://www.moj.go.jp/isa/refugee/resources/index.html
難民申請の悪用という「日本事情」
- 難民申請6カ月後から一律で就労を認める運用は2010年に開始され、以降、急激に難民申請が増えた。
- 2016年辺りがピークで1万人越えとなり、2019年まで続き、以降、対策がなされ2020年代になってコロナもあり3000人前後になったが2023年再び1万人超えとなった。
- 1990年前後から認定率は3%程度をウロウロだったが、2010年以降は1%以下となっている。
- 違法に難民が国内に入ってくることはかなり難しい国で、難民申請のほとんどは短期滞在や就労系の在留資格、留学などを経由し失踪からの申請というケースが多い。
- 他国は就労目的の留学はほとんど無く、技能実習や特手技能などの短期就労の在留資格も無いことがほとんど。
- 上の日本事情を抜け道と考えて明らかに滞在期間を延長するために難民申請を利用するという手法が流行った時期がある。
- 抜け道として難民申請を繰り返すという手法が増えていった。
2010年代に難民申請を抜け道として利用するケースが増えたのは事実で、技能実習生の数と失踪数の伸びと連動していることも事実といえそう。
2015 難民認定申請の偽装・悪用が問題になっています。 - NEWS - https://visa-momooffice.com/index.php?QBlog-20150819-1
17年の難民申請、最多の1.9万人 就労の抜け穴に - 日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26846280T10C18A2PP8000/
難民申請の数字
上の画像はアムネスティ作成
日本の難民・移民 : アムネスティ日本 AMNESTY https://www.amnesty.or.jp/human-rights/topic/refugee_in_japan/
統計セクショントップ http://www.jlnr.jp/stat/
令和5年における難民認定者数等について https://www.moj.go.jp/isa/content/001414756.pdf
「難民認定申請を行った外国人(以下「難民認定申請者」という。)は13,823人であり、前年に比べて10,051人(約266%)増加しました。このうち、約12%に当たる1,661人が、過去に難民認定申請を行ったことがある者となっています。」
難民認定少ない問題
よく語られるが確かに少ない。ずっと100人以下。しかし、どういうケースなら難民認定するべきか?という線引きは決まっていない。多い少ないではなく線引きの議論が必要。
難民認定者数・申請者数の推移―「日本の認定少ない問題」 | ソーシャルグッド・ボランティア情報メディア「NpoNews」 https://nponews.jp/international/refugee-recognition/
時々引用されるノン・ルフールマン原則について
ノン・ルフールマン原則は難民「申請」をしたら保護せよ、というルールではなく、難民である可能性が高いなら申請中であっても保護せよ、というルール。母国で重大な犯罪を犯した人などは対象ではない。つまり、ノン・ルフールマン原則(追放及び送還の禁止)は、「原則 Non-refoulement」なので、例外はあるという含みになっている。帰国すれば政治的に迫害される可能性がある、つまり難民であるなら「可能性が高ければ申請中でも保護されるべき」ということになっている。事実、ほとんどの国は申請中は保留で、難民と認めるかどうかでの判断で区別しているのが現状。(でないと申請自体を難しくしないとバランスが取れなくなり、申請自体を難しくはすべきではないから、という事情による)日本は行政手続きが長くかかるという特徴があるので、これを滞在の抜け道として利用しはじめた人達や行政書士達などの罪は重いと言える。
国内における難民の受け入れ|外務省 https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/nanmin/main3.html
他国の例
韓国は北朝鮮などもあり一見難民申請は多そうだが、申請自体の数は日本より少ない。2011年で千人くらい。
韓国における難民法の制定 https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_3531905_po_02530006.pdf?contentNo=1
台湾は5000人強くらいである模様。スリランカ、トルコなどからの申請が多いとのこと。
台湾における難民法制定に向けた取り組み | ヒューライツ大阪(一般財団法人アジア・太平洋人権情報センター) https://www.hurights.or.jp/archives/newsletter/section4/2020/03/post-201867.html
【記事など】
送還拒否の外国人、3割に犯罪歴…難民認定申請悪用も : 読売新聞 https://www.yomiuri.co.jp/national/20211221-OYT1T50331/
難民申請の繰り返しは「乱用」なのか 「帰国した瞬間、逮捕」の恐怖:朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/articles/ASR3754GGR35UTIL00K.html
難民認定制度 乱用者を一般化するな : アムネスティ日本 AMNESTY https://www.amnesty.or.jp/human-rights/topic/refugee_in_japan/topic_refugee_media_asahi2012.html
産経新聞は埼玉県川口市のクルド系の人達について、かなり激しい論調で批判的なキャンぺーンをしている。論調にも論旨にも疑問がありますが、取材は一番しているメディアかもしれません。
「移民」と日本人 クルド人が川口を目指す本当の理由①(上) - 産経ニュース https://www.sankei.com/article/20241124-OCA6UR7WZFOQ3I6FJV4RX3M2V4/
「移民」と日本人 クルド人が川口を目指す本当の理由①(下) - 産経ニュース https://www.sankei.com/article/20241124-2ZMA4FNKGBJOZIXA6CMPV3RRTM/
難民申請中にお金もらってる
以下のサイトに具体的なことがありました。
- まず申請するまでに数週間
- 申請手続きが約4年かかり
- 裁判が数年
- このうち支給されるのは申請者の1割以下で、200人前後が普通。期間は仕事が決まるまでの1,2年。単身で月約48,000円
- 住居の提供は政府が緊急性が高いと認定した人のみで、国が提供するのは20人とかのレベル。
- 他国は、受給や住居提供も数十万人単位なので、日本の難民支援は量も額も圧倒的に少ない。
つまり「申請中」は最低でも5年くらいとなりそうです。このうち「お金をもらっている」期間は1,2年で、仕事が決まったら終わり。しかも申請者の1割にしか支給されていない。受給が決まるまで1~3ヶ月かかる、という現状とのこと。
難民申請者はどう生きてゆくのか?ー公的支援「保護費」の課題と生存権 | 認定NPO法人 難民支援協会 https://www.refugee.or.jp/report/refugee/2023/10/hogohi/#footnote_1_13979
「難民申請中も日本政府から毎年192万円もらってる」 ⇒ 不正確。難民政策めぐりTwitterで拡散 | ハフポスト NEWS https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_64b0b4c5e4b038c60cc39e8a
【参考】
「難民認定申請者への援助事業」https://www.rhq.gr.jp/support-program/p05/
難民申請と受給に関する国会質問 (出典)石橋通宏議員による質問主意書 http://www.jlnr.jp/legislative/index.html
難民受け入れのコスト
難民問題はやたらとコストの話しが多いです。少し冷静になって難民受け入れのコストを調べてみます。
欧州の例。欧州は政治難民が多いので、日本の就労系の在留資格ルートのように、最初に学歴や犯罪歴のチェックでフルイがあり、就労系の人達が仕事の技術をつけた後の永住というのとはかなり違いますから、結構高めになっていると考えるべきですが、参考のため。
難民流入のマクロ経済面インパクトについての第 1 次評価(欧州委員会「2015 年秋季経済予測」より) https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/01/39afcd526e00dc80/20150131.pdf
「財政支出は移民の流入に伴って増加し、移民1人につき平均して、国民 1 人当たり GDP の 30%に達すると予想される。これはドイツの場合、難民1人当たり約 1 万 2,000 ユーロの推定費用に基づいている。さらに、これ は、一部が政府支出によるもので、一部は流動性が制約下にある消費者に転嫁されると考えられる」
とのこと。12000ユーロは、24年12月の時点で、約193万円。初期費用と考えられます。もちろん、定着後、労働力となれば相殺されるものも出てきますが、後のことで、政治難民のように子どもや老人、その他仕事に就けない人も受け入れることになるので、計算は簡単ではありません。
ともあれ、初期費用が1人193万円。1万人で193億。100万人だと1兆9300万円となります。
埼玉県の治安が悪化しているという話
2024年は埼玉県、特に川口市周辺のトルコ国籍のクルド人の人達が治安を悪化させているという話がSNSでよく話題になりました。ある地域が特定の外国人が多いから治安が、という話はよくあることなので、ひとつのサンプルとしてピックアップしてみます。いろいろあるので、少しずつ検証していきたいと思います。
データとソース
いろんな数字が飛び交っているので、まず、正しい数字を探すためのソースを整理してみました。
在日トルコ人が6,464人で埼玉県には1,786人なので、日本のトルコ国籍のうち30%が埼玉県に住んでいることになります。後で出てきますが「全国のトルコ国籍の犯罪の3割は埼玉で起こっている!」みたいな話しが出てきますが、これは人口比から当然ということになります。このように基本的な数字、規模感を知っておくことは重要です。
埼玉県警察ホームページ https://www.police.pref.saitama.lg.jp/
https://www.police.pref.saitama.lg.jp/documents/27704/19.pdf
川口市 60万 4,437 3,815 和光市 8.416万 480 392 さいたま市 132.4万 (2020年) 所沢市 34.25万 (2020年) 1,944 1,656
令和5年6月定例会 川口市議会 賛成討論 荻野梓 https://kc-jimin.gr.jp/wp-content/uploads/2023/06/b1c5eccde5ce476b70e17dc3f6ce01b0.pdf
ホーム/川口市ホームページ https://www.city.kawaguchi.lg.jp/index.html
かわぐちの人口/川口市ホームページ https://www.city.kawaguchi.lg.jp/soshiki/01020/010/toukei/12/5698.html
多文化共生/川口市ホームページ https://www.city.kawaguchi.lg.jp/soshiki/01060/020/4/index.html
交通事故が多い?
警察庁から提供頂いた、トルコ国籍の方の交通事故件数についての、全国と埼玉県のデータです。 pic.twitter.com/vEvbEtBC2X
— 片山さつき (@satsukikatayama) November 29, 2024
在日トルコ人が6,464人で埼玉県には1,786人なので、約30%。交通事故は令和5年9月まで30%なので、妥当な数で、令和9月以降の1年は約40%で若干増えつつある、くらいでしょうか。ただ、全国よりも軽症の事故の比率が高い。重症率は低いといえそうです。
【在留外国人統計(旧登録外国人統計)統計表】 | 出入国在留管理庁 https://www.moj.go.jp/isa/policies/statistics/toukei_ichiran_touroku.html
交通事故(都道府県データランキング)(2022) https://uub.jp/pdr/q/a.html
埼玉県の交通事故件数は16576人でした。埼玉県の人口は2023年で約733万とのことなので0.22%。442人に1人が交通事故を起こしている計算になります。片山氏が示した数字だと令和5年にトルコ人国籍の人が起こした交通事故は令和5年で27件、直近1年で29件なので、30件とすると、215件に1人が交通事故を起こしているのでだいたい倍となります。ただし、示された数字だと、やはり軽症である比率は低くなっています。
川口市で何が起こっているのか?
これはネットを見ているだけでは、サッパリわかりません。住んでみないとわからないでしょう。コンビニの周辺にたむろしているから怖い、みたいな話しをみても、夜にコンビニの周辺にたむろしている人は何人でも怖いと感じる人は感じるでしょうから。
排外的な考えを持つ人達が外国人によって治安が悪化する象徴として盛り上げたいと考えていることはわかります。現地でもパトロールと称して、注意したり、煽り気味に挑発して相手を怒らせてそれを動画に撮る、みたいなことは行われているようです。また、外国人差別反対という人達のグループも、この人達に圧力をかけて、挑発したりと、同じようなことをしている。お互いに似たような画像や動画を上げ合い、罵り合うことになってます。互いが都合のいい悪役を演じてくれる相手を利用しているというような、不毛な共犯関係みたいなものがあるような印象もあります。
住んでる人達は迷惑なことは間違いなく「外国人がいるせいで…」となってしまう可能性もありそうです。
つまり、ネットに出てくる、画像、動画、噂などは、一切信用できないと考えたほうがよさそうです。川口市で起きていることはネットではなく、データから推測するだけに留めるのが正しいのではと思います。
<独自>川口クルド人ら業界団体を設立「日本クルド建設業協会」中東系解体業者は170社 「移民」と日本人 - 産経ニュース https://www.sankei.com/article/20250116-E3LAJFTMIJPETEZUVASRTGEQSY/
トルコにおけるクルド人
これは、新聞でわかる範囲でも、とても難しいとしか言えないです。少なくとも現トルコ政府がどう考えているかは基準にはなりそうにありません。ここ10年以上、トルコは政治的にいろいろありすぎてますから。
いろいろな記事
ひばりヶ丘駅近くの住宅街に産廃6・2トン不法投棄、トルコ人4人を容疑で逮捕…埼玉県警 : 読売新聞オンライン https://www.yomiuri.co.jp/national/20241113-OYT1T50136/
川口の解体業者7割は中東系、1年で40社増170社 民家の廃材をその場に埋め4人逮捕 「移民」と日本人 - 産経ニュース https://www.sankei.com/article/20241114-CQAUVRW3HRKLNOD47WALDFXWZA/
クルド人へのヘイトデモ禁止、さいたま地裁が仮処分決定 協会周辺で | 毎日新聞 https://mainichi.jp/articles/20241121/k00/00m/040/206000c
迷走中 https://x.com/sedaidaisuki/status/1879058995820044368
災害時
外国人が被災地で略奪、窃盗をしている。
東日本大震災(2011)、熊本地震(2016)の際は、この種のネット投稿や記事などは少なかったと記憶しているので、2010年代後半から増えたと思われる。一般の人達にとって災害と外国人が結びつけられたのは2017年に東京都知事である小池 百合子が恒例であった追悼行事を取りやめて批判を浴びたことで、再び災害時の外国人の流言ということが、一般の人に再学習された可能性もありそうです。
2017年に国会で質問がされている。 関東大震災における朝鮮人虐殺に関する質問主意書 https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a195009.htm
ただし、この種のことは検証のしようがないのですが、ほとんどの場合、後に、デマと明らかになっています。明らかになってないものは、そもそも事実かどうかも証明できないので、どうにもならないわけで、発信者も匿名でわからない。発信者が顔を出して謝罪したり、証明したりということも起きないので、悪質としか言いようがないのでは、という気がします。海外で日本人が同じようなことを言われることを考えると、怖いとしか言いようが無いです。政府も24年の能登地震から取り締まりを強化しているようなので、今後は犯罪として取り締まられることになるのでは。
【東日本大震災】デマ「中国人韓国人窃盗団が被災地に」当時飛び交っていた偽情報から教訓|ミヤテレNEWS NNN https://news.ntv.co.jp/n/mmt/category/society/mm9892e4b56b8d4d549c10f89ab16effe9
2024年の元日の能登地震にいろいろ分析がありました。発信者の偽装だけでなく、本物の消防団の発信などもあり、いろんなパターンがあることを知っておくことは重要だと思います。
能登半島地震における不審車両デマ - 電脳塵芥 https://nou-yunyun.hatenablog.com/entry/2024/01/05/160000
令和6年能登半島地震の偽情報関連の報道についてまとめてみた - piyolog https://piyolog.hatenadiary.jp/entry/2024/01/06/020106
今回の能登半島地震、デマ・偽情報に関するニュースはどう報じられたか?|@DIME アットダイム https://dime.jp/genre/1717935/
2010年代後半にチラチラと出始めていたようですが、2020年代に入って、定番のデマになりました。能登半島地震でも起きました。ウッカリでは無く、意図的に投稿され拡散されるもので、勝手にナンバー入りの車の写真なども投稿されるので暴動、犯罪に繋がりやすく極めて危険という気がします。
地震後「外国系窃盗団が能登半島に集結」偽情報などSNSで拡散 | NHK | 令和6年能登半島地震 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240110/k10014316541000.html?s=09
能登の被災地で「マイクロバスに乗った中国人窃盗団」というデマが拡散中。情報源の消防団長は「誤情報だった」と認める。 - Togetter https://togetter.com/li/2288251
能登半島地震における不審車両デマ - 電脳塵芥 https://nou-yunyun.hatenablog.com/entry/2024/01/05/160000
2024年1月の能登地震では、同じようにデマが拡散されました。同時に在日外国人によるボランティアも増えました。そのへんは、ここに記録しています。
その他
ネット上で定期的にあがる話で、そのたびに否定されていますが、半年もすれば何かのきっかけで、ついでに語られる、みたいなことを中心に。
「永住権」とは何か?
永住権 – Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B8%E4%BD%8F%E6%A8%A9
永住とは で調べると、永住にもいろいろ種類があることがわかります。入管のサイトに在留資格の一覧がありますが、「永住権」という言葉は使われていません。国が許可したという形です。
在留資格一覧表 | 出入国在留管理庁 https://www.moj.go.jp/isa/applications/guide/qaq5.html
永住許可申請 | 出入国在留管理庁 https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-4.html
権利を付与する、ということではなく、永住者として認定する。帰化ではないので権利の制限は残る。永住は在留資格のひとつであることは変わらない。あたりが正確なようですが、もうちょっと調べると、さらに細かい考え方や違いがある模様。今回、そこまでは踏み込めませんでした。
特別永住者
永住者には特別永住者という枠組みがあることは知られていると思います。
特別永住者の制度が変わります! | 出入国在留管理庁 https://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/newimmiact_2_index.html
定義はかなり複雑ですが、主に朝鮮半島や台湾などから強制的に連れてこられた方々のことという認識でほぼ間違いないと思います。
特別永住者 – Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%B9%E5%88%A5%E6%B0%B8%E4%BD%8F%E8%80%85
定住者
定住者というのもあります。これは「第三国定住難民、日系3世、中国残留邦人等」が対象例となってます。元々永住者とは違う在留資格なので、今回の改正は対象外ではないかと思います。
在留資格「定住者」 | 出入国在留管理庁 https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/longtermresident.html
定住者 – Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%9A%E4%BD%8F%E8%80%85
外国人はやたら職質される件
レイシャル・プロファイリングとして語られるようになってきました。
日本語教師のような、日常的に日本に滞在する外国人と接する人は、よく「また職質された」という話は80年代から2020年代になっても、欧米アジア関係なく日常的に聞くので、検証するまでもないのですが、一般の人は、あまり実感がないかもしれません。911以降、アラブ系の人の職質が多くなったのも、普通にあります。基本的に、日本で生活する外国人は地方の村みたいな小さなところでその地元の人達に知られているみたいなことでもないかぎり、職質されないように、気を張って生活してます。これは多分、海外に滞在する日本人は経験しなくても済むことです。
警官による外国人に対する過剰な職務質問はあるか?ということでは、実感としてはあるし、日本在住の外国人からもよく聞く話という理解でいいと思います。
調査もありました。
「国に帰れと怒鳴られた」との訴えも。警察官による人種差別の防止、「ガイドラインあり」はゼロ【全国調査】 | ハフポスト NEWS https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_6549f58de4b0e63c9dc0b390?s=09
記事など
米国大使館による投稿
The U.S. Embassy has received reports of foreigners stopped and searched by Japanese police in suspected racial profiling incidents. Several were detained, questioned, and searched. U.S. citizens should carry proof of immigration and request consular notification if detained. pic.twitter.com/a8BkAU7eCR
— U.S. Embassy Tokyo, ACS (@ACSTokyo) December 5, 2021
日本の警察に人種プロファイリングの疑い、米大使館が警告 | ロイター https://jp.reuters.com/article/idUSKBN2IL0WZ/
レイシャルプロファイリング巡るハフポスト報道、新聞労連・疋田桂一郎賞を受賞「露骨な差別の実態、鮮明に」 | ハフポスト NEWS https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_65a9bc11e4b076abd7aafb72
2020年代に入ってからは私人逮捕系ユーチューバーという人達によるトラブルも増えました。基本、私人逮捕という行為自体が違法性が高いので、すぐに警察を呼び、スマホで撮影して届け出ればユーチューバーのほうが逮捕される可能性が高いです。
【記事】元自衛隊YouTuber「ここは日本だぞ」渋谷ハロウィン飲酒外国人を注意、賛否集まったワケは - ライブドアニュース https://news.livedoor.com/article/detail/23123584/
【記事】見た目で職質は違憲と提訴 日本国籍取得の男性ら | 共同通信 https://nordot.app/1124626907081474454
【記事】'We were told to target foreigners': Ex-officer on systematic racial profiling by Japan police - The Mainichi https://mainichi.jp/english/articles/20240427/p2a/00m/0na/019000c
【記事】「外国人は必ず不法行為」警察庁、県警の内部資料を認める➡︎「確認の必要ない」と松村国家公安委員長 | ハフポスト NEWS https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_666131ffe4b0f9f6da7fe249
他の国でもあるという話
今警察官が来て個人情報いろいろ聞かれたんだが🫢毎年居住確認のために家に来て警官と写真を撮るからそれかと思ってたら、今回は中国(台湾含む)に入境した日や教師以外の収入源や家族の有無、銀行カード番号まで控えられた。😧😧😧
— 大学教師梨杏@中国西北 (@lixingchina88) March 27, 2024
日本語を話さなければ「必ず不法行為」。愛知県警、内部資料で2010年にも記載。「ゼノフォビアの表れ」と専門家 | ハフポスト NEWS https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_66bc4bb0e4b0768018b759b1
警察官にウエアラブルカメラ装着、2025年試行 職務質問を記録・証拠にも - 日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE162B10W4A011C2000000/?n_cid=SNSTW001&n_tw=1729128692
→ カメラ装着、普及すれば大きな前進になるかも。
□ 外国人が日本の土地を買いあさっている
法律的に、外国人は、在留資格などに関係なく、日本の土地、建物を購入することができます。1994年に国際協定に署名しています。羽田、村山内閣あたりです。署名は村山内閣。ちなみに社会党政権ではなく、自民党と社会党の連合政権でした。
サービスの貿易に関する一般協定(GATS) https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/wto/service/gats_1.html#section1
- 米国などはかなり厳しい。日本はかなり例外的であることは間違いない。
- 買っても日本の法律が適用されるが、水などの資源は所有者のものになる。
- 当然、領土になるわけではない。
- 日本も海外の不動産や土地をかなり購入している(特にバブル期)。海外の安定した国の安定した資産(不動産)を買うのは一般的ななことと言える。
実際どうなのか?
結構買われてます。よく中国が問題視されますが、アメリカのほうが買ってます。例えば、森林資源については、以下にリストがあります。2,614ha
外国資本による森林取得に関する調査の結果について:林野庁 https://www.rinya.maff.go.jp/j/press/keikaku/220802.html
【参考】1000ヘクタールとはどれくらいの広さ?東京ドームの何倍ぐらいですか? Yahoo!知恵袋 https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1435688869
沖縄の屋那覇島やその他の無人島なども、中国や海外の投資家に購入されている模様です。
外国資本等による不動産購入と安全保障に関する質問主意書:質問本文:参議院 https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/176/syuh/s176178.htm
企業による土地取得
土地を所有している企業を買収し経営権を持てば、土地も所有することになる。日本の企業のほとんどは外資が入っているので、比率によっては一等地のかなりの部分はかなり昔から外資が所有していることになる。
「土地の保有額が大きい」500社ランキング 1位三菱地所、2位JR東海、重厚長大企業目立つ | 企業ランキング | 東洋経済オンライン https://toyokeizai.net/articles/-/155122
海外で日本人も土地建物を一兆円規模で購入している
日本国内は、地方の土地なのでせいぜい数十億ですが、日本人投資家や企業が海外で買っているのは1兆円規模とのこと。
欧米は規制が厳しいところもありますが、いろんな方法があり、かなり購入されているようです。外国人でも広さの制限はあるようですが、結構買えます。バブル期は日本の企業が、NYのティファニービルやロックフェラーセンターなど、米国の象徴みたいな不動産を買ってました。浅草寺を買われたようなものです。
- 土地はダメでも区分所有(マンションなど)はOKな国がほとんど。 → 欧米各国や中国、東南アジアなど
- 一軒家購入はOKな国は結構多い。 → 豪州、ニュージーランド、ハワイ、パリ、
- 土地や家購入のローンが組める国もある。 →
東南アジアではマンションの区分所有をしている人はかなり多いです。昨今は円安で投資は国内から海外へと向かってますので、海外での土地購入は増えてるようです。
バブル期以来、日本勢1兆円の海外不動産投資-NYやロンドンで - Bloomberg https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-12-06/S57SXRT0G1KW00
バブル以来の投資熱 日本人が海外大都市の不動産を買いはじめている | 円安で不動産不況のいま | クーリエ・ジャポン https://courrier.jp/news/archives/349699/
海外への投資額の推移についての分析 https://landnet.co.jp/invest/report/2015/20150523_02.html
平成 30 年度 不動産流通経営協会 研究助成事業研究報告書「『外国人』による土地取引の法律学的考察」 研究者:北星学園大学 経済学部 経済法学科教授 足立清人
https://www.frk.or.jp/kenkyu_jyosei/30kenkyujyosei_hokuseiuniv_adachi.pdf
他国の土地を買う例は多い
基本、他国の土地を買うのはとてつもなく多い。オーストラリアの農地の14%は外国資本という調査がある。その他、先進国が途上国の土地を投資として買う例、自然保護的観点から買う例などがあり、前者は結構悪質。
Land Matrixは世界の土地開発のマップ
Land Matrix | Land Matrix https://landmatrix.org/
「 投資家は官民両分野にわたる。ランド・マトリックスをみると、投資家の4つのタイプが明らかになる。(1)民間企業(取引442件、取引面積3030万ha)、(2)国有企業(172件、1150万ha)、(3)投資ファンド(32件、330万ha)、(4)官民パートナーシップ事業(12件、60万ha)である」
ARDEC47号:発展途上国がターゲットになる海外農地取得 http://www.jiid.or.jp/ardec/ardec47/ard47_key_note6.html
「オーストラリアに日本の領土」は無い
借地権を持ってますという話。
カウラ日本人戦争墓地の歴史 - カウラ日本人戦争墓地 https://www.cowrajapanesecemetery.org/jp/history-of-the-cowra-japanese-cemetery/
法規制
岸田文雄首相、外国人の土地取得規制「検討を進めたい」 参院予算委 - 産経ニュース https://www.sankei.com/article/20240325-IRRBH5DKJJPW5B47TAEXPAO63Q/
北海道トマム地区の外国人比率が超高い
3分の1が外国人というともう北海道の一部は外国人に占領されつつある!という気がしますが、そもそもトマム地区がある占冠村の人口は1500人前後で、外国人は500人前後。海外の日本人街的なところより少ない。トマム地区は占冠村のさらに一部でトマム駅周辺のスキーリゾートです。
占冠村の人口・世帯数 | 住民課 | 北海道占冠村 https://www.vill.shimukappu.lg.jp/shimukappu/section/jyumin/fqprvo000000061v.html
「北海道トマム地区の住民の50%が外国人」っていう話について - 電脳塵芥 https://nou-yunyun.hatenablog.com/entry/2022/10/16/110000
【参考】海外の日本人街
日本人の人口密度がかなり高い地区は結構あります。だいたい都市の一部に固まってますから、500人くらいが住んでる地域は多そうです。
日本人街 - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%BA%BA%E8%A1%97
外国人の人口が増えると大変なことになる
10%を超えると経済への影響力は増すようですが、政治では微妙。5%くらいまでは経済、政治でも存在感は無いかんじです。
例えば、在留外国人数(在留資格問わず国籍が母国にあるということだと思います)日本に住んでいる外国人では中国がトップで、中国籍の人は約75万人とのことですが、これは0.625%。
国籍・地域別在留外国人数の推移(2021) https://www.moj.go.jp/isa/content/001356650.pdf
→ 中国は2019年をピークに減少中。コロナもありそうですが、その中でもベトナム、ネパールが増えていて、韓国も減ってるのをみると、基本、母国が豊かになれば自分の国を選ぶということかもしれません。
人口でいうと世界では10位とのこと。(Insider Monkey調べ。この調査で90万人となっているのは在留している数に加えて「富裕層の移住者、企業や政府機関の駐在員を含む全ての在留中国人数」だからだと思われます)
オーストラリアは140万人で約4.6%、。米国は約500万人で約2%で、政治、経済ともに影響を与えているとは言い難い。
経済への影響力があると言われているタイは、7000万人の人口に900万人で約11%。同様に経済への影響力が大きいと言われるマレーシアは、人口3300万人に対して700万人なので約21%。経済への影響力が増すと、当然経済を通じて政治力を持ちはじめることも予想されますが、やはり数としては限定的という気がします。このへんはこれらの国の人達の考えを聞かないわかりませんが。
5%くらいまでは特に何も起きない。10%に近づくと経済的には影響力が増していき、経済を通じて政治力が増すかも、ということでしょうか。ただし、東南アジアの国々は、元々経済的基盤がやや弱く、経済的に支配される余地があったという要素はありそうです。例えばマレーシアの国家予算は12兆、日本は112兆です。単純計算でハードルは10倍高い。
日本だと5%は、600万人くらいですから、上の法務省の調査で最大限に増えた時で年4万人ですから、あと150年くらいかかる。150年後は経済的な影響力は増すことになるかもしれません。
【記事】在留中国人が最も多い国トップ16 日本は10位、1位は意外?驚きの930万人(The News Lens Japan) - Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/427f8ad9855103fc32cb2f94a6d9707b8ac702f6?page=1
□ 増えた外国人が参政権を持つとどうなるか
この項目は作成中です。
外国人に参政権を認めるかどうかの、軸になる理屈は、ざっくり言うと「民主主義国家では、国家に対して税金を払うということは、その対価として国からサービスを受ける権利と共に、その方針を決める権利も持てるというのが基本的な人権で保証されている」という考えが基本にある。また、「国籍がない場合、国政は外交など対外的な政策に関わることなので、制限はあってもいいが、地方政治は国内の生活中心の課題であるので、参政権(選挙権、被選挙権ともに)保証されてもいいのではないか」という考えがあり、先進国では、地方参政権はかなり古くから(40年前くらいから)認められている。
日本の事情でいうと、永住者とみとめられれている中でも特別永住者となっている韓国朝鮮や中国などからの人達や、南米からの移民としてきた人達などの定住者も選挙権は無い。今、立候補したり投票したりしている外国人風の名前の人達はすべて帰化などを経て日本国籍を持っている人達。
外国人参政権は、おおまかに分けると、選挙権と被選挙権の区別があり、国政と地方でも分けられる。国によっては(歴史的経緯などを考慮して、あるいは相互主義的な考えから)特定の国籍の人には認めるというケースもある。
- 国政の被選挙権
- 国政の選挙権
- 地方の被選挙権
- 地方の選挙権
- (住民投票的なもの)
の順番です。もうひとつ住民投票みたいなものの権利は別になっていることもある。
日本では
細かいことは、日本における外国人参政権 - Wikipedia に整理されている。
現状、日本で住んでいても外国籍であるかぎり、あらゆる参政権はないということになっています。ただし、憲法上禁止されているかの解釈は分かれている。
- 政府の見解は国政、地方も被選挙権、選挙権ともに無いという立場
- 最高裁判所は、憲法上、国政はないが、地方は許容されるという立場。
政党によっては地方参政権を認めるべきという考え方があり、
外国籍住民に対する地方参政権の付与に関する請願:請願の要旨:参議院 https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/seigan/154/yousi/yo1541391.htm#:~:text=%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%A7%E7%94%9F%E6%B4%BB%E3%81%99%E3%82%8B%E5%A4%96,%E5%AE%9F%E7%8F%BE%E3%81%AB%E4%B8%8D%E5%8F%AF%E6%AC%A0%E3%81%A7%E3%81%82%E3%82%8B%E3%80%82
【資料】
外国人参政権をめぐる論点 https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_999336_po_20080128.pdf?contentNo=14
海外の例
これも、Wikipediaで整理されているものを参考にしてください。→ 外国人参政権 - Wikipedia
国政レベルの参政権を与えられている国は少ないが、地方参政権は、外国人が多い国のほとんどで参政権ありとなっている。韓国は永住権を取得して数年で、かつ~と条件付きだが選挙権がある。韓国で国籍を取得していない日本人も地方選挙では投票することがある。中国には無い。
【資料】 【韓国】 永住外国人への地方参政権付与の現状と今後の展望 https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_1166445_po_02420209.pdf?contentNo=1
□ 入店拒否の境界線
準備中です。
日本の法律や規制
まず様々な例がありそうです。
- 人種、民族:××人お断り
- 性別:男性、女性
- 容姿:刺青
- その他:香水、介助犬など動物、フォーマルでないと、逆にカジュアルのみ。服装チェックのタグイ。
正当な理由と認められるかどうかの境界線
- 対応できないから(外国語、車椅子など)
- 他の客の迷惑になる。
- 問題が多いという歴史がある。
- 感染症で。ワクチン未接種、あるいは証明書が無いなど。
禁止側のサービスの種類も考慮されることがあります。
- 不動産:外国人を理由にした拒否は、ほぼ違法となる
- 病院:医師法19条「応召義務」によって拒否はできないという建て前(歯科なども同じ)だが、外国語対応ができないという理由ならばやむなしという判断も多い。
- 旅館・ホテル:旅館業法5条によって原則拒否できないが、例外として伝染病、犯罪性がある、部屋がないならOKで、その他地方の条例もある。
- 飲食店:民法第521条に規定する「契約の自由」があるので、拒否すること自体が違法ではないという解釈がある。
関連の法律
判例
1999年 静岡地裁浜松支部「外国人入店拒否は違法」判決 https://www.jca.apc.org/jhrf21/nl/NL11E.html
2002年 入れ墨がある外国人旅行者に対する 入浴規制について https://rku.repo.nii.ac.jp/record/7116/files/hougaku_1902_147_171.pdf
これは?
1)日本国内で「日本人お断り」とすることは違法か?
→ これも違法性があるとは言えなさそう。
2)サイトにも看板にも書いていないが、入口で「入店チェック」があり、よくわからない理由で拒否される。
例えば特定の人種のたまり場みたいな場所のレストランが、看板でそううたわなくても、入口で拒否される、みたいなケースは世界中にあるだろうと思われる。
記事
飲食店の「入店拒否」はどこからが差別的?客を選ぶ権利について https://newspicks.com/topics/diversity/posts/44
タクシーで注意喚起のメッセージが回ることがある模様 X https://x.com/Shotoku32/status/1805111599642108160
SNS上でのアレコレ
【朗報】中華料理店 西太后「香港独立」「8964天安門」のビラで嫌がらせをする迷惑中国人Youtuberを撃退 (2ページ目) - Togetter [トゥギャッター] https://togetter.com/li/2277303?page=2
新大久保のイタリア料理屋・大久保バルが「中国人韓国人お断り」を掲げる→案の定炎上する - Togetter [トゥギャッター] https://togetter.com/li/2404424
海外の例
外国人による医療費未払いはどのくらいか?
18.3%(516病院)が未収を経験しており、平均額は約50万円。1件あたりの未収金額の多く(1,476機関)が、5万円以下なので、怪我や風邪、歯痛、みたいなことがほとんどと言えそう。
令和5年度「医療機関における外国人患者の受入に係る実態調査」の結果|厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41976.html
もちろん、まったく無いということではない。
日本人に成り済ましていた男逮捕 別人の保険証で診療、不正発給の旅券で出入国 密入国は30年以上前|埼玉新聞|埼玉の最新ニュース・スポーツ・地域の話題 https://www.saitama-np.co.jp/articles/11597/postDetail
外国人学校では日本語教育はきちんと行われていないのか
インターナショナルスクールの日本語教育 https://icu.repo.nii.ac.jp/record/165/files/7_02-3%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E6%95%99%E8%82%B2%E7%A0%94%E7%A9%B6_%E7%AC%AC7%E5%8F%B7_%E5%A0%B1%E5%91%8A_%E6%9D%BE%E4%BA%95.pdf
在日朝鮮学校における日本語教育 □ https://www.dbpia.co.kr/Journal/articleDetail?nodeId=NODE01198266
□ 「日本は元々性に寛容な文化だった」という話
これは切り取り方でまったく結論が変わる話でもあります。そのうち整理します。
2023年にアジア全般についての調査があったとのこと。
Views of same-sex marriage across Asia | Pew Research Center https://www.pewresearch.org/short-reads/2023/11/27/across-asia-views-of-same-sex-marriage-vary-widely/
やさしい日本語が有効なのは国内在住の外国人の半分以下
これは事実なのですが、一般の人にあまり理解されていません。やさしい日本語関係者もやさしい日本語の効用を主張するためにあまり語らない。また「どの程度機能しているのか」にもあまり関心がないという問題もあると思います。最も怖いのは、「やさしい日本語もできないなんて日本を理解しようという気持ちがないのか!」と外国人を責めたり、災害時にやさしい日本語でやれば十分だろうと思われてしまうことです。
日本に来る日本語が理解できない可能性が高い人達は、
- 観光客が月200万人前後(年間2000万人超で増え続けている)
- 就労系の人達が年間20万人前後
- 留学生が年間10万人超
観光客は、無理と考えるのが妥当だと思います(24年の能登地震では1000人前後が被災したと思われる 20240103051459.png)。その他、は、留学生も含めほぼ日本語はできない状態で来ます。留学生がやさしい日本語がなんとか理解できるレベルをN3とすると、1年後に到達するのは半分くらい。
日本語学校の能試の合格率のデータ
その他の人達は…
制度としてサポートはない
新しい制度では最初の3年が育成就労になって、特定技能1号(5年)、次に2号(制限なし)です。育成就労の取得はA1になって、これまでの特定技能の基金の試験のA2から下がった。最初の3年はA1なわけです。 次の5年の特定技能1号の取得はA2。これはこれまでの基金の試験のレベル。2号はB1が必要。おそらく最初の3年のA1なんて「認定教育機関で相当の学習でもOK」なので、すぐに形骸化するでしょう。挨拶程度で終わる可能性大。つまりほぼ日本語ができなくても3年働ける。A2、つまりやさしい日本語は無理なレベルでも+5年で8年働ける。という制度です。
どのくらいの比率の人がやさしい日本語レベルに到達するかの試算
まず、これまでの比率では、来日した技能実習生のうち、1号(1年目)終了時までに28%が帰国。72%が2号(2,3年目)に進み、2号の20%が3号(4,5年目)に進む。従って来日した人の15.6%しか3号に進まないということになっています。
→ 参考
これを新しい制度に当てはめると、育成就労の3年を終えて特定技能に進むのは、おそらく5割くらい。つまり5割はA1のまま帰国する。特定技能1号に進んだとして、5年いるのは、おそらく5%くらい。つまり95%はA2のまま、つまり、95%はやさしい日本語レベルに到達しないまま、8年働いて帰国する。
55万人中、やさしい日本語を理解できるのは5万人程度
つまり新制度でも、就労系の人達に対して、やさしい日本語が情報保証として機能するのは5%。介護は例外としてプラスするとしても、10%を超えることはおそらくない。 で、もっと問題なのは、学習機会が提供されないまま、試験合格で足切りするから、A2とかB1になるだろうというだけで、そのレベルに到達するための学習機会の提供が無いこと。自腹、自力でやるしかないことになっている。試験の難易度は、私の印象では、基金のA2想定の試験もかなり易しめで、A2を保証できるかは怪しいと思います。しかも、人手不足が解決しなければ、このハードルはどんどん下げられる可能性が高いです。
就労系の人達だけに絞っても、2024年の2月の時点で、技能実習生は35万人で特定技能が20万人、合計55万人として、このうちやさしい日本語が通じるのは5万人くらい、ということを、一般の人も、おそらく就労系の人も地方自治体の人も理解してない。新制度でも変わらないし、従来よりハードルは下がった、というわけです。
詳しくはやさしい日本語を参照してください。
外国人はなぜタコ部屋に住んでいるのか
「タコ部屋」というのは、狭い部屋で生活させられているぐらいの意味で使われます。
タコ部屋労働 - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%82%B3%E9%83%A8%E5%B1%8B%E5%8A%B4%E5%83%8D
手短に整理すると
- 技能実習生は、1 人当たり 4.5m2 以上(約3畳)という規制がある。
- 特定技能は、1人 当たり 7.5 m²(四畳半)以上という規制がある。
- 留学には規定がないので、上記の人達より酷い環境がデフォルト。
留学が無法地帯でかなり酷いということはあまり知られてません。「日本語学校 寮」で調べると、きれいな寮が出てきますが、基本、払える家賃は月2~3万なので、コロナ時もワンルームに二段ベッドが基本で、中には二段ベッドが2つというケースもあります。規制がないので。
詳しくは来日外国人の住居に関する規制や法律を参照してください。
海外の医療機関は(日本と較べて)質が低いか?
これも時々目にしますが、日本も含め先進国は医療関係の留学生には手厚いので大量の人が留学しており、WHOの援助も大きいので大都市の病院の質は日本より高いことがほとんどです。 地域医療に問題がある国は多いですが、少なくとも米国には大量のアジア系医学生がいて、医学部のかなりの部分は中国などアジア系の比率が高いのでほぼ問題ないです。
アメリカの留学生数 2014-15年以来初めて100万人を下回る 国別では中国が最多 - junglecity.com https://www.junglecity.com/news/international-students-in-the-us-2020-2021/
□ 日本語ができないことで特別支援学級に入れることは問題か
重要な問題なのでまだ整理の途中です。
『社会学研究』掲載論文がオープンアクセスに
— 金春喜(きん ちゅに) (@chu_ni_kim) April 25, 2024
「なぜか外国人の子どもに与えられる『発達障害』のスティグマ:〈事情通〉がくつがえす不確実性と不可視性」https://t.co/ARwsavYOf7
難の残る筆致ですが、『「発達障害」とされる外国人の子どもたち』の要点を知る目的などで活用いただけたら幸いです https://t.co/G7YnLk0IaK
リサーチマップにはFAQがあります。
金 春喜 (CHUNI KIM) - マイポータル - researchmap https://researchmap.jp/chunikim
以下は当面の個人的な考えです。
- 当然、日本語教育と発達障害は切り離して考えられるべきこと。
- 発達障害と日本語学習の支援は別のものであることは事実だが、同時にある可能性もある。。
- いろんな学習障害というものはあり、それに対する方法も少しずつ分かってきている。つまりその種の障害をみつけ対処することは重要。
- いわゆる発達障害も他の精神疾患も「烙印」などであってはならない。(この論文では発達障害=スティグマ=烙印となっている)
上の論文で、発達障害や特別支援学級で学ぶこと自体が「スティグマ(烙印)」と表現されつづけることに強い違和感を覚えました。この日本語指導と特別支援の関係はきちんと問題を切り分けながら議論すべきことでは?と感じます。『社会学研究』107巻(東北社会学研究会)掲載ということが意味することはわかりませんが、査読があるんだろうと思います。
日本語教育と学習障害については以下も参考にしていただければ幸いです。
『日本語教育のユニバーサルデザイン ~読み書き困難への対応から考える~』
👉 著者による投稿です。
【記事】 スティグマについて | 国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 地域精神保健・法制度研究部
土葬の問題
法的には土葬は禁止されていないが、推奨はされていない。歴史的にも衛生上の問題から火葬に移行した歴史がある。
現在いろいろと調査中。
土葬に係る衛生上の問題 (京都市) https://www.city.kyoto.lg.jp/hokenfukushi/cmsfiles/contents/0000171/171785/12dosoumonndai10sannkou.pdf
ムスリムの土葬墓地受け入れ問題について https://www.jichiro.gr.jp/jichiken_kako/report/rep_shizuoka39/09/0918_ron/
滞日ムスリムの墓地取得運動の定性的分析 http://ud.t.u-tokyo.ac.jp/research/thesis/_docs/kfujimoto_summary.pdf
火葬骨を自然に還す手法 https://kaken.nii.ac.jp/ja/file/KAKENHI-PROJECT-19K21583/19K21583seika.pdf
ムスリムの土葬墓地受け入れ問題について https://www.jstage.jst.go.jp/article/chihoujichifukuoka/77/0/77_36/_pdf/-char/ja
墓地埋葬をめぐる現状と課題の調査研究 厚労省 http://www.rilg.or.jp/htdocs/img/reiki/PDF/%EF%BC%91%EF%BC%92%EF%BC%97/%E5%8E%9A%E7%94%9F%E5%8A%B4%E5%83%8D%E7%9C%81%E7%A0%94%E7%A9%B6%E4%BC%9A%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8.pdf
現代イギリスにおける火葬の文脈 https://researchmap.jp/miyazawa_aki/published_papers/40051848/attachment_file.pdf
一類感染症により死亡した患者の御遺体の火葬の取扱いについて(通知)〔墓地、埋葬等に関する法律〕 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc1272&dataType=1&pageNo=1
厚労省のガイドライン https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2015/154061/201525014B/201525014B0009.pdf
「ペットを食用にする人達」というタイプの言説
海外では性差別ほどではないですが、移民問題でよく扱われる話題のようです。2024年の米大統領選でも移民は猫や犬の肉を食べている人達だ、みたいなキャンペーンがありました。
これに対してドイツが外交文書の中で「ドイツでは猫の肉は食べない」と揶揄したりがありました。しかし、ドイツはもちろん、世界中で、つい最近までそういう風習はあったと考えるのが自然なようです。写真もあるので一応閲覧注意です。
Dog meat - Wikipedia https://en.wikipedia.org/wiki/Dog_meat
Cat meat - Wikipedia https://en.wikipedia.org/wiki/Cat_meat
アメリカでも2018年に法律で禁止されるまで普通に流通していたとWikipediaにありました。この法律にサインしたのがトランプ氏、という背景があった模様。
President Trump signs the Farm Bill making dog and cat meat illegal in the United States https://www.wrdw.com/content/news/President-Trump-Signs-the-Farm-Bill-Making-Dog-and-Cat-Meat-Illegal-in-the-United-States-503308841.html
日本でも当然ありました。アジア圏では今もありますが、韓国は24年に禁止しました。日本はこの種の規制に関する法律は存在しないようです。三味線にはクジラや猫、犬の皮などが使われているというのは有名な話ですが、若い世代はあまり知らないようです。
今も猫の皮で、三味線は作られているのでしょうか? - Quora
犬食 | CiNii Research all 検索 https://cir.nii.ac.jp/all?q=%E7%8A%AC%E9%A3%9F
獣肉食 | CiNii Research all 検索 https://cir.nii.ac.jp/all?q=%E7%8D%A3%E8%82%89%E9%A3%9F&count=20&sortorder=0
□ インバウンドによる格差
観光客向けの価格設定、ホテル価格の上昇、観光地の人口問題などによる問題を集めてみます。
なぜ?日本人は有料・外国人は無料 奈良県立美術館の観覧料は日本人差別か SNSで論議(FNNプライムオンライン(フジテレビ系)) - Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/6ffad2d56660ade51bdf994270b7c34bdb811516?source=sns&dv=pc&mid=other&date=20240307&ctg=dom&bt=tw_up&s=09
海外で永住権をとった若者が57万人
「海外で永住権をとった若者は1年間で57万人」は誤り 1年間で増えた日本人の永住者は1万7000人超【ファクトチェック】(日本ファクトチェックセンター) - Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/6864f8f5057b715dcedfd991622282ea988e86da
大学は全然多文化共生してない問題
外国人との多文化共生を語る大学関係者は多いですが、自身が働く大学の多文化共生については問題が山積という印象です。
大学も外国人はほとんど役職につけないまま
大学は法人化されるまで、外国人は正規の教授会メンバーに外国人は一人もいなかった」とのこと。国立大学が法人化されたのは2004年。同年の以下の論文から引用。
日本の大学国際化のための外国人教員の任用 大学論集/論考/13 https://rihe-publications.hiroshima-u.ac.jp/search/attachfile/63722.pdf
以下は2011年のこと。法人化から7年後。
【記事】国立初の外国人副学長就任 朴恵淑三重大教授 https://www.mindan.org/old/front/newsDetail5407.html
2013年の時点でも国公立大学の「学長は私立大学に4人いるが、国公立大学はゼロ、副学長は国立2人、公立1人、私立11人で、外国人教員は絶対数も少ないが、幹部に登用されるのも極めてまれなのが実情だ。」と報道されていました。
外国人の学長、国公立大ゼロ – 日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGKDZO51290970S3A200C1CK8000/
その語、外国人教員を増やすという「国の政策によって」外国人教員は増え始める。
https://www8.cao.go.jp/cstp/stsonota/katudocyosa/h27/innovation10.pdf
大学の外国人教員に関する調査 内閣府(~2016年)
https://www8.cao.go.jp/cstp/stsonota/katudocyosa/h27/innovation10.pdf
2024年の時点で、国立大学が86校、公立大学は811校。合計約897校。学長は通常1名ですが、副学長は1~4名とのことで、2名が多い模様。つまり学長は897人、副学長はだいたい2000人くらいいるので、合計約3000人。国公立大学の教員数が約6.9万人で、外国人教員数が2788人で計算すると外国人教員の比率は4%。学長と副学長が3000人なら外国人は120人はいるのが普通として、現在は2人。
私大も同じような状況
QS World University Rankingsでは、外国籍の教員数で国際化を図ってますが、日本の大学は東大は上位50位の中でも最低で、その他の大学も評価は0に近いです。
QS World University Rankings 2025: Top Global Universities | Top Universities https://www.topuniversities.com/world-university-rankings
私立大学は外国人学長などもおり、大学によっては3割から5割が外国人教員という大学もあることから、一見、外国人教員が多いイメージがあるが、私立大学を含めた数でも外国人教員の比率は 全教員数38万2518人のうち2万1772人で比率は5.7%極端に低い。
文科省 関係資料 「外国人教員比率(平均)は低い」 https://www.mext.go.jp/content/1413715_011.pdf
外国人の犯罪についてのアレコレ
犯罪率
犯罪率の定義は曖昧~認知件数と検挙件数~
犯罪の数は認知(警察が認知している数)と検挙(捕まえた数)がある。統計によって違うので混乱の元になっている。
刑法犯 罪種別 認知件数の構成比(警察庁) https://www.npa.go.jp/toukei/soubunkan/R02/pdf/R02_01.pdf
これは認知件数
警察庁では、人口あたりの犯罪「件数」となっている。率ではなく件数であることに注意。上の文書では人口10万人あたりの件数が出ている。ネットなどで出る「何パーセント」という数字は、誰かの独自計算。
つまり、犯罪率は、きまった定義は無い模様で、犯罪率なるものを出した人次第で変わります。どこまでを犯罪とするかも違うし、例えば外国人の犯罪率なら「外国人」を帰化した人、永住の人、その他の人、観光や留学、を入れるかどうかも、マチマチ、どの期間、一年か、半年か、一年ならどの年か。。。つまり、これまでも今後もいろんな人が勝手に作った数字に踊らされることになります。
従って、数字が違うとか多いとか少ないをその都度やるのはあまり意味がなく、そもそも犯罪率はどういうもので、犯罪率と何かとの関連はどうなのか、みたいなことを考えて、それぞれのだいたいの数字をざっくり把握するしかありません。
犯罪率は警察庁が出さないと計算できない。
法務省:犯罪白書 https://www.moj.go.jp/housouken/houso_hakusho2.html
犯罪白書では何かの属性と犯罪件数が出ることは少ないが、白書スタート時から定点観測的に行われているものは以下。
- 性別(女性の犯罪)
- 年齢(高齢者)
- 外国人
- 精神障害を持つ人
- 公務員
日本人の国外での犯罪などもある。外国人犯罪は昭和36年版からあり、白書によってテーマがあり、フォーカスがあてられる。
外国人の犯罪の調査が国籍別など詳しく発表されることになったのは(ざっと見た限りでは)2000年以降で、法務省の組織の法務総合研究所が調査を行っている模様。
法務省:法務総合研究所フロントページ https://www.moj.go.jp/housouken/houso_index.html
外国人は国籍別に出るので計算できるが、日本人は対象ではない。日本の犯罪率という数字はありません。つまり犯罪率が出せるかどうかは、警察庁が数字を出すかどうかで決まるとも言えます。例えば、警察庁が左利きと右利きで犯罪の数を出せば、利き腕と犯罪率の話題が出ることになるでしょうし、「公務員」というククリではやっても、小学校教員とか警察官の犯罪数は出さないでしょう。
白書には地域別の犯罪件数はありませんが、白書ではなく警察庁の発表では、県別の犯罪率が出されてます。
これをもって、××県は犯罪率が高い県だとはメディアではあまり書かれません。やはりそれは地域差別に繋がりかねない難しいところだと考えられているんだろうと思います。つまり、犯罪率が出せるようなデータを公開することは、その是非から議論されるべきことなんだということだと思います。
「外国人犯罪率」の現状
現状では、外国人の犯罪率は日本国内の平均より高いが、数は激減しているし、日本語能力との関連も無い
この統計は検挙の件数となっている。
ちなみに最新版の白書(2023年令和5年)の外国人犯罪の推移の図です。2005年がピークで減少傾向です。さらに、これは率ではなく数なので、2005年の外国人人口が201万人、2023年が322万人と、100万人以上増えていることを考えると外国人の犯罪率は激減していると言ってもいいと思います。国内全体の犯罪件数も減少中ですが、それよりハイペースで減少していると言えます。
そしてもう一点、重要なことは、この外国人人口の増加のほとんどを担っている技能実習生は日本語の学習機会が提供されておらず日本語の能力は低いままですが減少している。つまり日本語能力と犯罪との関連も無いと言ってもいいということになります。
犯罪率はおそらく外国人のほうが高い
現状、10000件前後で推移ですから、300万人で計算すると0.3%です。同白書によると、日本のすべての犯罪検挙数も減少中で約17万ですから、1億2千万で計算するとだいたい0.14%。全体よりも外国人の犯罪率は高いと言えます。
ただ、日本すべての認知件数だと約60万人なので、0.5%となり外国人犯罪より多くなります。外国人は比較的監視の目が厳しく、認知から検挙に至る可能性が高い可能性もあります。見方によって変わる微妙な結果と言えそうです。
不自然な統計
あと、この騒動で引用されたこの図は、外国人の数が633万人となっているのがよくわかりません。
まるで外国人が犯罪起こしやすいみたいな誤解を招く投稿ですが、
— あお🇵🇸FreePalestine🕊️ (@investerao) May 17, 2024
現実はこうです。 https://t.co/BGXQjKJljI pic.twitter.com/CcnDignjfN
ソースは以下のようです。
https://www.call4.jp/info.php?type=items&id=I0000128
出典は:國﨑万智「取材から見えた、日本のレイシャルプロファイリング現在地」宮下 萌(編)『レイシャル・プロファイリング 警察による人種差別を問う』2023年・大月書店)とのこと。
外国人の数は300万前後はずなのでは?と気づくと思います。教師養成のプロセス(養成講座とか検定試験とか)などでその種の基本的な規模感を掴んでいるなら。
https://www.moj.go.jp/isa/publications/press/13_00036.html?hl=ja
これは以下は含まないので「600万」は以下を足したと思われます。
- (1) 「3月」以下の在留期間が決定された人
- (2) 「短期滞在」の在留資格が決定された人
- (3) 「外交」又は「公用」の在留資格が決定された人
- (4) (1)から(3)までに準ずるものとして法務省令で定める人(「特定活動」の在留資格が決定された台湾日本関係協会の本邦の事務所若しくは駐日パレスチナ総代表部の職員又はその家族の方)
- (5) 特別永住者
- (6) 在留資格を有しない人
しかし、上で書いたように特別永住者は30万人弱、外交その他は数万人なので、300万人は、短期滞在を加えたと思われます。短期滞在はほぼ観光です。現在月200~300万人で推移してますので。短期滞在はすべての在留資格の中で失踪が最も多いので犯罪の統計に加えるケースはあっても、移民の議論において加えるのは不自然と言えます。国連周辺で語られる(国連の定義というわけではない)移民の定義である「1年以上の滞在」にあたりません。
以下に著者による記事がありました。
警察官に突然局部を触られた「君みたいな系統の人は…」日本の“レイシャル・プロファイリング”の実態とは【2022年 上半期回顧】 | ハフポスト NEWS https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_62de4e90e4b06e213fc0ce6a
やはり短期滞在を足した模様。しかし外国人犯罪率を出すのに観光客の数を足すのはいくらなんでも無理矢理感があると思います。
こういう売り言葉に買い言葉みたいなやり取りの結果、危うい数字を振りかざしたり、犯罪率の数字の比較に陥ってしまうのはとてもSNS的だと言えます。結果として犯罪率みたいな問題のある数字をたがいに振りかざすことになってしまっています。犯罪率という数字自体の問題については次に書きます。
犯罪率は出してもいいのか?
最も議論されるべきポイントだと思います。
例えば「慶應大学を卒業した人の犯罪率」を出すことは人権上問題はないのか?特定の地域の犯罪率を出すことは? という問題があると思います。犯罪率が高ければ偏見、差別に繋がることは明らかで、つまり犯罪率を出して言いのかは、人権問題と言えます。出すからには相応の理由が必要になる。犯罪捜査に必要というのも理解できますが、それを公表する必要はあるのか?という点も議論されるべきだと思います。特に、率が計算できる元になる数字は、原則出すべきでないと思います。
仮に外国人の犯罪率と比較するためであれば、同じ条件の数字を出さないといけないかもしれません。技能実習生や特定技能が主になるので、日本人の中で…
- 中卒もしくは高卒
- 年齢は20~30才
- ブルーカラー
- ほぼ最低賃金で働き、建築など離職率が高い職種が多く、労基法の違反率も7割前後
の人達の犯罪率との比較になると思います。学歴、年齢、職業、職種(例えば建築業界だけとか)を対象に調査をして数字を出すこと自体が人権問題だとなり不可能だと思いますが、外国人となると調査対象になっているという現状があるわけです。
こういうことも言えます。
犯罪率、定義がハッキリしませんが、計算しやすそうな所だと、衆議院465人で今の国会召集の2021年11月10日以降、逮捕された議員は3人(秋本真利氏、柿沢未途氏、池田佳隆氏)なので、衆議院議員の犯罪率は0.64%。ただ政治資金の虚偽記載の10人強を足すと合計15人で3.2%でした。
— webjapanese.com (@webjapanese) May 17, 2024
となります。これは一見「政治家の犯罪率だって酷いだろ!」と主張しているようですが(この犯罪率関連のプチ炎上も政治家発信だったので)、そうではなくて犯罪率出されると気分悪いでしょ?というのが主旨でした。つまり犯罪率を出すこと自体、考えるべきテーマだということで、このブログ記事の主旨でもあります。しかし、実際に逮捕された人数だけでも、日本人の平均である0.14%の4倍、「政治資金規正法違反という違法行為を自分のお金でやっていたが、自身が知っていたかは判定できないから不起訴」を犯罪とするなら約25倍となりますから、外国人の犯罪率が高いから帰国という理屈でいうなら、衆議院議員はまとめてどこかに捨ててきたほうがいい、ということになってしまいます。
このように犯罪率は、調べさえすれば、簡単に、「日本人の平均」を上回る数字になる属性や地域などを出すことは簡単にできるといういことでもあります。犯罪率が3割ぐらいの政党は他にありますし、日本語教育関係者の犯罪率もどうなるかわかりません。長く日本語学校のルールであって告示でも犯罪を犯した人も、刑期を終えて5年経過すれば日本語学校を作れることになっています。凶悪犯罪は少ないかもしれませんが、入管難民法はもちろん、私文書偽造、著作権法違反、など多くの犯罪を耳にします。仮に800校の「0.15%(日本国内の犯罪率とされているもの)」は、1.2ですから、2校が犯罪を犯せば、平均犯罪率を超えてしまいます。年に2校くらいなら余裕で違法行為で報道されてたりしてませんか?
法務省は近年、外国人との共生、差別解消に力を入れています。
外国人との共生施策 | 出入国在留管理庁 https://www.moj.go.jp/isa/support/coexistence/index.html
こういう取り組みをする一方で、外国人だけ犯罪調査をし統計として数字を出していくことに問題はないのか?という視点があってもいいと思います。
警察庁が提供している数字
基本は犯罪の種類などです。属性は年齢、性別があり、その他、ピックアップされているのは外国人と暴力団だけです。地域は都道府県までですが北海道だけ地域で分けられています。
犯罪統計|警察庁Webサイト https://www.npa.go.jp/publications/statistics/sousa/statistics.html
以下は外国人の国籍別の犯罪統計。犯罪の種類別に細かく数字がでてます。
以下は地域別の外国人犯罪の統計
外国人の犯罪率を出す根拠
外国人の犯罪率が話題になるのは警察庁が国籍別で数字を出すからと言えます。しかし、何か特徴がなければ出すだけの根拠に欠けると言わざるを得ません。外国人の犯罪の調査と数字を公表する習慣は戦後すぐから始まっているので、今の移民の増加とは関係ありません。それも、極端に多いとか、ある時期から増減が激しいということにはなっておらず、調査を続ける根拠は危ういと思います。
犯罪関連のデータは相互監視が必要
それでも外国人の犯罪の統計、調査が必要であるなら、非公開にしたうえで、警察庁、国会、司法、大学の研究者などが守秘義務を負った形で共同管理するのなら、おかしなデータが出ることはなくなるのではと思います。おかしなデータが出たら管理している組織が正式に否定のコメントを出せば終わりになるからです。
「海外」との比較
「海外」は対象が広すぎますが、欧州の移民問題が例として取り上げられるケースが多いので、欧州のことを調べてみます。
欧州の移民と日本の移民となるであろう人達は単純に比較できない
2023年に特定技能の2号(1号の5年を経て2号となる人達)が実質的な移民ではないかということになり、外国人の犯罪率は高いのだから不安があるということになっていて「欧州のように」移民問題が噴出するのではということになってますが、これもかなり的外れだと思います。
欧州や北米で移民問題として語られる人達の多くは政治、経済難民的な人達です。突然国を追われて入国することになることがほとんどで、家族で来るケースも多い。ほとんどの場合、難民の犯罪歴はチェックされないとされているし、犯罪歴があっても入国は許可されることが多いとのこと。そういう人達が、そのまま就学する必要があったり、仕事を探す必要もあります。
一方で、日本で移民問題として語られる人達は、就労系の在留資格を経ます。犯罪歴があればほぼビザは出ない。学歴は中学以上がマスト、30才くらいまでです。この最初の選別だけでも、かなり違います。その後日本でも、監視下で年単位の面接を受けるようなことになります。
最初の5年で…
- 来日時、中学卒業、技能によっては高校に+して看護などの資格を持っている必要がある。
- 犯罪歴が有る場合はほぼ来日は無理。
- 来日後、5年滞在するには、それぞれ技能試験に(場合によっては数回の)試験に合格する必要がある。
- 試験合格のための学習、日本語学習はほぼ自腹。
- 滞在中に犯罪を犯したら帰国。雇用者とトラブルでの帰国も多い。
次の5年以降は、技能試験に合格して、さらに日本に残りたい人は5年ごとに無期限で更新が可能になります。
- 特定技能の2号は家族滞在が認められ、永住の道も開かれるが、高度な技能試験がある。
- 日本語能力B1の試験に合格するハードルが課せられる可能性が高い(B1は英検の2級くらい。漢字は500~1000字)
- 日本において税金など支払いを守る必要がある。
- 交通事故などの不慮の事故でも有罪となったらアウト
で、10年に達して、この寄宿舎生活のような10年を経て、その中で再更新をし続けるのではなく、永住したいと考えて、永住の申請をして、審査があり、合格すれば永住許可となります。10年の審査期間を経て、さらに申請して合格した人なわけです。例えば、日本人でもパスできる人は限られるハードルと言えます。原付で事故を起こしたらアウトなわけですから。
このプロセスを経て永住許可となった人達の犯罪率はまだ出ていません。あと5年くらいで数人、10年で数十人か数百人になるかもしれません。犯罪率は日本人の平均より低くなることは確実だと思います。
こういうケースと、欧州や北米の移民の比較するのは難しいと言えます。欧州の調査や論文が、例えば、言語学習と犯罪率のようなデータが、そのまま日本の就労系の外国人に当てはめて議論するのは無理があると思います。
言語能力と犯罪は関連があるのか?
ここからは日本語教育の話です。言語能力と犯罪の関連は、あるかのように語られますが、とくにエビデンスは示されていません。かつては特別永住者という在留資格の在日韓国朝鮮人の人達の犯罪が多いのではないか?と言われ、それは就職などでの差別があることも原因のひとつだという議論がありました。80年代の中東系の労働者の麻薬取引などの犯罪が連日報道されたことがあり、定住者と呼ばれる80年代以降の南米からの移住者の犯罪に対する懸念などもありました。これらの議論は一旦横に置いて、今の就労系の在留資格の人達に向けられている点に絞ります。
欧州のケース
欧州で2010年代後半から移民政策が厳しく転換することになり、そのひとつとして言語能力による選別が加わるケースがありますが、
- ドイツでも言語能力を選別の基準にするかは与野党で議論があった
- 選別が始まる前からほぼ無償で500時間超の言語学習機会は提供されている(ので言語学習機会は当然提供されるべきという前提になっている。つまり「するしない」の話ではない)
- ドイツ以外の国では、言語能力と在留資格を絡めない国も多い
- CEFRの考え方では言語学習は個人のものであり権利。「日本語教育の参照枠」でも国は学習機会を提供する義務があるが、学習を義務づけることではないとなっている。在留資格と言語能力を紐つけることには当然反対だと思われる。
となっています。欧州でなぜ選別の基準にすべきではないとなっていたかというと、言語教育の機会は基本的な人権のひとつであって、選別の基準ではない、という考え方があるからです。これはCEFRも同じでEUはCEFRの影響下にありますから。
前述のように、欧州の難民と日本の就労の在留資格で来る人達は全く違うという点も重要です。
変わる移民政策 : 移住者に対するドイツの言語教育 : 母語教育を中心に https://ci.nii.ac.jp/naid/120002014558
その他、資料、論文は以下にあります。言語政策に関する資料・記事・論文
日本の就労制度では日本語学習機会はほぼ「0」だったが犯罪は減少傾向
90年から技能実習生制度はありますが、日本語の学習機会は今日まで一切提供されていません。その中で、犯罪数は減少し、犯罪率は下がり続けていますから、日本においては今のところ、犯罪と日本語教育は何の関連もないということは証明されているわけです。帰国前提の制度であったからで、永住を視野に入れるなら必要という主張なのかもしれません。しかし、犯罪抑止になると主張する人は、犯罪抑止に効果がなければ言語学習機会は提供しなくていいと主張し、今後、日本語教育が提供されて犯罪率が上がればやはり意味がなかったから日本語教育の提供は止めると言われたら反論できません。つまらない理屈に日本語教育を絡めてしまう罪は重いです。
言語学習は当然受けられる「権利」ではないのか?
言語の学習機会はその国に来た人が受けるべき権利であり、国は学習機会を提供する義務があると言えます。(今のところ日本語教育関連の法律では権利という語は無く、提供する義務があるというところにとどまってはいます)
言語の学習機会を設けないことは人権問題でもあるのでやる。という理屈がまずあります。つまり、犯罪率がどうこうと関係なく、言語の学習機会は提供すべきなわけです。統計上、言語能力と犯罪に関連があるかのエビデンスは関係ないと言えます。「犯罪の抑止として必要」という理屈は、外国人を潜在的な犯罪者予備軍とみなすことでもあり、言語能力が犯罪と結びつくというエビデンスの乏しい無用なネガティブな印象を与えてしまう言説と言えます。
個人的には、言語の学習機会というような大事な事柄を、言語教育関係者自らが、犯罪抑止であるみたいな単なる損得のチープな議論にのせること自体が愚かなことだと感じます。日本語教育関係者が、そういう議論に加担してはいけない。あくまで言語を学習する機会は、日本で生活する人には保証されなければならない基本的な人権だから、提供されるべきだと主張するべきだと思います。
資料
ひと昔前によく参照された文書
この古いデータをもとにした言説は多い。
外国人犯罪に関する統計的分析と共生への課題 | 野呂 夏雄 | 第一生命経済研究所 (2002) https://www.dlri.co.jp/report/ld/01-14/rp0210a.html
外国人と犯罪 岡 田 薫 https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_999736_po_067801.pdf?contentNo=1
現在の統計
国籍別の統計は以下にあります。
法務省:【矯正統計統計表】 https://www.moj.go.jp/housei/toukei/toukei_ichiran_kousei.html
警察庁 犯罪統計|警察庁Webサイト https://www.npa.go.jp/publications/statistics/sousa/statistics.html
毎年白書では外国人周辺の独自の統計と分析が出ます。
法務省:犯罪白書 https://www.moj.go.jp/housouken/houso_hakusho2.html
上を元にした記事。 ファクトチェック:刑務所の殺人・傷害の収容者は中国、韓国・朝鮮籍が65%は誤り|日本ファクトチェックセンター(JFC) https://factcheckcenter.jp/n/n2e6513cbdbd5
海外の移民の犯罪率は
国際刑事警察機構(INTERPOL)や国際連合犯罪防止軍(UNODC)に統計がある?
犯罪者の引き渡し
日本国内で裁判できるかという問題と刑が確定したらどうするか、という問題がある。外国人犯罪でよく不起訴処分となって母国へ強制退去となるのは以下のような制度によるもの。
「外国人による犯罪についての刑事手続は,日本人による犯罪の場合と異なるところはない。しかし,検挙された外国人が入管法上の退去強制事由に該当する場合には,同時に,退去強制手続の対象にもなる。」
平成25年版 犯罪白書 第7編/第2章/第2節/2 https://hakusyo1.moj.go.jp/jp/60/nfm/n_60_2_7_2_2_2.html
外国人犯罪と刑事手続・退去強制手続の概要
犯罪人引き渡し条約
日本は韓国、米国だけ。他の先進国は100超の国々と条約をかわしている。
外務省: 犯罪人引渡しに関する日本国と大韓民国との間の条約(略称 日・韓犯罪人引渡条約) https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/treaty_020419.html
日本国とアメリカ合衆国との間の犯罪人引渡しに関する条約 https://www1.doshisha.ac.jp/~karai/intlaw/docs/jap-us-extradit.htm
ただし、組織犯罪は国際協定がある。
代理処罰
犯罪人引き渡し条約を交わしていない国家間では相手国の法律で裁いてくださいという協定があることが多い。あまりデータはないが、年数件くらい?
代理処罰 - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BB%A3%E7%90%86%E5%87%A6%E7%BD%B0
犯罪白書(2021)によるデータ
1989~2021年の日本人含む全犯罪のうちの比率
これもピーク時(2005)の5%から3%に減少。
2021年の国先別検挙数
在留資格別検挙人員の推移
全犯罪の数
正規滞在者が68.6%で不法滞在者によるものは31.4%。比率は10677人中、順に、技能実習生は2538人、留学は1515人、定住者、短期滞在と続く。
その他
技能実習と留学のデータ
技能実習生の正規滞在と不法滞在の比率はほぼ同じ。留学は正規滞在中が993人、不法滞在中が522人。
法務省、犯罪白書の2021年(令和3年)における組織犯罪の情勢の「来日外国人犯罪情勢」 https://www.npa.go.jp/sosikihanzai/kikakubunseki/R03sotaijousei/R03sotaijousei.pdf
特定の在留資格(技能実習、特定技能、留学)の外国人に対するアレコレ
共通する事項
外国人の失踪の数と在留資格に関するデータ
□ 日本人を含む行方不明者は年間8万人前後。
行方不明者|警察庁Webサイト https://www.npa.go.jp/publications/statistics/safetylife/yukue.html
□ 外国人の不法滞在者の統計は入管に。
本邦における不法残留者数について(令和5年2023年1月1日現在) | 出入国在留管理庁 https://www.moj.go.jp/isa/publications/press/13_00032.html
短期滞在からの失踪が圧倒的に多い。技能実習生と特定活動が同じ程度なのも特徴的。
- (1) 短期滞在 46,590人 (+3,324人)
- (2) 技能実習 7,985人 (+ 281人)
- (3) 特定活動 6,215人 (+ 910人)
- (4) 留学 2,465人 (+ 29人)
- (5) 日本人の配偶者等 1,937人 (- 363人)
トータルでは70491人。
同年の在留資格別滞在者の数は以下に
令和5年末現在における在留外国人数について | 出入国在留管理庁 https://www.moj.go.jp/isa/publications/press/13_00040.html
留学だと、失踪率は 0.7% なので、300人在籍する日本語学校で2人くらいは失踪している計算になる。
□ 技能実習生に絞った統計の推移。
入管のデータ
公表情報(監理団体一覧、行政処分等、失踪者数ほか) | 出入国在留管理庁 https://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/nyuukokukanri07_00138.html
公表情報(監理団体一覧、行政処分等、失踪者数ほか) | 出入国在留管理庁 https://www.moj.go.jp/isa/applications/titp/nyuukokukanri07_00138.html
技能実習生の失踪者数に関する各種統計 https://jsite.mhlw.go.jp/hiroshima-roudoukyoku/content/contents/001232456.pdf
□ 特定技能に関しては調査が見当たらない。
技能実習生のデータは多いが、特定技能などはまだ見当たらない。(特定技能は調査をしない傾向があることに注意)
特定技能の失踪者数は以下の有識者会議で令和4年で76人と少ないということになっています。ただ、令和4年(2022年)は特定技能として入国した人はほとんどおらず、ほぼ技能実習生からの変更などなので(そこそこ続ける意志がある人が主とういこともあり)統計上の数字としてはあまり意味がないです。
技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議(第1回) | 出入国在留管理庁 https://www.moj.go.jp/isa/policies/conference/03_00034.html
□ 留学
留学生の失踪者数は上の「本邦における不法残留者数について」以外では見当たらない。技能実習生が約8000人は過酷な仕事環境など理解もできるが、母数がほぼ同じの留学生の失踪数が2500人前後というのは、かなり多いと言える。日本から海外に留学した学生が失踪するケースなどあっても年数人なのでは?
ちなみに日本語学校は出席管理が厳しく、年760コマ、週20コマの授業のうち、9割以上の出席がマストになっている。出席率によって在留資格の延長に制限があったりと、入管と連携して失踪者を出さないような制度になっている。学校は失踪者を出すと定員が増やせない、学生の審査が厳格化されるなどペナルティを課され、続くと廃校リスクもある。出席率が低く、改善の見込みなしとなると、退学勧告をし、退学後に失踪しないように寮などを監視、場合によっては軟禁状態にして、空港まで送りつける。このプロセスで「手錠」をして問題になったことを覚えている人もいると思いますが、あれは冗談か本気かはわからない、無さそうですが、心情的には手錠をして護送したいという学校は多いと思います。
□ 歴史的経緯
「80年代から増え、93年には約30万人、2000年代前半まで20万人台、2014年に6万人を下回った」
「外国人労働者」から「不法滞在者」へ https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsr/68/4/68_531/_pdf
□ おそらく…
- ネットでは短期滞在からの不法滞在がトップだということは省略されがち。(技能実習や留学を強調するため)
- 入管、警察はもちろん、受け入れ組織、学校は自分のところの失踪者はすべて把握している
- 犯罪や出国時に捕まったりしたら受け入れ組織に確認が入るはず。
留学生や技能実習生、特定技能の人達は職場や日常生活で日本語が上達するはずだ
だから技能実習生への日本語教育サポートは不要だという根拠になっているようなので、補足の意味で書きます。
技能実習生は来日に日本語能力の条件はありませんし、特定技能の来日条件となっている国際交流基金の試験は100時間勉強したくらいのレベルです(中学1年の英語能力くらい)、そして、留学生の来日の日本語能力要件は、50時間くらい。ひらがな、かたかなが認識できて挨拶ができるくらい、といっていいでしょう。
まず、日常生活で言葉を学ぶ基礎的な知識が欠けています。
日常生活はどんなものでしょうか?
アルバイトは会話の練習になるか?
生きた言語は社会の中で学ぶものであって、学校では学べない、みたいなことです。就労系の人は職場で日本語が学べるだろう。留学生はみんなコンビニとか居酒屋でアルバイトをしていて、そこで交流があるだろう。そこで自然に習得し上達する。生きた日本語を学んでいるだろう、的なイメージです。アメリカの大学などの留学生は学内のアルバイトしかできないみたいな規制もあったりするので、そこでゆったりアルバイトをしながら、同世代の人達と会話もする的なイメージもあるんだろうと思います。
結構、外国人政策を語る政治家や関係者にもこう考えている人は多いです。財界の有名人なども現場で覚えればいいだろう、みたいなことを言いがち。実際に技能実習制度や特定技能で日本語学習機会が設けられないのは、こういう理屈が支えていると思われます。
2023年に行われた「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」でも「仕事をしながら日本語は学習すればいい(から日本語学習機会の提供はしなくてもいいのでは)」という意見は散見され、結果、日本語学習機会の保証は行われないことになりました。以下議事録の一部です。
この会議の経緯と議事録はここに記録しています
「日常生活で日本語は学べるだろう」というイメージは、少なくとも日本の外国人の就労系や留学制度では、事実ではないだけでなく、就労系の制度において日本語の学習機会を奪うことに繋がり、留学制度でのアルバイト時間拡大など人手不足利用の拡大に繋がります。非常にマズいのです。いやそうではないのだ、ということはちゃんと説明したほうがいいと思います。
日本人留学生のイメージで考えると間違う。
日本人留学生が海外でそういう経験をしたという話はよく聞きます。しかし海外留学をする日本人留学生は、そこが英語圏なら日本ですでに小中で500時間、高校で+300時間くらいは最低勉強した後ですし、その他の言語圏への留学でもたいていは勉強した後に留学します。話すのが苦手でも、十分に知識はある。もちろん学費ローンを工場のバイトで返済しながら留学する日本人留学生は少ない。しかし、日本に来る留学生は、ほぼ日本語知識ゼロで来ますし、バイトは社会勉強ではなく、借金返済のための「仕事」です。新しいスマホや旅行、車を買うためにしているのではないわけです。
技能実習生、特定技能、留学において働くのは「稼がなければならないから」
技能実習生の仕事はほとんどが単純作業でハードです。仕事中に会話はない。休憩や食事も同じ国の仲間とすることがほとんどです。日本人の同僚やボス、先輩との会話も限られたものだけということがほとんど。週40時間が目安となっていますが、実習生は希望して残業をする。これは特定技能も同じです。
実は、留学生もほぼ同じです。
留学生のほとんどは、午前中授業なら午後から。午後授業なら深夜にアルバイトをする。ここ10年くらいは、もう入学時に働く場所は決まっていて、入学金のローンの契約になっていたりもします。たいていは提携先の企業などの工場、ホテル清掃、食品加工などです。つまり閉ざされた場所で、深夜労働も多い。日本語学校の留学生の生活の実態を知っていれば、バイト先で日本語を学ぶことはほぼ不可能だとわかると思います。
いろんなデータ
少し調べてみました。
令和4年の全留学生(含む大学、大学院など)のアルバイトの種別は多い順に
- 宿泊飲食が34.7%
- 卸売り小売りが21%
- その他が17.3%
- 建設、製造が7.6%
- 教育が6.6%%
です。コンビニは「卸売り」でしょうか。居酒屋や牛丼屋などは「飲食」、ホテル清掃は「宿泊」。「その他」は、クリーニング工場や食品加工、清掃全般などなどが入ると思います。
「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和4年10月末現在)|厚生労働省 <a href=“https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_30367.html” rel=“noopener” target=“_blank”>https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_30367.html </a> 上の別添3「外国人雇用状況」の届出状況表一覧(令和4年10月末現在)[PDF形式:367KB]に留学生のアルバイト状況があります。
これは日本語学校の学生に限ると、おそらくちょっと状況は違うと思います。日本語学校の状況を加味して考えると、おそらくは…
- 日本語学校の留学生の4割はアルバイトをしていない。
- 交流目的でやっている人は15%
- コンビニ、レジなど対人系のバイトに必要な日本語能力はN2
- 1年でN2以上の合格する日本語学校の学生はおおよそ8万人中12000人で、15%
N3くらいなら飲食はやれる可能性はあると思いますし、実際に働いている人は多いはずです。ただ、日本語学校の学生でコンビニなど日本語を使うアルバイトをする人は限られていることがわかります。その他大勢は、居酒屋、引っ越しなど、それほど日本語を使わないアルバイトをすることになり、2年経過してもN3に到達するかどうか、くらいの学生、つまりほとんどの日本語学校の学生は、授業終了後にマイクロバスで提携先(入学時に学費ローンを組んだ際にそこで働くことになっている関係企業の)の工場に「護送され」洗濯工場、食品加工、産廃などの仕事をする、あるいはホテル清掃、農家…etc。ほぼ日本人に人気がない、単調で黙々と作業をするような仕事です。
アルバイトをしなくてもいい留学生は、例えば大学院や大学に直で留学した人、大学の別科の人などが多そうです。日本語学校への留学生も最近はリッチな人がいますが。この人達はその気があれば、バイトをしたり、旅行をしたり、日本人の友人を作ったりと、生きた日本語を学ぶチャンスに恵まれていると言えそうです。後述しますが、調査によると、社会勉強でバイトをしているという層も2割くらいいるようです。
コンビニや外食で日本語の勉強になるか?
洗濯工場ではなく、実際にコンビニや居酒屋で働いても、客や店主と仕事に関わる話しを長々としたり、まして世間話をするみたいなことは無かったりします。弁当を温めながら「何処の国の人?」「スリランカです」などとという会話はほとんど起きないですし、牛丼を盛り付けながら、自国の文化を語るなんてことは無理です。
実際にはコンビニや居酒屋で日本語を話すか?という問題もあります。居酒屋で常連と「元気?」とか「どこから来たの?」などと声をかけられて、一言二言話すことはあるかどうかくらいでは?コンビニで店員や牛丼屋で店員と客が日常会話をすることはほぼ無いでしょう。複雑なオペレーションであることは確かで日本語能力や仕事能力も求められますが、日本語の練習になるかは疑問です。宅急便の受け取り、あたためますか、などなど定型的なやり取りで終わるはずです。
そして、チェーンはとにかく忙しく、そこそこ客がいてもワンオペみたいな話しはよく聞きます。人件費を削るためギリギリまで絞り込まれている。深夜などヒマな時間帯は最小限の人数になっており、ほぼ日本人はいないので、誰かいても同僚の同国人と話すくらいのはずです。留学先でアルバイトで知り合った現地の人と休日に遊びに行く、なんて話しはほとんど聞かない。生活費に加えて、別にだいたい1年で100万くらい(入学時のお金。次の年は進学先のお金)稼がないといけないので、土日もアルバイトをしている人はかなりいます。
社会の中で生きた日本語を学ぶのは、留学では極限られた人達のものだと言えると思います。そして、技能実習生や特定技能でも似たような環境だと思います。黙々と作業をし、昼食時に日本人と雑談くらいはするかもしれない。しかし、就労系の人達は日本語学習機会のサポートがないので、つっこんだ話しにはならない。帰って寮で同じ国の同僚と話す生活でしょう。
社会的な存在である学習者が社会の中で言葉を使う機会はほとんどないのが、日本の留学制度、就労制度だと思います。
当然ですが、上のような状況下では、日本語学校で自宅での勉強を期待するのは難しいです。宿題は出しても復習的なもので、予習的なモノで、それをあてこんだ授業、例えば、反転授業的なことをやるのも難しい。
技能実習生や特定技能の人が仕事以外の時間で日本語を勉強するのはもっと大変です。若いとはいえ、朝から晩まで牡蠣の殻をむいて(どこで日本語会話を体験できますか…)、2人部屋、3人部屋に戻ってから勉強しろというのは酷です。
教室の中のほうが多様でバリエーション豊かな会話の場面、状況を作り出せるということがあるかもしれません。日本語の教材では、買い物や旅行などでも、やたらと会話が出てきます。しかし、実際は今の日本では、買い物はもちろん、旅行でも、ほとんど他人とは会話をしないまま過ごしていますし、話しかけられることも想定していない人がほとんどです。
以下、資料を置きます。
資料
私費外国人留学生生活実態調査(文科省)
上の厚労省の数字は届出なので正確ですが、こちらはアンケートで、職種もちょっと細分化されています。留学生の4割はアルバイトをしていない、みたいなことも、この調査でわかります。あとアルバイトをする理由などもあります。
|留学生に関する調査|日本留学情報サイト Study in Japan https://www.studyinjapan.go.jp/ja/statistics/seikatsu/index.html
https://webjapanese.com/blog/j/wp-content/uploads/2023/12/20240105055217.png
日本語学校の留学生の6割がアルバイトをしています。意外と少ない。
次は種類。これは日本語学校だけの数字は出てません。おそらく大学や専門学校生と較べると肉体労働系が多いことは想像できますが、コンビニ、飲食業が6割。
https://webjapanese.com/blog/j/wp-content/uploads/2023/12/20240105055414.png
時間は学校別になってます。専門学校生と日本語学校が突出して多い。つまり、日本語学校ルートの留学生のマジョリティである日本語学校→専門学校で滞在中に稼がなければという学生ですね。
https://webjapanese.com/blog/j/wp-content/uploads/2023/12/20240105055559.png
アルバイトをする理由は、当然「必要だから」が多く、日本人との交流目的ではないわけです。
https://webjapanese.com/blog/j/wp-content/uploads/2023/12/20240105055910.png
以下は2015年のアルバイトに関する論文です。コンビニやレジは日本語能力試験N2が必要とのこと。そうなると日本語学校の学生でやれるのはごく一部ということになります。
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2015/09/pdf/098-115.pdf
多分、本来なら、アルバイトや学校以外の時間で言葉を学ぶことはもちろん可能だし、有効なはずです。現地にいるんですから、日常生活で学ぶ姿勢は重要です。海外ではできない多様な日本語表現に触れるチャンスです。でも、今の就労や留学の制度はそういう環境ではないんですね。残念ながら。まずは、そういう環境にするために、どういうことが必要かを考えるのが大事だと思います。
就労系(技能実習・特定技能)の外国人に関するアレコレ
技能実習制度の関連企業の労基法違反率は高いのか?
立入調査をする2つのケース
労働基準監督署が立入調査をするケースは大きく2種類あるようです。
- 定期的な検査
- 通報を受けた立入検査(その会社の従業員からの調査依頼や労災申請があった場合)
1)は、労基署が毎年、数を決めてやる調査です。事前に通知する場合もあれば、連絡無しでやるケースもあるとのこと。まったくのランダムではなく、匿名の通報など通報も「ある程度」参考にされるとのこと。これは「すべての会社の平均」ではなく、問題の可能性があるところの平均、だと考えることができます。
技能実習生制度の場合、特別枠として、厚労省は定期的に全国の事業所(1万弱)を対象に調査をしているようです。これは今後、特定技能でも、当然、必要な調査であると思います。
2)労基署への通報は匿名でメールなどでもできますが、基本的にはその会社の従業員だとわかっている通報が優先されると言われています。匿名メールなど通報の方法は公的な相談窓口や通報先などで少し書いています。
一般の違反率は
技能実習制度だけではない、日本国内すべての平均を調べてみます。
全国の違反については、これまではだいたい70%前後という調査がほとんどです。
労働基準監督年報|厚生労働省によると最新(令和元年、2019年)では平均が70.9% ですが、技能実習制度が集中する製造業や土木工事などでは、やや悪く80%近くになっています。金融業でも4割が違反、広告系も7割、医療も観光も7割、官公署でさえ4割が違反です。
以下は少し前、平成26~27年(2014~15年)の結果をまとめたページです。
定期監督の流れと,労基署の調査の件数の状況を教えて下さい。 | 労働問題|弁護士による労働問題Online
地域差
この調査の結果は地方自治体別でも発表されます。大都市で70%ちょっと。
2019年の東京は72.5% 東京都内の労働基準監督署における平成30年の定期監督等の実施結果
同年の高知は66.7% 労働基準監督署における定期監督等の実施結果を公表します
👉 ただ、これは2020年は54.3%になっています。コロナの影響なのかはわかりません。他に平均で60を切る結果はないので、比較として使う場合、参考にするのは要注意の数字という気がします。
👉 「労働基準監督署 定期検査 結果」などで検索すると多数ヒットします。労基署対策は一大ビジネスになっているので情報も多いです。
技能実習生の職場の違反率
全国を対象にした調査も厚労省から定期的に出されています。毎年8~10月に発表されます。調査対象は1万弱。これも結果は、現在70%前後です。ほぼ一般の平均と同じと言ってもいいと思いますが、上の「技能実習生制度が集中している業種の平均」と比較すると、やや良いような気もします。
以下は2013年~2017年までの推移です。
👉 【別紙】外国人技能実習生の実習実施機関に対する監督指導、送検の状況(2017年、平成29年)
2020年の調査は以下にあります。71.9%とのこと。
外国人技能実習生の実習実施者に対する平成31年・令和元年の監督指導、送検等の状況を公表します:9,455事業場(実習実施者)のうち6,796事業場(71.9%)。
👉 「外国人技能実習生の実習実施者に対する~」というタイトルで毎年公表されるので検索してみてください
→関東地方限定ですが、2019年の厚労省の労基法違反の現状のレポートがあります。
厚労省による関東の現状(2019)厚労省資料 技能実習制度の現状
例えば2021年の9月に報道されたこの記事 外国人実習生が働く事業所を立ち入り調査 70%で違反を確認 | 技能実習生 | NHKニュースは、「厚生労働省は実習生などから相談や通報を受け去年1年間に全国8124の事業所に労働基準監督署による立ち入り調査を行いました」とあります。調査の対象の事業所の数は2018年で9,455でしたので、おそらくこれは例年の定期調査と同じく、全国を対象にしたものだと思います。なんらかの問題の可能性があるところの調査なので、上の一般的な調査と同じ条件です。それが70.8%とのこと。この結果も一般の平均とほぼ同じと考えることができます。上で述べたように業種別で考えると、一般の調査と較べると、ややいいほうかもしれません。
さらに詳細な検討
技能実習制度の労基法違反が7割程度だというのは毎年定期的に調査があり報道され、そのたびに「やはり技能実習制度は問題だ」とSNSでも取り上げられるが、近年は、一般の企業の労基法違反の比率とほぼ同じ調査ということが浸透しつつあり、ここだけをピックアップする人は少なくなっていった。
21年9月に、技能実習制度の関係者によって検証された連ツイが投稿された。
技能実習の7割が労基法違反について①
— border(HIRAI TATSUYA) (@border0023) August 28, 2021
昨日外国人技能実習生の実習実施者に対する令和2年の状況が公開されました。この報告で技能実習受入企業7割が法令違反と毎年技能実習が批判されますが、日本企業全体での違反率も7割で差はありません。 #技能実習 #労基法違反https://t.co/wxkjpfTcPU
「以上、定期監督等で7割が違反という事実のみでは日本企業全体との比較で技能実習が劣悪な環境にあるとは言えないかと思いますが、違反件数や申告監督の状況から問題があるという指摘はできるかと思います。」
国際交流基金関係者のポジショントーク
2018年から、国際交流基金は、特定技能の予算(年間5~10億単位となっている)で『いろどり』を作成し、関連の試験の運用もまかされています。これらは日本語教育の法律が整備される直前で、ほぼ官邸主導で進められました。
2010年代、一般的に批判の対象となった技能実習生制度への批判は基金関係者もポツリポツリと言及していた程度でしたが、基金が本格的に特定技能に関わることになった2017年前後から技能実習生への批判は激しさを増しています。一方で、特定技能に関しては、ネット上で問題点を指摘したり、トラブルの報道に言及することはほぼありません。特定技能は転職も可能で移民を推進する制度で、労働環境も解決するという主張が繰り広げられます。基金は2010年代以降、電通との協力関係も強めていますが、電通の深刻な労基法違反と数々の事件についてはスルーでした。
1件でも労基法違反なんてことがあっちゃいけないんですよ。とのこと。しかし、官公庁でも違反率は30%前後で、日本の企業の平均は70~80%なので、無理です。
外国人の労働災害は多いのか?
これも、時々、語られますが、比較の対象が一定でないという問題があります。きちんと正確な比較をすれば、上の労基法違反と同じく、たいして変わらないという数字になるはずです。重要なテーマなので、きちんと信頼できる調査をしなければならないはずです。
よく引用されるのは以下の記事です。2023年6月の記事です。
外国人労災の死傷者数は過去最多 コストと天秤にかけられる技能実習生の命(今野晴貴) - エキスパート - Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/e0452811e5d8c48b0dd06e955e2072fdfabe82f1
この「外国人労働者の労災発生割合は日本人を含めた全労働者よりも高く」というのはダウトです。
比率と数の使い分けが変
「2022年は前年比でみたときに231人(+5%)の増加となっている。以下のグラフからもわかるように、外国人労働者の労災事故は増加傾向にあり、過去10年で2倍にまで増えている。」
2022年はコロナ後、人が入ってきたタイミングなので増加は当然という気がしますし「過去10年で2倍に増えている」と、ここは急に比率ではなく数ですが、これは過去10年で外国人労働者の数自体が2.5倍になっているので、2倍はむしろ減っているのでは?となります。
比較の対象も妥当性を欠く
上の23年6月の文中では
「昨年の外国人労働者数は1,822,725人で、労災事故発生率(千人率)は2.64だったが、これは全労働者(56,990,000人のうちの死傷者数132,355人)の発生率である2.32を上回っている。」
とありますが、注意深く読めば、外国人労働者はほぼブルーカラーなので、ホワイトカラー、公務員など含むすべての数と比較するのは妥当ではないことに気づくはずです。ここはブルーカラーとの比較にすべきですし、さらに製造業、建設業と業種別に比較すべきです。なぜなら業種によって労働災害は極端に違うからです。だれでも事務職より現場作業のほうが労働災害は多いだろうということはわかるはずですし、製造業、建設業は「労働災害」などのワードと共に検索すれば、特に労働災害の発生率が極端に高いという記事がたくさん出てきます。
この文章は本当の数字などを調べなくても、文章だけで、変だなと気づくレベルのものです。リテラシーの教材のサンプルみたいな内容です。
調べてみる
「労働災害発生率」の話になりますが、まず正確な数字は以下にあります。
労働災害発生状況|厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei11/rousai-hassei/
令和4年の確定値でみてみます。
令和4年労働災害発生状況の分析等 https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/001099504.pdf
例えば陸上貨物輸送は全災害率の2.3%前後に較べて8.5%前後になっています。
建設業の例
外国人労働者への依存度が高いのは製造業、建設業です。ただ、建設業は7%なので、労働災害の被害者の93%は日本人労働者ということになります。
「外国人雇用状況」の届出状況まとめ https://www.mhlw.go.jp/content/11655000/001044543.pdf
労働災害は製造業について多いこともわかります。全産業の災害の3割が建設業。
建設業における労働災害発生状況 https://www.kensaibou.or.jp/safe_tech/statistics/occupational_accidents.html
建設業の労働災害発生状況(令和5年) https://jsite.mhlw.go.jp/hyogo-roudoukyoku/content/contents/001700540.pdf
元記事では「発生率がもっとも低いのは「資格外活動」の在留資格で働く人であるが(0.70)、これは資格外活動というのは主に日本語学校などの留学生によるコンビニや飲食店、スーパーなどでのアルバイトが多いため、それほど高い水準ではないと考えられる。」と業種が違うから発生率が低いのだ、と業種による違いを理由として述べているのに、同じく、業種によって、製造業や建設業が多いと思われる外国人労働者の災害発生率が高いことは意図的に触れないということになってます。アンフェアなロジックだと思います。
「「技能実習」の3.79であり、労働者全体の1.6倍、外国人全体の1.4倍もの数値となっている。」となっていますが、これもこれまで書いてきたとおり、ブルーカラーの発生率との比較ならば、ほぼ同じはずであり、「外国人全体」の比率より高いのはブルーカラー労働だけに絞られるから、なのは明らかです。
外国人労働者の災害が多いもうひとつの理由
もう一点、ブルーカラーの作業中の単純な事故は、仕事の労働災害は仕事に不慣れな若い人、新人に多いということもあります。熟練すれば事故は避けられるし、事故が少ない持ち場になることも多い。ただし、年齢と事故の関係は、熟練者が最も多いとなっています。(この表からも製造業と建設業でいかに労働災害が多いかがわかると思います)
30代になって重要な持ち場を担当することになるから災害率の増加となるということはあると思います。ただ製造業や建設業、農業では、全体の比率に較べると、30代の増加がゆるやかです。これは熟練によって事故を回避できるようになるということがあると思います。そういう現場で働いた経験がある、もしくはみじかにそういう環境がある人はわかるはずです。
記事内で扱われている切断などの事故は、外国人、日本人に関係なく、仕事に慣れていない人が遭遇する種類のものですから、来日し3~5年で帰国する技能実習生や特定技能の外国人に目立つのは仕方ないと言えます。
印象操作的な主張は信頼を失う
外国人の労働環境が劣悪なのは問題です。しかし、そのほとんどは、日本の労働環境そのものの問題であって、外国人だから、という要素は少ない。無理に数字を操作して印象を作ってしまうと、(そのほとんどは単純なすり替えのようなものですし)「違うではないか?」と猜疑が入れば、他の外国人の労働環境を改善しようと、これまで頑張ってきた人達すべての信頼に傷がつきます。
外国人の労働環境を改善すべきだ、という主張が正しくても、意図的にアンフェアな数字の取り方で印象操作をするのはルール違反です。しかも、これはとても初歩的なルール違反でもあり、文章を読んだだけで、変だなと気づく、しかし調べる所までやる人はいないので、スルーされる。結果、変だと気づかない人が拡散するだけで終わってしまう。
「外国人労働者は劣悪な環境にいるのだから、細かいこと言うヤツは、それでいいと言うのか?」みたいな人もいますから、主張自体に猜疑を挟むような「印象」をもたれることも怖いという心理があると思います。
しかし、この種のことは、きちんと、誰もが納得できるロジックで主張してほしいのです。
こういうことを続けると、まず、リテラシーの高い人達からの信頼を失ってしまう。長い目でみたダメージは大きいです。
👉 もう一点、上のヤフーの記事の文中には特定技能が出てきません。技能実習制度への批判だけしたい人には引用されがちということがあります。この記事だけ、(特定技能の予算で仕事をしている)国際交流基金関係者によって拡散されるのをよく目にします。言うまでもなく、就労系の外国人の問題技能実習制度でも特定技能でも関係なく起こっています。
👉 poseは外国人問題への言及が多いですが、日本語学校の訴訟などのクラウドファンディングでも、結局和解で、その後の報告だけで終わりとなったりと時々「?」なことがあります。この件は制度上、教育機関である学校が失踪を監視しないといけない構造になっていることが問題であることは日本語学校の事情を知っている者ならわかるのではと思います。個別の学校の対応をターゲットにして問題視することに終始するのは疑問でした。 また、上のクラファンでは「同様の問題を抱えていたり、より酷い状況にある外国人労働者から相談が寄せられ、サポートを開始しています。クラウドファンディングで集めた資金は、こうした取り組みにも活用させていただきます!」(主催者のツイート) とこのクラファンで集まったお金をこの目的以外の、組織の活動資金にも使うということが示唆されていました。これはクラファンが持つ「目的を決めて資金を募る」というフォーマットにおいては、ルール違反ではないかと感じました。「組織のその他の活動」のために寄付をしたわけではないでしょうし。
👉 90年代以降、外国人労働者が働く場所は、高度成長期から進学出来ず就職した人達(今の超高齢世代です。こういうことを問題視する人達は大卒の家系で周辺には居ないのかもしれませんが)が、縫製工場や製造業で酷い待遇で働かされていた場所でもあり、長く日本の労働問題として残り続けているもので、下請け、孫請けへと圧力がかかっていくという産業全体の構造問題でもあります。外国人の労働問題としてだけ扱われ、矮小化されるという点も気になります。
特定技能の関連企業の労基法違反率は技能実習生より高くなる可能性がある
どうやら、厚労省は、特定技能は技能実習制度のように別枠ではなく、「専門的・技術的分野の在留資格」に含める、つまり、一般の技人国に含めることにしたようなので、おそらく特定技能の調査は行われない。つまり、特定技能の労働環境は、ブラックボックス化したとも言えるし、あるいは、一般の違反率と同じともいえる。
「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末時点)|厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_37084.html
別添2「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(令和5年10月末時点)[PDF形式:1.5MB] https://www.mhlw.go.jp/content/11655000/001195787.pdf
別添3「外国人雇用状況」の届出状況表一覧(令和5年10月末時点)[PDF形式:563KB] https://www.mhlw.go.jp/content/11655000/001195789.pdf
留学生に対するアレコレ
外国人留学生は多額の奨学金を得ている
計算方法によって若干違いはあるようですが、基本、総額で200~250億前後です。
よく留学生は奨学金が使われている。それを日本人に回せみたいなことが定期的に出回りますが、国のお金はきちんと報告されるので、ハッキリしてます。
年によって多少変わりますが、例年、ほぼ同じで、令和元年で
- 日本学生支援機構 貸与奨学金総額 9,720億円
- 外国人留学生対象 給付奨学金総額 241億円
です。2.4%ぐらいです。
【資料】
奨学金はJASSOです。 業務に関する情報 | JASSO https://www.jasso.go.jp/about/disclosure/gyoumu/index.html
会計検査院にも報告されています。
「外国人材の受入れに係る施策に関する会計検査の結果について | 検査要請 | 会計検査院 https://report.jbaudit.go.jp/org/r02/YOUSEI4/2020-r02-Y4000-0.htm
外国人材の受入れに係る施策に関する会計検査の結果について | 検査要請 | 会計検査院 https://report.jbaudit.go.jp/org/r02/YOUSEI4/2020-r02-Y4029-0.htm#NUM1-2
【記事】
「外国人留学生に毎年380万円を返済不要で支給」は誤り。「5千億円使われている」と拡散、16年前からネットに https://www.buzzfeed.com/jp/kotahatachi/jasso-fc-1
外国人留学生への奨学金は、だいたい総額で180億円というのが正解のようです。これはドイツやフランスより少なく、イギリスの半分、アメリカの3分の1です。2023年に226億円になりましたが、それでも同じ。
「外国人留学生は税金で月13万の生活費が支給」拡散した情報はミスリード「受け入れ反対」などと広がったが… https://www.buzzfeed.com/jp/harukayoshida/foreign-students
「日本人への奨学金予算が70億」という画像はミスリード。22年度予算と誤認する可能性 | | Wasegg https://wasegg.com/archives/5438
【参考】海外の国々は留学生にどのくらい奨学金を出しているか?
日本より圧倒的に多いです。
「国費外国人留学生制度の成果・効果に関する調査研究」 https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/itaku/__icsFiles/afieldfile/2011/06/16/1307282_4.pdf
一見、日本の奨学金は多いようですが、ドイツ、ノルウェー、アイスランド、フィンランド、ポーランド、チェコは大学の授業料は無料でそれを国民が税金で負担しているので、4年の学費が400万として留学生1万人あたり400億の税金が使われているという計算になる。つまりドイツは400億×3.2で、1300億。
他の欧州の国々は、格安(1000-3000€/year。だいたい年10~40万)なのは オーストリア、フランス、イタリア、スペイン、ベルギー、ロシア、スイス。日本並みなのは、デンマーク、アイルランド、オランダ、スウェーデン、イギリス
イギリスは例外的に圧倒的にブランドがあるので王様商売をしている感があります。
ちなみにアメリカは2022年のデータで、国内外での(留学生だけではない)返済不要の国の奨学金は 総額で $46 billion(460億ドル=約6兆円)だいたい4年で$13,690(200万円)くらい支給されるのが普通とのこと。 College Scholarship Statistics [2022]: Yearly Total + Analysis https://educationdata.org/scholarship-statistics
👉 先進国がなぜ外国人留学生に奨学金を出すのかの理屈は、わりと直球のきれい事で出来ており、「運良く先進国などと称しているが、自分の国は多くの国からの搾取で成り立っていることが事実で」「自国の進んだ環境で勉強する機会を与える義務がある」と考えていることが多いです。特に欧米各国は、奴隷売買という歴史への反省という意味あいも濃いです。日本のように国の公文書で親日家を養成するみたいなことは、あまり言わないのが普通です。
特に中国人留学生は優遇されている
これも、時々SNSなどで語られますが、違います。日本人留学生が中国政府から得ている奨学金と同じくらいです。
これは2013年に当時の文部科学大臣だった下村博文氏がわざわざ記者会見をして否定しています。 https://archive.is/j1Yoz
中国籍の国費留学生は全体の16.4%で、1400人ちょっと。比率に応じて支給されているだけ、ということでした。他国と比較しても留学生のうちの国費留学生の比率はかなり低く、つまり「中国人留学生のほとんどは私費留学生で、他国と比較しても日本の奨学金に依存する比率はかなり低い」ということになります。
文科省のサイトでも詳しく説明されています。
国費外国人留学生の受入人数について:文部科学省 http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/ryugaku/1338568.htm
👉 逆に、日本から中国への留学は、中国政府のものや、日中友好協会のものなど、かなり手厚い補助があるようです(枠は少ないですが、今、中国は日本と違って世界中から留学希望者が押し寄せているので。。。)。日本人学生は国費留学で海外に行くケースは多く、その総額は大きな金額になるはずです。
つまり中国からの留学生は日本の留学史上ずっとトップで年10万人以上ですが、日本政府の奨学金を得ているのは1%以下で800人くらいです。日本政府の留学生への奨学金が仮に250億とすると2億5000万円くらい。これは後述する中国政府から日本人留学生が得ている額と同じくらいです。
【参考】中国政府から日本人留学生は多額の奨学金を得ている
ちなみに、中国への留学の中国政府の奨学金制度は1970年代から続いており、日本からの枠は100名前後で、学費全額免除、寮費、医療保険費免除で、滞在中は生活費は月3000元(6万円)前後支給される。1年で学費が100万くらい、生活費その他でやはり100万相当として計算すると、200万円×100人で2億くらいが日本人留学生に使われているようです。
日本から中国への留学はコロナ以前はだいたい7000~8000人。 日本人学生留学状況調査|留学生に関する調査|日本留学情報サイト Study in Japan https://www.studyinjapan.go.jp/ja/statistics/nippon/index.html
このうち中国政府が国費で奨学金を出しているのは、300人くらい? だいたい3.7%で、 日本で日本の奨学金を得ている中国人留学生の比率の0.7%の約5倍になります。
その他、実質政府支出で、同額くらいの奨学金枠が数十名あり
国際中国語教師奨学金留学プログラム | HSK 日本で一番受けられている中国語検定 https://www.hskj.jp/koushigakuin-syougakukin_ryuugaku-program-2/
省ごとの奨学金や友好協会によるものもある模様。
中国政府奨学金 | 中国 | 外国政府等の奨学金 | 海外留学のための奨学金 | 海外留学支援サイト https://ryugaku.jasso.go.jp/scholarship/scholarship_foreign/china/scholarship_cn/#l
中国の留学生数は50万人を突破し100万人を超えそうですが、現況は以下のとおり。
【19-08】訪中留学生50万人の全体像 | SciencePortal China https://spc.jst.go.jp/experiences/education/education_1908.html
留学生*万人計画は国が勝手に決めた
→ 中央教育審議会で全会一致で賛成可決されている。日本語教育学会も常に支持を表明しています。
1983年 留学生10万人計画(中曽根内閣)
当初の「留学生受入れ10万人計画」の概要 https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/007/gijiroku/030101/2-1.htm
中央教育審議会大学分科会留学生部会(第10回)次第-資料2:中央教育審議会大学分科会留学生部会中間報告骨子案「新たな留学生政策の基本的方向について」 https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/007/gijiroku/03072202/001.htm
2008年、留学生30万人計画
日本語教育学会もたびたびこの種の計画には賛意を示しています。日本語学校、大学、専門学校、すべての後押しでスタートしたと言ってもいいと思います。
留学生獲得を中韓と競っている
日本語教育の世界は政治と接する際に、よく「このままでは中国や韓国に~」と言うことがあります。2010年代の国際交流基金の予算がからむ文書やプレゼン資料にもよく出てきますし、コロナの時の日本語学校団体の陳情でも「このままでは中韓に遅れをとる」が常套句でした。実際にそれを真に受ける政治家も増えており、効果があると考えられているようです。
しかし、21世紀に入ったころから世界の中国語学習熱は別格で、もはや英語に次いで学習されている言語と言ってもいいと思います。中国の留学生数は50万人を突破し、100万人を目指せば簡単に達成しそうです。しかも、中国の留学生はアルバイトは完全に禁止。つまり純粋に留学目的で、世界最長の週28時間のアルバイトが可能な日本の留学生数とは比較するのもおこがましいカンジです。
そして、2010年代にはいってからは、韓国の背中も見えなくなりつつあります。
Googleトレンドで、日本語、中国語、韓国語の検索数を比較してみます。
2004年から2022年までの検索の推移
https://webjapanese.com/dokuhon/files/GTgengo01.png
基本減少傾向で、いずれも21年夏にデルタで落ち込んでますが、韓国語学習熱が元々強く「コロナで韓国語に流れた」とだけ言うのは無理そうです。
2017年から2022年までの5年間の推移
https://webjapanese.com/dokuhon/files/GTgengo02.png
こちらは直近5年の比較。2018年前後に韓国語がピョコンと出てるのは多分、BTSなど米国でのKPOPブームの影響?2020年代に入り日本語に差を付け始め、その後コロナ下で引き離してからは圧倒し、日本とダブルスコアです。この検索数では現れない世界の中国語学習熱は別次元はともかく、韓国語の背中も見えなくなりつつあるというのが実態なのではと思われます。
同時に、海外におけるソフト戦略というものがいかに風頼みのものかという気もします。どこかと競うより、世界の学習の下支えに徹する方向に戻り、日本語国内の日本語教育の充実に重心を置いたほうがいいのではという気がします。
中国:海外留学生受入数がアジアトップの48.92万人に | 高等教育質保証の海外動向発信サイトQA UPDATES https://qaupdates.niad.ac.jp/2018/09/20/china-internationl-students/
韓国・コロナ禍でも学位取得を目指す留学生は増加、その秘訣は?|韓国コラム&リポート|Science Portal Korea 韓国の科学技術の今を伝える https://spap.jst.go.jp/korea/experience/2022/topic_ek_26.html
他の言語圏の留学生政策は?
豪州、カナダなどの英語圏にも、日本語学校と同じような進学前提で在留資格を出す語学学校がありますが、英語圏以外はライバルではなく、英語圏内では競争がありましたが、2020年代に入り、英国は厳格化、豪州はかなり抑制ぎみで、競争しているというよりは、抑制しつつ、いいところ(といっても50~100万人くらいでアジア圏より多い)で調整しているという印象です。
留学生は滞在中のバイトで母国に仕送りをして家を建てたりしている。
これは、当然、調査も統計もないので、実態はわかりません。ただ…この件は…移民反対賛成は関係なく、正当な方法で稼いだお金の使い道をどうこう言うのは、いくらなんでも、あまりにケチくさいのでは、という気がします。最近はSNSやメディアの記事も自動翻訳で海外で読まれますし、国内の外国人ジャーナリストは当然、こういうことが言われていることを知ってます。こういうことが言われてることが海外の人達にバレませんように…と思います。
この種の話、海外で聞いたことがないです。日本を含め、先進国は、今、海外で製品を作って為替格差で利益を出しているわけですから。為替格差で得をしたことをアレコレ言う資格は無い、くらいの自覚はあります。麻薬売買で豪邸買ってるから批判されるみたいなことはあるとしても。
稀にそういうケースがあるようですが、基本、ほとんどの学生は、全然そんな余裕はないと思います。しかし、仮にあったとしても、日本語学校と専門学校で合計4年間異国に滞在して日本語学校と専門学校や大学に400万くらい払って、毎月10万円近く国内で消費し、いろんなところで労働力として貢献し、日本語も勉強している。余分なお金を母国に仕送りして、たまたま為替格差で母国で家が買えたとして、誰か不幸になる人はいるでしょうか?と個人的には思います。これは単に「家族思い」なのでは?
貧しい国の学生が多いから学費が安い
時々、日本語教師の待遇の悪さの理由としてあがりますが、学費は予備校などと較べて安くありません。
入学金とか選考料、設備費などと言って10~15万前後、1年の授業料は70万ぐらい。大学や予備校の浪人コースとほぼ同じです。日本語学校で日本語教師養成講座(こちらも入学金は5~10万で、授業料は60万くらい)は、教室あたりの人数も講師の資格もほぼ規制がないので、やりようによってはかなり利益がでるはずです。(加えて、非正規雇用の比率が7割で、時給も給料も最低レベルです。)
日本でビジネスをする限り、人件費などかかるコストは国内の民間の予備校などど同じですから、当然、学費も似たようなものになります。
東南アジアで日本語ブームだ!
この種の記事は人気が高いので多いですが、残念ながら、そうでもありません。英語は突出しており、中国語熱も高い。ずっと離れて、韓国語と日本語が…くらいです。欧州北米でも似たようなものです。
ベトナムでは日本語が第一外国語だと報じられたりして、ベトナムの子供がみんな日本語やってると思われているようですが、正確には「ベトナムの第一外国語のひとつになった」です。外国語は選択制で、英語を選択する児童が98%。ついでフランス語で、日本語はその他の外国語のひとつです。
アジアでは、海外は外国語の採用などは国単位ではなく州単位であることも多いので日本企業が進出したところでは企業が援助をして公立学校で選択科目のひとつとしてやることになったりはするようです。 ネパールは国際交流基金の学習者調査では、4000人くらいですが、日本には16250人留学しています(普通は留学生数は学習者数の1割くらいです)。明らかに無理やり留学させていることは数字でハッキリ出ています。人口比でいうと日本語学習者が多いのはこれまでも、今も、おそらく今後も中国、韓国、台湾です。特に韓国は減っているとは言っても依然として学習者数は人口比では突出して多いです。
ベトナムの言語教育政策― CEFR の受容と英語教育、そして少数民族語 ― https://www.tufs.ac.jp/common/fs/ilr/EU_kaken/_userdata/haida1.pdf
日本語のオンライン学習者は数千万人単位で存在する。
これも、「そりゃそうだろう、なんせ日本だからな!」とイイネされ引用されやすいですが、事実ではありません。しかしどこが違うかを指摘する人はなかなか出てきません。この種の飛ばし言説は否定が面倒くさく、否定しても誰も喜ばないからです。しかし、正確なことを知ることは大事です。大本営発表的なものがいいことに結びついた試しはありません。現実的な対応が遅れるだけです。
学校などで日本語を勉強しているのは国際交流基金の3年ごとの調査で、ここ10年くらい、世界でだいたい350万人くらいで推移しています。
2015年から減少傾向で、このころから、国際交流基金は、この数字に加えて、「いやネットにはもっと学習者がいる」と発信するようになりました。どうやら上の調査の10倍はいると主張したいようです。確かにネット上のコンテンツを使って自分で勉強する人はどんな言語でも増えているはずです。しかし、これも、誇大広告といっていいと思います。
この種の飛ばし記事的なものに往々にして欠けているものですが、そもそも、まず、以下のことが思い浮かぶ必要があります。
- 「**語学習者」の定義が決まってないと数は数えられることはできない。
- 語学の学習者数の定義はいつにするかによって全然違う。やってみようかな、くらいの人を入れるか、ある程度のレベルまで行った本気の人で足切りするかなど。
- 語学によって本気度が決まるラインは違いそうなことを無しにして無理に定義を決めるとして、その定義で数えてくれる人がいない。
つまり、本当の数はわからないわけです。タイトルのように日本語学習者が数千万いるというラインなら、多分、中国語学習者数は数十億人いることになると思います。英語が60億くらい? こうなると数字に意味があるのか?となるわけです。ちなみに、国際交流基金の無料の日本語学習サイトのPVは最も多いもので、月20万人くらいです。仮にネット上に数千万人日本語学習者がいるなら、月500万人くらいの訪問者がいるはずです。
数千万人の根拠は、Duolingoなどオンライン学習者数が根拠になっています。以下、それもちょっとだけ検証してみます。
オンライン学習、Duolingoと国際交流基金の「みなと」は始める人は多いが修了する数は極小
オンラインで日本語学習者の登録数が公開されているものでは、Duolingoがあります。「数千万人」もこの登録者数が根拠になっています。
あと国際交流基金のみなとを例に考えてみます。最初に重要なことを書くと、どちらも中級手前くらいがゴールですが、修了する人はほんのわずかです。どちらのオンラインコースも修了は、初級の途中くらいがゴールですが、みなとの修了率の平均はだいたい5%で、Duolingoの修了率はすべての言語の中のワーストで、0.015%程度。ちなみに他の言語でも修了率は数%なので、オンラインのコース学習はそもそも成功していないと考えるのが基本で、中でも日本語は成功しているとは言いがたいと思います。
つまり、日本語は始めようと考える人は、ネットには、確かに数百万単位でいる。でもゴール(初級修了前あたり)まで行く人は百万人のうちなら150人です。おそらく最初のひらがな、カタカタをクリアして挨拶くらいまで行く人も1万人くらいなのではと考えるのが自然です。日本におけるドイツ語とかインドネシア語くらいの存在感だとして、やはり始める人はそこそこいても、「学習者」の定義をある程度本気でやる人にするなら、
日本語学習者の「本当の数」を試算したのものは以下にあります。
日本語教育業界に対するアレコレ
ここは一般の理解も低いので、基本的なことを中心にまとめます。
国籍と日本語が母語であるという条件がある求人問題
日本語教育の参照枠は、日本語を教えることに関して何か条件を課すべきという記述は無いようですし、新しく始まった登録日本語教師でも国籍や母語によって制限はありません。ただし、個々の日本語教育機関が求人の際に、どういう条件を課しているかはわかりません。
国や地方自治体の募集ではほぼ見かけません。
しかし、日本の官庁の元での日本語教師や日本語教育関係の仕事の募集には、日本国籍でないと応募できないものが多数あり、中には日本語が母語であることという条件もあります。母語の定義やその判定方法などは公開されていません。以下はその代表的な例です。
- 文化庁の日本語教育コーディネーターは日本国籍必須。
- 国際交流基金の日本語専門家、JICA、EPAの日本語講師、日本語パートナーズなど外務省関係はすべて国籍と日本語が母語であることが条件1となってます。
- 国際交流基金が2022年に始めた特定技能関連の海外派遣スタッフでる生活日本語コーディネーターも日本国籍と「日本語母語話者であること」が条件
- 経産省が募集する日本語講師は国籍、母語関連の条件に無い。
- 法務省の外国人支援コーディネーターにも国籍母語関連の条件は無し。
- 文科省の登録日本語教員と認定日本語教育機関の設置者は国籍も母語も問わないことになってます。
国際交流基金 – 2022年度海外派遣 生活日本語コーディネーター 公募のお知らせ https://www.jpf.go.jp/j/about/recruit/n_coordinator2022.html
国際交流基金の海外派遣で日本国籍と日本語が母語であることが必要なのは日本語教育関連のみ?
国際交流基金の海外派遣は日本語教育の他にもいろいろあり助成もありますが、国籍と母語が要件になっているものは見当たりません。芸術関係の留学などでも国籍が要件になっているのを聞いたことがありません。
国際交流基金 – 文化芸術交流[文化] https://www.jpf.go.jp/j/program/culture.html#cul_1
ちなみに、独立行政法人は国籍関係ないですし、そもそも日本語専門家もパートナーズも雇用関係ではなく、業務委託契約なので、日本国籍と日本語が母語という条件は業務を委託した国際交流基金が独自に付け加えたものだと思います。
参政党は独立行政法人の職員は日本の国籍であるべきだと国会で質問していました。国際交流基金は参政党の主張に近い組織だとも言えそうです。
【質問主意書】 公的機関の職員の国籍に関する質問主意書 | 参政党 https://www.sanseito.jp/news/7446/
質問主意書:参議院 https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/211/touh/t211109.htm
独立行政法人通則法 | e-Gov法令検索 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=411AC0000000103
まとめ
国籍が要件ということは、特定技能などで得られる在留資格である永住者となっても、昔から日本に住み、日本で生まれ育った特別永住者であっても応募できないということです。日本語が母語である必要があるということは、帰化して日本の国籍を取得しても、本人はもちろん、その子孫も、日本語が第一言語であると認められないと応募できないということです。日本語が第一言語であるかをどう判定するのかはわかりません。
たかだが一行政法人の事務手続き上の都合で、在日韓国朝鮮人など特別永住者、その他の永住者、定住者の人が国の関連組織で日本語教育の仕事につけないことを正当化する理由にはならないはずですが、日本語教育業界では、特に問題視もされないままでした。
国際交流基金は、海外のノンネイティブの日本語教師の指導も担当しており、日本語教育において教える立場の人の母語の違いは関係がないという立場なはずですが、仮に、その研修を受けた海外のノンネイティブの日本語教師の人達が日本に移住しても国際交流基金の仕事に応募することはほぼ無理なわけです。永住して家族を持っても日本語が第一言語ではないと判断されたら国際交流基金では働けないということは、知っているんでしょうか?
他の仕事で翻訳作業をしていたので、ついでに英語、フランス語、スペイン語、中国語、インドネシア語、ベトナム語に訳してみました。
文化庁の日本語コーディネーターの国籍要件も理解できない
同様に文化庁の日本語コーディネーターの応募条件が日本の国籍マストであることも、多文化共生を担う仕事としては大きな矛盾といえます。後発の法務省の外国人支援コーディネーターに国籍要件がないことを考えると文化庁の黒歴史で、恥ずかしい条件が残っているままだと言ってもいいと思います。これまで長く日本語コーディネーターとして仕事をしてきた人達がこの条件を問題視してこなかったことも大いに疑問です。
登録日本語教員が国籍も母語も問わないことは、おそらくは文科省の教員の条件に合わせたものだと思います。日本語教育の参照枠の理念を考えても、日本語を教える仕事に国籍や母語を条件とすることは反していると考えてもいいと思います。もちろん国際交流基金が2005年から範としてきたCEFRでも。
登録日本語教員であることを条件にすれば解決
おそらく登録日本語教員であればいいという条件に揃えれば、問題は解決すると思います。日本語教育に関する基本的な知見があることだけが条件で十分だからです。登録日本語教員であれば、国籍、母語など関係無い。あとは省庁がそれに合わせて制度を変更すればいい。言うまでもないことですが、日本語教育のために省庁があり、省庁のために日本語教育があるのではないのです。
おそらく訴訟などが起きたら、変わる可能性が高いと思います。求人に関しては法律も厳しく、職業選択の自由もありますから、条件として課すことについて合理性がないと判断されたらアウトです。CEFRはもちろん、日本語教育の参照枠の理念からしても日本語教育に携わる仕事が、国籍や第一言語によって制限されることは矛盾します。訴訟によって変更となる前に自主的に解決されることを期待します。
【memo】日本国籍と日本語が母語であるという条件がある日本語教育の求人 https://webjapanese.com/blog/j/archives/15148
日本語教師は食えるのか?
食えないよと言われます。いや私は立派に生活できてます!という投稿も時々みます。ネットで検索すると専任なら***万などと書いてあります。正確なところはどうなのか?
ざっくり書くと
- 日本語教師は原則4大卒が求められていて、その上で420コマの授業を70万払って資格を取得マスト。
- 資格を取得しても5年くらいは非常勤で年収100万ちょっと。常勤になれるのは運次第。
- 常勤の生涯の平均年収はおそらく400万を越えない。
- 平均年齢は55才前後。
- 日本語学校の過半数は超零細企業で、ワンマン経営。組合も教師の組合的な組織も無い。
- ST比は定員と専任で40。平均的な日本語学校は定員300人前後なので、専任は8人。(定員 / 専任の数=ST比)
です。資格取得は現在変わりそうですが、費用や難易度はほとんど変わらないと思います。
より詳しく知りたい方は日本語教師の待遇をみてください。
日本語学校は日本語を勉強するために留学する人がいく学校ではない?
95%以上は、日本の大学や専門学校に進学するための日本語能力を身に付けるための予備校、経由地として日本語学校に入ります。最大2年間在籍し、進学できなかったら帰国します。テレビのバラエティ番組などでは、いろんな国籍の人がいる学校が紹介されがちで、そういう学校は日本語だけやって帰る学生もいます。
👉 日本語学校の学生の国籍の比率は文科省で公開された日本語学校の情報をみるとわかります。もちろん大学や専門学校に直で入る人もいますが超少数派です。
👉 多国籍の日本語学校は全体の5%以下で、95%以上の日本語学校は、中国、ベトナム、ネパールの3カ国のうち1国か2カ国に70%前後を依存しています。
日本語学校を管理する省庁はどこか
基本的に、日本語学校は、入国の際の審査と学校の認可は法務省、学校の教育内容に関しては文科省が管理していました。長く入管(法務省)の権限が強かったですが、2010年代の改革によって、文科省管理色が強くなってきています。
日本語学校は、業界団体の審査があったが事業仕分けで国が奪った?
これも時々見かけますが、審査は一度も中断されずに続いています。これは当時の民主党の事業仕分けの成果を語る文脈で批判的にネットで言われていることが一般にも広まったようですが、全然違います。
事業仕分けで日本語学校の多数が加盟する日本語教育振興協会(日振協)は廃止が決まって、審査も無くなるはずだったんですが、直後に民主党政権のほうが廃止になってしまったので、グズグズになって、結局続いています。新規で2年、既存校で3年ごとに審査をしていますが、もう事業仕分けの何十年も前から形骸化しており、業界は自浄能力を発揮したケースはほぼ皆無です。ある意味では審査の廃止、日振協の廃止は正しかったと思います。日本語教育関係の事業仕分けは大味でピントはずれでしたが。
日振協の事業報告をみても、ここ10年の審査でも、ほぼ100%が合格となっています。ここ数年不祥事を起こした学校のほとんどは、法務省の認可を受け、業界団体の審査を受けて合格した学校です。法務省の日本語学校の認可も、日振協の審査も、書類上のやり取りだけで、日本語学校のチェックにほぼ何の役にも立っていないのは、業界の人すべてが昔から知っていることだと思います。
アルバイト時間の28時間は国が人手不足対策でやったことだ?
政府主導で決めたことではなく、日本語学校など業界からのアルバイト時間拡大の陳情などがあり、そうなったというのが正解です。
2004年から2007年にかけて、学生数の減少に危機感を持った日本語学校関連の組織、団体(日振協、全国日本語学校連合会)が、学生獲得に必要であるということから、アルバイト時間の拡大などを、自民党に強烈な陳情をした結果、政策として検討され、留学生30万人計画の達成にも利があるとして実現となった、というのが正しいと思います。当時の日本語学校組織のニュースレターで、署名活動や陳情の模様が報告されています。
同時に、就学生と留学生の統合と日本語学校が学生に職業紹介、斡旋ができることも陳情してました。前者は2010年に実現しましたが、後者は法務省が抵抗して今もできないことになってます。実現していたら、日本語学校が人材派遣業化して、大変なことになったのではという気がします。
省庁と日本語学校の関係は、緩和を求める日本語学校業界側と、それを拒否する省庁側(主に入管。あと文科省)という図式が長くあります。
日本語教育振興協会の「日本留学AWARD」は、留学生にとってよい大学や専門学校の指標か
これも、選ばれた大学が、留学生に優しい大学と宣伝で使ったり、権威あるものとして報道するメディアも出てきたので、きちんと補足したほうがいいと思いました。
この賞は、開始当初から、アンケートで職員による対応の「印象」で決まります。何か調査があるとか、具体的な数値による比較などが行われているものではないと思います。
日本留学AWARDS https://www.ryugakuawards.org/
留学において、最も重視されるべきであろう、大学のグレードや研究力は、まったく考慮されていないだけでなく、定員充足率、経営力なども考慮されていません。定員割れで、経営危機とされている大学が入賞する例も多くあります。定員割れ対策で留学生を呼ぶ大学は多いので、そういうことになってしまうわけです。
2025年から文部科学省の指導で失踪などが多い大学などは「改善指導対象校」として公表されることになったので、まずはここに名前が無いことがハードルになるのでは。
□ 日本語学校の寮は証券化され、投資家に売られている
不動産系の会社が母体の日本語学校だけでなく、寮を証券化し投資家に売るというビジネスモデルは2010年代に増えた模様。
- 日本語学校の寮は入学時に半年分前納がほとんど
- 半年ごとに入学があるので寮費はほぼ確実に支払われる
ので、投資家は安心して買えるということになっている。寮建設時から証券化ありきで資金が集められる。海外の投資家などにも人気となっている。日本語学校経営もやるというところもある。
学生寮は安定して家賃収入が見込めるという同じ理由で海外でも投資の対象となっている。
少子高齢化の日本でなぜ?「学生寮」 | JLL記事 https://www.joneslanglasalle.co.jp/ja/trends-and-insights/investor/student-accommodations-amidst-a-declining-birth-rate-and-aging-population-why-invest
海外の国に対するアレコレ
災害の海外からの支援は偏っている。
2024年元日の能登地震では、ほとんどすべての国からお見舞いのコメントが出ている。
令和6年能登半島地震(各国・地域等からのお見舞い)|外務省 https://www.mofa.go.jp/mofaj/ic/ap_m/pagew_000001_00134.html
もちろん台湾からの支援は熱いです。
能登地震 台湾市民からの寄付 5日間で11億8000万超える 数時間でシステム構築 https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000332148.html
が、他の国も多くの支援をしている。
能登地震 韓国が4億円超の支援へ - Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/pickup/6487862
→結果、かなり多額になったようです。
東日本大震災
中国企業(担当者は日本に留学していた中国の人とのこと)がポンプ車で支援に、ということもあったとのこと。詳細は以下の投稿の下に。 https://twitter.com/DTH03597062/status/1765686026268500271
海外はし尿を海洋投棄している
記事
データであぶり出す移民と日本社会の関係 | 東京大学 https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/features/z0508_00023.html?s=09
24年 オーバーツーリズム関連の記事の整理
主な記事だけです。
2024 5 京都・八坂神社で「鈴の緒」に利用制限…背景に“参拝客のトラブル” 動画を晒された外国人男性は「訴訟の準備をしています」 - ライブドアニュース https://news.livedoor.com/article/detail/26496232/
2024 5 「ローソン富士」に幕設置、観光客ほとんど見られず…散歩で通る住民「ちょっとさみしい」 : 読売新聞 https://www.yomiuri.co.jp/national/20240521-OYT1T50189/
2024 7 「コンビニ富士」訪日外国人3割減 - Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/pickup/6508430
2024 5 京都・祇園の私道「小袖小路」観光客立ち入り禁止に 3か国語で『罰金1万円』看板の設置 “舞妓パパラッチ”が問題に(読売テレビ) - Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/f203ce3739001db79c929c77b21cc51e600e58dd
2024 5 tourists poke holes into fence for the perfect photo at restricted mt. fuji https://www.designboom.com/design/tourists-poke-holes-fence-photo-restricted-mt-fuji-05-31-2024/
2024 6【独自】靖国神社に英語で「トイレ」と落書き 石柱に“赤スプレー”で…警視庁が器物損壊の疑いなどで捜査(FNNプライムオンライン(フジテレビ系)) - Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/bce6c511020a990981e1bd1b3f4b362cb9216faa
2024 9【観光客のマナー悪すぎ】注意しても「日本語分からない」と逃げる観光客 ゴミ放置や無断撮影は日常茶飯事「欄干や石柱を破壊」 住職が苦言〈カンテレNEWS〉 - YouTube https://www.youtube.com/watch?v=PoWTt29jSdw
【物議】対馬で韓国人観光客が“逆ギレ”禁煙の神社で喫煙ポイ捨て注意も怒鳴り声…韓国人出入り禁止に - ライブドアニュース https://news.livedoor.com/article/detail/26550983/
ファクトチェック機関
ファクトチェックは2010年代にもいくつかの民間の団体が現れたが資金不足で継続できなくなったり、主催者自身が陰謀論的な主張に染まったりということがあり下火でしたが、2022年10月にGoogleなどが出資してできた組織などが生まれ、再びいろいろと出てきた。
しかし、米国でも起きているように、都合のいいファクトチェックをする組織もあり、なかなか難しいところ。Googleの組織もチェッカーは大学生などが中心で、専門家によるチェックとは言い難い。
日本ファクトチェックセンター(JFC) :Google出資の組織
https://factcheckcenter.jp/?gs=97023037fc08
FactCheck Navi – ファクトチェックナビ|誤情報に惑わされないためにーFIJ
リトマス みんなとつくる ファクトチェック専門メディア
国際ファクトチェックネットワーク(IFCN)にJFCが加盟、InFactに次ぎ国内2団体目 - INTERNET Watch https://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/1507623.html
ファクトチェックアワード2023 | FIJ|ファクトチェック・イニシアティブ https://fij.info/awards2023
資料
重要文書がある10のサイト。
- 日本語教育機関について(文部科学省) :告示校の基礎データ
- 告示校のリスト(法務省):告示校のリスト
- 日本語教育機関の開設等に係る相談について:「日本語教育機関の告示基準」と「日本語教育機関の告示基準解釈指針」が置いてあるページ
- 日本語教員養成研修の届出について(文化庁):日本語教師養成講座に関することの規制など。
- 日本語教育実態調査等 |(文化庁):国内の日本語学校と日本語教師養成講座
- 日本語教育機関調査(国際交流基金):3年ごとの海外の日本語教育機関の調査
- 留学生に関する調査 JASSO(文科省):留学生の国籍別の推移など
- 日本語能力試験:過去の受験者などのデータ
- 日本語教育能力検定試験(JEES ):教師の年代別比率がわかる資料。
重要な国の会議
日本語教育推進会議
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kondankaito/nihongo_suishin_r01/
日本語教育推進関係者会議
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kondankaito/nihongo_suishin_kankeisha/index.html
日本語能力試験に関するデータは、以下のサイトに古くからのデータがあります。
JLPT主な国・地域別受験者数(1984~2016) http://www5a.biglobe.ne.jp/~t-koron/jlpt-data1.html
留学生試験のデータも。 http://www5a.biglobe.ne.jp/~t-koron/eju-data.html
「外国人」に関するいろんな調査
留学生数については以下を参照。
学校基本調査:文部科学省 https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kihon/1267995.htm
2001 日本語に対する在住外国人の意識に関する実態調査 | 文化庁 http://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/nihongokyoiku_jittai/zaiju_gaikokujin.html
2006年 技能実習生の日本語に関する調査(JITCO 2006年)→ JICOのサイトから削除されている。日本語教育実態調査ホームhttp://www.jitco.or.jp/about/chousa_houkoku.html
2009年「生活のための日本語」に関する調査研究 | 国立国語研究所 https://www.ninjal.ac.jp/archives/nihongo-syllabus/research/
2018年 くらしと仕事に関する外国籍市民調査,2018 | SSJDA Direct https://ssjda.iss.u-tokyo.ac.jp/Direct/gaiyo.php?lang=jpn&eid=1526
2018年 日本語教育人材の養成・研修の在り方について(報告) https://webjapanese.com/dokuhon/files/source_arikata.png
2019年(令和元年)の文化庁の国語に関する世論調査に「外国人と日本語に関する意識」という項目が追加された。 国語に関する世論調査 | 文化庁 https://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/kokugo_yoronchosa/index.html
2021 日本語教師の資格創設に係る状況調査の概要 | 文化庁 https://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/92591701.html
2019 私費外国人留学生生活実態調査 https://www.studyinjapan.go.jp/ja/_mt/2021/06/seikatsu2019.pdf
2020 -⼈⼝等基本集計結果からみる我が国の外国⼈⼈⼝の状況- https://www.stat.go.jp/info/today/pdf/180.pdf
2020 多文化共生に関する県民アンケート(外国人対象)結果概要(福井県) https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/gikai-giji/iinkai/somukyoiku-2020_d/fil/202012_04-02_somu_shiryo.pdf
2023 在留外国人についてのアンケート調査報告 https://www.jcie.or.jp/japan/wp/wp-content/uploads/2023/04/2final_result_understanding_foreign_residents.pdf
2023 都内在住外国人アンケート調査 https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/kansen/icdc/tominishiki.files/2023081403.pdf
2021 在留外国人に対する基礎調査 | 出入国在留管理庁 https://www.moj.go.jp/isa/policies/coexistence/04_00017.html
→ 2021 から毎年行われている模様。
2021 在留外国人に対する基礎調査(令和3年度) 調査結果報告書 https://www.moj.go.jp/isa/content/001377400.pdf
2023 新宿区多文化共生実態調査:新宿区 https://www.city.shinjuku.lg.jp/tabunka/tabunka01_002063_00001.html
【地域の日本語教育関連の調査】
2023年1月 外国人の日本語教育に関する実態調査-地域における日本語教育を中心として- 総務省
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/hyouka_230120000162815.html#kekkahoukoku
概要 https://www.soumu.go.jp/main_content/000856910.pdf
本編 https://www.soumu.go.jp/main_content/000856918.pdf
資料 https://www.soumu.go.jp/main_content/000856917.pdf
Gov base https://www.gov-base.info/2023/01/21/180843
1年後の改善フォローアップ
文化庁はウェブ学習コンテンツをしっかり作れみたいな提言が。
総務省|報道資料|外国人の日本語教育に関する実態調査 ―地域における日本語教育を中心として― <通知に対する改善措置状況(フォローアップ)の概要> https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/hyouka_240305000172171.html
2024年12月 令和5年外国人雇用実態調査調査結果 |厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_46975.html
→ 調査表のサンプルは以下にありました。
「令和6年外国人雇用実態調査」にご協力をお願いします。|厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41657.html
統計局による回答
2024年10月1日より、厚生労働省の外国人雇用実態調査が始まりましたが、外国人雇用に関する調査は他にどのようなものがありますか? | GMS https://gms.ca-m.co.jp/qa_detail/4175/
調べ方
資料
法律・統計
差別に関する法律
差別を解消することを目的にした3つの法律(人権3法)をご存じですか? | 御所市 https://www.city.gose.nara.jp/0000002203.html
国の新たな統計
論文
→ この日本語教師読本Wikiで紹介する論文では、通常、オンライン上で読めるものが中心ですが、以下は、図書館所蔵のものも含めます。
C-4 国勢調査における外国人人口の「調査漏れ」(統計調査)(2003年度統計関連学会連合大会記録(日本統計学会第71回大会)) | CiNii Research https://cir.nii.ac.jp/crid/1540854195344499072
人口減日本の選択 : 外国人労働力をどうする? | CiNii Research https://cir.nii.ac.jp/crid/1130000794196860672
定住しない移民?–アジアにおける国際労働移動の現状と展望 | CiNii Research https://cir.nii.ac.jp/crid/1520290882252504192
外国人労働者と公的医療・公的年金 | CiNii Research https://cir.nii.ac.jp/crid/1520009408956129280
日系ブラジル人の社会保障適用の実態–2005年度磐田市外国人市民実態調査を用いた分析 | CiNii Research https://cir.nii.ac.jp/crid/1520853832966688768
外国人受入れが将来人口を通じて公的年金財政に与える影響に関する人口学的分析 | CiNii Research https://cir.nii.ac.jp/crid/1390282763117297408
都道府県別にみた近年の外国人の人口移動パターン | CiNii Research https://cir.nii.ac.jp/crid/1390282680672668160
外国人の死因 : 日本人・本国人との比較 | CiNii Research https://cir.nii.ac.jp/crid/1520290883834744832
国際労働移動ネットワークの中の日本 : 誰が日本を目指すのか | CiNii Research https://cir.nii.ac.jp/crid/1130854870125643033
保守系オピニオン誌における外国人言説(1) : 1990年代前半までの雑誌『SAPIO』を中心に | CiNii Research https://cir.nii.ac.jp/crid/1050001337631195648
戦後日本社会の「混血」「ハーフ」をめぐる言説編成と社会的帰結 | CiNii Research https://cir.nii.ac.jp/crid/1390001288073171328
特集にあたって:外国人労働者受け入れをめぐるポピュリズム的言説と政策的対応の比較考察 ―東京オリンピック以後の日本社会への示唆― | CiNii Research https://cir.nii.ac.jp/crid/1050851971846362624
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