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このwikiについて
目次
このWikiの基本的な考え方
このWikiは日本語教師読本シリーズという書籍のサポートの拡張版として作られました。製作スタートは2018年の年末。公開は2019年6月。2022年の9月に現在のdokuwikiに移行し、同時に全面リライト、再構成しました。2023年からはAIのクロール対策として、閲覧制限を始め、2024年以降は中身を見るには、ログインが必要になっています。項目数は約250、文字数およそ200万字です。情報は時々アップデートされます。ライセンス表示はページの一番下にありますが。© 2018 webjapanese.comというものです。引用の範囲を越える利用はご連絡ください。運営者、書き手については、About usにまとめています。
可能なかぎりソースを示しつつ書こうと考えていますが、いろんなことが決まる経緯などで、どうしても繋がらないこと(例えば、『参照枠』の議論でなぜCEFRが軸になったのかは、まったくプロセスがわからないです)など、この種のことを書く際には、どうしても、書き手の見立て、切り取り方というものが出ます。この書き手はどういうスタンスなのか?という説明のために補足として記します。
2015年に日本語教育あれこれという記事を書き、多くの方々に読んでいただきました。その後、細かい改訂を2017年にしましたが、基本的なスタンスは変わりません。簡単に言うと以下のようなことです。
- 在留資格に関係なく、国内で日本語の学習が必要な人をきちんと出すことが大事
- 国は、無償で、すべての人に500時間程度の学習機会を提供するべき。
- しかしながら学習は義務ではなく権利であるべきで、選択できる機会の提供でなければならない。
というものです。以下にこれまでに書いてきたことをベースに整理します。
👉 2015-2018にかけて書いたブログ記事の目次です(ブログは統合し移動したので画像などはリンク外れが多数あります。記録として置いているものです)→ WEB JAPANESE BOOKS
以下はこのwikiについての簡易版の説明の多言語版です。
ライセンスについて
この日本語教師読本Wikiは2023年5月17日までクリエイティブコモンズのライセンスを採用していましたが、AIによる利用を考慮し、同日より、ライセンスを© 2018 webjapanese.comに変更しました。
またすべての文において、AI生成技術を使っていません。
変更の理由は以下です。
仮に、クリエイティブのライセンス表示に準じたとしてAI生成のリソースとして利用したと記述しても、具体的にどこでどう引用されたのかはわかりませんし、引用元のページのURLの表示もほぼ期待できません。また、結果として生成された記述で正確に引用されたのかの確認もできません。従って、AIのリソースとしての利用は、クリエイティブコモンズの条件を満たさないと考えますが、現状ではどうしようもありません。よってライセンスを通常のコピーライトに変更しました。本来ならば後からのライセンス変更はできないことになっていますが、今のところ、不透明なので、こういう処置にしました。ご了承ください。
引用の範囲を越える利用についてはすべて事前に了承が必要です。ご連絡ください。
また、以下も禁止とさせていただきます。
- AI利用のためのクロール
- webjapanese.com以下のURLを指定してのソースとしての利用などの活用
- 同じくページをURLで指定しての要約、翻訳などをしての二次利用
- もちろんページをコピーしたりダウンロードしての二次利用。
利用の際は事前にご連絡ください。
禁止ではありますが、ネット上に公開の形で置いておくかぎり、ルールが守られない可能性があります。法的にも守られない可能性もありますので、2023年中にアクセス制限をします。その準備中です。
もろもろご容赦ください
- いわゆる、ですます調、である調の混在があります。ご容赦ください。
- ページの構成がやや雑だったり重複があったりもします。
- 誤字脱字も多いと思います。推敲する時間がありません。お知らせいただけるとありがたいです。
アマゾンのアソシエイトプログラム
アマゾンのアソシエイトプログラムを利用しています。前者は商品の購入で購入価格の数%が紹介者に入り、後者はリンクをクリックすれば掲載した人に数円入るという仕組みです。アマゾンのプログラムは書籍はすべて同じ%なので、特定の商品が優遇されることはなく、後者は、こちらでは掲載内容をコントロールできません(有害と思われる広告はしないという設定にしています)ので、コンテンツに対する影響はありません。
教材などもこのページにあるリンク経由(アマゾンアソシエイト経由)で購入していただけるとこのWikiの維持費となります。ご協力ください。
2023年5月17日よりGoogle adsenseの表示を止めました。
引用について
私どもでは引用の要件を満たすものについては事前のご連絡をいたしません。以下、ご説明します。
この Wikiの便利な機能
細かい機能などの説明です。 以下の「便利な機能 の説明」をクリックすると下に現れます。
私どものSNSの使い方
SNSに限らずネットの「活用」は、損得が軸になりがちです。しかし、私どもはフェアであることを重視して運用しています。またSNSごとに使い分けは原則しません。SNSの中で完結させようとも考えていません。SNSは所詮、民間のサービス上のことですから、自前のサイトを持つ私どもは自分で書く場所を確保していますので、そこで書きます。SNS上の投稿は(検索機能が弱いこともあり)すぐに検索不可能なものとして消えていきますが、ブログなりで書けば検索エンジンの検索対象にもなります。当然、書いたことへの責任も負うことも意味します。そのこともSNSでのやり取りよりもフェアな対応であると考えています。
基本的な考え方
SNSはサービスによってローカルルールがあり、使われ方も違います。ネット上にある活用ノウハウは基本、損得が軸になっていますが、長く運用していくなら自分なりのルールを作ることが必要であると思います。倫理規定のようなもので、ネットにおけるフェアネスみたいなものに対する考え方です。「こういうことが起きたらこうする」というシミュレーションもやっておくべきです。それらを決めるためには、それがどういうツールなのかを知ることが重要です。「ちょっと詳しい人」にまかせるみたいなことはせず、きっちり調べて、議論し組織として運用方針を決めてから運用したほうがいいと思います。
では、フェアな態度とはどんなものか?これは難しいです。ネットには効果的な逃げ方はたくさん書かれていますが、どういう対応が誠実でフェアなのかは、ほとんど書かれていません。
日本語のネット社会には決まった考えはないような気がします。しかし、コミュニケーション、議論のルールを教えることもある語学教師にとって大事なテーマではないかと思います。
自分の投稿が炎上したらどうするか?で考えてみます。炎上すること自体は悪いこととは言えないので内容次第です。
自分に非がないと考えるケース
自分の投稿が正しいと信じるなら自分の考えを説明するだけです。効果的な説明方法に、典型的なリプライを引用RTして、同じように感じたであろう人達に対する補足説明として投稿するという方法があります。的外れなリプはスルーすればいいと思います。
自分に非があると考えた場合
自分が間違ったと思うなら、何が起きたのかを曖昧にせず、自分の問題の投稿は「削除せず」にそのツイートに引用RTで謝罪することです。「土下座的なあいまいな謝罪」ではなく明確に具体的に謝罪することが大事です。その引用RTにリプで具体的に何が起きて、どこに問題があったかをその経緯を知らない人にもわかるように書いて、自分のフォロワーが見られるようにする。それをホーム画面に(少なくとも一ヶ月くらいは必要でしょうか)ピン止めしておく。
これなら問題の投稿をみた人は、経緯を知ることができ、そのことに対する謝罪を理解できます。投稿で第三者を直接傷つけることでもないかぎり、問題投稿は削除しないほうがいいと思います。削除すると、謝罪もせず逃げたと、スクショを撮られて延々と批判され続ける可能性があります。問題投稿を残すことで、批判がしばらく続くかもしれませんが、受け入れるしかありません。
その他には?
上のようなことの他に、フェアなやり方とはどういうものでしょうか? 自分に非がある無いは別に考えてみます。
まずその反論に対する考え方をまとめた上で、自分に向かってくるリプなどの投稿ツイートを(複数あるならその中の代表的なものを)RTして、(間違ったかもしれない自分のツイートを読んだ)自分のフォロワーにも伝えるのがフェアな態度だと思います。
この時、複数ある場合、どういうものをピックアップするかも重要です。偏った、反論しやすいものを選ぶことは最もアンフェアな方法であると批判されても仕方がありません。厳しくても的を得る批判はRTする。
そして、指摘してくれた人にリプライをするのが負担なら、まとめて「感謝しておりそれをRTします」ということをツイートすればいいと思います。その後のやり取りも自分のフォロワーが追える程度に可能な限りRTで補足する。そして、自分に非があり謝罪するなら、そのプロセスも自分でRTする、というところでしょうか。
👉 両者をフォローしている人はこのやり取りを見ることができますが、どちらか一方だと、特に自分をフォローしているけど議論の相手をフォローしていない場合は、議論の文脈がきちんと伝わりませんので、そこをRTで補足していく、ということです。
つまり、誤りを認めるならば、まず、きちんと自分が理解できているかも疑うべきです。つまり謝罪の際に「どこに問題があったかと理解しているか」を経緯を見た人や自分のフォロワーに伝えることが大事だと思います。そこで、大多数が納得するならば、自分の理解は間違ってなかったことが確認できます。問題があればまた指摘が来るかもしれません。そこからは対話を繰り返すしかないと思います。当然「なんとなく気にくわない」という人もいます。そこはスルーしてもいいと思います。時間をかけて切り分けをしてけばいいと思います。
しかし、どこか平行線のまま終わることもあると思います。そこは解決できないなら、そのままにしておくしかありません。去る人は去るということになるのではと思います。
実際は…
しかし、残念ながら、こういうことは、日本語のネット社会ではあまり行われません。かなり厳しい指摘がきても、反論だけして終わり。自分への賛同のリプライをあわててRTして自分のフォロワーに知らせるけれど、分が悪い時は、自分のタイムラインには知らせないという人は結構多く、炎上が続いても、後はスルーして無かったことにするか、ツイートを削除するか、場合によってはアカウントを消して終わりになることがほとんどです。良くて「土下座謝罪」で、後は無かったことにするぐらいです。
ネットのコンサルも「スルーするのが一番(ブランディング的に)被害が少ない」などとアドバイスするようです。セルフブランディングとフェアな態度というものはしばしば対立します。そもそもSNS上で等身大ではない「ブランドとしての自分」を演じ続けるということに無理があるのではという気がします。
SNSスタート時からの私どもの運用方針
FacebookやX(twitter)、インスタなど、は、開始前に英語圏での使われ方を参考に方針を決めて、スタートしています。すべてのアカウントではこちらからフォローはしない、原則、やり取りはせず、発信のみ。ただし、宣伝だけでなく有益な情報シェアは積極的に行いつつ運用するというものです。2011年の東日本大震災を受けて、寄付を続けているハタチ基金へのフォローだけすることにしました。
この記事の書き手は、2009年12月前後に、公式、日本語公式、出版の3つのツイッターアカウントを作り、2022年にICTレッスン関連を追加しましが、2023年に、公式に一本化しました。開始当初から、
- フォローはしない(いくつかの自前のアカウント同士で相互フォローするのみ)。
- 原則、やり取りもしないで発信のみ。
- イイネはしない。日本語教育関係者の投稿は原則RTしない。
- ただし、担当者は自由に書く。
- 公式アカウントとして投稿したことで問題がおきれば責任を持って対処する「個人の発言で所属組織とは関係ない」と考えない。
- スパムフォロー以外はブロックしない。
という方針で運用しています。幸か不幸か、日本語教育関係者とはお付き合いがなく、お世話になることもなかったので、誰ともフォロー関係を作らず、自由なスタンスで発言していくという考えではじめました。SNSの常として、ネット上でできた「関係」が忖度や損得を生み、発言の自由の維持の障害になることがあることをふまえたものでした。
最も投稿が多いのは日本語公式でしたが、2018年の3月末で原則として手動の投稿や対応を停止しました。現在は、BOT中心で積極的な投稿はしていません。(コロナのような大きなことが起き、何か貢献できる発信ができると思った時に短期間、発信を増やすことはありました)
過去のログはここにあります。
原則としてツイ消しはしませんが…
- 肩書きやお名前の間違いを指摘された場合はそのままだと相手にご迷惑がかかるので謝罪し訂正の投稿を複数回したうえで削除しました。
- 誤字での再投稿以外は投稿後の削除はしない方針
です。今見ると消したいものもありますが、全部残してます。
というところです。ネット上のサービスは、まずプライベシーポリシーを確認してからアカウントをとり、あれこれと試用運転してみて、運用のルールを作ってから本格的にスタートということにしています。SNSは交流までやる時間はないと判断してスタートしました。
日本語教育関係のツイートは、2018年3月までは平日はそこそこ読んでいましたが、今は、週に1,2度ざっとみるくらいです。すべて仕事上のグループのアカウントですし、今後、担当が変わる可能性もあるので投稿者の名前は書いていません。Facebookやインスタグラムはアカウントをとってゲートウエイとしてページを置いているだけです。
プライベートレッスンの宣伝をしていたこともあり、住所や名前は、20年間公開していたのですが、2018年3月に終了直前に個人情報を晒す的な被害にあい発信者情報開示請求をしたり、ということがありました。SNSの本格的な活用の最後に本格的なネットの被害を経験し、これで、ネットのことはひととおり全部経験したことになります。家族の心配もあり、ネット上では名前や住所は出さないということにしました。ご了承ください。
なぜSNSを記録するのか
SNSの記録である日本語教育クラスタの投稿の記録と収集に関する、考え方の説明です。
SNSの仕様と引用に関する補足
- 引用について:Xは、仕様上も、SNS内だけでなく、外でも引用でき、アカウントを作る際も、その引用に同意することになっています。単独の投稿は全文でないと引用できず、関連のリプなども表示されます。これは、SNSのローカルルールというより、表現の自由の保証と共に、公の場に投稿する責任範囲と、その発言を引用して意見を表明する自由の保証であり、それは許容されるべきという国際的な引用に関するコンセンサスに準じています。論文などの引用ルールもそれに準じています。
- ブロックという機能:Xの仕様では、ミュートは、自分が見たくない投稿を見ないためにありますが、ブロックは気に入らないアカウントに対して「自分の投稿を見せない、引用して何かを言わせない」機能です。仮に、ブロック関係が無くても、SNS内で引用して言及しても、その後ブロックされてしまえば、言及した投稿の文脈が失われます。このブロックという機能がある以上は、疑問を感じたSNSの投稿への違和感の表明をきちんとやろうと思ったら、SNSの外で引用して書くしかないということになります。
- SNSの「外」でやる意味:SNSでは、引用しての投稿で、自分達のフォロワーに対して賛同を呼びかけるみたいな機能がいろいろとあります。結果、イイネや関連の投稿の数でタイムラインの空気が醸成されます。ここではそういう空気から距離を置き、ひとつの投稿に一人の個人が淡々と意見を書き、書かれたもので読んだ人が判断すればよいというスタンスです。
- 記録の重要性:SNSの社会への影響力は年々増しています。しかし、投稿を削除したり、アカウントを消せば、投稿者は何もしなかったことになってしまいます。しかし言及された人の記憶には残ります。このWikiは、引用すれば原文は残る仕様になっています。公の場で発言した投稿者の責任として、投稿したものは切り取らず全文で残す。残すべきものを記録するという意図もあります。
- 「敵味方」から距離を置く:時々「中立は一方を利することと同じ」みたいなことを目にしますが、中立であること意識したことはありません。ただ、SNSにありがちな、敵味方という粗雑な図式に組み込まれないためにも少なくともSNS上では「敵と思われても気にしないこと」「なるべく誰かの味方とは思われないように書くこと」の2点は大事だと考えています。誰かの味方であり仲間であることを示すことが、SNSの重要な処世術になっていることは承知していますが、すべてのSNSのアカウントで、誰もフォローはしない方針で運用しており、かつ、日本語教育関係者の投稿は極力、リポストしないようにしてます。そもそも、SNSのような、その時々の空気に影響されやすく、内向き指向が強い狭いコミュニティーで、中立を考えても意味がありません。中立でありたければアカウントを持たなければ済むことだと思います。
以下、もう少し詳しい説明です。少々長いので、切り分けました。タイトルをクリックすると下に文章が現れる仕組みです。
基本的なスタンス 0 どういうスタンスでSNSを運用してきたか
基本的なスタンス 2 賛同できない投稿があれば、ここで書くことにしてます。
基本的なスタンス 3 必要な文字数でちゃんと書くことは大事だと考えています
基本的なスタンス 4 定点観測について ~エコーチェンバー的なコミュニティと、その他を分けています~
個別の日本語教育の政策についての考え方
これは説明するのは簡単ではありません、以下に、ずらずらと書いてみます。
2013年前後に、課題整理に関するワーキンググループ | 文化庁(2012) でCEFRを軸にやっていくという方針が決まったということを受けて考えはじめ、2015年の3月に「日本語教育あれこれ」という日本国内の日本語教育の公的サポートについてブログ記事を書きました。基本的にはここに書いたことと変わっていません。以下、現時点でのことについて簡単に整理します。
留学ルートの問題点
留学政策は、留学生数を追うことをやめることが最も重要だと考えています。
以下は、実現は難しいものもあるとは思いますが、仮にすべて実現しなくても、情報公開、透明化はマストだと考えています。
日本語教育機関の基本情報の国よる公開は2017年に一度おこなったきりストップしています。これを再開し、多言語で発信すべきです。(できればPDFではなく、過去の記録も含めて検索できるテキストデータベースのサイトを作る。
上の基本情報に含まれないものでも、例えば、適正校・非適正校も公開すべき情報です。CEFRのA2の合格率など、国が決めた学校の質的判断の判断基準であり、許認可に関わる重要な学校の質的保証のためという理屈があるならば、学習者には、文科省がネットで多言語で公開するのが筋ですし、働く場所を選ぶ教師にとっても重要な基本情報です。
2010年代に日本語学校の学生数は9万人、学校は800校となりました。おそらく稼働している学校は500校弱です。これを本来の留学目的に絞り、自己資金で留学費用をまかなえる人達に絞るべきだというのが基本です。2000年前後までの平均であった、3万人、2~300校規模あたりが適正な数ではないかと思います。
- アルバイトをしないと留学できないという制度設計はやめるべきだと考えています。
- 大学、専門学校など学位を授けることができる学校と語学学校は在留資格を再び分けたほうがよいと考えています。
- 進学準備の在留資格は、アルバイトは他国の進学準備ビザと同じく原則禁止でよいと思います。そもそも留学は自己資金がある程度ないと厳しいものだという、2004年以前の方針に戻すべきだと思います。
- 経済的余裕だけでなく本気度でも足切りは可能です。今は来日はN5が条件ですが、これはN4が妥当だと思います。特定技能でさえ、CEFRのA2を来日条件として課す制度設計であるならば、留学目的にそれよりも厳しい基準があって当然です。日本で、N5レベル(あるいはそれ以下、やっとアルファベットが書けて挨拶できる程度)の英語力で英語圏に留学できる、留学する意味があると考え人はいないはずです。
- 留学はおそらく1,2万人、300校ぐらいの規模になれば、住居サポート、奨学金サポートが行き渡る規模になります。留学制度において、この本気の人にしっかり支援することは大事です。来日前にN3に合格すれば奨学金と月7万円の生活費援助、来日後1年でN2に合格すれば援助は延長、みたいなことも考えられます。留学という在留資格は日本語の能力で制限を設けてもいいほぼ唯一の在留資格だと思います。地方自治体は優秀な留学生を確保したいのなら、無償で住居を補償すべきです。
- ちなみに1万人に毎月7万円のベーシックインカム的な補助をするには、年間84億必要ですが、国や自治体、企業に加えて進学先になる大学や専門学校からの拠出もあれば可能な数字だと思います。例えば、進学準備の学生を対象にN2合格でやっても1万人にはなかなかならないのではないかと思います。
- アルバイトをしなければ学費を稼げない人は就労の在留資格で日本に来て、N2レベルの試験に合格すれば奨学金を得て進学できることにすればよいでしょう。これは就労系の在留資格に制度として組み込めばいいと思います。
- 就労と留学を入口でしっかり仕分けできれば、留学が就労の隠れ蓑にならないので、日本語学校は入管の出先機関的な管理は原則として無くなります。&color(Black,antiquewhite){これは就労系の在留資格が整備されることで実現可能となった方策です。};
- 日本語教育機関は日本語を教える力で競争すべく、関連の数字(試験の合格率、進学率、進学先など)すべて、国に届けて出て、国はそれを多言語で毎年公開し、留学生に学校を選ぶ材料を提供すべきです。透明化、情報公開がこれからの日本語教育機関の軸になります。
就労系の日本語教育
これは2015年のブログ記事の「日本語教育の新しい時代」に書いたこととほとんど同じです。
日本国内の日本語のニーズの地理的な分布はハッキリしませんが、技能実習生や特定技能の受け入れ機関や日本語学校のマッピングされた地図で少し分かります。以下は、私どもが作った日本語教育マップというものです。特定技能の受け入れ機関や日本語学校などがレイヤーで整理しました。レイヤーとは、それぞれ別の地図ですが重ねることもできるというものです。
□ 日本語教育マップ(Google Mymap):2021年の時点の資料で作成。
地域的な問題
最初の2つは北海道、東北の技能実習生制度と特定技能関連の事務所などの地図です。
次の2つは同じ地域の日本語学校の分布。就労系の組織と留学生の日本語学校ではかなり違い、日本語学校で就労系の人達を手当てするのは難しいということはわかります。
以下は例としてとりあげてみた釧路市です。2019年の時点で民間の日本学校は無いようです。左は就労系の事務所などで、右は介護施設です。
人口は約175000人。37%が65才以上とのことなので高齢者は約65000人。介護職員は3人あたりに1人の介護職員と言われています。要支援2以上の入居者3人に対して1人以上の介護職員または看護職員の配置が義務付けられているとことなので、入居しない人がいるとしても、その他の介護サービスがありますから「3人の1人」で計算するとして、仮に65000人が要介護となると21500人の介護職員が必要ということになります。外国人介護職員は施設ごとに上限がありましたが、次第に緩和されてます。地方は人手の確保が難しいですが、仮に1割が外国人介護士としても2150人。
釧路市はその他、技能実習生が1000人超いるとのことです。
北海道における在留外国人の現状と課題 https://www.hkk.or.jp/kenkyusho/file/jyosei_rep_r01-03.pdf
この介護と技能実習生だけでも3000人超の外国人が暮らすことになります。これが外国人介護士の比率が3割になると7500人。人口(17万5000人)の5%近くです。7500人の日本語学習者がいるとも考えられます。日本語教師が学習者100人に1人必要だとして、75人が必要ということになります。
医療のほうでも、おそらく百人単位で外国人看護士が必要になってくると思います。介護、看護の在留資格はいくつかあり、長期滞在、家族帯同も可能なものが多いので、当然、家庭を持ちということになり、児童の日本語教育も必要になります。
一般的に「外国人が集住している」と思われていないところでも、今後、外国人が増え、日本語学習の必要性が出てくる、ということがわかると思います。
釧路市には北海道教育大学のキャンパスがあるようで、留学生もいるとのこと。2021年の時点で、ググったところでは、日本語を学習できる場所はボランティア教室がいくつかあるだけです。
釧路市は、人口減少で産業が少ない地域ですが、観光地でもあります。17万の人口は過疎地とは言い難い。地方都市としては、それほど特殊なではないと思います。街道沿いにはロードサイド店があるようなところです。上の予想は、現在と将来の日本の地方の今後の姿で、以下は、それを受けての私どもの考えです。
* 国内の日本語教育は集住、散住から、まんべんなくサポートが必要な時代になる。介護、医療は高齢化の地方、過疎地でむしろニーズが高い。 * 民間の日本語学校では手当ては無理。必ず公的サポートが必要になる。 * 在留資格別ではなく、地域別に公的な日本語教育のサポートが受けられるネットワークを作る。 * 無償で500時間以上の受講ができるものにする。 * (人口分布と連動している)中学校(全国に1万)で考える。ひとつの中学校の学区に平均2つの小学校があります。ここに日本語教師が1人で1万人。 * 公立小中高校などに在籍する外国人の児童生徒は8万119人。日本語指導が必要な3万4335人のうち、実際に特別な指導を受けている子どもの割合は76.9%(2万6410人)。小学校、中学校の1校に1人以上は日本語の指導が必要な児童がいるということになります。 * 就労系の人が今後70万人になるとして、介護などは過疎地に多いのでまんべんなく広がります。1万人の教師で70人。 * 1人の教師でみるのは平均で100人以下となります。濃淡はあるので、最低1人。多い地域は数人でもたった1万人+αでやれます。
以下は釧路市の中学校の分布です。各中学に日本語教師が少なくとも1人いるとなれば、かなり心強いんじゃないかという気がします。
あとは、いろいろと試算してみてください。例えば…
中学は全国に約2万あります。中学校の学区で全国を2万の地域に分けた時に、2016年の時点では、訪問通所介護の施設は約4つあり、滞在型の施設が3つの学区で2つくらいあることになります。介護職員数は、4×8人で32人と、80人÷3で27人なので合計59人です。このうち外国人介護士は最大約30人です。この30人は、全国どこでもこのくらいの数がいる、ということが重要です。これまでのように外国人を大量に雇う工場がある地域だけでなく、都会も田舎も同じです。しかも、どちらかというと田舎のほうが、高齢化が進み介護施設で働く若い人は不足しがちです。
中学校にひとつ地域の日本語教育の基地があり、その上は方言区域などで組織化すれば、方言研究と共に進めることもできます。ひとつの件に中学校の数だけ公務員の日本語教師がおり、ネットで繋がれば、海外の継承日本語の人達と共に生活日本語の研究、研修、育成のネットワークを構築することができます。
人数的な問題
2021年の時点で、国も日本語教育関係者も数えたことがないのでハッキリしない。ざっくりと言えば、留学生(30万人)と技能実習生制度と特定技能(45万人)だけで、75万人で、この人達はほぼ日本語のレベルは0に近い形で来日する。永住者など、すでに住んでいる人で日本語学習のサポートが必要な人は10万人以上はいて、その他の在留資格で来日し、日本語の学習が必要な人も10万人前後はいるとすると、だいたい100万人±数十万人はいるという計算になる。
児童は義務教育がありますが、就労系の人達(75万人)のうち、15万人くらいは介護、看護の予定なので、ここは技能試験でも日本語要素が多く、事実上、日本語教育はマストとなっていると考えていいと思います。就労系の残りの60万人をどうするか、というのがテーマになります。
特に特定技能の家族帯同、永住となると日本語学習を義務化すべきではないかという議論があります。しかし、現状、まったく日本語学習の機会が与えられていない状況で義務化や試験による足切りからはじめることには違和感も覚えます。なにしろ、この人達は、日本が人手不足で呼んだ人達であって、欧州のように来てしまった人達とは違う。まずは日本語学習機会を整備するのが先です。そして、整備し、受講できる体制(授業時間は就労と同じ時給が支給されるなど)を作れば、受講は促進され、日本語は十分に上達するはずです。
永住を目指す人は何人くらいいるのか?(推計)
2019年の時点で技能実習生制度で、41万人のうち3号(4~5年)まで進んだのは約25000人。この25000人が来日した3年前の2016年(H28)はだいたい30万人だったので、約8.3%です。
永住を目指す人は何人くらいいるのか?(試算)
— webjapanese 日本語教育 (@webjapaneseJ) April 24, 2023
:2016年に来日した技能実習生約30万人のうち3号(4~5年目)まで進んだ人は25000人(約8.3%)。さらに+5年滞在する人が(5年で10%に減るとすると)2500人。このうち永住を希望する人は何人?という規模感です。https://t.co/6s91ZgQ1uP
上はこれまでの比率で考えると、という試算です。仮に20%が希望して申請したとして500人。これは、これまでの移民の増加率の自然増の比率よりも低く、今後の移民の比率にもまったく影響する数ではないです。
近い将来は
将来増えるという見込みで試算すると、60万人の就労関連の在留資格の人がいるとすると、その8.3%は、49800人、4年目に進むのが約5万人です。5年目に到達し、6年目、つまり特定技能2号に進むのは(ここからは完全に推定ですが)5年以上労働力を確保するのが特定技能の目的でもあるので、特定技能2号に高いハードルは課せない。とはいえ、4年目までに8.3%に減ってしまうわけですから、特定技能の2号に進むのは多く見積もっても、約20%の10000人くらいと考えてみます。
日本語教育
おそらく10年働くことができれば満足で、貯金と技術をもって帰国する人も多数いるのではと思われます。例えば20才で来日した人は30才ですから、親世代の世話が現実的になってくる年齢でもあります。家族帯同は配偶者と子のみで、親は呼べませんから帰国という選択肢は大きくなりそうです。1割が永住希望するとして、1000人です。この1000人に、来日時から、10年間のうちに500時間の無償の日本語学習機会が与えられていれば、10年後には、十分に日本で生活できる日本語能力は身につくのではと思います。特定技能2号に進み、永住が視野になってきて勉強をはじめても、5年ありますから、永住申請ができる10年目にN3をクリアするのは難しくなく、N2も可能ではないかと思います。無理に試験でハードルを設けたり、学習を義務化したり、試験で足切りを設ける必要はないと思われます。
出入国在留管理をめぐる近年の状況(法務省) https://www.moj.go.jp/isa/content/001335866.pdf
令和2年国勢調査-⼈⼝等基本集計結果からみる我が国の外国⼈⼈⼝の状況- https://www.stat.go.jp/info/today/pdf/180.pdf
図録▽主要国の移民人口比率の推移 https://honkawa2.sakura.ne.jp/1171.html
混在することになります
この公的な日本語学習ネットワークでは留学以外の日本語学習者が混在することになります。在留資格別になると必ず省庁別になりますが、これからは就労系の人達も家族帯同、永住視野になると、生活者でもあり児童となるので、混在のほうが自然です。すべて「生活している人」として考えてよいはずです。&color(Black,antiquewhite){これまでの日本語教育の問題点は、留学、生活、就労と分けてきたことにあると考えています。};それぞれの省庁とその在留資格と、そこと関係の深い日本語教育関係者がぶら下がっていて、互いに、他の在留資格の人を学習者とみなさないみたいなところがあります。児童の日本語教育の人は就労系の日本語教育のことをほぼ知らない。逆も同じ。留学の人は留学以外にまったく関心がない。そしてそこから外れた、未就学の児童や、日本語教育に積極的で無い厚労省の技能実習生制度の日本語教育は20年以上も未整備で、今も何もない。論文が少ないのは、予算もなく、書いても評価されなかったからでしょう。
- 就労系の人達は、300時間あたりまでは、来日後に受講。その先は、500時間くらいまで、仕事を休んで受講してもOKにして、1時間で得られる時給分が支給されることにすれば、日本語の授業の受講は進むと思います。
- 就労系の在留資格の人達は、中卒の人もいます。日本語能力がN2相当の試験に合格すれば、日本の高校、専門学校、大学で学位が取得できるルートも整備すべきです。これで留学で無理に就労目的の人を集める必要はなくなります。
- 日本語学習は義務ではなく、試験などでの足切りの基準でもなく、日本語の学習ができる環境を整えるということが重要です。特定技能制度では先走って、在留資格と日本語能力の試験の合格だけが足切り基準として採用されましたが、これは誤りでした。まずすべての人が学習できる環境を作るのが先決です。日本語教育関係者は仕切り直しをすべきです。
- 今後、就労系では予定通りなら70万人になりますが、これまでの例だと、5年後までおり、6年目、すなわち特定技能二号に進むのは多くても1割以下(技能実習制度で4年目に進むのが7%程度)で、その中で、10年をこえて滞在したい、家族帯同を希望するのは、その数%程度のはずです。おそらく3000~5000人。ここは無理に試験の合格を課すのではなく、10年の間に無理なく日本語の学習機会が与えられれば、十分なはずです。
有資格教師は就労・児童に。留学準備は規制緩和で
以下は、この点の考えをみじかくまとめた連ツイです。
私どものスタンスについて [日本語教師読本Wiki]
— webjapanese 日本語教育 (@webjapaneseJ) December 24, 2022
日本語教育の政策について
:以前から考えていることですが、30万の留学を有資格の教師でやり、残り50万超の就労や児童などをボランティアでやるというのは、逆にしたほうがいいと思っています。https://t.co/Jcr62uiVMX
ボランティアでうまく行った告示校の例としては、例えばこのケースがあり、学習者の母語による授業の有効性は留学生向けの塾の躍進からも明らかとなっています。少なくとも留学ルートでは、授業を有資格の教師に限定する意味は薄れています。
以下、同じころ(2022年末~2023年1月。パブコメ締め切り前後に書いた連ツイです)
https://twitter.com/webjapaneseJ/status/1612924846996066304
https://twitter.com/webjapaneseJ/status/1612941701731213312
https://twitter.com/webjapaneseJ/status/1612983444853911553
関連して「横暴」というような投稿もありました。記録として。
バウチャーの活用も
ざっくり言うと、学習者に学習チケットを配布し、好きな認定日本語学習機関を選択する。集まったチケットは国や自治体が枚数に応じてその機関に支払うという仕組みです。
国などが日本語学習チケットを配布して好きなところで勉強するみたいな、学習者が選ぶ仕組みを入れることで質的な競争を促すみたいな方法もあります。日本語教室や学校などの質が可視化される。
— webjapanese.com (@webjapanese) October 19, 2023
教育バウチャー - Wikipedia https://t.co/ybeXkbitjr
2024年以降、国は、認定日本語教育機関として認定することになるようです。
例えば、来日する外国人に無料で500時間分の日本語学習チケットが配布されるみたいなことになり、この認定日本語教育機関では使えるようになれば、バウチャー制度の導入は簡単ではないかと思います。
地域に拠点があることも重要ですから、軸は地域の教室としても、オンライン授業を展開するところにも、一定の枠を割り当てる。例えばチケットの7割は地元で消費することになっているが、3割はオンライン授業のところでも消費できる、というような仕組みです。これによってオンライン授業のビジネス展開も広がると思います。
日本語学習の駆け込み寺的な展開もできると思います。
【memo】認定日本語教育機関マーク – webjapanese Archive https://webjapanese.com/blog/j/archives/14222
デジタル化もできそうです。
【memo】デジタル日本語学習チケットと優遇措置 – webjapanese Archive https://webjapanese.com/blog/j/archives/14019
海外の日本語教育政策
海外の日本語教育政策を国内と分ける必要はなくなると考えています。今のように大都市にリアル教室を運営する意義は薄く、ネット活用を軸にすべきです。そして、それは国内の日本語教育ネットワークの延長でやれるはずです。海外での大事な仕事は、今でもそれが主流だと思いますが、現地への日本語教育のコーディネートではないでしょうか。文化庁のコーディネーターと同じ役割を国際日本語教育コーディネーターとして、そういう資質をもった人を募集すればいいと思います。
省庁が自前で日本語教育の研究部門を持ち「専門家」を育成するのは、日本で日本語教育の研究が盛んでなかった時代は必要だったかもしれませんが、今は不要です。そこはもう国内の大学でやれるので、基金は、そことの仲介役でよいはずです。研究、教材開発、ネット展開は、国内で国立国語研究所の日本語教育部門などに一元化したほうがよいと思います。
日本語学習は義務か、権利か
国内においては、日本語学習者は来日する人の義務なのか権利なのか?は、政治判断が関わる大きな考え方の違いがあるところです。これは二者択一ではなく微妙な選択肢があります。
- 来日する外国人は日本語学習をする義務がある。
- → 日本語能力は主に試験と紐ついて、在留資格の取得、延長、その他の権利を得るための条件となったりと様々な基準になる。
- 来日する外国人は日本語学習をする権利がある。
- → 日本語学習は義務ではなく、国は日本語学習の機会を準備する義務がある。国は訴訟の対象にもなりえる。
- 日本(国か地方自治体か受け入れ企業かは)日本語教育を提供する義務がある。
- → 権利義務には言及せず準備の義務だけ。どこに責任があるかは明確ではない。訴訟の対象が明確では無いことと、どこまで提供すればよいかも曖昧なので、なかなかこれを根拠に学習者が、責任の主体に対して訴訟を起こすことにはならない。
今は、文言上は3です。ただしすでに在留資格の取得と紐ついており、国内でも留学などでも強化されつつあるという意味では1)の義務的な要素がかなり濃いと言えます。権利か義務かは明記していないと言えます。同時に権利とうたわないことで、日本語教育の提供義務は強くありません。
この動画は「政治的なことには言及しないあくまで説明」ということで始まりますが、この中に
「働き始めたら技能実習生は法律的に日本語を勉強する義務はないから、熱心に勉強している人もいれば全然していない人もいる。」 「勉強してほしいけどなー」
というやり取りがあります。ここは権利でもいいはずですが、義務という語が使われ、勉強してほしいけどその義務がないから(されない)ということが示唆されています。そういう意味では「義務であるべきかどうか」という切り口は示されないままです。このように、この義務であるべきか権利なのかというもっとも重要なところで議論がないまま、いつのまにか、義務であるべきだということが前提ではじまる議論はかなり多いです。
「親方日の丸」としての日本語教育
このように義務なのか権利なのかという問題は重要で、言語教育においてもかなり大きな分かれ目であり、政治的な問題でもあるのですが、前提として政治的に組み込まれているケースが普通で、それに日本語教育関係者は気づきさえもしないということがあります。それはおそらく、日本語教育関係者がこういう議論を苦手としており、考えたり議論したりする素地がないからないかと思います。
そして、その理由は、日本語教育が日本の政策の下請けとして役割を果たすことによってこれまで続いてきたという歴史があるのではと思います。政策として必要であれば決定される。そこに関与はできない。政策によって、私達の役割が生まれ、仕事が生まれるという意識があるからではないかと思います。
日本語学習の義務化は市場の活性化に繋がるという理屈
日本語教育はこれまで以上に「予算がとれる分野」になりましたから、それぞれの日本語教育は違うほうが都合がいいし、来日後の試験で在留資格の延長と紐ついたほうがいい、それぞれ別の日本語教育が必要で別の専門の教師の育成とそれぞれの研修、試験が必要ということにしたい。試験や研修は民間の業者も参入できますよ、とすれば歓迎される。つまりビジネスとしてのパイを大きくしたいなら日本語能力は数値化され、在留資格と紐つけられる方向、すなわち義務化の方向となるかもしれません。
しかし、日本に来る人達にとって日本語の学習機会は保障されるべき「権利」だと考えています。移民への言語サポートは、自らの母語を維持するための保障をすることもセットなのが世界的な流れです。自分が使いたい言語を選ぶ権利があるという考え方が主流です。
今後、日本語教育の世界は「日本語学習の義務化=市場の活性化」「日本語学習の権利化=言語学習環境の構築」の2つの考え方に分かれるのではないかと思います。
就労、留学は在留資格の違い、来日のルートの違いに過ぎず、日本で生活する生活者であることは同じで、滞在が長期化すれば、児童や家族の日本語教育とも関わりが出てくる可能性があります。言語の学習で学ぶべき基本的な部分は同じで、中級以降の違いは一般の日本語教師の勉強で十分に対応できるはずです。そして「日本にいるからには日本語を話せ」という圧力ははたして正当なものなのか?それを語学教育が肯定してよいのか?CEFRの理念と離反していないか?という疑問もあります。複言語、複文化という理念を欠いた「参照枠」や「標準」では、結局、日本語学習を強制する指標として機能してしまうわけです。また、ここで抜け落ちるのが学習者の母語教育であり、言語権の問題です。言語政策はさまざまな要素があり、その人の言語教育観が問われるテーマでもあります。
日本語教育関係者は、省庁間の駆け引きによる日本語教育の分断に巻き込まれることなく、業界の利益拡大からも距離を置き、大きな視点で考え、日本国内の日本語教育の大きな設計図を示す必要があります。専門家として、しっかり国の議論をリードしてほしいところです。
永住、家族帯同希望者には日本語学習を義務化せよ、N2レベルの試験の合格を要件にせよ、という主張がじわじわと増えています。しかし、今は、日本語学習の機会が与えられていないのですから、まずこの整備が先です。10年間、無償で質の高い学習機会があれば、永住希望者はそれぞれが必要だと思う日本語能力を得ることはできるはずです。特定技能から永住希望をする人達はおそらく1000人以下。かなり多く見積もっても、3000~5000人程度です。
👉 日本語学校をはじめ、業界はビジネスになる日本語学習の義務化を支持しそうです。教材、民間試験、日本語学校、教師の養成ビジネスなど市場は広がるからです。このへんの人達の声が大きいことも、他国のように公的サポートが広がらない大きな要因になっていると思います。
海外の外国人に対する言語政策などに関する資料、論文は日本語教育関係の論文に少し整理しています。
履歴
- 2019年4月:β版公開
- 2019年7月:正式公開
- 2020年3月:オンライン授業などを追加。
- 2020年6月:トップ項目の構成、日本語教材に関してなど改訂中。
- 2022年10月1日:システムをPukiwikiからDokuwikiに移行。9月に一ヶ月かけて全面再構成、リライトで10月1日再スタート
- 2023年4月1日:AIによるクロール回避のため、ログインシステムを導入。
- 2024年4月1日:一部を除き、個別アカウントによるログインでないと閲覧できない設定に変更。
資料
論文
SNSに関する社会学的な分析など
総務省は白書で毎年、SNSの利用状況を出しています。 http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/html/nd142210.html
SNS 上で拡散するニュース説明文の信頼性向上に向けた学習データ整理 http://db-event.jpn.org/deim2017/papers/327.pdf
SNS の教育利用とソーシャルラーニング https://www.jstage.jst.go.jp/article/nbukiyou/13/0/13_KJ00008386459/_pdf
ソーシャルメディア利用における「名乗り」とプライバシー https://www.jstage.jst.go.jp/article/jasmin/2012f/0/2012f_359/_article/-char/ja/
ソーシャル世論の傾向 : ツイッター分析を基に (第5回 世論・選挙調査研究大会特集号) https://ci.nii.ac.jp/naid/120006501586
Twitterでの自己開示とシャイネス : シャイな人々にとっての自己開示機会としてのTwitter https://ci.nii.ac.jp/naid/120005555615
日本語Twitterユーザーの中国人についての言説の計量的分析 : コリアンについての言説との比較 https://ci.nii.ac.jp/naid/40020433213
日本語Twitterユーザーのコリアンについての言説の計量的分析 https://ci.nii.ac.jp/naid/40020228291
災害時Twitterにおけるデマとデマ訂正RTの傾向 https://ci.nii.ac.jp/naid/110008583012
OxfordBioChron_Quantifying-Online-Advertising-Frau http://oxford-biochron.com/downloads/OxfordBioChron_Quantifying-Online-Advertising-Fraud_Report.pdf
若者におけるSNS 利用行動およびリスク認知の検討 : LINE とTwitter を中心に https://ci.nii.ac.jp/naid/110009883314
SNS 利用における被害と問題点について http://www.jsise.org/society/presentation/doc/pdf/2013/03_kanto/302.pdf
「SNS疲れ」に繋がるネガティブ経験の実態 : 高校生15名への面接結果に基づいて(研究) https://ci.nii.ac.jp/naid/110009624599
日本の大学生のSNS利用と学業成績との関連性について https://www.jstage.jst.go.jp/article/ssi/8/3/8_191/_article/-char/ja/
フェイスブック問題が浮き彫りにした不安 「個人情報を開示しろ」要求拒んだ日本の大手 https://ci.nii.ac.jp/naid/40021549986
SNS 利用における被害と問題点について http://www.jsise.org/society/presentation/doc/pdf/2013/03_kanto/302.pdf
「SNS疲れ」に繋がるネガティブ経験の実態 : 高校生15名への面接結果に基づいて(研究) https://ci.nii.ac.jp/naid/110009624599
科学コミュニケーション
科学コミュニケーションの罠と対策 - 日本科学振興協会 年次大会2023 https://meetings.jaas.science/blog/20230912-3042/?utm_source=chatgpt.com
エビデンスと確からしさ - 週刊雑記帳(ブログ) https://htyanaka.hatenablog.com/entry/2022/01/10/163704
「キュレーション型剽窃」の悪質さ~若手研究者研究倫理の現状~ - 木村忠正の仕事部屋(ブログ版) https://tdmskmr.hatenablog.com/entry/2018/06/11/162008
声明「科学者の行動規範-改訂版-」 https://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-22-s168-1.pdf
科学の健全な発展のために -誠実な科学者の心得- 要約版 https://www.um.t.kyoto-u.ac.jp/ja/oncampus/kyomu2020/Abridgedtext
研究成果投稿に際しての「研究倫理」に関する留意事項 https://www.nkg.or.jp/event/.assets/kenkyurinri_ryuijikou.pdf
英語のサイト・論文
世界のSNS利用比較 日本はあまり「ソーシャル」じゃない? https://forbesjapan.com/articles/detail/24881
Global social media research summary 2019 | Smart Insights https://www.smartinsights.com/social-media-marketing/social-media-strategy/new-global-social-media-research/ We Are Social :上の調査をしているイギリス(シンガポール)のSNS関連のリサーチ会社(HootsuiteはSNS系サードパーティ) https://wearesocial.com/
How Facebook actually isolates us - CNN https://edition.cnn.com/2017/01/22/health/facebook-study-narrow-minded-trnd/index.html
Social Media & User-Generated Content | Statista https://www.statista.com/markets/424/topic/540/social-media-user-generated-content/
On the attractiveness of social media for language learning: a look at the state of the art https://journals.openedition.org/alsic/2436
Social Media in the Writing Classroom and Beyond Zheng https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/9781118784235.eelt0555
Automatic personality assessment through social media language. https://psycnet.apa.org/buy/2014-45458-001
SNSの投稿の影響の拡大と、引用が難しいという件についての記事や記録
ネット上のデータを残すことについての記事など
Robert V. Kozinets Netnography https://www.researchgate.net/publication/319613944_Netnography
Digital Ethnography: Principles and Practice: Pink,~ https://www.amazon.com/Digital-Ethnography-Principles-Sarah-Pink/dp/147390238X
Understanding Web Archiving Services and Their (Mis)Use on Social Media https://arxiv.org/abs/1801.10396
Losing My Revolution: How Many Resources Shared on Social Media Have Been Lost? https://arxiv.org/abs/1209.3026
外で引用しても消える可能性があるという指摘(このWikiでは、本文は残る仕様になっています。これはX自身の仕様がこの種の指摘を受けて改善されたことによるものです)
Reporting and discoverability of “Tweets” quoted in published scholarship: current practice and ethical implications - Shannon Mason, Lenandlar Singh, 2022 https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/17470161221076948
上のような指摘を受け、2010年代半ばからは、英語圏ではSNSの保存は行われてます。
Can the Internet Be Archived? | The New Yorker https://www.newyorker.com/magazine/2015/01/26/cobweb
現在のSNSの外での引用において、投稿文が残る仕様変更への流れに影響を与えた議論です。
学術研究などにおいて重要という指摘 A Public Record at Risk: The Dire State of News Archiving in the Digital Age - Columbia Journalism Review https://www.cjr.org/tow_center_reports/the-dire-state-of-news-archiving-in-the-digital-age.php
以下は法的な問題について論じています。
An Updated Look at Preserving Social Media Evidence for Lawyers https://www.2civility.org/an-updated-look-at-preserving-social-media-evidence-for-lawyers/
市民活動などにおけるアーカイブ化の必要性 https://networkcultures.org/wp-content/uploads/2024/04/ArchivingActivismintheDigitalAge_INC24_TOD52.pdf
日本語研究の対象としてのネット
日本語学習者と日本語母語話者のチャット会話分析 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jlem/23/2/23_2/_article/-char/ja/
日本人のオンライン・コミュニケーション上での平均使用語彙数が8000語である https://pdfs.semanticscholar.org/6121/6cb3ec9880cfe0a2b45b6af352ed6cd918c6.pdf
ITコミュニケーションから見る日本語の将来:─メール・ブログ・ツイッター─ https://ci.nii.ac.jp/naid/130001072402
ツイッター日本語評判分析データセット
http://bigdata.naist.jp/
ysuzuki/data/twitter/
Twitterにおけるコンテキストと単語の相関関係分析 https://ci.nii.ac.jp/naid/110007993769
国費留学生の修了生ネットワーク構築に関するSNSの利用と関係流動性からの考察 http://ow.ly/H7mT30bSXDD
自律的教室外多読に向けた日本語多読コミュニティ環境整備―学習者向け日本語多読支援SNSグループ作成の試み― http://ow.ly/CroF30bSXFK
日本語研究資料としてのTwitter : コミュニケーション構造の観点から https://niigata-u.repo.nii.ac.jp/records/26610#/.YNU5kugzbb1
SNSを日本語研究資料として利用するための覚書 : 『日本語学』2019年4月号掲載の拙論に対する補遺として https://ci.nii.ac.jp/naid/120006822977
日本語研究資料としてのTwitter : コミュニケーション構造の観点から https://ci.nii.ac.jp/naid/120006759775
Twitter (X) 上の日本語を対象にした言語学的研究に関する覚え書き https://tsukuba.repo.nii.ac.jp/records/2010113
外国人への災害時情報伝達における 「わかりやすさ」とその問題点 https://www.anlp.jp/proceedings/annual_meeting/2006/pdf_dir/S1-5.pdf
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