このページは「日本語教師読本Wiki」の1ページです。左のウサギアイコン(モバイルOS上では上のバーの左隅の「日本語教師読本 Wiki」)をクリックすればトップに行けます。この「オンライン授業」は、オンライン授業のノウハウではなく、始めるにあたって必要な知識や準備を整理しただけです。専門家ではなく、いろいろとネットで試行錯誤してきた者が実感レベル*1で書いたものです。状況が落ち着いたら、この注釈など、2020年の関連事項は削除する予定で(新コロナウイルス関連のことは記録として「学習者への情報提供」で整理していく予定です。Aboutや著作権表示は一番下にあります。CC BY SAなので、印刷したり参照したりネット上で転載するなど自由に使ってください。間違いがあればサイトのフォームでご指摘いただけるとありがたいです。


関連ページ:学校・教室のICT化 | 著作権・肖像権 | 入力と変換 | 映像通信関連(ビデオチャット) 映像配信関連(ライブ配信) 動画制作(動画撮影、公開)| 動画関連(編集)|


 

概要

「オンライン授業」とは?

オンライン授業はかつてはテキスト主体のeLearning的なものが主流でしたが、今はライブなど動画を軸にしたものが主流です。もちろんいろんな組み合わせがあるわけですが、ここのページでは、ひとまず動画関連のものを主に扱います。

動画がらみのオンライン授業として語られるものは一般的には3種類くらいありそうです。

  1. 授業のライブ中継的なものYouTubeライブなどのライブ配信(ライブ講義)
  2. 授業のライブ中継+双方向性:ライブ配信もしくはビデオチャットで。+チャットやコメントなどのテキストのやり取りの場
  3. オンデマンド:あらかじめ作ってサーバー上などに置いた動画に学習者がアクセスする式で、+いろいろな組み合わせで

「オンライン授業」というとライブ的なものでオンデマは入らないと考える人もいるようですが、一般的には上のような構図です。しかしいずれもネット経由でアクセスすることが前提です。YouTubeライブでもチャットで視聴者がコメントを投稿し、講義者はそれを拾いながら、時に質問に答えたりができるので、現在はライブでの双方向性が確立していることはマストで、ただ中継するだけとか、作ってある動画を見るだけ、みたいな方法は過去のものになりつつあります。文科省でもライブ授業は双方向性の確保がマストのようなので、1)と2)は同じものとすると、2種類ということになります。

この他、こういうカテゴライズには収まりにくいもの、VRだとかいろいろあるわけですが、学校でやる限りにおいては文科省の考えに従ってやるしかないので、以降、うっすらと文科省のカテゴライズを意識しながら、1)と2)を「ライブ授業」、3)を「オンデマンド」としてザックリと分けて現状を補足していきます。基本、以下の2つに分けられるようです。

ライブ授業

👉 https://www.youtube.com/watch?v=g_HeWedOz3c



オンデマンド

👉 https://www.youtube.com/watch?v=uPv_KmeTemI

👉 参考:オンデマンド授業 – 早稲田大学 大学総合研究センター



ライブ授業の動画はアーカイブされるといっても、ライブ用に行われたものなのでオンデマで見ることを前提にしたものとは基本的に作り方が違い「見てない人はみておくこと」的な使い方しかできないと思います。一定期間で削除されるならセーフでも、おそらくアーカイブ化され、リユースありきなら著作権などに関してオンデマ的な(より厳しい)規制が加わる可能性もありそうです。このへんは動画の作られ方、志向、内容みたいなものでの区別ではなく、動画へのアクセス権次第なんでしょうか。

ただ、日本語教育の世界ではただ動画をみてレポートを書く、みたいなものがまだあります。これはeLearningの範疇とされていたりしますが、そもそもeLearningやオンデマンド、オンラインレッスンなど、国の定義や学術的な定義などは現実のスピードに対応できていない感*2もあります。いろんな方法にリアル授業も入れて「ブレンデッドラーニング」として考えるというのも、ちょっと前からありますが、日本語教育では個別の事項の定義や理解は薄いままなので、結局、カレーラーメンも悪くない程度のものに留まってしまうこともあるようです。

今もこれからも、教育利用では、ライブ動画やオンデマ動画だけではなく、双方向性に加えて、eLearning的なものやTeamsSlackなどの学習者コミュニティーとどう組み合わせていくか、融合していくかが大きなテーマなので、Youtubeライブ、ビデオチャットとその他のサービスをバラで組み合わせるか、Teamsのようにパッケージになったものでやるかという選択になると思います。

👉 ユーチューバーの動画はライブではなく撮影したものを編集してYoutubeに動画をアップロードして公開しているものです。ネットのライブ中継は2010年ごろに流行りましたが、画質が低く中継も安定しないので、今の高画質で撮って編集して出すという方式が主流になりました。視聴者が高画質で編集された動画になれていることもあり、現在もライブ中継はイベント的に行われる程度です。

導入規模と準備(無料から数億まで)

オンライン授業をする場合、特に専用の業者と契約しなくても、Googleのアカウントとウェブカメラさえあれば、Youtubeライブなどを使ってライブ配信することは可能です。無料で見る人は限定されません。普通にYoutubeを見るように誰でも見られますし、URLを送ってある程度限定することもできます。

ビデオチャットとその法人アカウント

10人程度でクローズドなところでやるならスカイプなどのビデオチャットサービスでもやれます。ビデオチャットサービスは、スカイプ、Google Meetなどが代表的なもので、それぞれのサービスにアカウント登録が必要です(一部お試し段階では不要なものもありますが、結局使い続けるには取得が必要になります)。各サービスは、基本機能は無料で有料はもうちょっと安定してるよというもので、その他のサービスは無料の間は時間制限や人数制限があり、有料(相場はひとつのミーティング主催で月額1000~2000円)はその制限が取れるよということになっています。

ただ学校などでやる場合はビデオチャットの業者が法人サービスとしてやっている教育用ライセンスでやることが多いようです。学校単位でオンライン授業を始めるなら、国内の大学が使っている最大手のCISCOが提供するWebexや、マイクロソフトのTeams(+Skypeのビジネス)のシェアがかなり高く、それに続けて第二集団がいる。国内ではNTT系の会社などもあるようです。ZOOMのように教育用ライセンスでは個人情報の商用利用はしないけど個人ライセンスはその限りではない、みたいなケースも多いので、学校での利用は教育用ライセンスのプライバシーポリシーでの比較をする必要もあります。

法人契約の基本は、ひとつ会議が主催できる個人契約を1単位として、あとはその主催できるミーティングの数(ホスト数と呼ばれることが多い)が10だとか100だとかになるのが基本です。大学などで同時に100クラス動かすなら、個人契約×100になりますが、たいていの場合複数ホストのパッケージがあり、このホスト数が100のパッケージを買うというものです。パッケージなので、いろいろ機能が追加されたりオプションがついたりということになります。教育向けパッケージは、ホワイトボード機能などいろんなオプションがあります。

もうちょっと高いプランだと、利用するクラウドサーバーの品質がいいとか、使うスペースが他のユーザーとの共有ではなく専用だとかで速度もでるし安定感もあるだろうということは想像できますが、実際に使ってみないとどの程度「いい」のかはわかりません。プロモーション期間とかお試し期間はちょっといいサーバーを使って契約後は、コースに応じて安いところになるので、通信の安定性が下がる、みたいなことはこの種のサービスの「あるある」ですから、より詳しい、サーバーの品質に関して築地で魚を選ぶような「目」を学校の担当者が持って通信環境をチェックできることは結構大事になってきます。もちろん結局、接続する人の通信環境に最も影響を受けますから、限界はあります。

さらに、サービス事業者によって、いろんなオプションがあります。クラウドをアーカイブとしても使えるとか、自前の会議室として固定してURLが割り振れるみたいなオマケ機能や、ホスト間の行き来だとか、他のサービスとの連携、総合の管理システムやコンパネがあるなど多種多様なので、それらをざっと眺めて自分のところにどういう機能や規模が必要なのか考えて、比較して選ぶということになります。

👉 Web会議システムとは?今さら聞けない仕組みや注意点を徹底解説テレワーククナビ

これは香港城市大学のことのようです。学生数約20000人。米大学みたいな街ぐるみのネット環境整備ではないようですが、学内はもちろん大学周辺の街もネット環境は抜群らしいです。

👉 留学報告書:明治大学にこの大学のレポがあります。

「正式に授業として認められるか」というハードル

授業のオンライン化を実現する方法は学生数の規模によっていくつか方法がありますが、大きな学校で授業の代替として「導入」するのと、数百人の日本語学校でやるとか個人でやるのとは別の話です。

文科省の「大学における多様なメディアを高度に利用した授業について」では、オンライン授業を「双方向性が確立された上で」「教室や研究室に準ずる場所で受講」しないと、正式にオンライン授業とは認めない(認めても半分まで)ということになっているようなので、それを受ける場所も学校が準備しないといけません。オンライン授業を導入するのは、この文科省のラインをクリアすることが条件になりそうです。

👉 2020年の「緊急措置」は、この双方向性の確立に関しては一時的にちょっと大目に見るよ、ということのようです。はっきりしませんが、学生個人がスマホなどで受信できればOKということなのでしょうか。日本語学校でも緊急措置としていいよと解釈できそうです。

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👉 2018年の文科省教育制度改革関連の会議会議資料の6「大学における多様なメディアを高度に利用した授業について」より。

いずれにしても、Youtubeライブやビデオチャットのサービスで保証するのは配信とホスト数(主催できるミーティングの数)と配信時の調整までで、クライアントの接続環境は学校で準備するしかありません。学生に自分の責任で通信コストを負担してね、というところもあるようです。ただ生活が楽とは言えない人が多い留学生の場合は、それでは難しいということになると思います。

そういうこともあってか、文科省の規制をみるかぎり、平時は、学校では、キャンパス内などの教室や受講できるスペースだけでなく、学生の接続環境も整備することが求められています。今は、ほとんどの大学はネットも専用回線があり、速度も速く、安定しています。米国の大学なども同じでオンライン授業をするところは、学内の寮などまで含めた範囲で高速回線+高速Wifi契約をしていることが多いです。Googleなどが町単位でWifi環境を提供するケースもあるようです。日本語学校の家庭回線の延長では同時接続は10人を超えると厳しいので、そこそこ対応能力がある法人向けのものは、例えば3階建ての小さなビルの学校で使うWifiを敷くと初期費用だけで数百万はかかるようです。

→ 文科省の規制と日本語学校ではどうなのか、という点については後で出てくる「課題」の法律的に授業として認められるのか?で整理していきます。

オンライン授業導入の順番

日本語学校の場合、2020年に応急処置としてオンライン授業が一部認められたといっても、告示の760コマ時間の授業をライブ授業で代替するのを目指すのは筋悪だと思います。おそらく将来、正式に認可される可能性は限りなく0に近いです。しかし、進学指導や学習支援では、ライブもオンデマも活用の可能性は無限にありますので、活用のために導入するという前提で以下、整理していきます。

国内の大学は2010年以前から、専門家を雇ってチームを組み、システムを導入し、サーバーをたて、Wifiを敷き、ということを億単位の予算を組んでやってるわけですが、日本語学校は家庭用のWifiと、プロジェクターと事務の延長のパソコンと、ちょっと詳しい人がいるだけ、ということがほとんどです。正式にライブ授業を組入れるかどうかは別として、学校にライブ授業やオンデマ配信も取り入れていく時に必要な準備を考えてみます。

ライブをやったり動画アーカイブを作ってアクセスできるようにするだけでなく、ネットを介して課題を出したり、ディスカッションしたりというものとの組み合わせなので、そのネット上の「場所」の整備も必要です。動画関連は、機材はパソコンとWebカメラでとりあえずスタートできますが(もうちょっとお金をかけるなら動画制作を参照)、その他、授業の再設計だけでなく、作った動画を置いておくところ、管理上の準備など、学校自体のデジタル化、全体の設計のやり直しみたいなものが必要というわけです。こういう手順がいいのかなという提案を書いてみます。

👉 個人的には2020年の対応としては夏ごろまでにStep2までクリアできれば十分だと思います。

Step 0 大前提

これらがないと外部サービスの利用もできません。これまでのように、どっかから拾った雛形のプライバシーポリシーで済ますとか、他所がやってるからウチもやる、というわけにはいかず、しっかりとした理解と学校の方針がないと大変なことになります。大学には専用チームが作ったきっちりしたものがある(はず)なのですが、それでもリクナビのようなトラブルが起きるわけなので、外注でやるにしても、これが作れるくらいの人がいる、当然経営者も理解している、ということが重要です。でないと、必ず勝手に学生データを売り買いするような人が出てきます。特に今は留学生の個人情報は高く売れるはずです。

👉 そしてもちろん、職員、教師はもちろん、学習者に日本語のタイピングとフリック入力を教えておく必要があります。参照:入力と変換

Step 1 下準備

👉 https://www.youtube.com/watch?v=9RJZMSsH7-g *Slackの概要動画

  1. 学校の在籍者すべてが共有でき連絡もできるネット上のコミュニティ
  2. デジタル文書や動画などを置いておく場所

あれこれとやる前に、この2つを構築するのはマストです。

前者は、すでにGoogle classroomOffice365などを学校で導入していたり、Moodleを学校のサーバーで運用しているところも少なくないようですが、もしそれらが連絡網として使いにくいなら、連絡網兼、動画活用の簡易補助ツールとして、別途、使い勝手のいいTeams, Slackなどを活用することをお勧めします。TeamsSlackは、無料で基本性能はほぼ使えますし、使い方の説明もネットに多いですし、オンデマで必須とされる「学生と教師のやりとりの場」としても使えますし、簡易ファイルアーカイブ機能もあるので、本格的なLMSを導入してない場合でも、これでとりえあえずは事足ります。オンライン授業の告知、配信トラブルでの延期(よくあるんです)の告知など、オンライン授業はテキストメッセージを教師と学生で共有できる場所がないと成立しないのです。

👉 LINEは、個人のモバイル回線契約と紐ついていて使える端末が限定されますし、公私を分けにくいので仕事はSlack Teamsとしたほうがいいと思います。Teamsは既読管理もできます。

「文書を置いておく場所」はパソコンの中だけではダメ(HDDの寿命は3~5年くらいですし、複数で共有しにくい)なので、ひとまずクラウド上の置き場所として、Google Driveを準備する。無料です。15GBまでですが、動画は別途YouTubeに非公開で置いておけますので容量的には十分です。文書管理は、学校など組織レベルになると、文書の重要度によってアクセスできる人を設定したりと細かいアクセス管理が必要になるので、SlackやTeamsなどで済ますというわけにはいかなくなってきます。やはりひとつは大手のクラウド系サービスを決める必要があります。いろいろありますが、Google Driveが本命で、その他Evernoteなど使い勝手で選んでください。

👉 外に対するアナウンスは、サイトがある学校でそこでやれるとは思いますが、なんらかの理由で更新できない場合(業者頼みだったけど契約が切れてるとか…)は、あくまで応急措置ですが、Googleドキュメントを共有設定で公開にすれば、外への簡易的なアナウンスとしても使えます(落ち着いたらサイトを更新できるような仕組みにしてください)。

👉 基本、ファイルのバックアップはホームセンターで買うようなDVDではなく、企業が使うバックアップ専用のもの(それでも持つのは10年くらい)を使い、バックアップのルールを決めて、それに従って行う。外部サービスを使うと、今は、数GB程度のファイル保存スペースをくれることがありますが、これをどう利用するかもファイル管理のルールに従ってやらないと混乱します。例えば重要なファイルは会社とGoogle Driveだけにする、Slackやビデオチャットサービスのクラウド上には保存しない、みたいなことにしたほうが無難だと思います。

Step0で作った学校の個人情報保護の方針に従って、それぞれの使い方のローカルルールを決め、管理者を決める、全員に使い方をレクチャーする、ということも準備としてマストです。中でも、誰がどこまでアクセスできるのかというルール設定は重要です。この種の管理(多数の人のアクセス権の設定など)をしたことがないと、サービスの設定やローカルルールを作るのは難しいかもしれません。もちろん、管理者はそれぞれのツールの仕様をしっかり理解しておく必要があります。

例えば、職員、専任、非常勤で公開してもいい情報はどこまでかStep0で決めておかないと、ここの設定ができません。非常勤の個人のメアドは管理者のみが知るところまでか、専任や職員まで公開か、学生にはどうか、みたいなことを、それぞれの属性ごとに決めておき、契約時に「あなたの個人情報はこういうルールで管理されている」「こういう人がアクセスできる」と同意をとっておく必要があるわけです。

当然、外部サービスを利用する際は、そのサービスのプライバシーポリシーを読み、学校の方針にそったものであるか確認する必要があります。例えば、学習アプリの場合、収集される学習履歴はどこまでか、匿名化されるのか、利用範囲はどこまでか、第三者に提供されるなら、それを自校の学生に許諾をとってあるのか、というようなチェックが必要ですし、Slackなどでは有料アカウントで主催すると、主催者が取得できる個人情報が増えます(例えばDMなどは主催者が有料アカウントなら覗かれてしまいます)から、そこを織り込んだ事前の説明と許諾が必要です。

👉 参考:Slack Teams Google系

母艦としてのWord Press

オンライン授業をやるには、学校として教師と学生のコミュミティとしてのテキストベースの母艦が必要だというのがこのStep1の主旨ですが、オンライン教材のベース基地をどうするか、という課題もあります。このコミュニティに載っけるのもひとつの手段ですが、学校などでは教員にひとつホームページが割り当てられていますが、同じフォーマットで、データだけ更新されるものであったり、非常勤講師はデータだけだったりとということがほとんどです。オンライン授業を取り入れるならば、教員一人ににひとつCMSを与えて自主的にやってもらうほうがいいような気がします。

オープンソースのフル機能のWord Press は、ブログというよりCMSとしてかなりのことができます。プロフィールやフォームだけでなく、オンライン教材の置き場所としてもかなり優れています。

以下はWord Pressでできることの紹介のために作ったページです。オンライン授業の教材として、資料の置き場としてほとんどすべてのことができると思います。

オンライン授業の母艦としてのWord Press

Step 2 アナログ資産のデジタル化

👉 https://www.youtube.com/watch?v=HTKG4D7Xl3o *最も売れてるスキャナーの宣伝動画

日本語学校では「全面的にデジタルに移行するならコレをまずやっておかないと」という意味で、2つの課題がありそうです。

  1. アナログ資産のデジタル化
  2. キーボード、スマホ入力をシラバスに組み込む

アナログ資産のデジタル化は、最初のハードルです。デジタル化を進めるということは、当然動画、音声だけでなく文書もデジタル文書になり、そちらがメインになると過去のアナログ文書がお荷物になっていき、実質死んでしまいます。完全にテキストデータ化するのは大変ですが、スキャナーでPDF化してそこそこ検索可能な文書(スキャナーの「標準」でPDF化すればほとんどの文書は検索可になります)にすることが必要です。

この過去のハンドアウトや教案をスキャナーでPDFにして、保存場所であるGoogle Driveに放り込んで検索可能にする、というのが最初のステップです。Google Driveのディレクトリ管理は組織に応じて管理者が構築するしかありません。文書管理のいろいろ(文書名のルールを決め、どういう階層で管理するか、だれとどこまで共有するかなど)を決めるには、多少、文書管理の知識が必要です。教案などは、時間外労働によるものであるなら、学校が利用する権利は本来ないはずです。つまり文書のライセンス管理が必要になってきます。これも大仕事ですが、ひとつひとつ解決していくしかないと思います。過去の教案は学校が勝手に利用していいのか?という問題も出てくるはずです。教師に自宅で無給で作らせた教案やテストを学校が使う権利は無いと思います。改めて許諾を得る必要があります。

後者は日本語学校の喫緊の課題です。まずどうシラバスに組み込むかを決め、中古のノートを買うということになっていきます。そのハードの管理等も出てきます。

👉 参考:学校・教室のICT化 入力と変換

Step 3 動画の活用へ

👉 https://www.youtube.com/watch?v=J7ENEuqXDwY *Youtubeに無数にある撮影方法に関する動画

そして、やっと、ライブ授業やオンデマ動画を活用しようという段階です。ライブ動画もライブの後は動画が残して活用するのが普通ですし、オンデマンドでは動画を置いておく場所が重要になります。動画を作っても置いておく場所がなければならない、置いておくならルールも必要、管理者も、というわけです。ライブ配信のスケジュールなどを学生に知らせたり、動画をみてディスカッションをしたりという場所としてStep2で作ったコミュニティとの合わせ技でやっていくことになります。

文書の管理とバックアップは10GBもあれば十分なので、Google Driveだけで何とかなりますが、動画の管理は別です。ビデオチャットを使ったライブ授業の録画動画は画質も低い(おそらくSD画質以下)ので1時間でも1GB以下。オンデマ用に作った動画のほうが重要ですが、こちらは高画質で撮ることになるので1時間で数GBになることもあります。Googleは15GBまでですが、メールや写真のサービスと共用なので実質10GBあたりまでで、動画の置き場所としては難しい。Youtubeに非公開でアップするとしても、上限は128 GBで12時間までです。あちこちに分散すると大変なので、Googleをアップグレードして容量を増やすか、Gsuiteという法人契約をするなど、動画をどう保存、管理していくかという方針も必要になってきます。

👉 HDDは4TBで1万円以下ですが保存だけなら少々持ってもちょっと落としたり水をこぼすとアウトです。SSD(1GB1万円)は振動にも水にも強い、丈夫という話もあります。

動画の配信をどうするかは、使うツールの使いこなしの世界なので、ググったほうがよいページがあるはずです。以下、今の主流はどういうものか、どういうツールでやるのかというところまで、ざっくりと説明します。

録画動画をネットにアップする式がベスト

動画の活用というと、ビデオチャットでライブをする、というのが最初に語られますが、ここ数年の主流はライブよりも作った動画をアップしてみてもらうというユーチューバーがやっているようなやり方が主流です。ユーザーは高画質で編集された動画になれており、ライブの不安定な低画質の映像を長々と見てくれません。ライブはイベントで使う程度です。

1)動画を作る

ユーチューバーがやってる方法です。動画の編集もOS付属のものや1万円くらいのもので、切り貼りして短くしたり字幕を入れる程度なら1日で覚えられます。日本のユーチューバーは機材の質は高く高画質ですがカメラはひとつで編集は「ユーチューバー風」、海外の有名ユーチューバーは、撮影チームと編集チームと出演者は別であることが多いようです。最近は日本でも編集は安く外注できるようですが、結婚式動画風かユーチューバー風かの二択ぐらいのバリエーションしかないようです。

Gopro(5万円くらい)だけで撮影はできますが、室内では光量が足りないし、マイク性能もイマイチなので、授業動画を撮るならもうちょっと投資したほうがいいと思います。必要なものはスマホ、デジカメかビデオカメラ(新たに買うならマイク端子があるソニーやパナの一眼かミラーレス)、1万円くらいのマイク(語学では音は大事です。カメラ付属の穴のマイクはダメ)、中古でいいので三脚(1000円くらい)、ライト(amazonで3000円くらい+中古三脚)×2で、左右から照らすと影ができない。で、有名ユーチューバーに近いものが作れます。有名ユーチューバーはほぼ同じで使う機材が高級になる(カメラは50万くらいの一眼)だけです。

録画したら、編集で可能なかぎり短く(ひとまず最初は10~20分を目標に)して、数をたくさん作ります。編集を覚えれば、どう撮影するかも分かってくるようになると思いますので、まずはWebカメラで撮ってみて切り貼り程度の編集を覚え、改めて、どう撮りたいかに応じて撮影機材への投資額を決めるのがいいんじゃないかと思います。

2)作った動画をネットにアップ

アップする場所は、MoodleでもSlackでもいいのですが、動画専用の場所のほうが、圧倒的に多機能でユーザーフレンドリーです。Youtubeか、Vimeo(個人制作動画用のアーカイブでシェアトップ)にアップします。ライセンスと、公開、非公開、限定公開、などを選びます。字幕は編集ソフトで映像に入れてしまうより、動画サイトにアップする際に簡易編集機能で入れたほうが後々使い勝手がいいと思います。動画サイトの字幕は多言語で入れることができユーザーが選んだり消したりできます。

これだけです。今の人は、長い講義動画より、高画質で編集してある短いモノになれていますので、このほうが圧倒的に学生には歓迎されると思います。

👉 参考:| 動画制作(動画撮影、と動画の置き場所)| 動画関連(編集)| 

ライブ配信


👉 https://www.youtube.com/watch?v=nFMFXSvlXZY

個人的には、ライブ配信+コメントを拾う式でやるのが最も通信環境や学生の接続環境の差に影響しないやり方だと思います。ツールでいうと、YoutubeライブとGoogleスライドを併用してGoogleスライドのコメント機能を使ってコメントを拾いながら、というのが本命だと思います。スカイプなどのビデオチャットでは動画での双方向が可能ですが、回線の負担も大きく、安定性にも問題が出てきます。

👉 ビデオチャットや配信ツールで無理に画面共有しなくてもいいのでは…



ビデオチャットのイメージ

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→ ビデオチャットは「限られた回線を参加人数で配分する」「参加者にどう上手く配分するかでサービスの善し悪しが決まる」ものです。人数が増えると安定性は下がり、参加人数に制限をする必要があります。「50人まで可能!」などと宣伝していますが、各社がどんなに工夫し、高度な技術を使っても、結局、どのサービスも参加者の映像と音をアップロードしたり他の人のデータをダウンロードするのは参加者それぞれが使っているネット回線ですから、限界があります。おしゃべりならいいですが授業で使うとなると、確実に接続されていることは重要ですから、教育利用では光回線同士なら5人くらいまでならやれる。うまくいって10人まで。と考えておくのが無難だと思います。

また、ビデオチャットでもサービスによって性格が違います。上の図の左は参加者がフラット、対等なスカイプ、Google Meet的なもので、右は会議の主催者の権限が強い、セミナー向けビデオチャットである go to webinar、zoomのようなタイプのもの。後者はほぼ有料アカウントに誘導するのがビジネスモデルです。 また、セミナー用ビデオチャットでは主催者は、独占的に、参加者の音声をカット、録画の禁止、参加者の分割、IPアドレスの取得、ができることが多く。これらは確かに授業を強くコントロールする機能として使えますが、同時にかなり強引にセミナーを進めるのに便利な機能でもあることから、2015年あたりから、日本国内で「いろんなタイプの」セミナービジネス業者の利用が増えています。学生にアカウントを取得させるリスクも考慮すべきです。

また、無料と有料、その上の法人契約では、個人情報保護規定も違うことがほとんどですし、外部からの侵入ができる(無料ではURLを知られてしまうと誰でも入れるのでハッキングされやすいので学校の本授業や会社の会議などでは使えないが、法人ライセンスや教育ライセンスではプロテクトされる)という違いがあります。法人や教育ライセンスがホテルなら、月2000円ぐらいの個人向けコースはバンガローくらいですが、宣伝ではホテルの写真と説明しか出てこない、みたいなこともよくあります。

特にZOOMはプライバシーポリシー的な問題が多く指摘されています。「zoom privacy」で検索すると英語の記事がいろいろと出てきます。日本の個人情報保護の法的な規制下にはないことも注意点です。こちらにすこし整理しています。

ビデオチャットのサービスによる違いに関しては映像通信関連を。

👉 「+セミナー 収益」での検索結果画面です→ | スカイプ | ハングアウト | zoom | CISCO |(出てくる「風景」がかなり違います)



Youtubeでのライブ配信のイメージ

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→ Youtubeライブは限定公開にしてURLさえ伝えれば(あるいは公開すれば)誰でも見ることができますしアカウントの取得もログインも不要、匿名性も保たれます。視聴者数によって配信の安定感は影響を受けないので、人数制限も申し込みも不要。多少限定したい時は、事前の申込者に限定公開のURLを送ればいいので、イベントの中継や大学のオープン講義、公的機関のイベントなどはこちらを選択すべきです。

イベント、授業のライブ配信は2カメラで

イベント、講義形式の授業のライブ配信は、ライブ動画を保存してアーカイブ化&公開するのではなく、もう一台別の高画質のカメラで録画したものを(できれば見やすく編集して)後日公開する式にしてください。二本立てならライブ配信でトラブルがあっても、ライブはとりあえずそのまま続けて、後日録画した動画のほうを公開すればいいですし、ライブが中止になっても「後日録画したものを公開するから」と予備として使えます。 当日、ライブ配信でみた人も後日、安定した高画質の動画で確認できます。ライブ配信はwebカメラで動画の画質は最初から捨ててもいいと思います(ライブ配信の設定もWebカメラのほうが楽です)。今は、イベントの配信などは、この二本立てでやるケースが主流だと思います。配信とは別に三脚とビデオカメラ(デジカメかスマホ)ひとつで固定で録画しておくだけです。どちらかひとつしかできないなら、ライブ配信は諦めて、録画したものを後日Youtubeなどにアップして公開するほうがいいと思います。

👉 ライブ配信の緊急用予備として、もうひとつスマホなどで簡易ライブ配信の準備をしておくといいと思います。Wifiがダメな時は、携帯回線でやる手段にもなります。手持ちのスマホとPeriscopeという無料アプリで出来ます。勉強会などは、これだけで顔が写らない角度に固定して音声主体でライブ配信することもできますし、最初から音声のみの配信もできます。

ライブ配信のやり方

ネットにたくさんの情報があります。Youtubeで「配信 機材」などで検索するのが一番わかりやすいと思います。映像配信関連に整理したものがあります。機材の発達で安く高画質の配信が可能になってきています。カメラ(安い一眼で5万くらい)、マイク(1万くらいで十分)、ライブプロダクションスイッチャー(3~5万くらい)の3つがあれば出来ます。あとは…ライティング(ライトひとつ謎の中国製で3000円くらい)をやれば有名ユーチューバー並みにはなります。

例えばATEM Mini はHDMI 4chライブプロダクションスイッチャーですが、これでだいたいのことは出来そうです。

👉 Youtube Liveを使ってライブ授業をやる|OTAGAKI Satoshi|note

動画の双方向にこだわらない

教師↔学生、は動画でやろうとするといろいろ負担が生じます。動画→音声→テキスト と負担を軽くしていきながら最適な方法を選ぶといいと思います。

学生からの「片道」を音声もしくはテキストに

学生との「双方向性の確立」では、学生からの道は、動画や音声にこだわる必要はないと思います。トラフィックの問題などで難しいなら、まず教師は動画のままで、学生からのリアクションを、動画→音声→テキストにするのが最初に判断すべきところだと思います。語学では音声でのフィードバックができるのが大きいわけですが、状況によっては、Youtubeライブ+テキストで、テキストだけにする選択もあります。

GoogleスライドとYoutubeライブのチャットだと、コメントを拾うルートが2つできます。Youtubeライブのチャットは学生同士の会話用、Googleスライドのコメントは講師に向けて使うという使い分けもできます。そして、母体となるネット上の場所として、また動画のやり取りの予備としてTeamsSlackで場を確保しておけば授業の後のフォローの場としても使えますし(Teamsはスカイプでもやり取りできるので動画の予備としても使える)。

教師→学生を、動画から音声へ

もっと安定性とデータ消費量を節約するなら、教師からの道も動画から音声のみにする方法があります。ビデオチャットで動画を切ってやる、Youtubeライブで音声のみにする、ポッドキャストで、キャスティングのサービスで、などいろんな方法がありますが、多分、一番簡単なのはスマホのキャスティングで音声のみでやる方法じゃないかと思います。

一般的にスマホの動画キャスティング(ライブ配信)は、1時間500mbなのでビデオチャットと同じくらいですが、音声だけならおそらく200mb以下のはずです(検索したけど実測データ無し)

上の動画はツイッターの動画配信アプリのPeriscopeです。ツイッター社のアプリで、この種のキャスティングアプリではアンドロイドとiOSにも対応しており一番良さそうです。動画だとデータ消費量はビデオチャット並みに高いようですが、音声のみの配信もできますし、配信時にURLを知らせればツイッターのアカウントは不要です。

音声グループチャットでは、Discordもあります。ゲーマー用となってますが「画面を共有して何かをしながら話す」アプリで10人まで参加可能なので、結構応用がききそうです。

Wikipediaの説明

Discordをゲームだけでなく仕事にも!特にテレワーカーにもオススメする理由とは
https://shigoto-ba.com/archives/2758

👉 ライブだとどうしても音声のクオリティに問題がある場合は、動画を撮って投稿してもらうのが一番早いですが、ボイスメッセージという選択肢もあるかもしれません。LINEではデフォルトで、Slackなどではプラグインなどオプションで実現できそうです。専用のアプリもあります。

無理にライブ配信にこだわらない

動画活用はネット接続環境の影響が強いです。ハードやソフトのセッティング、Wifiの状況によってできなくなることも多い。確実にやれる保障はありませんから、動画でやるのが無理なら、いつでもテキストベースに戻れるような体制を準備しておくことが必要です。

ネットを介してやる場合も、LMSSlackTeamsなどを利用したものにして、配信はひとまずテストと練習を続けることにしたほうがいいと思います。LMSSlackTeamsのようなものがあれば、授業の代わりになるようなことはいくらでもできます。無理にQuizletFlipgridなどを使わなくても語学ならチャットでなんとかなります。動画や音声でなくても今の人はテキストメッセージのやりとりのほうがなれていますし、ビデオチャットが不安定で使えないことが多いことも知っています。むしろ、若い人ほど、わざわざ映像や音声が繋がってないとダメとは考えない。こだわるのは教師だけ、ということになりがちです。

でも、ライブ授業はともかく、動画を作ってYoutubeなどにアップしておけば何かと便利です。時間があるなら空いた教室で授業で使う動画を撮影し、編集することもスタートしてみてください。これは時間をかければ作れるようになり、必ず役に立ちます。オンデマ動画までいかなくても語学の授業なら知り合いの飲食店の中、メニューなどを撮影して10分くらいの動画をつくれば、生教材として使えます。この種の動画を撮影と編集の練習を兼ねてたくさん作るわけです。駆け出しのユーチューバーくらいの動画ならすぐ作れるようになりますし、Youtubeにはこの種の動画の撮り方、編集のしかた、機材、のノウハウ動画がやまのようにあります。

👉 参考:| 映像通信関連(ビデオチャットの種類と比較) 映像配信関連(Youtubeライブを使った配信)

👉 急にライブ配信が途切れることもよくあります。ライブ中に事情を伝えるツールとしても、LMSTeamsみたいなものは必要なわけです。もちろん、Youtubeライブがダメなら、Periscopeでの簡易配信に切り替えるくらいの準備はしておいたほうがいいと思います。とにかくライブ周辺はスムーズに行く事の方が少ないと考えるべきです。

ファイルの送受信でやる

ライブでのやり取りが上手くいかないとか、ギガ消費を抑えたいという時は、ファイルの送受信でやる方法があります。日本語だと音声を提出させるみたいなこともありそうです。Flipgridみたいな動画のやり取り専用のプラットフォームもあるわけですが、第三者を仲介として使わなくても、学校(教師)と学生間で、無料で簡単にやれます。

どこを介して?

テキスト文書、音声、動画などのファイルを学校↔学生 間でやり取りするのは、Step2で作ったファイルの置き場所を使います。SlackやTeamsなら添付で投稿可能。たいていのLMSでも可能です。Google Driveなら、共有したファイルに放り込んでもらうだけです。

ファイル製作

テキストはテキスト関連を参照してください。ファイル名は半角英数でルール(学籍番号+日時、とか)を決めておいたほうがいいと思います。

音声はスマホならもう動画で撮ったほうが簡単で楽です。ボイスレコーダー的なものもありますが使う人がほとんどいないので「それどこにあるんですか?」という面倒なことになりがちです。動画にしてもファイル容量もたいして変わりません。

パソコンの場合は、OS付属のボイスレコーダーで録音するのが最も簡単です。地味なのであまり知られてませんがほとんどのOSにはボイスレコーダー的なアプリが標準で入っており、MP3形式で保存できます。「OS名+ボイスレコーダー」で検索してください。サードパーティのものもいろいろあり多機能ですが、OS標準のもので十分だと思います。

動画はパソコンで録画するならウェブカメラが必要ですが、スマホやデジカメの動画機能で撮ったものをパソコンに転送して(ファイルのフォーマットはmp4形式で)、というのが簡単です。

ファイルフォーマット

音声形式はmp3、動画はmp4で統一すればいいと思います。ワードは、できれば、オープンソースのLibre Officeなどで開きやすいodt形式にしたほうがいいと思います。Officeソフトがない学生もいるはずなので。音声はたいていの場合mp3で保存できるはずですが、もしwaveなど他の形式じゃない時は、学生には「わからないならそのままでいいよ」と言って提出させて、教師がこういうところで変換ソフトを探して変換してください(たいていのフォーマットはそのまま再生できるはずです)。音声関連を参照。

👉 音声の録音、動画の撮影、変換、編集などはオンライン上でできるサービスがありますが、上のようにハードの標準機能で全部やれるので使う価値はほぼないと思います。たいしてできることは変わらないうえに余計な個人情報を提供するだけなので。

ファイルサイズを小さくする

音声はmp3やAACなどなら、それ以上小さくするのは難しいです。音声用として動画を利用する場合は動画の解像度を下げれば少し小さくなりますが、スマホで短いものならたいして変わりません。長めの動画を高画質でとったものは編集する方法はありますが。。。挑戦するなら動画関連を参照してください。編集ソフトを使わなくても、こういう簡易動画編集ソフトで切り貼りだけやるという方法もあります。

動画が無くてもできることはたくさんある

SlackTeamsがある程度使えるようになれば、リアル授業でやってることもある程度オンラインでやれると感じると思います。また、ネット上のホワイトボードなど「こういうものがあればいいな」というものは、たいてい提供しているサービスがありますし、あれこれサービスを探さなくても、Googleのあれこれ(Driveのいろいろ、Keep、カレンダー)を組み合わせればたいていのことはできます。わざわざFlipgridを使わなくても動画を投稿する場所さえあればなんとかなるわけです。チャットでリアルタイムでクイズをしてもいいわけです。一対多でも上の動画のように多面指しのような形でやる方向でもいろいろあります。その他、できそうなことをずらずらと並べてみます。どうやるのかはググってください。

スマホであれこれやる(動画や画像の加工など)のは学生のほうがうまいので、そこは学生主導で何かイベントを考える。Google Drive方面などクラウド上のあれこれはある程度教師主導でというのがシックリ来そうです。その他、オンライン上の学習ツールなどはこのWikiでも少し紹介しています。トップから探してみてください。

👉 wikiの設置はサーバーさえあれば簡単です。フリーのスクリプトがたくさんありますし、レンタルのwikiもあります。使い方はざっと説明してあとはヘルプへのリンクを置けばなんとかなると思います。

管理者が必要

何かのシステムを導入するほどじゃない、サーバーも持たない、外部サービス利用だけだからSEは不要、シスアドもわざわざ雇わなくても、となるかもしれませんが、学校のルールを軸になって作り、使うツールのプライバシーポリシーなどを確認し、導入する、そのツールの仕様を理解して設定を決める。運用方針を決め、利用者(職員や学生)に事前に説明し許諾を取り、必要ならば雇用契約や入学の規定などに個人情報の提供などに関して盛り込んでおく、みたいな仕事をする人は必要で、個人情報保護法、肖像権、著作権など基本的な法律的な知識も必須です。もう「ついでに」やれる仕事ではないと思います。

Google DriveもSlackも知り合い同士で楽しく使うのは簡単ですが、重要な文書や個人情報を許諾にしたがって管理するのは、結構大変で、設定ひとつ間違っただけで流出してしまいます。昨今、個人情報が流出するのはUSBメモリをなくしたり、勝手に売買したりではなく「設定をちょっと間違った」ことが原因です。

いなければ、雇うしかありません。シスアドなのか、ITパスポートなのか、わかりませんが、そのへんから探すことになるんでしょうか(でも資格の有無だけではなく実際に管理経験がある人のほうがいいと思います)。できれば最低2人以上でトップもがんばって概要だけでも理解しておく。規模に応じてチームでやることになります。大学などがオンライン化に投資する額は億単位ですが、人件費の割合も大きいのです。

コピーは避けられない

管理者は著作権管理も重要な仕事になります。Youtubeなど動画共有サイトにあげた動画は仕様上はダウンロード不可ですが、ちょっとググればダウンロードできる方法はいくらでもヒットします。「限定公開」でも検索されてたどり着かれる可能性もあります。動画も音声も公開の場にアップしてしまえば勝手にダウンロードされ、コピーされることは覚悟する必要があります。モニター上で再生できるものは完全にプロテクトするのは無理です。

テキスト文書、画像、動画には著作権表示を入れておきましょう。音声ファイルのタグ情報も簡単に書き換えられてしまいますが、一応著作権を入れておく。コピーされるなら公開しないでは前に進まないので、公開する以上はコピーされるという前提で対策をたてる。基本的にはコピーすることに目は光らせながら、ルールどおりに利用する人相手に商売が成り立つならOKとする、と考えて、著作権表示を入れて、不正な利用があれば警告し、場合によっては法的な対処を考えるというスタンスでいくしかないようです。

👉 もちろん自分に著作権がないものをGoogle driveにアップして共有するのはアウトです。Googleは巡回していて違法な文書があれば、アカウントを停止することもあるようです。

課題

ここでは学校規模関係なく、オンライン授業での課題となりそうなことをピックアップしていきます。導入するシステムによる違いは安定的な供給ができるかのみで、国の規制や法律などは同じで、クライアント側の環境の問題も共通しています。

日本語教育機関の規制

日本語教育機関には告示があり告示の解釈指針がありますが、授業など教育内容に関することは文科省主導で行われることになったようなので、文科省の規制の影響を強く受けることになりそうです。

民間の日本語学校も告示による最低の保障として告示の授業時間(760コマ=560時間)と質的保障(有資格者による授業)があります。この枠内では他の学校と同等の規制下にあると考えられます。リアル授業で教室の構造上、後ろの席に声が届かないみたいなことがあれば誰もがマズいと思うわけですが、オンライン授業では、接続の問題で音が出ない、とか、使うハードやOSが違うので使える機能が人によって違う(よくあります)、ということも仕方ないで済ますのはダメなのです。

授業を受ける権利の保障とコストの負担

また、オンライン授業、オンデマ授業では、いつも議論されることですが、接続料金をだれが負担するのかも明確にする必要があり、事前の承諾が必要です。それだけでなく、スマホで見ろと言っても、スマホの有る無しはもちろん、持っていてもWifi環境がある人と無い人では一ヶ月数千円も違ってきます。Youtube動画をみすぎて月末はギガを使い果たし、接続はできるけど、もう動画は見られない、みたいなことだとダメなわけです。授業で参照しろといったサイトがPCでは見られるけど、スマホではダメだった(よくあります。逆もあります)とか、でもPCは学生に配布されていない、あるいは、国によってアクセス制限がかかっていたから見られない、日本から見られたけど、母国で推奨されてないものを見せるリスクを学生に負わせてしまっていいのか、という問題もあります。いずれも学校側が知らなかったでは済まされないということになります。

この授業を受ける権利の保障*3は、オンライン授業などの場合は、より強く意識して解決していかないと、今後、オンライン授業が正式なものとして認められることはないと思います。デジタル応援団みたいな人達はこういうことを軽視しがちですが、そういう人達こそ、真剣に取り組むべきところです。

A poorer student falls behind in Hong Kong as coronavirus forces online learning - Reuters

以降、いろんな注意事項が出てきますが、それらはすべて学習の機会が公平に確保されているか、ということと密接に関わってきます。

接続の安定性

公平性と深く関わる部分です。 YouTubeライブのような配信では配信する側に問題がなければ、あとは受信する側の問題です。高画質で配信してもYouTubeライブ経由ならば、受信側が自分の接続環境に応じて画質を落とせばなんとか対応できるということになります。ビデオチャットは前述のように「参加者の」ネット回線環境によって参加可能な人数が決まります。

ビデオチャットに必要な回線品質

一般的にスカイプやGoogle Meetのようなすでにユーザーが多数いるサービスでは実際に使われている人数(おそらく1対1が最も多く、増えても3~5人までくらい)に最適化されているはずで、このくらいの人数までは強い。新興のサービスは、そこではなく、セミナー向けなど、より多い人数での安定性で勝負する。CISCOなど法人相手はより大きな会議も想定している、という図式になっているようです。動画などを圧縮する技術、クラウド上で安定化を図る、回線状況によって画質を落としたりしながら調整する技術などいろんな要素があるようですが、どんな技術を使ってもクライアントの接続環境がダメならダメですから、10人で安定してたらかなり上手くいったほうで、日本語学校の1クラスの上限である20人で40分間安定してやるのはほぼ無理です。

光回線は平均20~40Mbpsと言われていますが、安いサービスでは時間帯によっては10Mbps以下となることがあるそうです。ADSLは基地局の近くなら3Mbpsくらい、離れると1Mbpsです。携帯回線は今の4Gで平均20Mbps(Simフリーは15強)くらいと言われていますが時間帯によっては一桁に落ちます。今のあなたの接続速度は fast.com で調べることができます。ブックマークして、自宅での違う時間帯(朝、午後、夕方、夜)、その他、自分の行動エリア、学校、会社、カフェのWifiなど、いろいろと調べてみてください。

最もデータが多いと思われるこのスカイプの人数と回線品質の関係はかなり参考になると思います。

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「Skype で必要となる帯域幅を教えてください。 | Skype サポート」 より

推奨速度は7人以上で8Mbpsとなっています。これは安定して8Mbpsが必要ということなので、1.5倍から2倍は必要と考えたほうがいいと思います。

GoogleMeet(ビデオ通話)のデータ通信量の検証 ~データ通信量制限への影響~
http://www.tamegorou.info/it/527/

Web会議入門 第一回Web会議とテレビ会議、コーデックから違いを検証
https://webkaigi.jp/webconf/intro/intro01.html

国による違い

いろんな調査があります。ネットに接続できるのは世界の半分くらい。モバイル環境があるのは7割くらい、ADSL環境以上の人は、だいたい2~3割ぐらいだと言われています。

OECD の世界の ICT に関する調査
Students, Computers and Learning Making the Connection
http://www.oecd.org/education/students-computers-and-learning-9789264239555-en.htm
そのサマリーのスライド
http://www.oecd.org/publications/students-computers-and-learning-9789264239555-en.htm
ISOC(インターネット協会)による年次報告書
http://www.internetsociety.org/globalinternetreport/
インターネットに関する統計など
http://www.internetworldstats.com/
ネット関連の国際機関
http://www.itu.int/en/Pages/default.aspx
データ配布ページ
http://www.itu.int/en/ITU-D/Statistics/Pages/stat/default.aspx
AKAMAI による世界のネット環境調査
https://www.akamai.com/jp/ja/our-thinking/state-of-the-internet-report/

国による視聴制限

YoutubeはGoogleがダメな国はもちろん見られませんが、Youtube単独でもかなりいろんな国から規制されています。中国、トルコなどはその代表的な国ですが、特に日本語学習者が多いとされる国は民主的な国が少ないので、規制がかかっている可能性は大です。政治的な理由もありますが、宗教的な理由も結構多く、政権批判の動画が増えると一時的にアクセスできなくする国というのもあります。いろいろな「裏道」はありますが、それを使うリスクは学生が負うことになるので、教育の現場では選択肢から外すべきでしょう。

YouTube region restriction checker
:動画単位でチェックすることができる
https://polsy.org.uk/stuff/ytrestrict.cgi

👉 動画を公開する側が視聴できる国を設定できますので、このことによる制限もあります。日本の映画や音楽のコンテンツは海外から見られないことが多いので注意が必要です。

国によって使えないツール

基本、SNSやビデオチャットなどは、個人情報保護などが理由で、国によって使えないということも起こります。Tik Tokは中国発ですが、米国の政府系組織では利用が禁止されたようですし、最近(2020)も中東系のSNSが米国で禁止されたりしています。もちろん、逆にZOOMが台湾、ドイツ、豪州の政府系組織で使えないように、米国系企業のビデオチャットが特定の地域で使えないというケースも多いです。日本でもGoogle系のアカウントで文書をやり取りすることができない省庁は結構あるようです。

👉 参照→学校・教室のICT化事例 ZOOMの問題と脆弱性の解釈

VODも接続環境のひとつの目安になる

特定の国や地域がどの程度のネットインフラが整備されているのかは、VODの普及度も目安になります。Netflixは、ほとんどの国に進出していますから、国単位でははっきりしませんが、たとえば住んでいる地域で「ネトフリ観られる?」「4Kは?」と訊ねることで、その地域の回線状況がだいたいわかります。HD画質(テレビと同じくらい)で5Mbps、4Kなら20Mbpsが必要となってます。ネトフリを4Kで見られるなら、光レベル、HDならADSLレベルということです。ビデオチャットが安定してやれるのはネトフリの4Kが見られる地域と考えることができそうです。

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Netflixのサイト(2020年3月下旬)による。

👉 ただ、VOD各社は、各国に自社専用のサーバーを設置してそこ経由で配信していたりしますので、4Kが見られるからといって、その地域が光回線程度と考えるのは早計のようです。あくまで「参考」です。現地で見たNetflix “最強” の理由(2)各地域に大型サーバーを配備して快適視聴を実現

海外の接続環境は様々ですが、日本と同じかそれ以上というところはそれほど多くありません。東アジアでは韓国、台湾。中国は地域差が激しく、日本語学習者が多い東南アジアでは、そもそも家庭に常時接続環境がないことがほとんどですし、携帯回線も3Gベースで基地局も少ない。大学にADSLがあるかどうか、携帯回線はベトナムで平均20Mbps、インドネシアやタイでは10Mbps程度のようですが、従量制が多いので繋ぎっぱなしというわけにはいかないようです。アジア相手に大人数のビデオチャットをするのはかなり厳しいと思われます。

👉 参考:「世界の日本語学習者は、現在、どのくらいネットを活用できているのか」に関する考察

国内での学生の通信コスト

学生は自宅でスマホで受講でもいいよ、となった場合、費用の負担をどうするのかは学校により方針は違うようです。おそらく学校が負担しないと正式なものとは認められない可能性があると思います。学生の自宅や寮などの光のWifiがあればいいのですが、留学生などはスマホしかないというケースも多いです。

スマホの回線契約は、留学生がよく利用しているSIMフリー+格安SIMの安いプランで初期契約で月2000円くらいで3GBくらいの通信までついています。オプションで1GB(≑1000MB)1000円くらいで追加できることになっています。動画を多く見る人は6000円で20GBくらいまで大丈夫というプランもあります。重要なのは、学生はプライベートでも動画を見るので、すでに基本料金分くらいはそれで使ってしまっている。授業などの動画視聴やビデオチャット、ライブ配信はそのまま学生の負担増になるということです。

消費する通信量。いろんな検証サイトがあるのですが、以下はおおまかな平均です。条件によってかなり変わるのであくまで目安です。LINEはスマホ前提、ZOOMは画質をかなりおさえた仕様になっているせいか、通信量は少なめです。Google Meet・スカイプでも音声併用だと半分程度になります(音声のみなら200MB程度)。通信量を抑えるなら無理に映像にこだわる必要はないと思います。

サービス1時間の通信量
Youtube視聴(SD以下)200MB
Youtube視聴(SD)500MB
Youtube視聴(HD)800MB
Google Meet・スカイプ1500MB
LINE・ZOOM300-500MB

👉 いろんな検証記事の平均です。誤差は±200ぐらいだと思います。スマホならSD以下(360p)でもそこそもきれいに見えます。Youtubeで解像度を変えてテストしてみてください。 👉 【特集】主要なテレカンツールのデータ通信量ってどのくらい? - 窓の杜

ライブ授業やオンデマ配信でも月10時間やると、いろいろと節約しても、月3~15GB消費することになります。安い契約+追加料金だと、10時間で一ヶ月1万円の費用となることもあるという計算になります。日本語学校は稼働している場合、月100時間程度やりますから、それをすべてオンライン授業で代替するのは難しいということがわかります。

👉 サイト制作者は知っていることですが、ネット利用は2017年にスマホがトップになりましたが、その少し前あたりから、Googleもサイト制作会社もあらゆることをスマホに最適化することになっています。

👉 SIMフリー+格安SIMだと速度も時間帯によっては5Mbps以下ということもあります。寮のWifiもビジネスホテル程度のものならせいぜい10Mbpsなのでビデオチャットは難しいと思われます。

2020年の特別措置

2020年の緊急措置として大手キャリア(ドコモ、au、ソフトバンク)は25才以下は月額50GBまで無料にするという発表がありました。従来の学割の年齢が基準になっていると思われますが、留学生はカバーされない可能性があり、また多くの留学生が使うsimフリー携帯+格安simサービスには適用されないので、引き続き配慮や対応が必要です。

25歳以下に「ギガを支援」。大手3キャリアが追加50GBの支援策…格安SIM事業者は「対応難しい」 | Business Insider Japan
https://www.businessinsider.jp/post-210617

各事業者の支援状況は以下でまとめられています。
データ通信容量の支援状況 - UTDH / 東京大学人文情報学

在日外国人の携帯関連の調査

在留外国人のICT利用状況等に関する調査研究(2016 総務省)
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei//linkdata/h28_05_houkoku.pdf

外国人の携帯電話契約・利用の円滑化に向けた取組(2019 総務省)
https://www.soumu.go.jp/main_content/000609957.pdf

日本の多文化共生社会に向けてのICTの現状と課題 日本に在住する外国人留学生のICT利用を中心に(2010)

私費外国人留学生生活実態調査 - JASSO
https://www.jasso.go.jp/sp/about/statistics/ryuj_chosa/index.html

現場での検証

デジタル関係の記事は宣伝めいたものが多く、「デジタル応援団的な人達」は保守的な人達とのやり取りで疲弊していることもあるのか、よさそうな結果がある調査、記事、論文をピックアップして煽りますが、引用されるのはシアトルや麹町、世田谷などの超一等地、大学の付属校の超優秀な学校のわずかなデータであったりすることがほとんどで、その検証の方法もかなり怪しいものです。もはやデジタルが苦手な世代に向けてのアピールの時代は終わり、デジタル化は規定路線です。これからは現場で使っていく段階になるので、もう無理にあやしげなデータでアピールする必要なく、そういうことは、かえって信用を落とすだけです。これからは本格的な利用を前提に、現場の教師がむしろ厳しく検証&チェックしていくことが必要です。

ほとんどの場合、ビデオチャットでは安定性のために音声は優先され、映像は犠牲になります。とりあえず顔が出て音声が繋がっていると「動画チャットが出来ている!」という印象を持つので、それを利用した「いかにも繋がってます」という「演出」もあるようです。でも実態は、音声は繋がってるけど映像がきていない、あるいは画質が極端に落ちている、ということが起こっています。 画質が犠牲となり、教師が見せる資料が読めないということが起こります。仕事で使うならば、定期的な検証が必要です。最低でも、配信環境、クライアントの接続環境、時間帯などを記した上で、データをとって公開して共有していく作業は必要です。

👉 ビデオチャット関係、特にスカイプとGoogle Meet以外のサービスは、アフィリエイトもありますし、セミナー関係者によるステマサイトも多く「盛られた記事」が多いです。ちゃんとした検証記事は極端に少ないということにも注意してください。自分で、自分が使っているサービスで定期的に検証するしかないと思います。

👉 2020年春は、世界のネット回線は混乱状態ですし、ビデオチャット系のサービス会社もある意味「大プロモーションの機会」でもあるので、使えるリソースはすべてつぎ込んでるはずです。特に大口のお試しには最良の環境を提供するはず。つまりこの時期の検証は、継続的に使うための資料としてはほぼ役に立たないと思います。おそらく新興企業は、この機会の利用状況やニーズをみて、機能も仕様もコース設定も大幅に変えてくるはずです。使い方のノウハウも(キャプチャーを撮って「ここをクリック!」などとやっても)すぐに参考にならなくなる可能性があります。慣れるためのお試し期間と考えるのが得策です。

学習効果?

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日本のデジタル化でなぜかあまり議論されないテーマですが、すでにオンライン授業を取り入れている米国を中心にいろいろと議論がなされています。

デジタル化は学習者にも利益であるという前提で語られがちです。たしかに便利で効率的ですが授業そのものの質がどうなのかというところは、まだ議論する資料が揃っていないという段階です。

ライブ授業やオンデマ利用は、最も進んでいると言われる米国の記事などをみても、オンライン授業で驚くほど効果があったという論調ではありません。学校のシステムも電子化されたり、若い人が慣れてる方法に移行したほうがいいかもね、ということがあり、効率化もはかれるね、となり、スマホもあるし動画もいろいろ活用しましょうかという流れの中で、学習効果については、あるともないともいえない、予断を持たず、つまり、いいとかわるいとか決めつけずに、研究者などの検証を横目でみつつ慎重にいろんな試行錯誤していきましょうという態度が求められるところではないかと思います。

特に…

というようなことには常に目を配って進める必要がありそうです。また日本語教育でいえば

ということも重要です。例えば、講義形式では音声の遅延はそれほど大きな問題ではありませんが、発音指導では致命的な問題になります。今、オンライン教育で参照されるのは小中学校やアメリカの大学での実践報告みたいなものがほとんどで、それらを日本語教育でどうなのかというところの検証が甘い印象があります。「ほら進んでいる欧米ではこうだよ」みたいな粗雑な引用が目立ちます。

特に日本語教育でどうなのかというデータが少ないこともあり、これからデジタルツールを使う日本語教育関係者は、後々の人達が参考になるように、客観的で冷静な検証(検証した環境をしっかり添えて、長期的な視点で)を行い、後の人のために事例を残していく意識が求められます。

前提を疑う

デジタル活用は昔から「デジタル好き教師」がついついハシャいでしまう、というところがあります。90年代初頭、日本語教育は実はアップルのオマケソフトのハイパーカードでひらがなや漢字の教材を作ったりするデジタル活用の最先端にいましたが(検索するといろいろ論文が出てきます)、ハイパーカードの開発の終了と同時に、ソフトも作ってた人達も熱狂もデジタル活用という文化も消えてしまいました。このことは、教育関係者が特定のツールやプラットホームに依存することのリスクと共に、地に足のついたデジタルの活用を考えていく人の育成の重要性を表す出来事だったと思います。

そして…

語学学習ではどうなのか?

👉 https://www.youtube.com/watch?v=zL2O5idRETo

オンライン授業に限らず、ICTの教育利用の検証の多くは大学や小中学校の通常の授業です。語学に特化したものは少なく、資料もありません。もちろん日本語教育での実践資料はほとんどない*5ので、日本語教育ではどうなのかは、現場の教師が冷静に観察、監視しシェアしながら検証を積み上げていくしかありません。いろんな効果測定的な論文はありますが、例えば、聴解用の音声データは、mp3でいいのか、waveレベルであるべきなのか。音質や映像の質(SD、HD、4K)で、学習効果に違いがでるのか、検証時の接続環境は、みたいなことは、日本語教育の論文にはなかなか書いてありません。

語学の学習に絞って言うと、まず、音声の問題があります。遅延があると口の動きと音声が連動しないということになり、発音指導では大きな障害になります。音質そのもののクオリティがどうしても落ちるという問題があります。配信ではまずマイクにお金をかけるべきです。自然な音声と電話の音声の聞き取りは、かなり違うというようなことです。

教室で出力する場合、Bluetoothスピーカーなどを使うとBluetoothの規格によってはかなり音声が遅れることがあります。映像と音声がずれると語学で問題ということはもちろん、映像をみるストレスも増すので、音声の遅延がある場合はライン接続も試してみてください。

日本語母語話者による英語音声の知覚と学習に与える音声圧縮の影響
https://ci.nii.ac.jp/naid/110006794605

nVidiaのノイズ抑制機能「RTX Voice」のベータテストがスタート。ファンやヘアドライヤーの音が魔法のように消え失せるノイズ抑制機能を紹介する動画が多数公開される
https://news.denfaminicogamer.jp/news/200423c

*ちなみにネットを介して演奏を合わせるのは、90年代からの大きな課題で、この技術も音声のクオリティと遅延の問題を解決することがキーになっています。2000年代に入り、一般のスタジオレベルでも機材があればできるようになっていますが、それが徐々に一般ユーザーレベルに降りてきています。

ネットセッションツール、NETDUETTOが大きく進化!NETDUETTOβ v2.0の実力 | | 藤本健の "DTMステーション
https://www.dtmstation.com/archives/51975848.html

YAMAHAは、2020年6月にこの改良版であるシステムを前倒しで出すことになりました。無料。(現在は旧版がダウンロード可能)
音で繋がるオンライン演奏アプリ|SYNCROOM(シンクルーム)
https://syncroom.yamaha.com/

コロナ禍で苦しむミュージシャンの救世主となるか?ヤマハがネット越しのセッションツール、SYNCROOMをリリースする背景 | | 藤本健の "DTMステーション
https://www.dtmstation.com/archives/29387.html

【藤本健のDigital Audio Laboratory】声優・小岩井ことりさんと実験! オンライン会議アプリの音質比較してみた 前編-AV Watch
https://av.watch.impress.co.jp/docs/series/dal/1248155.html

【藤本健のDigital Audio Laboratory】最も音が良い会議アプリは? 声優・小岩井ことりさんと音質比較してみた 後編-AV Watch
https://av.watch.impress.co.jp/docs/series/dal/1249614.html

映像

資料など画像で示す場合も、大人数のビデオチャットではどうしても音声優先で画像の質は落ちるので見えない、読めないということになります。で、他のアプリとの併用やプラグインでやると学生の側でマシンパワーが追いつかない、通信環境への負担が大きすぎる、そもそもスマホで受信してるという人は画面が小さいので大変、ということも起きます。口の動きなどをアップで写せる利点はありますが、人の口のアップはあんまり見たくない類いの映像になりがちです。

時間

詳しくは「法律的に授業で認められるか」にありますが、少なくとも告示校に限っては、リアル授業ベースの枠組みなので、授業の代替としての活用は今のところ、無いと思います。学習支援としての活用が軸になるはずです。ただ、自宅で見るという使い方にしても、反転授業などで、週28時間アルバイトする日本語学校の留学生や就労系の学習者に自宅での予習を前提にするのも難しいような気がします。つまり今の留学制度では授業以外の余分な時間的拘束は期待できないということです。

もちろん、学習支援として勉強したい時、知りたい時に説明にいつでもアクセスできるというものを準備しておく意義は大きいと思います。

集中力の持続

👉 https://www.youtube.com/watch?v=LdgSxdOu4Qg

2018年のDuolingo発表の数字では、600万人以上が日本語を学んでいますが、日本語のコース修了者(Golden owl取得者、中級ぐらい?)は 0.015%(1000人前後)とのこと。4月にNHKの外国語講座をはじめるけど三ヶ月でやめる的な人もいるとしても、かなり少ないです。特に日本語コースの成績は悪いようです。

語学に限らずオンラインでは集中力が途切れがちという問題はついてまわりますが、特に、語学においては比較的、導入→説明→練習というような流れがある授業では一瞬気を抜くと、流れが掴めなくなるということが起きますし、講義形式ではなく、いろんなことをさせながら、タスクベース、チームで、というスタイルでやったとしても、今度はモニターやスマホの画面をにらみながら緊張の持続を強いられるのは、リアル授業に比べると負荷が強く大変だということになります。オンライン授業に対する教師の意見として「どうやらリアル授業より授業の濃度を落とさないといけない、そうしつつ集中力を維持させるのは大変だ」というコメントをよくみます。

以下のワードで検索するとたくさん関連記事が出てきます。

online class problem - Google 検索
https://www.google.com/search?q=online+class+problem

online class cheating - Google 検索
https://www.google.com/search?q=online+class+cheating

Teachers Say Cheating Is More Common In Online Classes
https://www.forbes.com/sites/dereknewton/2019/10/30/teachers-say-cheating-is-more-common-in-online-classes/#39bc18aa4491

Many Services Will Help Students Cheat in Their Online Courses—for a Price - The Atlantic
:オンライン授業をサボるためのツールやサービス。
https://www.theatlantic.com/education/archive/2015/11/cheating-through-online-courses/413770/

Cheating in the Digital Age: Do students cheat more in online courses?
:オンライン授業でサボったりカンニングしたりしたかという調査。
https://www.westga.edu/~distance/ojdla/spring131/watson131.html

自宅でカメラの外は監視されていない状況ですから、授業中はLINE禁止、みたいなコントロールもできませんし。カメラの外に置いたポテチとビールを飲みながら、あるいはタバコその他を吸いながら授業を受けることもできるわけです。ソファで恋人と一緒に受講するのはOKにするか?みたいなルールも必要になってくるかもしれません。もちろん個室や静かな受ける環境がない人もいます。

いろんな教え方やツールの機能を使って工夫はできます。しかし、リアルではできることの弱点を補うための工夫に追われるという意味で、リアル授業と比べた時にいろいろとハンデがあるという事実からは逃れられないということは意識しておく必要がありそうです。デジタルでしかできないこともありますが、今や教室でもモニターやパソコンは使えるので、オンライン授業ならではというものは実は少ないです。

デジタル活用ではおきがちですが、やはり最初はちょっと楽しいし、盛り上がりますが、やっていくうちに、学習者は、スキマをみつけてサボりだす、ということになります。回線状況が悪くなり音声が途切れがちになったりすることをキッカケに授業が崩れ出すということがあります。しかも、オンライン授業ではいろんなサボる手法があります。顔から下は何をしてもいいわけですし、カメラの前に自分の写真を置いて出かけたり、動画を流したりというような基本的なサボりの技術から、例えばOnline授業中に受講生同士がLINEなど別のアプリでコソコソやり取りをするみたいなことはよくあるようです。

この種のことは、教師より学生のほうが常に一枚上手ですが、デジタルは特にそうです。カメラをオンにして、受講しているような自分の映像を流しながら、LINEで誰かに監視させてヤバいときは連絡、みたいなことは誰でも考えますし、アプリをいくつか組み合わせれば可能です。そういうノウハウはあっという間に学生に広がります。テストのカンニングを防ぐ方法はありません。

👉 動画を編集して効率よく情報を入れたり、あらかじめ用意した一覧を出したりと、よかれと思って効率化した結果、濃度が高くなってしまった。みたいなこともあるかもしれません。効率のいい授業は教えるほうも教わるほうも疲れます。授業時間そのものを20分などと短くするか、文字を書いたり、黒板を消したり、プリントを配ったりした時間の変わりになるような時間を意識して作ることも大事なのかも。

法律的に授業として認められるのか?

民間でやる分には顧客との契約次第なので、そこで互いの了解があるのなら問題ないのですが、学校として国の規制下にある場合、規制にある授業時間として認められるかというハードルがあります。日本語学校の告示校の場合、2020年春は緊急事態なのでということですが、通常の状況に戻れば、おそらくあわててやったライブ授業やオンデマ動画が正式に授業としてカウントされることになる可能性はほぼないと思います。仮に規制緩和があっても、挑戦できるのは大手の専門学校や大学などに限られそうです。

文科省の方針

まず法律的に授業として認められるのか?というハードルがあります。

文部科学省告示第百十四号
https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/07091103/002.htm

オンライン授業については、最近議論が始まったばかりです。最初に紹介した、2018年の文科省教育制度改革関連の会議会議資料の6「大学における多様なメディアを高度に利用した授業について」にオンライン授業に関する資料があります。この方向で決まりそうなので、これを軸に整理します。

具体的な規制

以下は基本、ある程度設備投資ができるであろう大学を念頭に置いた規制です。最初に紹介したライブ授業とオンデマンド授業に分けられています。規制としては、ライブは接続の安定性→公平性に関して厳しく、オンデマは著作権方面が厳しいという印象です。

ライブ授業

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決められた授業時間の代替としてのライブ授業はより規制が厳しく、安定した接続環境と、双方向性が確立されていなければならないという建て前が崩れることはなさそうです。具体的にいうと、20人参加のライブ授業であれば、授業時間中、確実に20人が動画や音声が途切れることなく安定的に接続されているというようなことです。今のところ、他の教室で受講する形ならセーフで、クライアント側が個々の部屋やスマホではダメだというのは、この点で検証が難しいということだと思われます。

これは通信技術の改良によって緩和される可能性はあります。ただしその場合でも、ネット回線へのコスト、5Gでの接続のコストなどは学習者負担ではなく学校が負担するか、あらかじめ同意がなされて、学費などに組み込まれていることが条件になりそうです。現時点でこの規制を学校としてクリアするには、サービス事業者で十分な環境が保障されるコースの契約をした上で、学校側でやれることは最大限にやらないと厳しいということのようです。

オンデマンド

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オンデマ授業は、あらかじめ動画を作り、学生が好きな時にアクセスするということで、動画を見る機会はいつでもあるので、接続環境に関してはそこまで規制は厳しくありません。ただし、動画を置いておくことになるので著作権周りは逆に厳しい。また、動画をみての授業をどう設計するのかがしっかりしてないとアウト。見ただけで終わりではダメだよ、ということが基本になっていると考えられます。

日本語教育機関のオンライン授業の規制

*この項目は事態が収束したら記述縮小か削除される可能性があります。

告示校に対する規制は上の文科省のものをベースに考えることになりそうです。ただし、あの資料は「大学」が想定されています。それなりの予算でちゃんとやるならという前提があるので日本語学校などその他の学校では、まずクリアしないといけないことがいろいろあるということに注意です。

2020年の「緊急措置」

2020年の新コロナウイルスの時期に法務省から出された「日本語教育機関における新型コロナウイルス感染症への対応について」には以下のような文言がありました。

問4 感染防止対策として,オンラインで授業を行うこととしたいが問題ないか。(答)日本語教育機関が感染症の蔓延の場とならないよう学校運営上の対策を講じる目的などの観点から,必要な範囲内において,当初は予定していなかったオンラインによる授業を行うこととした場合,当該オンラインによる授業をもって,直ちに日本語教育機関の告示基準等に適合しないとみなされるものではありません。つまり,感染症の蔓延防止のため,必要な範囲内において,当該オンラインによる授業を教育課程の一部とみなすことが可能です。なお,オンラインによる授業は,緊急的な措置として認められるものです。

→ 日本語教育機関を対象にしたものでは、はじめてオンライン授業についての言及です。ただ、休校措置は官邸主導で突然決められ、文部科学大臣も知らされてなかったということのようなので、とりあえず大学や専門学校などで進めていたガイドラインをそのまま適用して、そういう準備があるところは、一時的に認めるよ、ということにした、という解釈が妥当なところでしょうか。日本語学校がオンライン授業の準備ができているかどうか、みたいなことはほぼ考慮されていないと思われます。

これを受けて日本語教育関係者の「オンライン授業が公式に認められた」というかなりミスリード気味のSNS上での投稿などもありましたが、告示校はそもそも留学のためのリアル授業中心の枠組みですし、おまけに法務省は日本語学校に出席管理で失踪防止をする管理機関という役割を与えていますから、リアル授業が軸になることは揺らぐ可能性はほぼ無いはずです。仮に大学でそうであるように、一部代替として認められるとしても、上で紹介した文科省のかなり厳しい基準をクリアしなければならず、その上で通学制ならば半分までしか認められないという既定路線は変わらないと思われます。

仮に将来、通信環境など技術的な問題が完全に解決し、安定的な授業の配信などが可能になったとしても、告示校でオンライン授業を軸にするのは難しいと思います。そもそも、大きな借金を抱えて日本に留学している学生に日本でオンライン授業を受けさせるというのはかなりシュールな状況です。「オンライン授業をやりたいのなら、告示校としては認可は無理ですけど、オンライン日本語学校として自由に市場で競争してください」となる可能性が高いような気がします。

告示校にとっての動画活用

告示校にとっては、ライブ配信やオンデマ動画の活用は、授業の代替ではなく、学習支援で活かすのが本筋になっていくと思われます。そして、この学習支援としての活用こそ動画活用の本命です。授業時間以外でいつでも動画にアクセスできるような仕組みで補講、補習として使う、あるいは予習として、サポートとして、日常生活で触れた日本語の疑問を探すレファレンスとしてです。ライブ配信はイベントの中継や、学内テレビなど活用の幅はいろいろとあります。規制がない進学指導の授業などはオンデマ動画で質の高いものを作ることができます。動画には字幕もつけられますから、日本語学校が不得意な学習者の母語の学習サポートも手厚くなるはずです。

リアル授業と組み合わせた授業の代替としてではなく「学習支援としての」ライブ配信やオンデマ動画には大きな可能性があります。こちらに目を向け、今はその準備期間にあてたほうがよいのではないでしょうか。

オンライン授業での著作権

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教育の情報化の推進のための著作権法改正の概要
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/h30_hokaisei/pdf/r1406693_14.pdf

著作権は不特定多数相手と特定多数相手ではかなり違うと思われますが、ここでは学校内での利用なので、アカウントをとってログインしたり、限定公開でURLを知らせたりなど、アクセス制限をした場合、つまり「特定多数」ということで進めます。ただし公衆送信の「公衆」とは、「不特定の人」又は「特定多数の人」を含むということになっていますので、特定多数だから公衆送信ではないということにはなりません。授業で著作物を写す、画面共有する、というようなことは公衆送信になると思います。書画カメラなどで教科書の特定のページを映すのはどうか? これは微妙なようです。考え方としてはこれは「複製」ではなく「上映」なので「営利目的でなければ」「必要な範囲において」許諾は不要となっています。日本語教育機関が営利目的なのかどうかは微妙です。また必要な範囲はあくまで引用ならということなので、教科書をページごとに写しながら進めるのは当然ダメということになりそうです。何かの資料を提示する際に使うなら、ということでしょうか。

著作権のルールは以下にあります。現在改訂中で、もうちょっと柔軟にしましょうという流れではありますが、使えるものが増えるということではなく、リアル授業でOKだったものが、ライブ授業やオンデマでもOKにしましょう、いや、許可制にしよう、あらかじめお金を払う式はどうか、みたいな議論です。

著作権法の一部を改正する法律(平成30年法律第30号)について | 文化庁
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/h30_hokaisei/

ただし、上の中で「学校」となっているものは学校法人のことであり、おそらくすべての学校法人のことではない、ということに注意。

👉 注意 これを書いているのは著作権の専門家ではありません。長くサイト運営をしておりコンテンツ作りをする中で、どちらかというと著作権者として自分が作ったものの権利をどう守るかという立場で、調べたり詳しい人に尋ねたりということで得た知識ベースで書いています。詳細は専門家が書いたサイトを探してください。

2020年に前倒しで施行

授業目的公衆送信補償金制度は、2020年の4月に前倒しで著作権改正となりました。これは、前もって著作権管理団体(SARTRAS サートラス:一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会)に使用料を支払ったところは、公衆送信(オンライン授業やメールで資料を送るなど)においてこれまでリアル授業で許されていた範囲において利用できる、枠組みを拡大する、というものです。

SARTRAS 授業目的公衆送信補償金等管理協会
https://sartras.or.jp/

SARTRAS 2020年度補償金制度利用に関するFAQ |
https://sartras.or.jp/seidofaq/

著作物の教育利用に関する関係者フォーラム、教育現場での著作物利用の運用指針(2020年度版)
https://sartras.or.jp/archives/20200416/

そして、緊急措置として2020年は支払いは免除されます。

しかし、この「授業目的公衆送信補償金制度」の枠組みに入っていないところは、これまでどおり出版社の許諾が必要です。対象となる学校は「営利を目的としない教育機関の授業」となっているので一条校が基本だと思われます。つまり、ほとんどの日本語学校にはこの改正は関係が無いと考えるべきだと思います。

仮に対象であったとしても、この補償金鮮度の枠組みに参加していないとアウトですから出版社の方針次第、要確認です。


遠隔授業を阻む著作権の問題をクリアにする「授業目的公衆送信補償金制度」とは?
https://hon.jp/news/1.0/0/29231

日本語教育関係の各出版社の見解

凡人社

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👉 https://www.bonjinsha.com/wp/post_id-9392.html

その後アップデートされました。

以下全文引用します。引用日は2020年6月14日です。

◆◆◆◆◆◆◆◆
【「授業目的公衆送信補償金制度」への対応について】 新型コロナウイルスの感染拡大により、著作物のオンラインでの利用が注目を集めています。これにともない「授業目的公衆送信補償金制度」が2020年4月中にも施行される見込みとなりました。弊社の教材についても、多くのお客様からお問い合わせをいただいています。ご利用に際しては、一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会(SARTRAS)のウェブページにある以下の部分に特にご注意ください。

「本制度の実施により、すべての著作物を自由に利用してよいというわけではありません。改正著作権法35条の定めにより、著作権者等の利益を不当に害することのないようご留意いただく必要がありますし、また、本制度の対象になる教育機関や授業の範囲につきましても、十分ご理解いただく必要があります」 (一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会(SARTRAS) )https://sartras.or.jp/archives/20200406/

例えば、新聞記事や文芸作品の一部を読み素材として使う場合は、今回の制度に合致しそうです。しかし、弊社の日本語学習教材を、語学教材として、複製・配布・配信する場合は、「著作権者等の利益を不当に害する」に当てはまる可能性が高くなると考えています。判断に迷ったときは、下記からお問い合わせください。件名に【編集部宛】と入れていただくとスムーズです。※お返事までに少しお時間をいただく場合がございます。ご了承ください。 2020年4月18日追記: 2020年4月17日に公表された「改正著作権法第35条運用指針(令和2年(2020)年度版)」では具体的に指針が示されました。該当するケース、該当しないケースが具体的に書かれています。以下のURLのPDFファイルをぜひご確認ください。 「著作権者の権利を不当に害する可能性が高い例」として以下が挙げられています。 <不当に害する可能性が高い例>

例)同一の教員等がある授業の中で回ごとに同じ著作物の異なる部分を利用することで、結果としてその授業での利用量が小部分ではなくなること

例)授業を行う上で,教員等や履修者等が通常購入し,提供の契約をし又は貸与を受けて利用する教科書や,一人一人が演習のために直接記入する問題集等の資料(教員等が履修者等に対して購入を指示したものを含む。)に掲載された著作物について、それらが掲載されている資料の購入等の代替となるような態様で複製や公衆送信すること

例)製本して配布すること 例)組織的に素材としての著作物をサーバーへストック(データベース化)すること (下記資料 p.10から抜粋)

改正著作権法第35条運用指針
https://forum.sartras.or.jp/wp-content/uploads/unyoushishin2020.pdf

◆◆◆◆◆◆◆◆

引用終わり。許諾を申請してくれ、ということです。

くろしお出版

くろしお出版の「オンライン授業等での出版物利用に関する指針」について|お知らせ|くろしお出版WEB
https://www.9640.jp/news/3873/

スリーエーネットワーク

特に会社としての説明はないが、電子版の説明として以下がある。電子版の購入が前提となっていることに注意。
https://www.3anet.co.jp/denshi_guide.html

アスク

記載なし。

Japan times(げんき)

オンライン授業への対応について
https://genki.japantimes.co.jp/archives/3471
著作権について
https://genki.japantimes.co.jp/archives/3467

その他

国際交流基金やスリーエーネットワークからは、今回、特にアナウンスはされていない。基金からは『いろどり 生活の日本語』という無料の教材が出されたが、以前から企画されていたもので、著作権上の特別な配慮はない。その他、「みん日」や「まるごと」なども一部無償で公開されているが、あくまで期間限定の「公開」であって、購入者はオンラインでも参照できるよ、というところまでだと思われます。それぞれこれまでどおりの著作権の主張が継続していることに注意。凡人社と同様、ライセンス上の配慮はない。

個人的には著作物を画面に映すのはやめたほうがいいと思います。書画カメラは上映で引用だからセーフといっても、あくまで参考資料として本の一部を映すのはいいよ、ということでセーフとしてあるものなので、(全員持っているはずの)教材を映すのはかなりグレーです。つまり、いろいろと条件があり、複雑です。現実には授業で教材を映す必要はほぼないはずです。資料的なものなら事前にネット上でサイトを探して置いてURLを送れば済みます(著作権が定まっていてすでに公開されているものならセーフです)。わざわざ画面共有してリスクを冒す必要はないと思います。活用表くらいは自分で作ればいいですし。それでもやりたいのなら、上記に書いたようなことを理解して許諾をとってやってください。

著作権に関する3つのテーマ

2020年の議論で出たのは以下のとおりです。

  1. そもそも授業の著作権は学校にあるのか講師にあるのか?
  2. 教材の著作権は
  3. 資料などまだ著作権が切れていないものを配信で使えるのか?

などです。

1)授業の著作権

これは通常の雇用契約であれば、学校側にあるとされることがほとんどではないかと思います。業務委託契約だと契約次第かもしれません。いずれにしても個々で契約の文言などを読んで確認しないとわかりません。ただし、リアル授業に準ずるものに限るとは思います。ライブ授業を録画して残してリユースする場合は(期間限定で見逃した人向けならセーフかもしれませんが)二次利用になりそうですし、オンデマ動画は繰り返し使われることが前提なので、別途動画に関する契約がないとダメだと思います。

2)教材の著作権

「教科書が不要な授業」をすることはもてはやされますが、大筋で特定の教科書の順番に従って、説明なども使う、語彙や漢字なども準拠しているならば、それは特定の教科書にある程度依存しているつまり「教科書を使っている」ということになるはずで、当然、使うことになった教科書はオンラインコースであろうと、学生は購入するのがマストになるはずです。語学における教科書の著作権の定義は厳密にはわかりませんが、学習項目の提出順などは大きな要素になりそうです。

👉 これは、1)の授業そのものの著作権にも影響(授業の著作権に教材の出版社が権利を主張するようなこと)があるかもしれません。例えば、「みん日」を使い教師用指導書に従って行った授業の著作権は教師や学校だけにあるのか?という問題です。リアル授業では大丈夫でも、オンライン上で公開されたりオンデマ動画としてネットにアップされた場合、微妙なところかもしれません。

リアル授業でも、プロジェクターに教科書を映し出せば学生は教科書をみなくてもいい状況が生まれます。デジタルを活用する度合いによっては、学生は教科書を買う必要がないということになりかねません。購入されていることが確実でないなら、教科書を映すこと自体がグレーゾーンになりそうです。その他、状況によって結構細かい問題が出てきそうです。

原則として、特定の教科書に依存しているかぎりにおいて教科書は個々で購入しなければならない。それが守られるならば、文科省のルールに従って行われたオンライン授業であれば、セーフと解釈できそうです。

3)生教材、資料として使うものの著作権

ネットで議論になったのは、大学の授業で資料として配布するようなケースです。日本語学校では補助教材でも全購入がマストなので初級から中級の間は、基本的にはあまり関係がないところですが、生教材になると、著作権的に教室で使えないモノはオンライン授業でも映せない。特に、次で述べるように、オンデマ動画やライブ授業の動画をネット上に保存する場合はより厳しくみられますし、訴訟になったらそのまま証拠になりますから(オンデマはもちろんライブ授業でも)動画を残すタイプの授業で映すことはできないと考えるのが自然だと思います。

Youtubeの動画を生教材として使うのは元の動画の著作権がCCならもちろん大丈夫(でも授業の資料にちゃんと利用した旨と必要な著作権表示は必要なはず)CCではないけどアップした人に著作権があるなら、アップ主に連絡して許諾を受ければ大丈夫。連絡無しでその旨を授業の資料に記すだけだとグレーゾーン、やや黒、というところじゃないでしょうか。ネット上にあるもののURLを示すのは、それが著作権者本人によるコンテンツなら大丈夫ではないかという気がしますが、事前に連絡して許可をとっておいたほうが確実です。配布資料などで参照先の著作権者とURLとライセンスは示しておくことが必要にはなると思います。

👉 授業での資料の提示は、大学や一条校ではセーフということがあっても、日本語学校ではアウトになる可能性が高いということもあります。はっきりしないのですが、学校で許される引用は、学校法人ならば一律セーフということではないようです。著作権・肖像権を参考にしてください。

ライブ授業とオンデマでの違い

ライブ授業は実施に際しての規制が厳しいかわりに、授業と同じとみなされるようなので、リアル授業の規制に沿ったものになるという解釈が多数派のようで、その流れで改正が進められているようですが、今のところはリアル授業ほどには認められていないということのようです。

授業のための著作物の公衆送信について | 大学教員のためのICT活用ヒント集
http://fd.code.ouj.ac.jp/tips/qanda/q102.html

デジタル・シチズンシップと著作権教育 「改正35条で変わる教育現場」|教育家庭新聞社
https://www.kknews.co.jp/post_ict/20191104_3a

また、オンデマはライブと違って動画が「置いてある」ものなので、より厳しくなります。原則として資料など著作権が他にあるものの利用は、許諾が必要ということになっています。

「改正著作権法第35条運用指針策定に関する論点整理」を公表 | カレントアウェアネス・ポータル
https://current.ndl.go.jp/node/40010

しかし、ライブでも録画した動画をアーカイブ化することもあり、どちらも同じではないか、同じなら共通した解釈が必要という意見もあるようです。ライブ動画のアーカイブはあくまで欠席した人への期間限定のもので削除前提ならOKではないという意見もあるそうです。また、一定の利用料を支払うことでOKになるという流れがあります。米国におけるフェアユース的な方向になっていくのかもしれませんが、日本語学校はそのフェアユースの対象となるのは現状では難しそうです。また、当然、アーカイブ化された動画のアクセス管理を厳格にやるというような条件付きになるはずです。この管理コストをまかなえるのかという問題もあります。

2020年の新コロナウイルスの際に出た文化庁の要請です。これは主に専門学校や大学を対象にしたものだと思われます。 新型コロナウィルス感染症対策に伴う学校教育におけるICTを活用した著作物の円滑な利用について | 文化庁
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/92080101.html

この2020年に出た文化庁のペーパーは、あくまで緊急時ということですが、将来こうなるよと示唆するものかもしれません。

👉 この項目はオンライン授業のための情報まとめ - digitalnagasakiのブログ を参考にしました。ありがとうございました。

👉 Youtubeに置いてしまえば、仕様上はダウンロードできなくても、実際はできるよ、ということもありますが、ルールとしてそこまで踏まえたものになるのかは未知数です

著作者人格権

著作権上使えるものでも、著作権者が望まない形で使うことに、著作権者は、著作者人格権を持ってNOを言うことができます。画像や映像などを劣化した状態で使われることに対しても適用されます。生教材のスーパーのチラシなどは許諾があれば大丈夫かもしれませんが、マンガ、映画、デザイン的なものなど作家性が高いものは、著作権上使えそうなものでも著作権者から「そんな劣化した形でバラバラにして使わないでくれ」とクレームがつく可能性があります。

論文や書籍での引用のようにテキストデータであれば、内容の問題だけですが、劣化した形で写真やイラストなどを引用したり、ライブの低い画質で再生することには注意が必要です。これはデジタルだけでなく紙でも同じです。リアル教室では動画の再生や資料の提示は比較的きれいな形でやろうと思えばやれますが、ネットを介してやるのは至難の業です。作家性の高いモノは、ライセンスがクリアになっているものに限りますが、パッと映すのではなく、URLなどを示してみてもらうことにしたほうがいいのではと思います。

👉 上で述べたような、著作権の改正や、2020年の新コロナウイルス関連で出たものは、基本的に大学ではどうか、という話です。日本語学校はたとえ学校法人であっても一条校や大学とは同じとはみなされないと思います。「営利目的の私塾」扱いではないかと思います。注意が必要です。大学のように多様な資料は使わないとはいえ、生教材を使ったり、動画を参照したり、というのは、ライセンスがフリーか許諾を得ていないとほぼアウトだと考えた方がいいと思います。基本、心配なら使わない選択をしたほうがいいと思います。日本語学校に関することは著作権・肖像権に少しあります。

50人以下なら著作権は関係ない???

そういうツイートが有名な日本語教育関係者からありました。特に訂正もないようですし、このまま誤った知識が広がるとマズいので補足します。

文化庁の「50人」は著作権なるほど質問箱に出てきます。この50人は単に多数の定義の考え方を述べたもので、50人以下ならセーフとは書いていませんし、そういう解釈もありません。そもそも、50人以下でセーフなら、日本語学校の教室は20人という規制がありますし、その他の学校のだいたい40人ですから、教室ではなんでも使っていいことになってしまいます。すべてのオンラインビジネスの定員は49人になるでしょうし、49人のオンラインマンガ回し読みサークルも可能になります。

他人の著作物でも個人が使う範囲や家族間まではセーフとなっています。50人というのは、ビデオチャットで10人くらいでおしゃべりをする際に「おもしろかった一コママンガ」を映した場合、訴えられるリスクはありますが、仮に裁判になった際、参考とされるかもしれない、程度のところまでだと思います。50人以下ならいいかも、というのが広まったのは、かつて「中田英寿事件」(東地判H12.2.29)という裁判があり、本人の許可を得ず勝手に出版したものが300部だったので、文化庁の不特定多数の「多数」の説明にあった「50」より多いから多数であると引用され、違法という判決の「ひとつの要素となった」ということが「50人以下ならセーフ」と曲解されたということらしいです。

つい最近(2020)も音楽教室で使われる音楽に関する裁判でそういう主旨の判決がでています。話題になった裁判ですが、これも人数で争っているわけではありません。賛成反対いろいろありますが、双方、人数の問題ではないという法律的な解釈は、大前提となっています。

著作権法における「一人でも公衆」理論を説明する(栗原潔) - 個人 - Yahoo!ニュース
:著作権の考え方において「一人でも公衆」だというのは著作権関連裁判ではほぼ確立した考え方であると述べられています。 https://news.yahoo.co.jp/byline/kuriharakiyoshi/20170516-00071009/

👉 日本語教育業界では教材の違法コピーが横行しており、教師もそれを身近なところで、直接的に、あるいは間接的に薄々見聞きしています。日本語教師の著作権の知識が向上しないのは「知ってしまうと、知っててやってることになる。知らない方が『知らなかった』で済みそう」というような意識があり見て見ぬフリをしているのかもしれません。著作権周辺の法律的な整備は進み、訴訟は増えています。もちろん知らずにやっても逃れられません。非親告罪化も進みそうです。デジタル時代は広がりやすく、証拠も残りやすい、そして個人で作るハードルも下がっていますから、あなたが自身が著作者となる可能性も高いです。

個人情報保護

学校・教室のICT化に個人情報保護の基本的な説明があります。個人情報とは名前や住所やクレジットカードの番号だけではなく、匿名で収集される性別やIPアドレスなども含みます。教師は、教育現場では被害者よりも加害者となってしまう可能性のほうが高いことにも注意が必要だと思います。匿名化されていても、例えば「ある国の人が選ぶ教材のデータ」は必要な人にとっては商品価値がある個人情報なわけです。あつまれ動物の森のデータもSiriやスマートスピーカーに語りかけるフレーズもハードとそのシステムを作った会社に収集されデータ化され利用されていることを知っておくことが重要です。

サービス利用時の注意点

👉 Doc Searls WeblogWeb会議のセキュリティでチェックしておきたい10のポイント

ビデオチャットに限りませんが、外部サービスを学習者に利用させる場合、そのサービスがどういうものなのか、どういうリスクがあるのかはしっかり「身体検査」をしておく必要があると思います。学校のプライバシーポリシーの範囲内であるかというチェックです。利用するサービスの会社によってもコースによってもセキュリティの質が違うということもあります。

ビデオチャットでは顔や話す内容は参加者に公開されます。また利用するサービスによっては主催者のみがIPアドレスを取得するもの(ミーティングを主催するタイプのzoomなどが該当)があり、これも個人情報です。収集される個人情報はかなり多く、匿名参加でも特定される可能性は高いです。これは学校の利用だけでなく、セミナーのような個人ビジネスで悪用される可能性が高いところです。主催者が取得した個人情報をIDと共に勝手に同業者相手に「この人達カモですよ」と売買するようなことが起きかねないわけです。

ポイントは日本の情報マネジメントシステム認定センター(ISMS-AC)などの認証を受けているか、プライバシーポリシーなどを読み、日本の法律にもとずいて日本の裁判所で、ということになっているか、でしょうか。ビデオチャットシステムは海外製が多く、MSのSkype、Google Meet、CISCOなどを除いてはこの点があやしいものが多いです。特に日本語学校は世界中から学生が集まりますので、日本の法律を守ればOKというわけにはいかないケースが出てくると思います。収集した個人情報をどう活用することになっているのか、第三者に渡すことになっているか、では学校としてどこまで許容するのかも重要です。外部サービスを利用する際に、そこがクリアになっていないものの導入は難しいという気がします。

ライブ授業で双方向性の確立の方法にもよりますが、例えば、YouTubeライブのチャット、Googleスライドのコメントがあり、ツイッターのハッシュタグなどもありますが、投稿の際にログインマストにするのかみたいな細かい課題もあります。ログインしての投稿ならアカウントと紐つくので匿名性は薄れます。授業中の自分の発言が自分の名前と共にネットで公開され、ずっとネットに残るのはあまり想像したくない事態です。もちろんどこの学校に所属しているかも、本人の許諾無しに公開されるべきではないと思います。

EUの個人情報保護のルール(GDPR=General Data Protection Regulation)は厳しく、留学生であっても国籍がEUであれば、この規制下にあると考える必要がでてきそうです。個人情報の取得や肖像権など、事前に個々に許諾をとっておく必要がありそうです。

後に述べますが、ビデオチャットの場合、参加者へ録画を許可するかということもポイントですが、録画を禁じることができる仕様なのかも大事になってきます。勝手に録画したものをネットに流されることなどを想定してルールを作り、許諾を取る必要がありそうです。

👉 流出しコピーされることは避けられないことを免責しつつ、しっかりこのラインまではやるとして、許諾を得ておく必要があります。

👉 どういうツールを選ぶのかは、ビデオチャットだと映像通信関連に、ZOOMの脆弱性関連のことは学校・教室のICT化事例 ZOOMの問題と脆弱性の解釈にあります。

配信時の肖像権

ライブ配信

Youtubeライブなどを使ったライブ配信では、背景に映るものはモノに関しては商標権などもありますが、それほど気にしなくてもよさそうです。ただヒトが映る場合は許諾が必要です。シンポジウムや学会の発表などは、許諾がない場合は音声だけでもいいのなら音声だけで、どちらもNOならカットしかありません。事前の説明と許諾がなければ配信自体もできないと考えたほうがいいと思います。ただシンポジウムなど許諾を得る人は少ないので、比較的楽かもしれません。ただし、、、

イベントなどで会場などを映すのは、一瞬「今日の会場の様子でーす」と映すのもグレーゾーンで、今はモザイク必須です。もし会場の人などに事前の許諾を得るなら、テレビ局やネット系企業などの 承諾書のひな形はネット上にいろいろありますから、一枚作っておいて、イベント時に配布するか事前にPDFでダウンロートしてもらい、サインを貰うだけです。

👉 動画にモザイクをかけるのはOS付属の動画編集ソフトでは難しく、1万円前後のソフトでは可能ですが、手作業なので大変、プロ向けの編集ソフトなら自動化できますが、覚えるのが大変、ということになっています。撮影時に背景をぼかすみたいな方法もありますが、カメラ次第ですし、少々知識もテクニックも必要です

ビデオチャットの録画の問題

Youtubeの授業配信は配信者だけの問題ですが、ビデオチャットでは参加者の顔を映った動画とかなりの個人情報を共有することになります。録画しなくても、事前にIDや名前をどう呼ぶかなど、取り決めと免責が必要になりますが、録画に関してもそこで説明をし同意を得ることになるはずです。

ビデオチャットのサービスは、ほとんどの場合録画はできる仕様になっていますが、サービスによって

と、いろいろあります。デフォルトで出来なくてもプラグインとか他のアプリで出来るものもあります。

録画した動画も

と違いがある場合があります。

いずれにしても、録画ができる仕様であれば、その動画がネットに流出するリスクは常にあります。

参加者全員の許諾がなければ、録画は原則禁止にすることになると思います。ただ禁止しても録画できる仕様なのか(つまりルール上だけのことなのか)、設定でできなくなるかでも、ルール設定、許諾の文言が違ってきます。主催者の録画に関しても説明責任があります。録画をしていることが参加者にわかるのか、黙ってできるのか、などによってもルール設定を変える必要があると思います。

仕様上、録画ができないサービスであれば、仮に動画キャプチャソフトなどで録画され、流出してもしっかり免責しておけば不可抗力として責任は問われる可能性は低くなりそうですが、この場合も事前にこういう不可抗力で録画される可能性があることは文言として入れておいての同意でないといけないはずです。

またスカイプやGoogle Meetのように一対一や複数の人で話しましょうというものではなく、セミナービジネス向けで開発されたサービスは、主催者の権限が強く、IPアドレスの取得ができるものなどもあります。この場合、主催者は参加者の個人情報を一方的に取得することになるので、取得した個人情報の利用について、きちんとプライバシーポリシーを作り説明と許諾を得ておく必要があります。これはSlackなどでも同じです。

ビデオチャットと違って、シンポジウムや講義で質疑応答はテキストベースみたいなYoutubeライブであれば、比較的許諾は簡単なので、録画した動画をその後公開するのは難しくありません。この点からも、広く知見をシェアすべきイベントなどは、ビデオチャットシステムではなく、Youtubeライブなどの配信システムを利用すべきだと思います。その辺りは映像通信関連の最初で少し説明しています。

👉 録画した動画を公開するだけでなく販売するケースも増えています。特にセミナーなどでは許諾を取らずに売る場合もありますし、キャプチャなどを勝手に宣伝の画像として使うところもあります。主催者のみが録画可能で、参加者に録画の禁止ができるタイプのセミナー向けのサービスを利用する業者には気をつけたほうがいいと思います。事前の説明と同意事項の文書の発行(主催者の名前、住所、サイン)を要求し取得てから参加したほうがいいと思います

👉 個別のオンラインイベントの許諾は、項目に同意くらいで、あるいはフォームに同意で送信でいいのかは微妙なところです。基本的には、誰が作った、どういう項目がある文書に、誰が、いつ許諾したのか、両者の名前と住所が書いてあるものが残り、同一のものだと証明できる形で双方が同じものを持つ必要があると思いますが、どう実現したらいいのかはわかりません。動画を販売する場合も同様です。電子署名のシステムがないなら、紙でやるしかなさそうです。動画を販売するならなおさら、ちゃんと項目を設けてやる必要がありそうです。

オンライン授業の現実

👉 https://www.youtube.com/watch?v=nANU25LixXI *オンラインクラスあるある動画

これまで書いてきたように、告示校は授業の代替としてのライブ授業よりも、「学習支援」として動画を活用する方向が本命だと思います。5分くらいの学習項目別に説明した動画をたくさん作り、タグをふり、Vimeoなどの動画アーカイブに置いて、学生がいつでもアクセスできるようにする。YouTubeライブで定期的にチャットで質問を拾いながら説明する「補講ライブ」イベントを開催する。スピーチ大会、討論会をオンラインで開催するなど、授業+αの +αの部分で知恵を絞る方向です。複数の学校を持つ日本語学校グループなどは学校間を繋いだ活用は無限にあります。動画制作、編集は簡単です。このページの一番上の関連ページにある動画関連のページを参照してください。

オンライン授業そのものは特に新しいものではなく、可能性も問題点も、すでに語られ尽くされています。光でも40Mbpsあたりまで、5Gでも実測値はそうでもない、というこの先10年くらいのネット環境の天井が見えてきて、できることの限界もわかってきました。オンライン関連の企業も、その周辺の「デジタル応援団」の人達もポジティブな側面、可能性のみをアピールしますが、ここでは、あまり書かれない「現実にどういうことが起こったか / 起こっているか」ということを挙げていきます。結構厳しい現実があります。しかし、本気でやるなら現実を正確に把握することを出発点にするしかありません。

授業以外への活用

教師の評価への活用は避けられない

まだパソコンもない時代、日本の某大手日本語学校は校長室で教務主任が各教室のモニターをみていて、授業が終わると、呼び出され、延々とダメ出しを受けたそうです。おそらく授業のオンライン化、動画の活用が進むと授業の監視システムとしても使えますから、ライブでの授業チェックだけでなく授業のアーカイブ化も可能です。教師のスキルはより厳しく管理され、査定に活用されることになるはずです。

オンデマンド動画を作ることになれば、授業の質、動画への対応力などでの教師の選別が始まります。おそらくオンデマの授業や説明の質がその学校の質の基準になります。教室で学生の視線を感じながら、空気を感じながら教えるスキルとは別のものが重視されることになるであろうことも新しい要素です。

ICTの活用が進めば、そういうことが得意な若い教師が生き残り、苦手な世代が退場するとよく言われますが、最初はそういう傾向が多少あったとしても、次第に、効率化が進み、仕事が可視化されることによって、もっと厳しい選別が始まることになるはずです。

オンライン化で必要な教師の数は激減する

日本語教育機関の場合、法務省の告示のルールだと定員500人ならST比40で13人の専任を雇わねばならず、リアル授業をまわすために非常勤は20人くらい必要だとして、合計33人の日本語教師の雇用が生まれますが、告示から外れてオンラインに移行すれば、500人くらいの学生数ならば、オンデマ動画をしっかり作れば、ライブ授業の教師は5~10人もいればまわせるようになると思います。教師不足は解消しそうですが、日本語教師にとっては大変な変化です。

動画の活用は上手く使えば学習者にとってはよいことが多いですが、うまく活用されればされるほど、日本語教師にとっては、かなり厳しい環境が待っているということも覚悟する必要があります。

オンライン日本語学校の可能性?

オンライン授業専業の学校に業態を変えるという方向もあるとは思います。現地に学校を作るまでやれなくても、これまでのリアル授業のノウハウをきっちりオンライン&オンデマ授業にのせられるなら、日本で留学生をただ待つよりも可能性はあるかもしれません。

現状では、東南アジアは、ほとんどすべての国で自宅に常時接続回線があるケースは少なく、光やG4でつながるのは大都市の一部と工業団地、観光地のホテルぐらい、ちょっと離れると大学でもよくてADSLくらい、停電も多い、携帯はつながるけど従量制、というところだと思います。アジアで日本と同じレベルで繋がるのは韓国台湾と中国の大都市ぐらいではないかと思います。ここに自社でサーバーを置いたりみたいな巨大な投資で進出してくるライバルがいます。

👉 接続環境についてはこのページの「課題」の「接続の安定性」にあるデータを参考にしてください。

人手不足の国内企業や海外進出している企業の1セクションとしてやるか、小さくやって提携するかという方法もあるかもしれません。ただ、10年以上前から、オンライン日本語学校は、すでにライブ授業だけでなくオンデマも活用しつつの取り組みなどがあり、撤退していったところも多くあります。オンライン日本語学校は告示の規制からは自由ですので、クラス人数も教師の資格の規制も無くなりますが、ネット上で、Duolingや基金の「みなと」海外の大学のオンラインコースやMOOCなどと競争することになります。インフラが整備されてくればNeflixなどVOD系の教育コンテンツ進出でネットベースのところは、焼け野原になるかもしれません。単独では難しいのでどこかの企業と一緒にということになりそうです。可能性についてはわかりません。

ドワンゴのN校は、現時点では、オンラインの学校として日本で成果を出している成功例だと思いますが、教師の待遇は日本語学校より悪いです。リモートワークは40時間残業込みで月額23万~(2020年4月時点)で、雇用形態は契約社員、アルバイト。教員免許がないと昇進のチャンスは少なそうです。プログラミングのアルバイトも時給1500円でプログラマーの時給としては最底辺クラスです。
https://nnn.ed.jp/recruit/

個人授業での活用の可能性

ICTの活用やオンライン授業を取り入れることにはいろんな可能性がありますが、ここは日本語教師のためのWikiですので、日本語教師個人にとってはどうなのか?も書いてみます。ポジティブなことを書く方が喜ばれることはわかっていますが、やはり限りなく正確なこと、現実に起こったこと、起きていること、起こりそうなことを書く方が誠実な態度ではないかと考えています。

Youtubeライブが使えるとか、ビデオチャットを使いこなせるというのは、誰でも少し時間をかければできることであって特別なスキルではありません。動画の編集も、簡単なものならOS付属のソフトで10時間も試行錯誤すればできるようになりますし、駆け出しのユーチューバー程度のものなら外注でやれるので、これも、もはや特別なスキルとは言えなさそうです。スカイプで教える類いのものは、スカイプが始まった年(2004年)から始まりましたが、スタート時でもすでに一対一で1時間3000円くらいでした。今は、日本語教師がオンライン授業で稼ぐ方法は、この種のオンライン授業をやっている学校学校その2)などで働く、Udemyなどの個人向けのプラットホームを利用する、完全に個人でやる、の3つくらいの方法がありますが、検索すればわかりますが、その3つとも教師の取り分は1時間1000~1500円くらいです。

👉 東京都心に限って言えば、相手の会社や家に出向いて教えるリアル授業の日本語のプライベートレッスンの相場は、80年代からの40年間で1時間1万円以上(80年代)→8000円→6000円(90年代後半)→4000円(2000年代)*6→2500円(2005年あたりから)と下降の一途です。今、2500円で教えている人にスカイプに移行したいと言えば料金据え置きでできるかもしれませんが、新規の顧客を1時間2500円で獲得するのは難しいと思います。

👉 上で紹介した法人系のオンライン日本語学校の授業料は1時間数千円ですが、今は完全オンライン経営のところ(おそらくほとんど1人でやってる)は、汎用スクリプト(10万円くらいでオンライン語学マッチング運用のスクリプトがあります)を使ったものは30分500円(顧客が払う額です)が相場になってきています。

以下、一般的な傾向をあげてみます。

「人気」重視傾向

これは個人だけでなくオンライン学校全般にもある傾向です。

リアル授業の学校のように決められたシラバスがあり、学校が決めた教師が教えるのではなく、学習者が教師を選ぶことになります(法人が経営するオンラインレッスンでも顧客が「教師を選べる」システムがあることがほとんどです)。これは学習者本位の設計の第一歩だ!と語られることが多いですが、まず「学習者によい教師を判別する能力があるのか?」という大問題があります。もちろんほとんどの場合は無いわけです。

それに、選ばれる式になると、皆、なんとなく優秀な教師っぽい「振る舞い」を身につけるものです。つまりホントは優秀かどうかわからない。もうちょっと率直に言うと、実際は、若く魅力的な教師が選ばれることになるという現実があります。ほとんどのオンラインレッスンは大画面で顔のアップです。見た目の魅力は重要になってきます。Youtubeの再生回数をみても「かわいい」「イケメン」の教師は人気になります。顔の善し悪しだけでなく、一見、自信にあふれた、テンションが高い(でも実際は教える仕事に必要な繊細さに欠けていたりする)人が選ばれるというのは、どんな業界でも起きる「あるある」です。人気も実力のうちですが、できる教師のキャラを演じることができる人がもてはやされ、教えるスキルが反映されないとなると、教師にとっても学習者にとっても悲劇です。

YouTubeなどをみても、人気と講師の見た目は関連が濃いことは明らかですし、明らかに力不足の講師でも見た目や明るさなど魅力重視で選ばれているところもあるようです。動画でも画像の補正フィルターは一般的になってきましたし、声も変えられます。最近、ライブではないものは、教師ではなく魅力的で説明が上手い人がシナリオを読んで「教師役」をするようなことになってきています。

強みを活かして選ばれる教師に?

これもいかにも可能性がありそうですが、実態は違います。2つ問題があります。圧倒的なボリュームゾーンである初級者はまず基本を学びたいのであって、語学教師に専門性をあまり求めないということです。これは自身のことを考えてもそうなのではないでしょうか?プログラマーだからといってプログラマー出身の語学教師を選ぶ、ということは、実はあまり起きないのです。訊ねられるのは教えた経験です。実は私達語学教師が語学教師を選ぶ時もそうでしょう?

もうひとつは、日本語の場合、仮に「強み」で選ばれても安い、という問題です。「自分ならではのスキルを活かして依頼をゲットした」という話は時々聞きますが、授業料はいくらなのかは語られません。単に仕事をゲットする競争に勝っただけで、安い相場で教えているだけというケースがほとんどです。

例外はありますが、例えば、1時間1000円が相場となっているオンラインレッスンで(ネット時代は「相場」を簡単に調べることができるので、昔と違って相場が持つ支配力は強いのです)、プログラマー出身者に3000円を払う人はおそらく極限られた中上級者です。それでも3000円です。ものすごく特殊なスキルをもった教師ならば高額をつけられるかもしれません。でも今度はニーズがほとんど無いという問題にぶち当たります。結局全体の相場が低いとどうにもならないということがあります。

「そもそも語学学習者は教師に多くのお金を払おうという気があまりない」という現実もみつめる必要があります。語学は個人の才能あるいは向き不向きであって、教師の善し悪しが語られることはほとんどありません(それをするのは語学教師くらいです)。ほとんどの人は、語学は自分で学ぶんだから語学教師はほどほどであればいい、よいペースメーカーであればいいと考えています。

相場が1000円ならその中でいい教師を探す人が大半です。3000円でよい教師を探す人はごく限られた(それこそ語学教師とか言語学の研究者とか)だけです。語学は、残念なことに、うまくいかなかった人は学校や教材や教師のせいにして、うまくいった人は自分の才能だ、手柄だと考えるジャンルなのです。

👉 おそらく日本語に限らない語学学習全体の傾向ではないかと思いますが、中級以上にチャレンジする人は減っています。「教師を選ぶ」傾向があるかもしれない上級者の「比率」はどんどん下がっています。JLPT主な国・地域別受験者数(2010~2019) をよーく見てみましょう。

超レッドオーシャン

元々ネットにおいて語学は何十年も前から超レッドオーシャンで、今や、数百億の投資マネーを集め、数千万プレーヤーのスタッフを雇って勝負する世界です。

Duolingoをはじめ、すでに無料か格安で学べるコンテンツは多く、かなり昔から、ゲーム作るついでにOJT用のちょこちょこしたものも作るよというVRの会社は世界中に星の数ほどあります。そして、前述のように、近い将来、Netflixのような会社が、途上国に専用回線を敷き、専用サーバーをたてて、月2000円で4Kの日本語レッスン番組を始める可能性は高いわけです。

👉 その上、語学は物理学などと違って、ネットで知り合った人がスカイプで日本語教えますよみたいな「素人参入」が最も多いジャンルでもあります。資格は関係なく学習者の母語が得意な人が圧倒的に有利で、お小遣い程度が稼げればいい、なんなら無料でもいい、という人達。そこと超大手のネット企業との板挟みになるわけです。

カリスマになる、富裕層を掴む、一対多でやる…

個人でやる場合、富裕層を掴めば、カリスマオンライン教師になれば、多数相手ならば、という話は昔からありますが、成功し、それが10年以上続く可能性は宝くじレベルだと思います。ハリウッドにはアクセント指導専業で1時間20万くらいとる英語教師がいるそうですが、こういう席も超例外です。

1対多なら可能性があるかもしれません。しかし仮に10人相手だとして、1対1のレッスンに1000円払う人は10人のレッスンなら500円払うでしょうか?300円として3000円。1年で働けるのはだいたい土日祭日を休むなら200日くらいです。毎日5レッスンやって1000コマ。3000円なら300万。新卒の1年目の年収くらいです。常に10人出席することはほぼ無いので、かなり目減りするはずです。大人数の進度をふまえてやるレッスンはかなりハードで、常にコマを埋めるための新規顧客獲得の宣伝や営業もしなければなりません。しかも、将来、これ以上手取りが増える可能性はほぼないわけです。

ネットでは超例外的な成功例がよく紹介されますが、それはある種の貧困ビジネス化した業界の特徴でもあります。しかし今、ネットで実際に同世代の公務員より儲けているのは有名ユーチューバーくらいです。アフィリエイターもウェブライターも実態はかなり悲惨です。

結論 教えて稼ぐのはほぼ無理

オンラインに完全移行しても、1年(52週)のうち稼働するのは45週(年末年始、夏休み、こちらがやりたくても向こうが休む)。週20時間(かなりハードです)やってもやれる時間数は年900時間です。1時間1500円だと年135万円、月収で10万ちょっと。つまり、個人授業におけるライブ授業や動画は、それだけで仕事として収入を確保する方法としては厳しいです。スカイプは日本では2004年スタート、すでに15年以上経ちますが、スカイプレッスンで成功した人の話を聞いたことがありません。特に語学は、ネットのライブ授業は無資格で無料でできる、つまり参入障壁が低すぎるのです。

「日本語を教える」ことに固執しなければ、オンデマ動画の語学専門の編集プロダクションなど仕事の対象を広げれば可能性はあるかもしれません。チャレンジする価値はあります。しかし、このWikiは少数の成功者を生むための情報を書くところではなく、一般の、普通の教師のための場所なので、大きく成功したいと考えるなら、日本語教育とは関係ないところからチャレンジのヒントを探してください。

👉 日本語教師のとして安定的に報酬を得ることを考えた時、安定してよい報酬を貰っているのは基金の日本語専門家と大学で継続雇用がある人で、その次は(なんだかんだいっても)民間の日本語学校の専任教師です。この3つを目指して、そこで労基法を守ってもらうなど、仕事の環境をよくするのが現実的な解だと思います。労基法さえ守られるなら民間の日本語学校の専任教師も悪くないはずです。労基法さえ守られるなら…。

👉「強みを活かして」「ICTスキルアップ」「オンライン講師になって新たな顧客を」みたいなセミナーをやったり「フリーランスになっていろんな仕事を」といってアチコチから紹介料を得るみたいなビジネスは、そこそこ人が集められば1時間数万円は稼げるみたいなことになってます。しかし、日本の経済状況がいよいよ厳しくなってきた時に、いつまでこういうボンヤリした希望で人が集められるのかはわかりません。

👉 参考:| 映像通信関連(ビデオチャット) 映像配信関連(ライブ配信) 動画制作(動画撮影、Youtubeなど置き場所) 

研究

「オンライン会議サービスを選ぶためのチェックポイント」合田 憲人 国立情報学研究所アーキテクチャ科学研究系教授/学術基盤推進部長

基本資料

国など

初等中等教育分科会(第118回)配布資料 (文科省)
:オンライン授業の事例がいくつかに分類、説明されている。 https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/siryo/__icsFiles/afieldfile/2018/11/21/1411291-9_1.pdf

遠隔学習導入ガイドブック第3版.pdf (文科省) :導入パンフ的なもの
https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2018/09/13/1409199_001.pdf

文部科学省告示第百十四号
https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/07091103/002.htm

以下の資料では、いわゆるライブ授業とオンデマ授業で分けて定義がしてあります。
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/043/siryo/__icsFiles/afieldfile/2018/09/10/1409011_6.pdf
保存したもの

高等学校における遠隔教育の在り方に関する検討会議報告書(案)
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/104/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2014/11/13/1353427_1.pdf

その他

2020年の新コロナウイルスの時期に法務省から出された「日本語教育機関における新型コロナウイルス感染症への対応について

資料1 オンラインレッスンの動向整理[PDF:538KB] - 消費者庁
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/policy_coordination/internet_committee/pdf/adjustments_index_8_170412_0002.pdf

Skype で必要となる帯域幅を教えてください。 | Skype サポート

Google Meet(旧ハングアウト)(ビデオ通話)のデータ通信量の検証 ~データ通信量制限への影響~
http://www.tamegorou.info/it/527/

Web会議入門 第一回Web会議とテレビ会議、コーデックから違いを検証
https://webkaigi.jp/webconf/intro/intro01.html

オンライン授業のための情報まとめ - digitalnagasakiのブログ

Teaching Online | CONNECT
京都大学 オンラインでもできること、オンラインだからできること
https://www.highedu.kyoto-u.ac.jp/connect/teachingonline/

早稲田大学 2016春【共通】高校生向けオンデマンド授業受講の手引き
http://www.waseda.jp/gec/wp-content/uploads/2014/02/highschool_ondemand.pdf

教育・学習へのICT活⽤ | 京都大学高等教育研究開発推進センター
http://www.highedu.kyoto-u.ac.jp/ict/

Please do a bad job of putting your courses online – Rebecca Barrett-Fox
https://anygoodthing.com/2020/03/12/please-do-a-bad-job-of-putting-your-courses-online/

Strategies for Teaching Online in the Age of the Coronavirus - Classroom Q&A With Larry Ferlazzo - Education Week Teacher
http://blogs.edweek.org/teachers/classroom_qa_with_larry_ferlazzo/2020/03/strategies_for_teaching_online_in_the_age_of_the_coronavirus.html?cmp=soc-edit-tw

横浜国立大学での遠隔授業・オンライン授業に向けた情報まとめ - Togetter
https://togetter.com/li/1496617

個人情報保護・著作権

[大学] オンライン授業における著作物利用の注意
https://www.slideshare.net/satomikojima750/ss-231050201

著作物の教育利用に関する関係者フォーラム、教育現場での著作物利用の運用指針(2020年度版)
https://sartras.or.jp/archives/20200416/

個人情報保護委員会
https://www.ppc.go.jp/index.html
GDPRの概要
https://www.ppc.go.jp/enforcement/infoprovision/laws/GDPR/

Web会議のセキュリティでチェックしておきたい10のポイント
https://torteo.jp/media/atcl-1756/

著作権法の一部を改正する法律(平成30年法律第30号)について | 文化庁
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/h30_hokaisei/

授業のための著作物の公衆送信について | 大学教員のためのICT活用ヒント集
http://fd.code.ouj.ac.jp/tips/qanda/q102.html

デジタル・シチズンシップと著作権教育 「改正35条で変わる教育現場」|教育家庭新聞社
https://www.kknews.co.jp/post_ict/20191104_3a

「改正著作権法第35条運用指針策定に関する論点整理」を公表 | カレントアウェアネス・ポータル
https://current.ndl.go.jp/node/40010

新型コロナウィルス感染症対策に伴う学校教育におけるICTを活用した著作物の円滑な利用について | 文化庁
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/92080101.html

著作権法における「一人でも公衆」理論を説明する(栗原潔) - 個人 - Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/byline/kuriharakiyoshi/20170516-00071009/

事例

大学

以下すべて2020年の新コロナウイルスの感染拡大時のものです。

□ イベント - 国立情報学研究所 / National Institute of Informatics
大学での授業のオンライン化に関してレポートや資料が集約されている。シンポジウムなども開催され、動画やレポートが続々と共有されている。
https://www.nii.ac.jp/event/other/decs/

□ 新型コロナウイルス感染症に関する大学の授業等のオンラインの対応の通知・案内や参考リンク(随時更新) - 大学アドミニストレーターを目指す大学職員のブログ
https://www.daigaku23.com/entry/2020/03/26/181827

□ 岐阜大学 2020年 4月以降の方針
https://webjapanese.com/dokuhon/files/Coro_gifudai.pdf

□ 論理学集中講義をYouTubeライブ配信したので、メモ - 論理学FAQのブログ
https://takuro-logic.hatenablog.com/entry/2020/03/22/234227

□ 山梨大学のライブ授業の方針(2020年。Moodle+zoom)
その1
その2

□ オンライン講義 - UTDH / 東京大学 / 人文情報学
https://scrapbox.io/utdh/%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3%E8%AC%9B%E7%BE%A9

□ オンライン授業実践ガイド | 私たちの取り組み | 大阪大学 全学教育推進機構 教育学習支援部
https://www.tlsc.osaka-u.ac.jp/project/onlinelecture/

□ オンライン授業対応で使うMicrosoft TeamsとStreamを利用するために必要なOffice 365へのサインアップのマニュアル 筑波大学
One Driveへ
保存したファイル

□ 文系学部教員向け、オンライン講義の手引き(弊学のケース) - ronbun yomu
https://hjl.hatenablog.com/entry/2020/04/03/160000

障害のある学生の受講を想定した遠隔授業の対応についてー筑波大学アクセシビリティ

オンライン授業に初めて関わる教員のための教授法(ティップス) | 名古屋大学教養教育院

□ 教員のための、オンライン授業を行うにあたって(東京大学)
https://utelecon.github.io/faculty_members/

□ 「Power Point、Zoom、Keynoteで講義動画をつくるノウハウ」大阪府立大学高等教育開発センター
https://www.youtube.com/channel/UCIfV5anpq3i6nRU68y-NopA

□ 専修大学 
オンライン授業をやってみる - Google ドキュメント
Google Hangouts Meetの使い方 - Google ドキュメント
Google Meet(スマホ版)の使い方 [学生向け]
Google Classroomの使い方(教員用) - Google ドキュメント
Google Classroomの使い方 [学生向け]

□ 授業用音声付きスライドの例(関連ファイルダウンロード可) - 誰がログ
https://dlit.hatenadiary.com/entry/2020/04/16/125608

□ 遠隔授業関連 | 北星学園大学 CAMPUS GUIDE WEB
https://cgw.hokusei.ac.jp/ipc/enkaku/

□ COVID-19関連 - 学術情報検索(日本語) - Lib Guides at Waseda University
:出版社などが無料開放したもののリスト
https://waseda-jp.libguides.com/c.php?g=916896&p=6695475

Youtube Liveを使ってライブ授業をやる|OTAGAKI Satoshi|note

Webexオンライン授業当日の操作 | 中央大学 オンライン授業・WEB会議ポータルサイト

□ [[障害のある学生の受講を想定した遠隔授業の対応について(ver.1) | 筑波大学アクセシビリティ: https://dac.tsukuba.ac.jp/shien/20200409-1]]

【重要】新型コロナウイルス感染症対策に伴うICTを活用したオンライン教育等の取り組みについて - 国立情報学研究所
:オンライン授業の合理的配慮など、シンポジウムの資料や動画が大量に置かれている。
https://www.nii.ac.jp/news/2020/0325.html
以下、重要な資料を少し

「帯域逼迫するネットワークの状況」福田 健介 国立情報学研究所アーキテクチャ科学研究系准教授

「著作権に関する説明」岸本織江 文化庁著作権課長

大学院のオンライン授業を1週間受けてみて気づいた課題 - Togetter
https://togetter.com/li/1496087

□オンライン授業の記録(2020年7月) - bluelines
https://bluelines.hatenablog.com/entry/2020/07/02/151326

オンライン授業に関する学生アンケートまとめ(2020年5月 ICU)
https://sites.google.com/info.icu.ac.jp/onlineclass-j/home

その他

「教育の情報化に関する手引」(令和元年12月)について:文部科学省
:小中学校の事例があります。
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/mext_00117.html

東京大学でオンライン授業を3週間受講して <課題・対策・リクエスト>|岩澤直美|note
https://note.com/naomoony/n/n00092e7ca604

都立高校のオンライン授業対応調査まとめ「あの手この手で対応する都立校の努力」 - Togetter~ https://togetter.com/li/1504171

上で紹介した2020年春の日本語教育機関へのアンケート
http://bit.ly/2IrSyua

緊急リポート―全校でオンライン授業を実施。新宿日本語学校の場合 - 日本語ジャーナル
https://nj.alc-nihongo.jp/entry/20200313-online-shinjuku
(新宿日本語学校は昔からeLearningなどを取り入れている)

オンライン授業に取り組む日本語教師--人民網日本語版--人民日報2020/3/2
http://j.people.com.cn/n3/2020/0302/c94475-9663816.html

New research suggests seductive details can inhibit learning: When teachers use a funny joke, a cat video or even background music in their lessons, it can keep students from understanding the main content - science
https://www.reddit.com/r/science/comments/flb2xk/new_research_suggests_seductive_details_can/

How to adapt courses for online learning: A practical guide for faculty
https://hub.jhu.edu/2020/03/12/how-to-teach-online-courses-coronavirus-response/

2020年7月 株式会社アクセスネクステージによる、コロナ下の授業などに関するアンケート
https://www.access-t.co.jp/files/20200714_NXG_research_report.pdf
保存したもの

論文

オンライン授業関連

日本の多文化共生社会に向けてのICTの現状と課題 日本に在住する外国人留学生のICT利用を中心に(2010)
日本語母語話者による英語音声の知覚と学習に与える音声圧縮の影響
https://ci.nii.ac.jp/naid/110006794605
遠隔地の児童発達支援センター職員とのSkypeを用いた勉強会の試み
https://ci.nii.ac.jp/naid/40021893863
外国語会話訓練を目的としたビデオ通話システムの開発
https://ci.nii.ac.jp/naid/170000175358
スカイプ英会話を活用した短期大学英語授業の試み
https://jissen.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=1253&item_no=1&attribute_id=22&file_no=2
通信教育課程の学生の現状と抱える課題
https://archives.bukkyo-u.ac.jp/rp-contents/KK/0015/KK00150L001.pdf
スカイプ・オンライン英会話の授業外利用の効果と課題,動機づけ : M大学英語専門中級レベル学生の事例
http://okinawa-repo.lib.u-ryukyu.ac.jp/bitstream/20.500.12001/22466/1/No26p9.pdf
第 5 章 フルオンライン大学における 演習授業に関する実践報告
https://www.cyber-u.ac.jp/about/pdf/e-learning/0003/CU_e003_05.pdf

アクセスログデータに基づくオンデマンド学習の実態分析 : 効果的な学習支援策の確立に向けて
https://ci.nii.ac.jp/naid/120006248930
言語教育におけるフロー理論に基づく学習環境作りについて : 中学校英語教育とオンデマンド言語学修の場から
https://ci.nii.ac.jp/naid/120006226482
オンデマンド授業における発音学習支援 -メンターによる「発音チェック」機能を中心に
https://ci.nii.ac.jp/naid/120005464156
新しい音声教育実践における学習者の学び -オンデマンド併用授業による発音学習
https://ci.nii.ac.jp/naid/120005464153

Online Courses Are Harming the Students Who Need the Most Help - The New York Times
https://www.nytimes.com/2018/01/19/business/online-courses-are-harming-the-students-who-need-the-most-help.html

The Struggle to Pass Algebra: Online vs. Face-to-Face Credit Recovery for At-Risk Urban Students: Journal of Research on Educational Effectiveness: Vol 10, No 2
https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/19345747.2016.1168500?journalCode=uree20

A Smart Speaker Application to Assist Japanese Onomatopoeia Learning
https://www.learntechlib.org/p/207785/

Teachers Say Cheating Is More Common In Online Classes
https://www.forbes.com/sites/dereknewton/2019/10/30/teachers-say-cheating-is-more-common-in-online-classes/#39bc18aa4491

Many Services Will Help Students Cheat in Their Online Courses—for a Price - The Atlantic
:オンライン授業をサボるためのツールやサービス。
https://www.theatlantic.com/education/archive/2015/11/cheating-through-online-courses/413770/

Cheating in the Digital Age: Do students cheat more in online courses?
:オンライン授業でサボったりカンニングしたりしたかという調査。
https://www.westga.edu/~distance/ojdla/spring131/watson131.html

その他

北星学園大学におけるオンライン授業準備ガイド (kindle版) eBook
https://www.amazon.co.jp/dp/B0895LH22P/

インターネットを活用した日本語学習 : 日本語教育におけるアクティブ・ラーニングの試み
http://ow.ly/fFwa302Bvxo
アクティブラーニング失敗事例ハンドブック
http://www.hedc.mie-u.ac.jp/pdf/ALShippaiJireiHandbook.pdf
「アクティブ・ラーニング」の批判的検討
https://ci.nii.ac.jp/naid/120006306198 教育設計についての三つの第一原理の誕生をめぐって
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsise/28/2/28_168/_pdf
米国に学ぶインストラクショナル・デザインから日本語教材作成への一考察
https://ci.nii.ac.jp/naid/120004791418
人と人をつなぐ学習環境のデザイン -授業におけるネットワークの構築
https://ci.nii.ac.jp/naid/120005775060
第二言語習得研究に基づくシラバス・デザインのあり方
https://www.jpf.go.jp/j/project/japanese/teach/tsushin/reserch/pdf/tushin37_p14-15.pdf
日本語教育におけるコースデザイン論の展開とその課題
https://ci.nii.ac.jp/naid/120006425231
学習者の専門分野に応じた日本語教育のコースデザイン : 理論から実践へ
https://ci.nii.ac.jp/naid/110000543780
日本語表現能力育成のデザイン
https://ci.nii.ac.jp/naid/110009662244

外国語教育のウソ・ホント!? : 第二言語習得研究の成果から
https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/repository/metadata/3799/

Seductive details inhibit learning | WSU Insider | Washington State University
https://news.wsu.edu/2020/03/19/seductive-details-inhibit-learning/

 


 

最後の補足と提案

👉 この補足も状況に応じて修正、削除します。

around,center

このページは2020年の新コロナウイルスの感染の広がりの中で書いたものです。

授業よりコミュニティ構築

授業ができない状況で、この時期に日本語教育機関が最優先でやるべきことで、ネットやデジタルの技術が最も役に立つことは、授業のオンライン化ではなく、学校のシステムがあればそれで、無いところはSlackTeamsなどを導入して、職員や教師はもちろん、在籍している学生、OB、入学希望の人などに対して、しっかりアナウンスできるコミュニティーを構築することではないかと思います。授業は出来なくても、このコミュニティーを軸に情報交換、共有をし、学習のサポートをする。入学希望者にレクチャーをするなどをしっかりやれば、次に繋がる可能性はあると思います。

オンライン授業を選択しない勇気

オンライン授業が、とりあえず学生を入れて稼働させないと、というような発想の学校の延命のために活用されることを危惧しています。補講となれば、休校時の保障に加え、補講の講師の確保など倍近いコストの負担が生じます。あるいは留学生が返済ローン計画がすでに組み込まれていて解約できない、寮寮費が支払われないと証券化された寮運営が破綻する、学費の返還ができない、というような理由で「とりあえず授業をしたことにしたい」という事情を抱える学校はあるはずです。

この状況の中、少なくともオンライン授業ではリアル授業並みの質的保証ができないと休校や新規募集の停止を選択した学校は賞賛されるべきであって「時代に乗り遅れている」などと非難されるべきではありません。オンライン授業は告示の授業時間を「消化する」ためのものではなく、学習を続けたい人達をサポートするためにこそ使われるべきだと思います。少なくとも今いる学生はオンライン授業を受ける前提で学費を払ったわけではありません。

「選択制」は誤り

一般論としてネットの接続環境に差がある場合に「接続環境が無いもしくは乏しい学生は登校し大丈夫な学生はオンライン授業でやればいい」という説明があります。これはどうしても持たざる者が時間的なコストを負担するということになりますから、議論があるところです。現在、学校に来る者はリアル授業で、来ない者はオンライン授業というケースも多いようです。

しかし、通常時の時間的負担の格差と、感染リスクの差は別次元の問題です。持たざる者がより高い感染リスクを負うということは許されないはずです。リアル授業なのか自宅でのオンライン授業かは、より学生にとって安全な方法を学校の責任で判断して進めるべきで、学生に選択させるのは責任の放棄だとみなされても仕方ないと思います。

授業より学生の安全

ひとまず、今、日本語教育関係者が最優先するべきは、定期的な検温とその管理、早めの隔離と保健所への連絡など、在籍している学生の安全を守ること、学校や寮を感染源にしないこと、ではないでしょうか。個々の学校では難しくても組織として早い段階で動けば、ホームステイ先や緊急隔離の場所は確保できる可能性があります。

今回の出来事は、最初から多額の返済ローンと共に日本の生活をスタートし、ゆえにアルバイトを休めず、個室ではない寮で生活する、という今の留学制度は学習者と学習者が学ぶ権利を守れる枠組みなのかということが問われています。必ずいつか議論を始めなければならないテーマです。

提案

日本語教育業界はオンライン授業に関するノウハウも素材も少なく、そういう知見を集約してシェアする場が必要です。SNSやSlack、ビデオチャットなどによるクローズドな、小さなコミュニティは作られるようになりましたが、オープンでしっかり蓄積、整理され検索可能な、かつ、専門家による意見交換や検証があるネット上の場がありません。できれば日本語教育学会に、2020年末までの期間限定でもいいので、試験的にSlackなどを立ち上げてそういう場を作ってほしいなと思います。

フリー学習素材

私どもは1997年からサイト運営をしており、1999年からは仕事は完全オンライン化でやっています。2007年で日本語学習コンテンツ作りを止めたこともあり、提供できるものは以下にあるものだけです。自由に使って下さい。

素材アーカイブ
→ 700枚以上の写真、1000以上のmp3ファイル、動画など。CC BY 4.0なので商用、加工二次利用OKです。
https://drive.google.com/drive/folders/0B5TCRiHE2W6oZVM3SHEyWmlia00?usp=sharing

Learning Japanese
現在公開中の日本語学習コンテンツは以下から行けます。学習コンテンツ的なものは「Kanji Worksheet and Kanji quiz」ぐらいです。500漢字の学習シート(ボタンをクリックすると文字が消えるマジックシート的なもの)と、漢字の三択クイズです。クイズはゲームセンターのハイスコアのようにランキングが表示されます。1998年以降のチャレンジャーの名前があります。
https://webjapanese.com/support/tips

Quizlet
500の実用語彙、観光用語彙のクイズです。多言語訳版(google翻訳によるもの)があります。
https://quizlet.com/webjapanese/

ブログ記事
記事はすべて CC BY SAなので、授業で自由に使って下さい。
https://webjapanese.com/blog/j/

そして、この日本語教師読本WikiもCC BY SAです。商用、非商用関係なく、サイトを参照するのはもちろん、ダウンロードして印刷してコピーして使うことができます。研修や勉強会などで自由に使ってください。間違いもあると思います。SAというのは改変してもいいよ、という意味なので、修正し、不要なものはカットして使ってください。これを機にクリエイティブコモンズについて知ってください。

デジタル素材系サイト多+読書話聴視自治体などが作り配布している教材にもいろんなサイトへのリンクがありますし、Slackなどには簡単な説明もあります。活用してください。

 

φ(.. )

👉 Wikiにお寄せいただいた情報を転載します。

 

https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/deed.ja
 
掲示板日本語教師読本 Wikiについて

日本語教師 Wikiクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承 4.0 国際 ライセンス、運営者はwebjapanese.comです。


*1 1997からサイト運営、1999からすべて仕事はオンラインでやっています。サイト上の学習コンテンツを作り、初代iPadに自炊教材を入れて授業で使えるアプリをあれこれ探し、ストリーム配信も、オンデマ動画制作も挑戦してきましたが、今はGoogle DriveとSlackを利用した出版がメインです。
*2 例えば「同期」「非同期」は、クラウド上などとのデータの同期と混同しやすいし、今はひとつのツール内で同期非同期が混在することもあるので、法律や研究ではともかく現場ではあまり意味がない語
*3 例えばハンディキャップを持つ人達を含む授業を受ける権利の保障も含む
*4 本体がアップグレードしたらしばらく動かなくなる、サードパーティーのプラグインの開発元が開発をやめる、で立ち往生になるのはこの種のツールの「あるある」です。見た目をスキンで変えたりするのもやめたほうがいい。初心者がググった時に「ネットにあった説明と違う」となってしまう。時間の無駄です
*5 論文は少しありますが…読みましたけど…
*6 私達は首都圏で日本語プライベートレッスン専業のグループでしたが、このあたりでギブアップしました。

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