このページは関連事項と共に日本語教師読本シリーズ 3 「日本語学校の選び方」として書籍化しました

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著作権関連

基本的な理解として以下の3つが重要です。

  1. 自分以外の人が作ったものを使う場合は著作権のことを考える必要があります。著作権に関して説明がないものは、作成者に連絡しての利用の許諾が必要です。許諾のルールは著作権者が決めます。許諾は口頭ではなく、本人からいただいたということが文書(メールなど)で確認できるものがないと利用は難しいです(それが面倒だと言われたら使えないと理解すべきです)。ただしネットの場合、作成者がわからないことがあります。著作権者に連絡がつかなければ利用できません。
  2. 著作権の説明は著作物の近くにあることもあれば、サイトのトップからいけるどこかにまとめて説明があることもあります。
  3. 著作権は、通常の年月日と著作権者が書かれたものは、利用の際には著作権者に連絡して許諾を得ることが必要。CCなどの場合はCCのライセンスに従えば著作権者に連絡は不要です。

👉 日本語教育関係者はこの基本の理解が危ういところがあります。「ネットで公開してるものは勝手に使っていい」「ウチは学校だからOK」と考えている人も結構います。ネット上で日本語教育関係者に向けて著作権のことをきちんと説明した記事は見当たりません(テキトーな説明の記事はあります)。

概要

著作権は原則として親告罪でした。親告罪とは著作権を侵害された「本人」に訴えられて有罪になり、はじめて罪になるということです。

著作権は、業界によってかなり態度が違います。業界団体などでガイドラインなどを作って「守ろう」というところと「どうせ訴えられないからいいだろう」というものがあり、日本語教育業界は後者です。日本語教育系の出版社との間に何か取り決めがあるのか、暗黙の了解があるのかは、わかりません。ただ、2017年には日本語教育関係ではない出版社から訴えられたりしています。村内のルールが通用しなかったということかもしれません。基本的に、国内外の日本語教育機関では教材をコピーして配布する行為は横行しており、訴えられれば学校法人や株式会社などの区別なく、ほぼ負けるのではと思われます。

👉 2015年以降、著作権は非親告罪となりつつあります。つまり侵害された人ではなく第三者から「あそこ著作権侵害しているよ」と訴えがあり事実が証明されたらほぼ有罪になるということです。上記の訴訟も2017年でした。非親告罪化を受けて、一部の学校は「ちゃんとやらないと」という声も出始めましたが、業界として取り組む動きはありません。つまり日本語教育関係者にとって著作権の侵害は、昔も今も、いい悪いではなく、つかまるかどうか、という問題であるようで、これは著作権以外の日本語教育関係者の基本的な法律に対する基本的な態度だと思われます。→ 著作権の非親告罪化

日本語学校において違法コピーの教材は「苦学している学生のため」「ウチも苦しい中、留学生をサポートしているのだ」という建前で見逃されることが多いですが、実は学校の予算の都合に過ぎず、正当な価格で購入するようになれば、教材の定価も下がる可能性があり、学生は安価に教材を購入できるようになるかもしれません。日本語教育関係者のブログでも著作権の記述は誤りが多くそれがそのまま拡散してしまっています。国内だけでなく海外も著作権侵害は深刻で、「みんなの日本語」はかなりの比率で違法コピーのものが出回っていて、長い間、ネット上にも違法コピーと思われるファイルが多数あります。日本語学校や企業の提携校でも、違法コピーの教材が堂々と使われており、国内の提携校などの関係者も当然把握しています。

👉 90年代から海外における日本語の教材の違法コピーは続いています。現地の出版社とライセンス契約をして出版されるケースもありますが、そのライセンス版がどういうものなのか、出版社に情報がないので海賊版との見分けがつきません。アジアでは、ほとんどの日本語教育機関が海賊版を使っているともいわれています。「みんなの日本語」の違法コピーばかりというのも大きな特徴です。他の言語の語学学校などでは違法コピーをするリスクを冒すくらいならと、教材の自社開発に移行するのが常ですが、教材を開発するでもなく、ただシェアが高い教科書や教材の著作権を侵害して使い続ける業界(おそらくは同じ教科書だと教師の出入りが激しくても都合がいい、くらいの理由だと思います。下手に自社開発すると研修コストもかかるというような)というのはあまり他にないと思います。

ネットで語られる日本語教育と著作権はもっぱら利用する際のものばかりです。しかし、日本語教師は著作権に注意しながら利用する人である、という考え方はもう古く、著作権者として自らの権利を守るために著作権の法律を知る必要があります。作ったものを共有するなら、CCなどのライセンスを知っておく必要もあります。CCの素材を利用、加工して二次的な素材作りも簡単になってきましたし、安いデジタルビデオを買って動画を作り、簡単な編集ソフトで字幕を入れれば、目的にあったものが作れます

文化庁の著作権のページ(いろんな入門的なページ、文書があります)
http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/

著作権に関する判例データベース
http://tyosaku.hanrei.jp/

クリエイティブコモンズジャパン
https://creativecommons.jp/

著作権法(法律)
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=345AC0000000048&openerCode=1

基本的な考え方

教室などで、複数の学習者相手に教材(教科書、問題集などすべて)は、コピーして配布するのはすべてNGだと考えるべきだと思います。特に利用契約を交わしているわけではないのに、冊子として閉じてないからセーフ、授業後回収するからセーフというのはどこに根拠があるのか不明です。また「半分以下なら引用なのでセーフ」は都市伝説です。学校だとコピーを配布して授業をした事実があれば、組織的な違法行為だと100%見なされるはずです。内部告発があり、著作権者が訴えればアウトとなる可能性は高いです。

「営利を目的としない」教育機関に関しては現在ガイドラインがアップデートされている最中です。 学校等での複製 | ガイドライン | 社団法人 日本書籍出版協会

http://www.jbpa.or.jp/guideline/

民間の日本語学校は非営利の教育機関?

日本語学校は法務省によって「日本語教育機関」として認定はされていますが、著作権法上の「教育機関」は、あくまで営利か非営利かが焦点になっています。予備校や専門学校などは、学校法人が経営母体となっていることが多いのですが多くの場合、私塾扱いです。つまり営利目的とみなされています。学校法人の比率が5割以下の日本語学校が非営利の教育機関とみなされるというのは考えにくく、これまでの著作権を守ってきたとは言いがたいいわば「行儀の悪い」業界である日本語学校業界が学校法人がいくら建前として非営利とみなされているからと、特例となる可能性は低いのではと思います。

H16年に学校関連の著作権は、もうちょっとゆるやかにという方向で改正がありました。しかしこれは日本語教育機関には関係のないものです。

学校その他の教育機関における著作物の複製に関する 著作権法第 35 条ガイドライン
http://www.jbpa.or.jp/pdf/guideline/act_article35_guideline.pdf

以下は「学校」における著作権の講義ですが、講義が行われた学校はキリスト教系の非認可校とのこと。つまり学校法人ではないようです。

九州大学における学校と著作権の問題の講義。こちらは基本的に学校法人を想定したものと考えられる。

私的利用の範囲

日本語の授業で使うなら「私的利用」と考えるのは無理です。これがOKならどんどん拡大解釈されてしまいます。

引用の範囲とは

→ 例えば、作品の一部の引用であっても、その引用だけで成立するものはアウト。あくまで何かがあり、そのために必要なものとして引用されていないといけない。単純に、文字数が半分以下ならOKということではありません。あくまで総合判断。

→ 公開、非公開ということはもちろん、ネットで誰でもアクセスできるからOKではなく、引用するためのソースが権利者の意志で公開されているかきちんと確認が必要。

著作人格権にも注意

また印刷物や映画、絵画などを引用として使う場合、印刷、映画、絵画などは引用の際の加工(デジタルデータにすること)で劣化するという問題に対しても、ひとつの作品(映画絵画)などの一部を切り離して使うことに対しても、権利者は著作者人格権を行使してNOを言うことができます。このことからも、本人の許諾なしで簡単に引用するのはかなり注意を要すると考えた方がいいでしょう。論文などのように部分だけでも成立するものと、芸術作品のように全体でひとつの意味があるものでは、引用として部分を切り取って使うことに対する制限は、違うと考えるべきです(当然後者のほうが難しい)。著作権が存在する芸術作品の引用は、権利者の許諾を受けない限り、基本アウトと考えるしかありません(パロディなどでOKなケースはあったようですが、教材としての一部引用はちょっと違う)。

👉 仮に近い将来、新法などで日本語教育機関が特別な位置として認められた場合、著作権法で特例とされるのはどんなものがあるか?結構も面倒です。以下に該当箇所を書きます。

電子書籍の著作権

電子書籍はストアや購入形態によってライセンスのルールが違いますが、紙と同じく、原則として購入者にしか閲覧の権利はありませんから、学校で利用する場合は、法人相手の複数ライセンスか、人数分の購入が必要です。複数人用のボリュームライセンスが提供されていればそれを購入します。(kindleは条件が揃えば貸し借りができますが、学校でこのシステムを利用するのは無理です。また個人で複数の端末で利用できますが、これも利用できるのは購入者のみです)。

例えば、kindle購入者は自分が持ってる複数の端末(現在は6台)で利用できますが、学校などでひとつのライセンスを購入して6台で6人の学生が使うのは紙の本をコピーするのと同じで違法です。「紙の本の6分の1の値段で購入できる」ということではありません。権利者に訴えられたら終わりです。ご注意を。

法人向けライセンス販売

法人向けのライセンス販売をするシステムにはOver Driveというものがあります。この種の電子図書館的なシステムの最大手で現在(2019)は、楽天が所有しています。まるごと 日本のことばと文化 初級~中級には、この電子書籍版があります。図書館のように貸し借りだけではなく、ライセンス購入、複数ライセンス購入をした法人への提供プラットフォームも兼ねています。

https://www.overdrive.com/libraries

ただし、これはまず学校などでシステムごと導入する必要があります。導入コストは規模次第ですが日本の地方の図書館で年間一千万くらいという記事がありました。学校が契約を結ぶと、無料の本は自由に読める電子図書室が学校にできるというようなものです(そして、その学校が法人ライセンスで購入した本も読めます)。ただしまるごとなどは有料書籍ですから、学校でライセンス購入をしていない場合は、個々がお金を払って購入することになります。学校で導入する場合は、このシステムを導入した上で、法人用の複数ライセンスを購入すれば学校で使えるということになりますが、まるごとの例をみる限りでは、1冊の料金はそれほど割安にはならないようです。大学など大規模な利用でもないかぎり導入するメリットは少ないと思われます。

米国には学校向けのサービスがありますが、日本では今のところ人数分購入しか選択肢はなさそうです。

教案、ハンドアウト、テストは学校に著作権があるか?

ここまでは市販の教材などを利用することに関してでした。それでは、学校で教師が作るものはどうでしょうか?

学校が作ったものに対して著作権を主張できるのは、以下の条件があるのではないかと思われます。

現状、教案を「自分の時間を使ってやってくるもの」としている学校は教案の著作権がないことは当然のこととして、保存する権利もないとするのが自然です。

テストやハンドアウトも(特に非常勤講師に対しては)上の2つの条件を満たしている可能性は高くない。今後、ICT化が進む中で、学校が保存している教案やハンドアウトなどをデジタル化する場合、著作権が確定してないものを勝手にデジタル化し保存し利用するためには、制作者の許諾が必要になるはずです。

そして、仮に条件が揃ったとしても、デジタル化での利用に関する許諾はまた別です。閲覧だけか、配布までするのか、配布の範囲はどこまでか、教材化する場合はどうか、販売する場合はどうか、いろんな可能性を想定してしっかり許諾をとらないと再利用はできないはずです。

過去の資産はもちろん、現状、しっかり著作権管理ができていないのなら、今作られているものの利用もできないことになります。まずは学校で作成するものにきちんと著作権を記すところから始めないと、日本語学校のICT化は、デジタル資産として蓄積できない、単にプロジェクターやタブレットなどの機器を使うだけのものになってしまいそうです。

今後

著作権の考え方をもう少し柔軟にしようという流れはあります。TPPなどで欧米の著作権ルールに準じたものにしていくという流れも。そこでフェアユースという概念も取り入れようという動きはありますが、ここでも非営利かどうかという線引きがあります。例え取り入れられても、同時に厳しいガイドラインが設けられるはずです。

米国のガイドラインの例
http://copyright.lib.utexas.edu/musguid.html

また、例えばGoogle for educationのガイドラインを読む限りでは*1、公的な教育機関と認定されるには、公教育関連(=ほぼ一条校と同じではと思います)の機関かNGOやNPOぐらいです。意外と厳しい。

論文の著作権

以下のようなツイートがありました。

論文紹介動画をツイキャスでやろうとしたら「nature誌の論文紹介の生放送をしようとnature springer社に問い合わせたら百万円以上を要求された」とのこと。ツイキャスは営利サイトと判断された模様。YouTubeも広告入れてやるのはほぼ不可能で、無しでも申請して通る可能性は低そうです。

パブリックドメイン

パブリックドメイン(PD)というのは、著作権が切れたもの、という意味。ただし著作権は国によって期限も違うし、考え方に若干違いがあるので完全に自由ではなく、特に二次加工ができるとは限らないので注意。新たに作ったものをPDとしてネットで配布することもできる。パブリックドメインで配布すると宣言すればいいが、クリエイティブコモンズではPD用のマークを提供しているので、これを使うのが便利。

👉 日本語教育の世界でPDはCCの一部というような説明がされているようですが、誤りです。

資料など

公益社団法人著作権情報センター 学校教育と著作権
http://www.cric.or.jp/qa/cs01/

大手メディアなどの著作権を管理している組織 https://jrrc.or.jp

著作権違反を通報する窓口 テレビ 放送コンテンツ適正流通推進連絡会
https://www.tv-copyright.jp/
アニメ
https://www2.accsjp.or.jp/piracy/piracy.php
インターネット
http://www.internethotline.jp/

現在、一条校でも問題が出てくるケースとして、こういうものがあります。 公益社団法人著作権情報センター 学校教育と著作権
http://www.cric.or.jp/qa/cs01/
学校その他の教育機関における著作物等の複製利用に関するフローチャート
http://www.jasrac.or.jp/info/dl/gaide_chart.pdf

👉 そもそも教育機関であっても「最低限度、必要だと思われるケース」に限って例外が認められるという現状があり、昨今は、教育機関の利用であっても、大規模な試験などの場合は、著作者からクレームが付いたりしていて、事前の権利者の承諾が必要になりつつあるという流れがあるようです。「教育機関だとなったとしても、意外と厳しい、しかも厳しくなりつつある」というところではないでしょうか。

著作権に関する取り決め

学校は教材を作ることもありますし、日々いろんなものを作ります。つまり著作権者でもあります。これらの著作権をどうするかは、結構難しい問題です。学校・教室のICT化に共有する文書の著作権の考え方を書いてみました。ここでは、どういう文書を交わすかについて書いてみます。

契約書を作る

学校で教材や試験、宿題などを作る時、著作権のことはあまり考えられていません。時間外で労働時間として報酬が払われないものであるなら学校は製作されたものに著作権を主張する権利はないはずです。契約をきちんと交わす必要があるのではと思います。

司法書士などに相談して正式なものを作るとかなり費用がかかります。かといって自作だとトラブルの元なので、ネット上で公開されている雛形をベースにやっていくのが無難だと思います。

文化庁にはその種のマニュアルがあります。 誰でもできる著作権契約
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/keiyaku_intro/index.html 

また著作権契約書作成支援システムというものがあります。
https://pf.bunka.go.jp/chosaku/chosakuken/c-system/index.asp 

弁護士ドットコムによるオンライン契約書生成サービスというのものもあります。
https://www.cloudsign.jp/ 

文化庁のものをベースにしてさらに進んだ契約書の例がこちらにあります。クリエーターの方が作品の著作権を譲渡しない形の契約です。
http://ngk.xii.jp/text/inverse.html
(主従が違うタイプと2種類あるので注意してください)

契約はどういう形でやるかは、あなたの考え方次第です。ギャランティーで支払うだけにする従来の業務委託契約や売上げのうち何%かを支払うという #レベニューシェア などいろんなやり方があります。業務委託契約はネット上に雛形も多いですし、作りやすいです。ただ、出版を本格的にやるとなると著作権どうするかになりますし、ロイヤリティの配分も決めないといけなくなります。
http://it-chizai.sakura.ne.jp/format/revenu.html

ひとまず、基本的なフォーマットは守りつつ、具体的なところは、両者で決めたことに従って作っていきます。どういう取り決めにして、それを契約書としてどうまとめるか、はちょっと難しいところですが、きちんとひとつの解釈しかできないような文面で書いていけば、基本的には契約書として使っても問題ないと思います。 もちろん、専門家に一度みてもらうほうが安全だとは思いますが、司法書士の作成したものでないと通用しないということはないはずです(例えばアメリカでもネット上にたくさん雛形があり、それを利用して契約をすすめるところが結構あります)。自己責任で判断してください。

何かを作り、それを販売することになった場合、売り上げの中から%で配分がいくような契約の形態もあります。 レベニュー契約(印税契約的なもの)は以下に少し説明があります。
http://it-chizai.sakura.ne.jp/format/revenu.html 

具体的な契約書の作り方は検索すればでてきますが、以下はわかりやすかったです。 業務提携・契約ドットコム 契約書の製本・契印のやり方
http://www.master-license.com/article/14093179.html 

肖像権その他 

イベントの写真や映像などを公開する際に考えるべきことです。ここは同意書や承諾書ととったからOKということではないことに注意です。日本語学習機関において、学校や教師は学習者の出席や成績管理をしている立場であり、その意志がなくても同意や承諾に強制力が働く可能性があります。NOとは言いにくい立場で交わされた文書は無効になることがあります。妥当なものであるかの検討が必要ですし、同意書にサインをもらうことになっても十分な説明が必要です。

学習者の写真などをネットに掲載すること

学校の写真などはFacebookなどで公開されていますが、教師や理事長の顔はないのに学生の顔が出ていることがよくあります。文書での了解はとってあるのか?あまり期待できません。本人が長い期間、自分のFacebookやインスタグラムなどで自分の顔を公開していて、公開するリスクを理解していて、文書で公開してもよいというサインがあれえばOKかなと思います。ただし、若い頃の判断であり、一度はOKを出しても後でやはりイヤだと言われることがあります。基本的には顔は映らないようにするのが無難です。ボンヤリと、本人以外が特定できないレベルならセーフかもしれません。いずれにしても許可なく顔をネットで出すということは将来にわたってかなり大きなリスクを負うことを自覚すべきです。

日本語学校の場合、教師は成績をつけ、学校は生徒をかなり強く管理している状況なので。快くOKと言ってくれても文書で「この写真をここに掲載することを許可します」ときちんと書いて、日付とサインをとることでもないかぎり難しいです。口頭だと、後で「やっぱりイヤだった」「NOと言えない状況だった」と言われたら厳しいからです。

職員や教師は?

学校職員や専任講師の名前や写真をサイトに掲載するケースは双方の了解があれば、問題ないとは思います。しかし掲載を強要することは微妙です。逆に法人の責任者の名前などは公開すべき種類のものだと思います。

人以外の問題

また、街並みを写して公開するのはどこまで大丈夫か?は、かなり難しい問題です。しかし原則として、公道上にあるものは、肖像権は主張しにくいと言われています。ただし、この場合も個人の家や、個人が特定できる形で映っている場合は問題になるかもしれません。

もちろん、明らかに第三者に迷惑がかかる可能性が高いものは問題ですが、基本「当事者に訴えられたら裁判でどうなるかわからない」ということなので、肖像権に違反しているしていないではなく、結局、公開する人がどこまでリスクを負うかという側面が強いです。画像や動画の公開では、電話番号(看板のものは個々の判断)や個人の住所がわかるもの、検索すれば個人までいきつくもの(車のナンバーなどもグレーです)には注意したほうがいいと思います。

商標が映っている場合

商品やロゴが写ってる場合、風景の一部としてあるならセーフという話もありますが、キャプションによっては問題になったりするそうです。教材などの写真で明らかに特定できる商品の写真を使うのはリスキーだと思います。ただこれも総合判断です。問題になる可能性があるということだけは意識しておいたほうがいいと思います。

同意書

以上のことをふまえた上でそれでも掲載したい場合は今は企業のサイトでも学校でも、本人か保護者に、同意書にサインをしてからということになっています。一度とればOKではなく、掲載のたびに「何についての同意か」を書いてサインをもらう必要があります。

ライブ配信

イベントのライブ配信なども事前の説明と承諾書へのサインが必要です。テレビ局やネット系企業などの 承諾書のひな形はネット上にいろいろありますから、一枚作っておいて、イベント時に配布するか事前にPDFでダウンロートしてきたもらい、サインを貰うだけです。

「あの人はうちの生徒」的なこと

あの有名人は昔うちで勉強していた、私が教えていた、ということを書くことは当然本人の許諾が必要になる部類のことだと思います。また現役で通っていたり、勤務している場合はたとえ本人の許諾があっても公開するのはリスクが伴います(例えば将来ストーキング行為の被害を受けるようになった場合など)。これらのことは文書で了解をとることは通常難しいでしょうから、やはり避けたほうが無難だと思います。

職員、教師の情報

履歴書など、個人情報が含まれる文書は、雇用関係が終われば廃棄もしくは返却すべきものだと思います。面接などで不採用ならば今は、返却するところがほとんどです。

教師不足もあり、連絡先としてキープしておきたい時は、本人の了承が必要になるはずです。また教師も個人情報が気になるなら返却や廃棄を要求したほうがよいと思います。2019年の時点では返却、廃棄は法的な拘束力はありませんので(ただし個人情報が漏れた場合は管理責任は問われると思います)

在籍していた時の情報などをネットに書き込んだりするのはNGです。「**さんはいい教師だった」ということでもです。在籍していた事実と評価は語らないというのは、これまでも企業が守るモラルとして存在していましたがネットでは特に注意が必要だと思います。

SKE松村さん「履歴書」暴露騒動に学ぶ「採用情報」の扱い方…個人情報保護法と職安法 - 弁護士ドットコム
https://www.bengo4.com/internet/n_9315/

👉 時々ネットで学習者の答案を公開しているのを見ます。当然掲載の許可は取ってると思いますが、許可とってることは書いたほうがいいのではと思います。ただ、この種のものは、基本的に教師>生徒の立場での許可は疑問だと思います。教師は成績をつけたりする立場なわけなので同意に強制があったとみなされる可能性はあります。いろいろ基準は難しいですが、答案の公開は原則やめたほうがいいのではと思います。匿名であっても、個人が特定されなくても「おかしな間違い」として勝手にアップする人のコンテンツにするのは常識的に問題があります。そういうものはネット、SNSで「おもしろ解答」とか「がんばった作文や文字」としてウケますが、やめるべきですし、学校は、きちんとガイドラインを作って禁止すべきだと思います。

日本語学校が設けるべきガイドライン

ネットに関するルール、ガイドラインがない学校はまだあるかもしれません。

学校側が、ガイドラインを作るなら

がベースになるでしょうか。ただし個人としてネットで発言する自由まで規制することはできないので、例えば、学校の名前をネットに出すなとか、経営方針についてつぶやくな、みたいなことは、基本守秘義務の範囲でしかできないと考えておくべきです。

著作者としての選択肢

学校などで作り、制作者の了承を得て学校に著作権があるとなった場合、学校に著作権が所属するとするのも選択肢のひとつです。お決まりの著作権表示を考えて、作品のどこかに入れます。

©    2020  名前(複数なら連記) 
お決まり 作成の年 著作権者

などと書けば完成です。年の数字はアップデートする必要はなく、表示の順番もこれが定番のようです。

第三者も利用しやすいような著作権を選ぶこともできます。学校に著作権があってもそれを収益化するのは出版でもしないかぎり難しいですし、学校の中だけで使うよりも、CCのように著作権者の名前を入れて基本フリーで公開することによって他の場所でも使われ、それが学校のブランドを高めるということもあります。

クリエイティブコモンズ

ネット上で公開する場合、最も認知度が高いのはクリエイティブコモンズ(CC)です。世界的にも有名なので英語でもライセンスの説明をしているページがあり、海外での使用でも使いやすいということがあります。Youtubeなどでも、CCで公開するという選択肢があります。海外の政府では政府文書はCCを付与することがあり、日本の政府でも活用は進んでいて、事実上の世界標準となりつつあります。

クリエイティブ・コモンズ・ジャパン
https://creativecommons.jp/

J-WAVEでのクリエイティブコモンズの解説。公式サイトからもリンクされている。

Youtubeで「japan」で検索してクリエイティブコモンズでフィルターをかけた検索結果です。

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*1 今は個人に利用が開放されてますが、2017年までは条件があった

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