31 フランス語話者に教える

日本語教師読本シリーズ < フランス語話者に教える

 

『日本語教師読本シリーズ 31 フランス語話者に教える』

30年にわたりフランスで日本語を教えてきた現パリ大学准教授の著者が、自身の教授体験をベースにフランス語話者の特徴、文法、漢字の理解の壁、語学学習に対する姿勢の違いなど詳細に解説。

 

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どんな本?

30年にわたりフランスで日本語を教えてきた現パリ大学准教授の著者が、自身の教授体験をベースにフランス語話者の特徴、文法、漢字の理解の壁、語学学習に対する姿勢の違いなど詳細に解説。

加えて、フランスでキャリアを積むために必要な条件や、受験者が面接後に緊張のあまり椅子から立てなくなるような「アグレガシオンの試験」とは何か?そしてそれを受けない道もある、など具体的で興味深い海外でのキャリア構築の体験記にもなっています。

「暗記はバカがやるもの」率直で建設的。だけど辛辣なフランスの大学生達との戦い方のコツも伝授してくれます。コロナ下のフランスの大学の授業の様子も出てきます。

  • フランスで日本語教師としてキャリアを積む道はいくつかある。
  • 日本語の音でフランス語話者に発音できない音はほとんどない。
  • フランス語話者に訪れがちな「初級後の壁」
  • 形容詞が活用するってどういうこと!
  • 「クワジュミ ジュニシロー」って誰のこと?
  • フランス語にも敬語はあるけども。。。
  • フランス語が気にすること、気にしないこと。
  • 関西弁はフレンドリー

著者紹介

大島 弘子

1981年大阪外国語大学修士課程日本語専攻修了、1994年パリ第五大学一般言語学博士号取得。
現在、パリ大学東アジア言語文化学部日本研究学科准教授。フランス日本語教師会現会長。

 

中身を覗いてみよう
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目次
1章 イントロダクション
 1節 概要
 2節 フランスの大学での日本語教育
 3節 フランスにおける学歴とは
 4節 私の日本語教授体験

2章 日本語学習の壁
 1節 学習者のレベルとモチベーション
 2節 漢字・漢語の難しさ
 3節 日本語の簡単なところ、日本語の難しいところ

3章 フランス語と日本語
 1節 発音について
  □ ローマ字表記の日本語 □ 日本語クラスのイントロとしての
□ 発音指導  □ 後に残る問題 □ アクセント指導

 2節 初級の授業で気をつけておきたいこと
□ 自称詞、対称詞、他称詞 □ 助詞「は」の持つ対比のニュアン
   □ 敬語 □ 挨拶 □ 形容詞 □ 自動詞、他動詞

 3節 状態表現と動態表現
  □ 20年後の私 □ 母語の影響 □ その他の誤用

 4節 変化の表現
 5節 日本語らしい表現
  □ 複合動詞 □ ~てくる表現 □ 日本語の視点制約

4章 フランス的とは?

その1 率直で辛辣な学生達
その2 定期的な授業評価
その3 説明!説明!説明!
その4 「暗記は馬鹿がやること」

コラム:フランス試験事情ー日本語のアグレガシオン

その5 プライバシーに注意!
その6 類型化されるのは拒否!
その7 おしゃべりとカンニング
その8 あいづちは不要!

5章 学習者インタビュー
□ Aさん □ Bさん□ Cさん
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本編からちょっとだけ…

🗨 フランス修行時代
その後、働きながら博士課程に登録して四年年かかって言語学の博士論文を仕上げた。その間に仕事の方は、メートル・ド・ラングを二年やり、ATER(主に博士課程に在学中の学生のポストで、やはり契約は一年で一回更新可能)を二年やった。結局、フランスの大学には学生として六年在籍した。随分遠回りをしたと感じていたが、結局それがフランスで日本語教師として安定する近道だったようだ。


🗨 日本語の簡単なところ、難しいところ
三年生のクラスで、日本語の難しいところ、日本語の簡単なところを小グループに分けてディスカッションし、その結果を発表してもらったことがあるのだが、その時も、ほとんどのグループが、日本語の簡単なところとしてこの講演者と同じ点に言及している。また、もう一つほとんどのグループで簡単だとしているのが、日本語の発音であった。発音に関しては詳しく次章で取り上げるが、日本語の音でフランス語話者に発音できない音はほとんどない。


🗨 状態表現と動態表現
このエピソードから、フランス語話者は、ある事態が、状態的なものであるか、動態的なものであるかの把握が苦手であることが垣間見える。「20年後の私」をイメージする時、日本語話者の頭の中には「20年後の私がどんな状態であるか/どんな状態になっているか」が浮かび、それを表現する時は自然と「~ている(だろう)」という形になる。これは、学生に質問された日本人留学生の自然な反応とも一致する。


🗨 「フランス的」とは?
「家で書いた作文を試験場に持って行ってはいけないということは、三つの作文を暗記しろということだ。素晴らしい作家が書いたものならまだしも、間違いがたくさんあるに違いない自分の作文を三つも暗記するなんて、馬鹿みたいだ。それによって、間違いが一杯頭の中に残ってしまったら本当に馬鹿みたいだ。そしてまた、覚えたものをそのまま試験の時に書くなんて馬鹿みたいだ。」

この学生の話の中で、「馬鹿みたいだ」という表現が三回も使われたのが、とても印象深く筆者の頭に残った。



🗨 類型化されるのは拒否!
女性語と男性語の話もしていたのであるが、終助詞などの例を出して、これは男性が用いる方が自然な終助詞、これはどちらかというと女性が用いる助詞などと話し始めると、まだ話が始まったばかりなのに、必ずそれをさえぎるように女子学生が手を挙げて、「私たちはそれを使わなければいけないということですか」と質問するということを体験した。それは、少しばかり挑戦的な調子で、下手なことを答えると、最後まで聞かないぞ、と言っているように思えた。

 

参考文献・資料

著者による参考文献のリストです。本編の巻末にも同じものがあります。オンラインで読めるものはURLがあります。

ここをクリックしてください
・独立行政法人国際交流基金(2020)『海外の日本語教育の現状 2018年度日本語教育機関調査より』
https://www.jpf.go.jp/j/project/japanese/survey/result/dl/survey2018/all.pdf

・国際交流基金の日本語教育国・地域別情報「フランス(2019年度)」
https://www.jpf.go.jp/j/project/japanese/survey/area/country/2019/france.html

・国際交流基金の日本語教育国・地域別情報「ドイツ(2019年度)」
https://www.jpf.go.jp/j/project/japanese/survey/area/country/2019/germany.html

・国際交流基金の日本語教育国・地域別情報「英国(2019年度)」
https://www.jpf.go.jp/j/project/japanese/survey/area/country/2019/uk.html

・国際交流基金の日本語教育国・地域別情報「スイス(2019年度)」
https://www.jpf.go.jp/j/project/japanese/survey/area/country/2019/swiss.html

・新版日本語教育事典(2005)「各国の日本語教育 フランス」大修館書店 p1036
・Jean-Jacques Origas (ジャン ジャック オリガス)(1994)「フランスにおける日本語教育の現状と課題」『世界の日本語教育』第一号 pp.173-176
👉 開く時にクリックしたところをもう一度クリックすると閉じることができます。


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・ホール, E.T. [岩田慶治・谷泰訳](1979)『文化を越えて』TBSブリタニカ

・Edward T. Hall(1977) “Beyand Culture” , Anchor Books Editions

・三省堂編集所(2018)〚新しく小学校で学ぶ漢字、学ぶ学年が変わる漢字〛リーフレット
https://dictionary.sanseido-publ.co.jp/topic/iko2018/index.html
 開く時にクリックしたところをもう一度クリックすると閉じることができます。


ここをクリックしてください
・東京外国語大学言語モジュールの発音モジュール、フランス語
http://www.coelang.tufs.ac.jp/mt/fr/pmod2/index.html

・田中真一(たなかしんいち)、窪園晴夫(くぼぞのはるお)(1999、2006)『日本語の発音教室 理論と練習』くろしお出版

・Horwitz, Elaine .K, (1985) Using Students Beliefs about Language Learning and Teaching in the Foreign Language Methods Course. Foreign Language Annals, 18, No.4, PP.333-340.

・国際交流基金(2006)『国際交流基金 日本語教授法シリーズ1 日本語教師の役割/コースデザイン』

・大島弘子(おおしまひろこ)、三木杏子(みききょうこ)(2017)「フランスの大学における日本語科新入生ビリーフ調査ー日本人教師との比較ー」『第16回フランス日本語教育シンポジウム 論文集 』
http://aejf.asso.fr/files/symposium_actes/2017_actes/actes_2017_ippanhappyo/14Oshima_Hiroko_Miki_Kyoko_INALCO2017new.pdf

・久保田美子(くぼたよしこ)(2006)「ノンネイティブ教師のビリーフ-因子分析にみる「正確さ志向」と「豊かさ志向」-」『日本語教育』130号 pp.90-99.

・金水敏(きんすいさとし)(2003)『ヴァーチャル日本語 役割語の謎』岩波書店

・新版日本語教育事典(2005)「代名詞の使用・不使用」大修館書店 p186

・スリーエーネットワーク(1998, 2003)『みんなの日本語 初級II 本冊』

・大島弘子(おおしまひろこ)(2018)「状態変化をめぐって」『フランス語を母語とする日本語学習者の誤用から考える』ひつじ書房 pp.171-191.

・小出慶一(こいでけいいち)(1993)『日本語を学ぶ人たちのための日本語を楽しく読む本・中上級』産能短期大学

・池上嘉彦(いけがみよしひこ)(1981)『「する」と「なる」の言語学』大修館書店

・Langacker, Ronald W.(1990) Subjectification. Cognitive Linguistics 1 (1): pp.5-38

・池上嘉彦(いけがみよしひこ)(2006)「<主観的把握>とは何か」『月刊言語』35(5):pp.20-27

・久野美津子(ひさのみつこ)(2005)「ブラジル人幼児2名による変化を表す「~なる」構造での誤りと習得過程」『日本語教育』127:pp.31-41

・姫野昌子(ひめのまさこ)(2018)『新版 複合動詞の構造と意味用法』研究社

・国立国語研究所オンラインデータベース「複合動詞レキシコン」
https://db4.ninjal.ac.jp/vvlexicon/

・Langacker, Ronald W.(1985) Observations and Speculations on Subjectivity. In John Haiman (ed.) Iconicity in Syntax, pp.109-150.

・井出祥子(いでしょうこ)(2006)『わきまえの語用論』大修館書店

・阿部宏(あべひろし)(2012)「空間移動表現の意味拡張についてー「くる」とvenirの場合」喜田浩平編『川口順二教授退任記念論集』pp.1-13.慶応義塾大学

・近藤安月子(こんどうあつこ)・姫野伴子(ひめのともこ)編著(2012)『日本語文法の論点43』研究社

・池上嘉彦(いけがみよしひこ)・守屋三千代(もりやみちよ)編著(2009)『自然な日本語を教えるために』ひつじ書房

・久野暲(くのすすむ)(1978)『談話の文法』大修館書店

・渡辺実(わたなべみのる)(1991)「「わがこと・ひとごと」の観点と文法論」『国語学』第165集
https://bibdb.ninjal.ac.jp/SJL/getpdf.php?number=1650010140

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ここをクリックしてください
・大島弘子(おおしまひろこ)(2017)「フランスの教員資格(アグレガシオン)において求められる能力」『大学マネジメント』6月号、大学マネジメント研究会

・鈴木秀子(すずきひでこ)(2004)『9つの性格』PHP文庫

・新版日本語教育事典(2005)「話ことばの特徴」大修館書店 pp.347-349

・水谷信子(みずたにのぶこ)(1980)「外国語のコミュニケーション」『言語生活』344

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