日本語教師と法律:学習ノート

この記事について
以下は仕事として日本語教師をやっていくうえでぼんやりとでも知っておいた方がいいことは何だろうと調べたプロセスの記録です。まだ途中です。リンクが主ですが、整理するために書いたメモ程度の文もあります。

日本語教師は終身雇用が約束されているような職場はなかなかありません。非常勤が7割超。専任であっても、いくつかの学校を渡り歩くケースが多いですし、大学も長期の雇用が約束されているポストはあまり空きません。つまり、ほぼすべての日本語教師はフリーランスです。
しかし、日本語教師の利益を代表するような組織はありません。既存の組合が日本語教師のために何かをしたということはあったのかもしれませんが、現在、まったく成果はあがっていないと言っていいと思います。もちろん、日本語学校の組織が日本語教師の待遇改善のために何かをしたという話はここ20年くらい聞いたことがありません。

組織に頼れず、ほとんどの場合、組織と仕事をするしかないフリーランスにとって、最後に頼りになるのは法律です。自分の仕事に関わる法律はざっくりとでも知っておいて、法律の活用の方法もひととおり頭にいれておいたほうがいいと思います。

この学習ノートは、追加、修正しながら、専門家の方のチェックなどを経ていつか完成させたいと考えています。間違いなど、ご指摘はAbout usのフォームかツイッターの @webjapaneseJ にお願いします。

 

学校関係の法律

 

日本語学校をめぐる法律の構造

 

日本語学校は「学校」と呼ばれていますが、正式には「日本語教育機関」がいいみたいです。法務省が留学ビザで生徒を集めてよろしいと認可したところをこう呼びます。「病院」は、病院と名乗るためにはベッド数や必要な施設など細かい条件があって、条件に満たないと医院になったり、クリニックになったりしますし、「アイスクリーム」という名前を名乗れるかも、きちんと成分で決まりますが、学校は今のところあまりルールはないようです。つまり「学校」と名乗っているからといって、特に信用には繋がらないということです。

日本語学校を作る際は、文科省と法務省の両方からOKがでないとダメということになっているようです。ここでは細かいことはともかく、日本語学校が縛られる法律、ルール、規制についてざっくりと整理して。

日本語学校の運営主体は、行政法人系、学校法人、準学校法人、各種学校、株式会社、個人と、いろいろな種類があります。株式会社などには一見、法的には学校に関する法律は適用されないようですが、株式会社からはじめて税制上も有利な学校法人に「出世したい」と考える経営者は多いようですし、日本語学校の規制も学校に関する法律が下敷きになっている以上、やはりかなり影響下にありそうです。ひとまず「学校」というところから考えてみます。

学校に関する法律は、理念が書かれた教育基本法があり、次に、定義などが書かれた学校教育法があります。事実上、実務において関係が強くなるのは、この学校教育法からです。

まずWikipediaでざっくりと

学校教育法 Wikipedia
https://goo.gl/1yctVO

学校教育法(法律)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO026.html

で、この学校教育法を下敷きに、さらに、具体的な規制などが書かれている学校教育法施行規則というのがあります。

学校教育法施行規則
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22F03501000011.html

ここには、私立、公立問わず大学は学生数など情報公開の義務がある、というようなことが書いてあります。ここから枝分かれしていき、そこで、例えば教室の定員は小学校で35人、中学で40人まで、というような記述があります。

ここまでは、「学校」に関する基本的なルールです。

 日本語学校の場合は学校法人だから信頼できるとは言い難く、専任の比率のルールも守ってないところは多いですし、ST比(専任一人あたりの生徒数)も小規模の学校に較べるとかなり高く、学校法人だから評判もいいというわけでもないようです。野心があるだけ社員の待遇は厳しいかもしれません。学校法人は基本的に校舎を自己所有してないと認可されないはずです。株式会社の日本語学校はほぼ賃貸です。ただ、校舎自己所有といっても、地方の大学のように地方自治体から安く借りたりできるわけでもなく、賃貸より高いローンを払ってる可能性は高いわけです。。。

 

日本語学校周辺のルール

 

で、その先ですが、民間の学校の場合、業種はさまざまで監督官庁が違います。監督官庁から業界団体を通じて、指導をし、規制を作っています。学校関係の法律が一階だとしたら、この規制が二階。二階建てになっている、というカンジでしょうか。

現在、留学ビザで学生を入れていい正式な日本語教育機関であると認定するのは法務省なので、法務省が出している文書が「二階」のルールです。

法務省の関連文書参照先のトップ
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri07_00044.html

に以下の2つの文書が参照されています。この2つが日本語学校に関わるルールです。

日本語教育機関の運営に関する基準(法務省)
http://www.moj.go.jp/content/000073836.pdf

日本語教育機関審査内規(法務省)
http://www.moj.go.jp/content/000073837.pdf

「二階」で、より厳しくなる分(教室あたりの生徒数は20人になるみたいな)は、厳しいほうが適用される、で、この「二階」に書いてない部分は、基本、一階部分の学校教育法の延長上で解釈するのが妥当と考えるのがいいのかもしれません。

例えば、専門学校の日本語科などは、母体の専門学校が美容なら美容の学校業界のルールがあるはずです、それも「二階ルール」として守らなければならない。で、おそらく1教室あたりの学生数は20人より多くてもOKなはず。でも、少なくとも日本語科に関しては、この法務省の基準のほうの「もうひとつの二階ルール」にも縛られる、ということだと思います。

さらに、この法務省の二階部分のルールは、2016年に新しくしたいと法務省が提案をしました。

法務省が2016年3月に出したパブコメ(新基準案)
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=300130101&Mode=0

専任教師の比率はこれまで約30%であればOKだったのが、50%にというのが目玉ですが、他にも校舎を所有するか長期の賃貸契約がないとダメなど、学校法人並みの規制強化となっています。どうなるかはわかりませんが、流れとしては、経営基盤強化を求められているという印象です。

 しかし、現状では、ここ20年くらい、専任講師の比率の自主規制を守ったことはないと思います。2016年の時点でも半分くらいの学校が専任講師の比率は3割以下です。罰則がないので、守らないことが常態化すると「守った方が損」みたいなことになる。法務省が決めた基準を守らなくてもOKというのは、とても不思議な気がします。

 日本語教育振興協会は、法務省の「下」で日本語学校の審査もしているけどあくまで「参考」で、権限は法務省にあるよと事業仕分けで法務省はつきはなした答弁をして、日振協は不要か、みたいなことになりましたが、今も日振協の日本語学校の審査は続いてますし、審査料も値上げしたりして、存在感は取り戻しつつあるようです。ただしあくまで日本語学校の許認可は法務省だというのは、2016年のパブコメ募集にもジワリとあらわれているという気がします。
□ 行政刷新会議ワーキンググループ「事業仕分け」 WG-B(財)日本語教育振興協会
http://webjapanese.com/blog/j/data/files/NisshinkyoooShiwakeGiji.pdf
□ 事業仕分けで明らかになったこととその後の反応(日振協)
http://blc.jugem.cc/?eid=791

「#日本語学校 #基準」で検索すると法務省の「日本語教育機関の運営に関する基準」と同じ文書が日振協のURLで出てきます。こっちを参照している人のほうが多いかもしれませんが、法務省にあるほうをブックマークしておいたほうがいいかも。
日振協のほうの「基準」
http://www.nisshinkyo.org/review/pdf/index02.pdf

 

地域ごとの規制

 

学校を作る際は地方自治体の許可が必要なので、自治体ごとに独自の規制があるようです。地方自治体の認可の基準にも教室の定員は40人などとありますが、基本的には、中央の規制(学校教育法)よりもゆるいというケースはほぼないと思われます。(教育はまだまだ地方の権限は弱いという話も)ただし「特区」などで一時的にゆるい規制でOKになるケースもあります。特区は法律とは関係なくテスト的にやろうということなので、この「3階」のルールが最も強い、ということになるレアケースです。

東京都の私学行政:1教室あたりの人数制限など。学校全般に関わる規制。全国の自治体の規制の基本になっている模様。
http://www.seikatubunka.metro.tokyo.jp/shigaku/sonota/0000000077.html

 


規制以外のあれこれ

 

規則や規制でいくつかの層がある、ということの他にも、業界のムード、空気も重要です。規則として文言にはないけど、自主的に、このへんはこうしよう、みたいなものが存在することがあります。

例えば、大学では、専任教員1人あたりの生徒数(ST比)は20を超えると問題とされる空気があります。ただ、どこもハッキリと規制はしていない(と思います。見当たらない。指導的なものは散見される)。でも空気があるので、大学などでは、それほどST比は高くならない。広告でうたうところもあり市場原理によるプレッシャーもある。しかし、日本語学校にはそういう空気はないので、ST比が30を越えても問題視されない、ということもあります。

専任と非常勤の比率も、事実上、規制はありませんが、なんとなく非常勤が5割越したらダメだろ、7割だと、もう教育は外注しているようなものだろ、という「空気」は大学には、あるようですが、日本語学校業界には、まったくありません。伝統校、名門校でも8割くらいが非常勤ということは珍しくありません。ルールはあるけど認可取り消しなどの深刻な罰則がなければ守られないのも「2階」の業界ルールの特徴です。これが「1階」のルールならもうちょっと守られるはずですが。

 また、例えば、日本語学校の2階のルールで、教室あたりの人数が20人となっているのは、より厳しい規制という側面だけではなく、大手が参入しにくい、つまり、小規模の学校の経営者にとって有利な参入障壁として機能している、業界にとっての利益も反映されている、という側面があります。

 

学校の情報公開について

 

学校の情報公開に関しては、学校教育法で、定員、在籍学生数、教員数、専任教員数など、細かいことを情報公開せよというルールがあります。
直接記述があるものは以下です。

学校法人の情報公開に関しては、こちらに記載があります。財務状況の中に定員や在籍学生数も含まれます。http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/004.htm

(大学の基本情報は、学校教育法施設規則(172条の2)に基づいて各大学のサイトで公開されています。学校教育法施設規則はこちら。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22F03501000011.html

 

日本語学校の情報公開について

 

上の学校関連のルールがひとまず学校の情報公開の基本となっていると考えることができます。教育関連の組織団体があるような業界では、学生数や教師に関する数字などは、公開の義務があると考えてよさそうです。日本語学校の場合も認可を受ける際に法務省に提出するデータは「全国日本語学校調査」という政府刊行物として90年代から毎年出版されています。今は民間会社が版元になっていますが、政府刊行物であることは同じです。情報公開に基づいて公開されていて、これも民間の出版社から出ているとはいえ、政府に提出したデータが元になっている政府刊行物ですから公益性の高い情報と考えることができます。

日本語学校全調査
https://www.gov-book.or.jp/book/detail.php?product_id=309778

アマゾンでも買えます。

この日本語学校全調査はWeb版があるのですが、これは版元独自の製作らしく、データのヌケなどが多いです。

日本語教育振興協会でも、基本的な情報を公開しています。
http://www.nisshinkyo.org/

全国日本語学校連合会には学校の情報はネット上にありません。
http://www.jalsa.jp/

現在、全国日本語学校データベースと日振協にデータがない日本語学校は定員も在籍学生数もわかりません。学校にとって、定員や在籍学生数、教師の数、専任の比率、学費、進学先のデータなどは、学校を選ぶ学生にとっても就職する教師にとっても最低限必要な情報です。学校教育法の解釈からいっても、透明性を高めるためにも、毎年最新の状況をネット公開することを明確に義務化するか、どこか(すべての日本語学校が加入する組織がないなら法務省が)が公開すべきだと思います。

関連組織団体の情報公開に関する法律は後で出てくる「何とか法人」の情報公開についてに少し書きます。

 政府刊行物の著作権について
http://www.kwire.co.jp/blog/2013/08/24/65

 

「なんとか法人」について

 

「なんとか法人」についてざっくりと

独立行政法人、財団法人、社団法人、一般~、公益~、、、、

日本語教育関係の組織団体は独立行政法人から一般財団法人までいろいろ。ただし、比較的法律のしばりが少ない一般財団法人や社団法人であっても、公益を目的として作られることが基本で、その「公益性」を損なうようなことはできないと考えるのが自然です。(たとえば政府の審議会に呼ばれなくなるみたいなことになってしまうはず)。

また、財団法人が、公益を目的とした財産の集合体で、社団法人は人の集合対という違いがあり、どちらかというと、財団は目的のために集まった「お金の運用」が主で、社団は、理念を作り、その実現に向かって進む「人」が軸になっている、という違いがあるとされています。

もちろん「一般」よりも「公益」と頭につく財団法人のほうがより公益性が高いと考えられているようです。税制(法人税率)も有利。いずれにしても、そのサイトに、法律にのっとって、理念であるとか、規則であるとかが書いてあるので、そこにある文言に縛られます。そこから逸脱はできないし、その延長上で、公益性の目的達成の努力を怠れば問題となります。

公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H18/H18HO049.html

独立行政法人通則法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H11/H11HO103.html

*ここのところ、いろいろと法律が変わったりして、ややこしいんですが、基本は、この「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」が軸で
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H18/H18HO049.html

現在はこの公益法人制度改革を経て、いろいろと整理されているものを読めばだいたいわかるようです。
公益法人制度改革 Wikipedia
https://goo.gl/IhXseJ

日本語教育関係のなんとか法人

国際交流基金は、独立行政法人、日本語教育学会は、公益財団法人、日本語教育振興協会は一般財団法人、全国日本語学校連合会(JaLSA)と全国日本語教師養成協議会は一般社団法人です。

財団法人、社団法人の公益性は濃淡あるといっても、日本語教育振興協会は長く業界の窓口として監督官庁とやり取りをしてきたところとして、「一般」といっても極めて公益性が高い。全国日本語学校連合会も政府の会合に日本語教育関係の組織として呼ばれることもありますし、これまた普通の社団法人と違って公益性は高いと考えてよさそうです。それぞれの概要、設立趣旨から外れることはできないはずです。

日本語教育振興協会 概要
http://www.nisshinkyo.org/about/index.html

全国日本語学校連合 定款
http://www.jalsa.jp/teikan.html

「なんとか法人」の情報公開について

いろいろと関連の法律があります。

総務省 情報公開制度
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/gyoukan/kanri/jyohokokai/

情報公開法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H12/H12SE041.html

独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H13/H13HO140.html

公益法人認定委員会
https://www.koeki-info.go.jp/commission/index.html

公益法人の情報公開について
http://www7a.biglobe.ne.jp/~wwd/90664291/

公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H18/H18HO049.html

公益認定のメリットとデメリット
http://www.koeki-nintei.com/index.php?公益認定とは(メリット)

一般法人・公益法人なんでもQ&A 情報公開の根拠規定は?
http://www.kohokyo.or.jp/forum2013/viewtopic.php?f=102&t=158

 

著作権関連

 

→日本語教育関係者は平気で違法コピーの教科書を使ったりと、著作権関連、ゆるすぎるように思います。基本、著作権はクリエーターの権利を守るものなので、学校ぐるみでやっているみたいな悪質なものは通報したほうがいいと思います。

公益社団法人著作権情報センター
学校教育と著作権
http://www.cric.or.jp/qa/cs01/

学校その他の教育機関における著作物の複製に関する著作権法第35条ガイドライン
http://jbpa.or.jp/guideline/index.html

著作権違反を通報する窓口

テレビ
放送コンテンツ適正流通推進連絡会
https://www.tv-copyright.jp/
アニメ
https://www2.accsjp.or.jp/piracy/piracy.php
インターネット
http://www.internethotline.jp/

*出版物などは出版元に直接連絡するほうが対応が早いとのこと。

 


 

労働関係の法律

 

労働関係は、会社、学校関係なく軸になる法律は労働基準法なので、比較的シンプルです。問題の種類によって分けるほうがいいと思います。ただ、学校の法律と違ってグレーゾーンが広く、業界の組織が管理するという側面も薄いので、個人が何かアクションを起こさないと違法な状態のまま、というケースも多いです。対処方法まで含めてメモ的に書いていきます。

 

基本的な情報と窓口的なものの一覧

 

労働基準法(昭和二十二年四月七日法律第四十九号)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO049.html

労働基準法に関するQ&A 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/faq/faq_kijyunhou.html

全国の労働基準監督署の所在地
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/location.html

厚生省 労働基準関係情報メール窓口(匿名での申し立てができる)
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/mail_madoguchi.html

東京都労働相談情報センター
http://www.hataraku.metro.tokyo.jp/soudan-c/center/

弁護士ドットコム 相談
https://www.bengo4.com/

連合 労働相談
http://www.jtuc-rengo.or.jp/soudan/index.html

全労連 ホットライン
http://www.zenroren.gr.jp/jp/soudan/

個別指導塾ユニオン
http://kobetsu-union.com/

首都圏非常勤講師組合
http://hijokin.web.fc2.com/

個別のあれこれ

ハラスメント

厚生労働省 職場でのセクシュアルハラスメントでお悩みの方へ
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/seisaku06/

セクハラ110番 セクハラの裁判例
http://110sekuhara.com/saibanrei/sh11.html

厚生労働省 パワハラについて(明るい職場応援団) 
https://www.no-pawahara.mhlw.go.jp/

厚生労働省 パワハラの裁判例(明るい職場応援団) 
https://www.no-pawahara.mhlw.go.jp/foundation/judicail-precedent/

弁護士ドットコム ハラスメント
https://www.bengo4.com/c_5/c_1623/

 セクハラまではいかなくても、日本語学校の場合、明らかに男性のほうが厚遇である、というケースはあるように思います。例えば、採用時は同じ、つまり「雇用機会」は同じであっても、専任への道となると男性有利というケースが多いようです。もちろん、こういうことも「男女雇用機会均等法」で禁じられています。しかるべきところに相談、通報する選択肢はあります。
法務省 人権ホットライン
http://www.moj.go.jp/JINKEN/index_soudan.html
弁護士ドットコム 偏見 差別
https://c-3.bengo4.com/bbs/%E5%81%8F%E8%A6%8B+%E5%B7%AE%E5%88%A5/

 


労働基準法の解説、パンフなど

 

わかりやすいパンフなどが公的機関にたくさんあります。「わかりやすい」と感じたものをひとつダウンロードしてざっと目を通しておきましょう。(アマゾンやブックオフにも100円の「簡単にわかる」的な本がたくさんあります)

東京労働局 パンフレット「労働基準法のあらまし」 (PDF)
http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/jirei_toukei/pamphlet_leaflet/roudou_kijun/_84882.html

知っておきたい働く時のルール(PDF)
http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/jirei_toukei/pamphlet_leaflet/roudou_kijun/_116683.html

労働厚生省 FAQ
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/faq/faq_kijyunhou.html

東京弁護士会
http://www.toben.or.jp/

大阪弁護士会
http://soudan.osakaben.or.jp/

弁護士ドットコム 労働
https://www.bengo4.com/c_5/

判例など

弁護士ドットコムの「講師」の法律相談
https://www.bengo4.com/roudou/1103/?query=%E8%AC%9B%E5%B8%AB

□ 大学方面はちゃんと問題にされるので話題も多い。

5年雇い止め、和解になった早稲田の件
http://biz-journal.jp/2014/06/post_5050.html

来学期から東京大学非常勤を辞めることになりました
http://d.hatena.ne.jp/saebou/20151221/p1

日米における大学非常勤講師の位置づけ
http://togetter.com/li/16041

東大では非常勤は教職員に含まれない?
http://togetter.com/li/834091

「若者雇用促進法」関連

若者雇用促進法はいわゆるブラック企業と呼ばれているところに罰則を設けるための法律です。2016年の3月から施行。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000097679.html

これを利用して情報開示請求をした記事がありました。
http://www.mynewsjapan.com/reports/2242

*「離職率」の理解も。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%A2%E8%81%B7%E7%8E%87

 

生徒の様子がおかしい

 

日本語学校では技能実習生の請け負いをするところが増えてきました。学校にとっては重要な取引先です。ここ何十年も、8割近い技能実習生の受け入れ企業がなんらかの違反をしているという調査結果がありますので、常態化していて「ああいうのが普通だから」「ひどいところに較べると良心的」とスルーされるようになっています。

技能実習生周辺は送り出し国の組織、仲介をする業者、受け入れ国の管理団体、協同組合などの組織、受け入れ企業、いろいろあるわけですが、実習生の生活環境や労働環境をきちんとしなければと動く組織は、ほぼありません。実習生もお金がほしいんだから、少々のことは見て見ぬフリするのがお互いの暗黙の了解、みたいなケースもあるようです。

留学生と違って、学校やコンビニなどのバイト先で日本社会と接するわけではありませんし日本語能力も総じて低い。技能実習生の周囲に味方はいません。つまり、技能実習生の労働環境に関して、利害関係が薄く、問題に気づいて、法的な対処まで導くことができるのは、日本語教師だけかもしれません。

厚生労働省
外国人技能実習生の実習実施機関に対する平成26年の監督指導、送検の状況を公表します。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000098716.html

まともな賃金が払われていない、残業代がない、居住費生活費と称していろいろと天引きされている、仲介業者が不当に利益を得ている、いろんなところで、少しづつ、いろんなところがお金を抜いている、というような構造があり、さらに、パワハラ、セクハラ、虐待に近いことが行われている(けど、出身国で同じような環境だったので実習生は気づかないということもある)。教室で寝ている生徒が受け取っている報酬は時給換算で300円くらいで、気づかずに満足している、という可能性があるわけです。

技能実習生は研修だから労働基準法は適用されない、という人がいます。最初はそうでしたが、今は違います。以下のPDFをざっと眺めておきましょう(これ当然自分にもあてはまりますし)。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002ag3s-att/2r9852000002ag9v.pdf
労働基準法は、あらゆる契約に優先するので、契約時に時給300円だったというのはレッドカードです。地域ごとに決まっている最低賃金は支払わなければなりませんし、時間外手当ては割り増しですし、残業は一ヶ月45時間を越えてはいけません。給料から勝手に天引きするのは違法ですし、休暇がない、休み時間がない、貯金させるみたいなことも禁止です。

例えば、もし、これらの日本の労働関連の法律が実習生の母国よりも優れているとするなら、相対的な優位とはいえ、それは日本事情の重要なジャンルとして教え伝えるべきことではないでしょうか。母子手帳制度や進んでいる災害対応などと並んで日本の「クールな」側面としてとりあげたい材料です。帰国して、自分の国の労働環境の整備に携わろうとする人が出てくるかもしれません。

技能実習生の受け入れ先も、悪気はなく「お互いに了解済み」「日本人ももっと働いている」という理屈で、ずるずるとヒドい労働環境となっているケースは多いようです。知ってて見過ごすとなると、生徒募集から関わる学校もありますし、おかしなところと提携している日本語学校が処罰の対象になる可能性はあります。日本語教師は、生徒の話を聞いておかしいなと思ったら、それとなく確認して、対処することはできます。

公的な管理組織もありますが、利害関係がない第三者の立場で動いてくれそうなところは、労働基準監督署か、弁護士団体、しかありません。

外国人技能実習生問題弁護士連絡会
http://kenbenren.www.k-chuolaw.com/

日本弁護士連合会の意見書
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2013/130620_4.html

神奈川県弁護士会 
外国人労働者と技能実習生のための無料電話相談
http://www.kanaben.or.jp/news/event/2012/post-40.html

厚生労働省 技能実習生のみなさんへ(日中インドネシア、ベトナム、タガログ語の労働基準法などの説明パンフ)

http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/foreigner/technical_intern/

国内で技能実習生のことを管轄しているのは、公益財団法人 国際研修協力機構(JITCO ジツコ)でしたが、2016年からは外国人技能実習機構がより厳しく管理していくことになりました。2つの組織となったことで、JITCOも以前より厳しく監視するようになったという話もあります。

JITCO関連

問い合わせは
http://www.jitco.or.jp/about/inquiry.html

実習生の労働環境に関するガイドラインもあり、セクハラ関連や、妊娠、出産などでの不利益取り扱いの禁止、など細かい規則が書かれています。労働基準法以外の部分で、ここに書かれていることに違反していれば即アウトと考えていいはずです。

外国人技能実習生労務管理ハンドブック
http://www.jitco.or.jp/download/koyoukanri_handbook.html

外国人技能実習機構は、まだきちんと組織の概要がわかってませんが、おそらくなにがしかの通報窓口はできるはずです。わかったらここでご紹介したいと思います。

 


 

近い将来起こりそうな問題 - 社会保険 –

社会保険とは

社会保険とは、いろいろ考え方はありますが、基本的には「健康保険」「厚生年金」「介護保険」「労災保険」「雇用保険」のことです。会社に入ると、会社と個人で折半して払うことになり支払いは会社給料から天引きされる、というシステムです。

社会保険は従業員5人以上が常に働いているところは加入義務があります。
対象は正社員だけでなく、契約社員やパートにも適用されます。一般的な正社員の所定労働時間は週5日、一日8時間となっているので週40時間を目安とし、おおむね四分の三以上働き、二ヶ月以上雇用見込みの場合は、会社は社会保険に加入できるようにしなければならにことになってます。「月に120時間以上」が目安となっているという話もあります。この「おおむね」の解釈でこれまで問題になってきた歴史があり、会社側は四分の三以上にならないよう調整する、あれこれと少なく解釈して要件に満たないとする、で、契約社員やパートに訴えられて裁判に、ということがあったとのこと。

日本語学校も90年代にすべて加入すべしという通達があったようです。90年代に「無理だよ」「社会保険大変だよ」という日本語学校経営者の声を聞いたことがあります。現在は、専任の教員は社会保険に入ることが法務省の日本語教育機関の認定の要件となっています。
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri07_00044.html

自己負担分の目安と社会保険加入のメリット

健康保険は、給与の5%前後が自己負担。自営業の国民健康保険よりも自己負担は減り、出産手当て金(出産で42万円、産後休業分で56日×一日の報酬額)や傷病手当金(ケガや病気で会社を休んだ時に一日の報酬額の三分の二が支給)など手厚くなります。

厚生年金は、給与の8-9%前後が自己負担。国民年金に+され、支給額もかなり多くなります。厚生年金の支払い額は国民年金も含まれているので支払う額としては一本化されます。

介護保険は40才になったら支払うシステムです。

労災保険は全額会社負担。仕事でケガをしたり病気をしたりしたときの保証をしてくれます。

雇用保険は給与の約0.5%が自己負担とのことです。会社の加入義務は他の保険より厳しく、週20時間働く人で31日以上雇用の見込みがある場合は会社が加入する義務があり罰則もあります。失業時の再就職までの期間、失業手当(7,000円前後×90~150日分)等が給付されます。また、育児・介護休養の際の補償(給与の約67%)もされます。

すべて合わせると、給料の15%近くは引かれるわけです。20万円なら3万円。ただ、健康保険、介護保険は、自営業になっても払う(合計で15000円くらい?)ので、年金も増えて、いろいろ手厚くなりますし、仕事をしている間のケガ病気の保障もある、日本語教育業界は失業のリスクは高いし、今は、扶養でいいといっても、例えば、経済的な自立がないことが、将来、離婚という選択肢の障害になるかもしれない、となると、長い目でみれば、やはり加入したほうが圧倒的に得という気がします。

 

2016年からパートも社会保険加入に

2016年10月からパートタイムであっても一定の条件を満たす人は、社会保険に加入することになります。また結婚していて配偶者の扶養下でいられる上限の金額が年収で106万円となります。

パートタイムで社会保険に加入できる要件は

1. 週所定労働時間が20時間以上
2. 年収が106万円以上
3. 月収が88,000円以上 
4. 雇用期間が1年以上
5. 企業規模が従業員501名以上(*平成31年9月30日までの時限措置)

厚生労働省 短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000099460.pdf

が「いちおうの目安」とのこと。平成31年(2019年)10月からは、従業員規模のハードルが下がり、日本語学校でも十分に射程内に入ると思われます。年収による「シバリ」も撤廃すべきではという議論は時々起こってますから、これらもどうなるかわかりません。

つまり流れとしては、今年から数年のうちに、週20時間以上働く人は、加入マスト、となる可能性はかなり大きいと思われます。

当然、専任講師に準ずる形で仕事をしている非常勤講師も社会保険に加入という流れになりそうです。もちろん、配偶者の扶養内でやりたいという人は、授業時間を減らすという調整を学校側とすることになると思われますが、問題は、扶養の条件関係なく働こうという教師が学校側の意向によって、社会保険に加入させてもらえない、あるいは、条件を満たさないように、働く時間を制限されてしまう、というケースです。

これはこれまでも、ベテラン教師などに社会保険出す余裕がないので契約社員として週30時間越えないように、あるいは雇用保険の20時間越えないように契約してね、という日本語学校はあったはずです、これが週20時間になると、ちょっとコマ数が多い非常勤講師は加入させなければならなくなりますから、今後、そういう非常勤、契約の教師の労働時間が、軒並み20時間以下にさせられる、という可能性はおおいにあると思います。

社会保険は個人が払う額の半額を会社が払うことになっており、雇用側にとっても、かなり大きな負担です。日本語学校が専任教師の比率をあげられないのも、この社会保険の負担が大きな要因となっていると思われます。ネット上にも経営者に向けて「いかにパートに社会保険に加入させないようにするか」という情報をあれこれ書いてるサイトがたくさんあります。#加入逃れ 一語で検索して出来るのは、事業主が社会保険の加入から逃れるサイトばかりです。

いろいろと訴訟も起こっています。
ベルリッツの講師、日本年金機構に勝訴
http://generalunion.org/Joomla/index.php/jp/2014-08-06-05-33-55/1473-2016-07-14-02-35-15

これは、今後、問題となる可能性がある事項として、書いておきます。今からでも、もし、非常勤として仕事をする場合、あるいは契約社員の場合、2019年10月以降、社会保険に加入できるのかをまず確認したほうがいいと思います。本人が希望するなら加入する方向で整備していきたい、というような学校は多くないかもしれません。

106万円は、仮に時給1500円で計算すると、約707時間です。日本語学校は実働は、年40週くらいでしょうか?40週で計算すると、週17.6時間。20時間以下です。つまり扶養がいい、106万円以下で働きたいという人は日本語学校にとってありがたい存在といえます。今後、日本語学校が、独身者や若い人より、結婚していて扶養でやる人を雇いたいという傾向は強くなるかもしれません。

 もちろん、結婚している、してない、する予定があるないで、採用不採用を決めるのも、面接時に関連の質問をするのも、採用後に妊娠結婚で退職を迫るのも、男女雇用均等法違反です。 http://www.mhlw.go.jp/general/seido/koyou/danjokintou/q-a.html

日本語学校には長年非常勤で実質専任並みに仕事をしている教師がいるケースが結構あります。そういう人達が、すでに社会保険に加入している学校なら、日本語教師と長く付き合っていこうというところ。ベテラン教師が軒並み契約社員で、週30時間以下で調整されてきた。今、20時間以下で再調整、というところは、基本、日本語教師に保険料を払いたくないというところと考えてもいいと思います。

社会保険は、出産や子育てに対する保護が手厚く、働く女性を支える制度という要素も大きいです。女性が多い日本語教育業界で社会保険への加入を渋るということは、ますます日本語教育業界は女性にやさしくないところだということになってしまいます。この新たな社会保険の基準は、基本的には働く女性の自立を促しサポートする改正です。「週20時間以上働く人を社員と同等に扱えない会社は淘汰されても仕方が無い」という考え方もあるように思います。日本語学校は小規模の会社が多く、経営が不安定で社会保険を適用していたら経営が立ち行かない、ということなら、経営統合や多角化などで体力をつければいいのです。

日本語教育振興協会、全国日本語学校連合会などの業界団体も、会社規模に関係なく一律で20時間以上の講師に社会保険の適用を義務づける方向で動くべきではないでしょうか?

 

例えば今、今年の10月の施行のタイミングで「国内の民間の日本語学校は、一定規模の学校は最初から、平成31年(2019年)10月からは、すべての私達の組織の登録校は、すべての20時間以上働く教師を社会保険加入を義務化します」と宣言すれば、女性が働きやすい仕事だという強い印象を与えることができるのではないでしょうか?

 

社会保険に関しておかしいなと思ったら

社会保険の管轄はいろいろ違うので相談する先が違います。学校がきちんと説明しない、加入させない、みたいなことは、先にあげた全国労働基準監督署でいいと思いますが、個別の問い合わせ、相談なら、以下に。

□ 雇用保険未加入の相談先は全国ハローワーク。
ハローワーク
http://www.mhlw.go.jp/kyujin/hwmap.html

□ 労災保険未加入の相談先は労働基準監督署の労働保険適用担当
都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧
http://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shozaiannai/roudoukyoku/

□ 健康保険未加入の相談先は全国健康保険協会の近くの支部
全国健康保険協会
http://www.kyoukaikenpo.or.jp/

□ 厚生年金未加入の相談先は日本年金機構
日本年金機構 ねんきんダイヤル
http://www.nenkin.go.jp/section/tel/

その他リンク

日本年金機構 平成28年10月より短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大が始まります。
http://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2016/0516.html

*年金機能強化法
http://www.gov-online.go.jp/useful/article/201407/1.html

離婚後の社会保険
http://www.rikonmondai.jp/problem/hoken/

 


 

個人でできること

勤め先に問題があると思った時は、ぼんやりとツイッターで悪口をいったりボヤいたりするよりも、まず労働基準法の概要だけでも読んで、判例などもざっとチェックする(労働基準法は違反だから訴えれば勝てるというものではないのが難しいところなので)といいと思います。現実にはどのへんからイエロー、レッドなのかを知っておくことは結構重要なので。

日本語学校では

日本語学校の場合ですと、絵に描いたような乱暴な物言いよりも「修行のうちだから」「やる気のない教師はダメ」「昔は無給でがんばったものだ」「**先生はやった」というような理屈でサービス残業などを強いられたり、無理な仕事を受けざるを得ない状況に追い込まれたり、ということが多いような気がします。あるいは同様の理屈(きちんとした客観評価ではなく「やる気が感じられない」的なあいまいな理由で)でコマ数を不当に減らされたり、というようなことも多いはずです。やさしくニッコリと「がんばって!」などと言われて「いい先輩に恵まれた」と思ってしまう的なこともホントにあるあるです。

年々巧妙化!ブラック企業の10の手口を徹底解説
http://diamond.jp/articles/-/79476

「良心的な私達の学校を救うために安い賃金で働いてくれ」ということもよく聞きます。「学生に負担をかけるわけにはいかない」から教師の給料はあげられない、というような理屈も。

しかし、留学生の数は一定数あるわけですから、経営力のない日本語学校が潰れても何の問題もありません。力のある教師であれば、潰れた学校からならすぐに転職できるはず。

また、1教室20人という規制がありますが、これは民間の学校の基準としてはかなり厳しいものです。普通は常に20人近くいないと採算は合うはずはありません。教室に学生がいない、年によって学生数の増減が激しい、というのは、単純に学校の経営に問題があるからです。経営力がない学校は淘汰され、統合され、日本語教師にまっとうな給料を払い、教師を時間をかけて育てて、長く働ける環境を提供できる学校が残るような健康な競争が、新陳代謝が、日本語教育業界には必要です。

証拠が重要

サービス残業やタイムカードの書き換えなどは、査察が入ればハッキリしますが、ハラスメントのタグイは証拠をきちんと積み上げないといけません。録音が決め手になることは多いようです。深刻なことになる前から、少しづつやれることはやったほうがいいようです。セクハラはストーカー化したりする可能性もありますし。可能な限り早い段階から証拠集めはやるべし、というのが定番の対処法とのこと。

弁護士ドットコム「パワハラ・セクハラの証拠集めは「犯罪」ではない」
https://www.bengo4.com/c_5/n_1705/

相手に無断で録音したものが証拠とならないケースはほとんどの場合刑事裁判で労働問題のような民事裁判ではほぼ証拠として採用されると言われています。

録音はスマホのボイスメモ的なアプリが一番簡単で怪しまれないと思います。常に携帯していても自然ですし、ボイスメモのアプリはたくさんあります。動画も撮れますし。ICレコーダーも、USBメモリタイプ(逆に、職場の謎のUSBメモリには注意しましょう…)などいろんな種類があります。デジタルビデオでもアクションカメラというカテゴリでは、高画質で小さいものがいろいろあります。安くてシンプルなのはこういうのとか。
http://polaroidjapan.com/product/cube/index.html

いざ交渉という時にセットしておくみたいにこっそりやる、という方法もありますが「このやり取りは録画します」と宣言してやる方法もあります。交渉の場で前向きな約束などがされた場合の証拠にもなるからです。

 アマゾン関連機器の検索結果 https://www.amazon.co.jp/s/ref=nb_sb_noss_2?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&url=search-alias%3Daps&field-keywords=%E7%9B%97%E8%81%B4
自分でもできる!こうやって見つける「盗聴器の発見方法」 – NAVER まとめ http://ow.ly/WzQz302jEW7

匿名メールで

で、第一歩としては先にあげた匿名でメールで厚生省にメールする、というステップがあります。匿名の申し立てでは動かないと言われてますが、記録はのこる。いつか何かの判断材料にはなります。できれば、具体的に行われていることを書き、労働基準法の*違反ではないか、と証拠になりそうな事実をきちんと書いたほうがいいようです。タイムカードがあるか、どう使われているか、給料明細をコンビニでスキャンして添付するなど。

実名で申し立て

次の段階は直接管轄の労働基準監督署に言って実名で申し立てをする、これは証拠がとれそうなら、動いてくれる可能性は高まるようです。この申し立ても、ただ「ひどいんです」と言うよりも、労働基準法を理解したうえで、「**条に違反している」と言うのとでは、対応が全然違うと言われてます。もしかしたら学校をやめる覚悟が必要になるかもしれませんが、転職するなら、後につづく教師のためにもやる価値は大きいと思います。

訴訟の前段階 ~「なんとか士」の方々に~

訴訟は最後の手段ですが、小さな会社の場合、明らかに違法みたいなケースでは、弁護士に相談する前に司法書士の人に相談して書面作って送れば、あわてて対応して解決、ということもあると思います。ネットでいろいろ調べて、じゃあ何かアクションを起こすか、という際は、まずは司法書士に相談することから始めてもいいかもしれません。いろいろあるので関係がある「なんとか士」についてちょっと調べました。

司法書士

裁判に関わる相談も受け、場合によっては代理として裁判に関わってくれることもありますし、弁護士をたてるかどうかみたいなアドバイスもしてくれます。町にひとつは事務所がある(市役所の近くとか)ので、ちょっと相談してみる、あるいは「こういうことについて法的に何かできないか考えている、ついては、ご相談する費用など教えてください」と、尋ねてみてはどうでしょうか。

司法書士連合会
http://www.shiho-shoshi.or.jp/

行政書士

行政書士事務所が舞台のマンガ、カバチタレで有名になりました。あんなに社会正義に燃えた海千山千の人がいるとは限らないみたいですが、不当な解雇だとか、パワハラみたいな件でも相談できると思います。基本、官庁などに提出する書類など、国や政府とのやり取りの際の書類作成が専門ということですが、会社などを相手に法的にどう対応するのがいいか、などのアドバイスなどをしてくれるはずですし、司法書士と同じく法律関連の仕事が多く、弁護士との関係も近いので、必要ならば弁護士を紹介してくれると思います。
国籍取得やビザの書き換えなども主な仕事のうちなので、外国人関係の問題、トラブルの相談もできるはずです。

日本行政書士連合会
https://www.gyosei.or.jp/

社会保険労務士(社労士)

どちらかというと企業の顧問となって法律に沿った経営が行われているかをみてもらうみたいな形で仕事をしている人が多いようで、どちらかというと、会社とのやり取りでは会社側にいるほうの人達です。労働訴訟対策などもやります。時には、よからぬアドバイスをシャチョーにするという社労士もいるみたいな話はよく聞きます。

全国社会保険労務士会連合会
http://www.shakaihokenroumushi.jp/consult/tabid/208/Default.aspx

いずれも、専門、得意な分野がありますし、個人の客はあまりとらない、みたいな人もいます。今はネット上にサイトを持ってるところが多いので、自分が住んでる地域と「なんとか士」で検索して相談できそうなところをピックアップしてメールを出してみる、でもいいかもしれません。

 

とはいえ、相手の経営者が内容証明くらいならスルーで顧問の社労士に相談して、逆にあれこれとプレッシャーかけてくる、犯人捜しをしてくる、みたいに悪質だったり、セクハラみたいな場合は、解決するなら警察か裁判か、ということしかないかもしれません。

訴訟

訴訟も辞さず、ということなら、組合的な組織に相談する、直で労働問題に強そうな弁護士に相談する方法があります。費用などは、まず相談すればきちんと明示してくれると思います。数名でも人数が揃うなら、こっちのほうが心強いかも。

こういう動きに対してプレッシャーをかける、犯人捜しをする、という行為も違法です。申し立てをする、訴訟をするとこまではいかないと思っても、書類から会話記録まで(iPhoneで簡単に録音できます)記録できるものは記録しておきましょう。

公益通報者保護法
http://www.caa.go.jp/planning/koueki/gaiyo/

東京弁護士会 公益通報Q&A
http://www.toben.or.jp/bengoshi/koueki/qa/

大阪弁護士会 公益通報者サービスセンター
http://soudan.osakaben.or.jp/freetel/index.php

*組合も弁護士事務所も、穏やかなところから、とにかく訴訟、というところまでいろいろあるようです。話をして納得いくところで、納得のいくやりかたでどうぞ。

費用

労働関係は裁判になると弁護士費用などを含め50~100万円ほどかかるようなので、個人だと、例えば取り戻したい金額があって裁判で勝ったとしても赤字は免れないような気がします。

ただ、裁判の前段階の「労働審判」だと弁護士はいなくてもできるので安く済みます。2万円くらいとのこと。司法書士や弁護士に相談だけしても合計10万円くらいでできそうです。労働審判は個人と会社との関係を判断するものということなので、集団での訴訟はできないのですが、グループを作り、費用を出し合い、誰かが代表してやるという形でやるわけです。( #労働審判 #費用 で検索してみてください)

ただセクハラ、パワハラとなると、労働審判では「セクハラ、パワハラを放置していた」と会社を訴えることはできても当事者本人を訴えるのはできないそうです。これは弁護士が必要ですが、費用などは、セクハラ、パワハラの被害者のグループなどに相談するのがいいかも。

これまで日本語教師が日本語学校を訴えた記事は読んだことがありません。訴訟になれば社会的にかなりインパクトは強いので学校はその前になんとかしようということになる可能性は高いです。労働審判まで行っても和解を目指すでしょう。ただ、もしかしたら、そうやって表にでないことで、結果、セクハラやパワハラ、違法な労働環境が続いているということもあると思われます。悪質なら、訴訟は脅しで使うのではなく、実際にやってみれば、業界全体への影響は大きいのではないでしょうか。30年できなかったことが、アッサリ動くきっかけになるかもしれません。

 いざという時に訴訟ができるような体勢(顧問弁護士を雇うとか訴訟費用をプールしておくとか)を持つためにも日本語教師ユニオンを作る意義はあると思います。100人の日本語教師が年間1万円、もしくは、300人の教師が年間3000円出し合えば、ひとつ訴訟ができる体勢が作れます。

 ただ、「なんとか士」も弁護士も、相談してサポートしてもらうのであって、どうするかを決めてもらうのではありません。最終的にはあなたがどうしたいかで決断してください。

メディアに

今は、SNSなどで「こういう問題がある」と発信することができます。ただ、実名アカウントで、相手も実名で、具体的な証拠の写真などを添えて発言しても、ただ、書いただけでは、それが何かに繋がる可能性は低いです。メディアの代表アカウントにリプライしても難しいですが、多分、情報提供のページから送信すれば会社の誰かの目には止まります。ダメ元で気軽に送ればいいと思います。

新聞社や出版社、政党には、必ず報道してほしいという旨を送るフォームがあります。

朝日新聞 
情報提供:こちら調査報道班
https://www.joho.asahi.com/
SNSアカウント(グループ)
http://www.asahi.com/twitter/
SNSアカウント(記者)
http://www.asahi.com/sns/reporter/

毎日新聞
情報提供:問い合わせ https://form.mainichi.co.jp/toiawase/index.html
SNSアカウント http://mainichi.jp/social/

読売新聞
情報提供:https://info.yomiuri.co.jp/contact/index.html?from=yfooter

日本経済新聞
SNSアカウント http://www.nikkei.com/edit/sns/?n_cid=DSSCN001

ハフィントンポスト
情報提供 http://www.huffingtonpost.jp/p/huffingtonpostjp-contact-us.html

週刊新潮
情報提供 http://www.shinchosha.co.jp/help/ask.html#contentAnchor4

その他、ウェブメディアもたいてい下のほうに、「お問い合わせ」リンクがあるので、そこから情報提供ができます。

 ダメ元で記者のツイッターアカウントなどにリプライをしてみるのもいいかもしれません。朝日、毎日、日経などはたくさんあります。例えば、朝日の岡田記者 ( @OkadaG)は、福岡の日本語学校を取材して閉校に追い込んだ記事に関わっていたようです。

その他

外国人が被害者という場合、大使館に通報するという方法もあると思います。

ベトナム大使館
http://www.vnembassy-jp.org/
フィリピン大使館
http://tokyo.philembassy.net/ja/
中国大使館
http://www.china-embassy.or.jp/jpn/
インドネシア大使館
http://kbritokyo.jp/ja/

などなど。。。

 

 

次の世代のために。できることから、できる範囲で

そこまでする気はないよ、という人がほとんどだと思います。90年代からずっとそうです。あなたの現在の労働環境は、あなたの先輩達が「そこまでする気はないよ」とスルーしてきた結果です。あなたはよくても、日本語教育を目指そうという若い人には、大きな障害になっています。これは、日本語教育業界としても大きな損失です。まともな経営者であれば、業界の働く環境が整備されることは大事だと考えるはず。

今後、国内で日本語の学習が必要な人口は確実に増え、日本語教育の認知度も高まります。注目度もあがるはず。トラブルも増える、日本語教育の成果はどうなんだ?と厳しく問われ、近い将来「これまで何してきたの?」と言われる日が来ます。

何もしなければ、不当な待遇もパワハラもセクハラも、女性が働きにくい環境も続きます。そろそろちゃんとする時期ではないでしょうか。匿名で労働基準監督署にメール出すあたりからはじめてみては?

 


 

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